Windows 10 ゲームマラソン

「The Witcher 3:Wild Hunt」 大人のための上質なアクションアドベンチャー

これぞ骨太のハイ・ファンタジー! 当代最高のゲーム性を添えて

【The Witcher 3: Wild Hunt】

2015年5月18日発売

6,080円(Steamダウンロード販売)

Windows 10への対応状況(9月1日現在)
動作状況★★★★(快適に動作)
メーカー対応未対応
Windows 10独自機能GameBar(ウィンドウ表示時のみ)
不具合報告Windows 10へアップグレードインストール後、ゲームが起動しない不具合あり(解決可能)
サポート情報The Witcher 3: Wild Hunt Support

 Windows 10でジックリと骨太のRPGをプレイしたいなら、「The Witcher 3: Wild Hunt」は絶対に外せないタイトルだ。ポーランドのデベロッパーCD Projekt REDが4年の歳月をかけて制作した本作は、「ウィッチャー」と呼ばれるモンスターハンターの活躍を描く、ハードコアなアクションRPG大作だ。

 驚くほど美麗なグラフィックス、小気味良く痛快なソードアクション、そして緻密すぎるほどに作りこまれた冒険の舞台。そこで展開するのは、戦争と平和、狂信と合理、差別と博愛、富裕と貧困、腐敗と清廉、男と女、実父と義父……様々な対称軸から紡がれる、シリアスかつリアリティ溢れる物語。

 ときに割り切りのつけにくいセンシティブなテーマにも踏み込んでいく本作は、ぜひ“いい大人”にプレイしていただきたい1本。無数の局面においてあなたの価値観を揺さぶるような、味わい深い体験の宝庫であることを約束しよう。

息を呑む「The Witcher 3: Wild Hunt」の世界

シリーズ3作目にして大幅に遊びやすく、幅広くオススメできる作品へ脱皮

冷静な頭脳と熱い正義を胸に秘めるウィッチャー、リヴィアのゲラルト
空気感たっぷりに描かれる最高品質のグラフィックス
テクニカルかつスリリングな戦闘がクセになる
「印」と呼ばれる特殊能力を使っての立ち回り

 本作は2007年に発表された初代作「The Witcher」から数えて3作目。2作目まではゲームシステム的に遊びにくい部分も多く、ややニッチ寄りの雰囲気があったシリーズだ。それがこの3作目にしてアクションRPGとしてのゲームシステムが大幅に改良され、遊びやすく、奥深い、当代トップレベルの大傑作RPGとして大きな存在感を発揮している。

 その映像美は並ぶもののない水準で、また主人公のウィッチャー「リヴィアのゲラルト」は文句なしの格好良さ。その世界の密度や広さは「The Elder Scrolls」シリーズに勝とも劣らない勢いで、トレハンやキャラクタービルドのやり甲斐は「Dragon Age: Inquision」にも匹敵。そしてテンポ良く展開する戦闘アクションは、「Dark Souls」のように小気味良く痛快であり、戦略とテクニックの両面でたくさんの可能性、自由度がある。

 しかも今作ではシリーズで初めて日本語へのフルローカライズが行なわれており、ちょっと信じられないほどの量にのぼるテキストとセリフのすべてが、高水準の日本語テキストと日本語音声で収録。声優のハマり具合、演技の確かさも素晴らしく、文句なしの理想的なデキ。このローカライズを担当したスパイク・チュンソフトは歴史に残る仕事をしたと思う。

 大作RPGとして必要なほとんど全てのものを備えていると言っていい本作は、PS4やXbox One版で手軽に遊ぶだけでも贅沢な体験ができるが、やはりそのポテンシャルを最大限に引き出すのはWindows版だ。

 Windows版では全てのグラフィックス設定を最高にするとコンソール版を大幅に越える映像品質が得られるうえ、GPUメーカーであるNVIDIAの最新グラフィックス技術としてHBAO+(高品位なアンビエントオクルージョン表現)やHairWorks(リアリティある髪の動きを表現する技術)も実装。最新PCゲームだけで見ることのできる品質をしっかりと堪能できる。

 それだけ映像をリッチにすれば、動作が重くなるのは自明の理とはいえ、痛し痒しなところ。すべてを最大限に利用しようとするとGeForce GTX 980でも60fps出ないという重さだが、ある程度設定を絞ればもっと標準的なゲーミングPCでも快適に動く。とはいえ、有無を言わさぬ映像美が本作の冒険をひときわ楽しい物にしてくれることは間違いない。お使いのPC性能と相談しつつ、クオリティとパフォーマンスのバランスがとれる最大限の設定を探し出してからじっくりとプレイして欲しい。

いきいきと描かれる広大で濃密な世界。ぜひハイエンドPC&Windows 10で楽しみたい
奥深く飽きない戦闘や、「ウィッチャーの感覚」と呼ばれる追跡能力を活かした探索や謎解きでグイグイ遊ばせてくれる

Windows 10アップグレードインストール後、ゲームが起動しない場合の対処方法

 Windows 10でも特に問題なくインストールとプレイができる本作だが、ゲームが起動しなくなるという不具合の発生するシナリオが1つだけ存在する。ゲームをインストール済みのWindows Vista/7/8.1から、OSをWindows 10にアップグレードインストールした時だ。

 アップグレードインストール時に個人設定とアプリケーションを引き継ぐ選択をした場合、当然インストール済みの本作もそのまま引き継がれるが、その後本作を起動しようとしてもウンともスンとも言わなくなるのだ。これは、起動に必要な特定バージョンのVisual C++再頒布パッケージが、アップグレードインストール時に失われてしまうため。正確にいうと新しいものに置き換えられるためだ。

 わかってしまえば解決方法は簡単。本作のバイナリーファイルが収められたフォルダを参照して、その中にあるVisual C++再頒布パッケージを改めてインストールするだけだ。例えばSteamのデフォルト設定でゲームをインストールした場合は以下のフォルダを参照。

"C:\Program Files\SteamLibrary\SteamApps\common\The Witcher 3\_CommonRedist\vcredist\2012\"

 ここにあるvcredist_x64.exe もしくは vcredist_x86.exe を実行し(お使いのCPUタイプによって選択)、出てきたウィンドウの指示に従ってインストールを終えればOK。あとはゲームが普通に起動するようになる。

 同様の症例は本作に限らず、海外ゲームではチラホラあるようだ。もし、アップグレードインストール後に起動しなくなったゲームが合った場合、上記方法を試すとアッサリ解決したりするので、覚えておくとお得だ。

 OSが新バージョンに切り替わる時期はこのようにいろいろと面倒くさいこともあるのが常だが、いちはやくWindows 10の最新環境でゲームを遊ぶ皆さんにとっては小さな石ころみたいなもの。サクッと蹴飛ばしたら、本作の50~100時間にもわたる大冒険を骨の髄まで楽しんでいただきたい。

筆者環境ではEドライブ下にSteamライブラリを置いているが、お使いの環境に合わせて読み替えて欲しい
vcredist_x64.exe もしくは vcredist_x86.exeを実行するとこのようなウィンドウが開く。[Install]を押すと1秒もかからず完了

(佐藤カフジ)