■佐藤カフジの「PCゲーミング道場」■
最新ゲーミングマウス・マウスパッドカタログ【2009冬】
ゲームをより快適にする最新ラインナップを総ざらい!
色々な意味で業界の「最先端」を走る、PCゲーミングの世界。当連載では、「PCゲームをもっと楽しく!」をコンセプ トに、古今東西のPCゲームシーンを盛り上げてくれるデバイスや各種ソフトウェアに注目。単なる製品の紹介にとどまらず、競合製品との比較や、新たな活用法、果ては改造まで、 様々なアプローチでゲーマーの皆さんに有益な情報をご提供していきたい。 |
■ いよいよ師走。最近1年で発売された最新ゲーミングマウスをチェック
マウス、そしてマウスパッド。PCゲーミングライフを快適にする、最もクリティカルな要素だ |
2009年もいよいよ師走に突入。月日の流れは早いものだが、それでも今年は各ジャンルで沢山の面白いPCゲームがリリースされ、PCゲーミングライフは例年以上に充実していたように思う。FPSからシミュレーションゲームまで、毎日の貴重な空き時間をゲームのプレイに注ぎ込んでいるPCゲーマーも多いことだろう。無論、筆者もそのひとりだ。
そして年末と言えば、多くの小売店が値引きセールを実施する、お買い物シーズンでもあるとも言えよう。10月にWindows 7がリリースされたこともあり、このクリスマスシーズンに向けてPC関連ショップは例年以上に活気付いているようだ。ゲーマーにとってこの時期は、PCゲーミング環境をグレードアップするタイミングとして最適である。今、Windows 7導入のついでにゲームPCを新調しようと計画している人も多いのではないだろうか。
そういったPCゲーミング環境の見直しにあたって、計画に含めることを筆者が強くオススメしたい要素がある。マウス周りの環境整備だ。「マウス/マウスパッドを変えただけで世界が変わった」と人は言う。それぐらいマウスがゲーミングに与える影響は大きい。それに合わせて良質のマウスパッドを使用すれば、グラフィックカードやCPUをアップグレードするよりもずっと安価に、さらなる快適さと楽しさを手に入れられる。抜群の費用対効果であり、いの1番に攻めておきたいアップグレードポイントだ。
ちなみに、ゲーミングマウス、マウスパッドは1製品のライフサイクルが比較的長く、世代交代と呼べるほどの進化には数年かかるのが常だ。しかし今年はこの市場カテゴリーにおける「当たり年」で、新たなテクノロジーや素材を使用したマウスやマウスパッド製品がいくつも新発売になっている。ゲーミングデバイス市場がある程度成熟してきたこともあり、ハズレも少ない。
というわけで今回は、2008年末~2009年末までのおよそ1年間に発売された各社の代表的な最新ゲーミングマウスとマウスパッドをピックアップし、価格帯別にカテゴライズした。それぞれの製品について簡単なレビューを添えてご紹介していこう。クリスマスシーズン、皆さんが新たなゲーミング環境を構築する際の参考になれば幸いだ。
■ 「最強」を志向するなら要チェック。1万円超のスーパーハイエンドモデル
【Razer Mamba】 | |
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発売元:MSY 発売日:2009年6月30日 価格:14,800円 寸法:70×128×42.5mm 重量:108g (バッテリー装着時129g) センサー:3.5G レーザーセンサー 解像度:最大5,600cpi(100cpi刻みで5設定を本体に保存可) 最大速度:200インチ/秒 接続方式:USB2.0、有線/無線 ハイブリッド |
・完全無欠の有線/無線ハイブリッドゲーミングマウス
無線レシーバーに乗せて充電状態としたところ |
MSYより2009年6月に発売された「Razer Mamba」。最大の特徴は無線方式と有線方式を任意に切り替えられる柔軟性と、あらゆる面で優れたパフォーマンスを実現していることだ。
特殊形状の専用ケーブルを着脱することにより有線モードと無線モードを切り替えることができる。無線モード時は付属のリチウムイオンバッテリーにより駆動し、フル充電時からの連続使用時間は14時間。毎日FPSをやり続けて3日は持つ。また、ケーブルをつなげて有線モードとすれば自動的に充電されていくほか、無線レシーバーにマウスを置くことでも充電が可能だ。このため無線マウスにありがちな充電の面倒は、ほぼ感じられない。
マウス本体の形状としてはRazerの人気マウス「DeathAdder」とほぼ同じで、かぶせ持ちに適した形状だ。ただし、その中身はずいぶん違う。センサーはRazerの最新型である3.5Gレーザーセンサーを搭載し、最大トラッキング速度200インチ/秒という驚異的な性能を確保。ポーリングレートは1,000hzで、どのようなゲーマーでも文句のつけようのない性能だ。
有線モード時にはUSBケーブルから電力が供給されるので、マウスからリチウムイオンバッテリーを外すことにより本体重量をさらに軽くすることができるのも良いところ。このときマウスの重量は108gとなり、軽いマウスが好みのプレーヤーはさらに操作性を向上させることができるだろう。
本製品の唯一の弱点は、あまりにも高い価格設定だ。現存するゲーミングマウスのうち最も高価な製品であるだけに、一般のゲーマーが手を出すには少々勇気が必要。本製品については弊誌レビュー記事「これぞ最高級ハイブリッドマウスの決定版!『Razer Mamba』」にて詳しくご紹介しているので、よく吟味した上で本製品の購入を検討してみてほしい。
形状はRazerの人気モデル「DeathAdder」がベースとなっている。ゲーミングマウスを扱うショップの店頭で実際に触ってみてほしい |
【SteelSeries Xai Laser】 | |
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発売元:ゲート 発売日:2009年10月30日 価格:10,980円 寸法:68.3×125.5×38.7mm 重量:94g(本体のみ、ケーブル重量を除く) センサー:レーザーセンサー 解像度:最大5,001cpi(1cpi刻みで設定可) 最大速度:150インチ/秒 接続方式:USB2.0、有線 |
・かゆいところに手が届く。SteelSeriesのゲーミングマウス最高傑作
パッケージ |
SteelSeriesによる新型ゲーミングマウスは、日本人の手にもなじむ小ぶりな形状が特徴的だ。2年前に登場した「SteelSeries Ikari Laser」のでっぷりとした大柄ボディとは対照的に、新シリーズの「SteelSeries Xai Laser」と「同 Kinzu Optical」はつまみ持ちに適したスリムかつシンプルなフォルムを実現している。ホールドした際の感触としては、往年の「マイクロソフトマウス 2.0」に近いものがある。
その上で、ハイエンド版である「SteelSeries Xai laser」には、現時点で望みうる最上級のセンサーやプログラム機能が搭載されている。まず、センサーとしては毎秒12,000フレームを取り込める最新型のレーザーセンサーを搭載しており、150インチ/秒という最大トラッキング速度を実現している。どんなに激しくマウスを動かすFPSでも、この性能で不満が出ることはまずない。
また面白いのが、トラッキング表面の素材や状況に合わせ、リフトオフディスタンスをマウスが自律的に調整するという機能が備わっていることだ。この機能により「Xai」のリフトオフディスタンスは常時1mmになるとされる。ゲームプレイ中にマウスを持ち上げ、置き直すという操作を行なう際に発生する不可抗力的なカーソル移動が、手作業での調整の苦労なく最小限に抑えられるというわけだ。
このほか「Xai」では、トラッキング解像度を1cpi単位で設定可能であったり、上下左右にまっすぐマウスを動かした際に発生する微細な縦、横のブレを自動補正する機能(直線補正)の度合いを設定可能な機能を搭載しているなど、ハードゲーマーの細かな要求に隅々まで答える製品となっている。おそらくはSteelSeriesの最高傑作マウスであり、価格は高いがその価値はある製品だ。
スーパーハイエンドレベルの高級ゲーミングマウスでありながら、その外観は極めて質素。小型なので日本人の手のサイズで扱いやすく、意外と万人向けの製品である |
■ 形状・性能の好みに合わせて選択。6,000円~8,000円のスタンダードモデル
【Razer DeathAdder 3500】 | |
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発売元:MSY 発売日:2009年11月26日 価格:7,329円 寸法:70×128×42.5mm 重量:105g センサー:3.5G 赤外線センサー 解像度:3,500cpi(100cpi刻みで5設定を本体に保存可) 最大速度:60~120インチ/秒 接続方式:USB2.0、有線 |
・新世代の赤外線センサーを搭載したRazerの王道ゲーミングマウス
この価格帯はゲーミングマウスにおける主流の位置にあり、各社から主力級の製品が提供されている。その中で大手メーカーRazerによる主力製品が、この「DeathAdder 3500」だ。この製品はRazerの人気製品であった「DeathAdder」の最新モデルで、センサーに新型3.5G赤外線センサーを搭載したことが主要な違いである。形状は前述の「Mamba」に良く似ている。
センサーの能力は高く、ネイティブ解像度で3,500cpiという精度を実現している。最大トラッキング速度を60~120インチ/秒となっており幅があるが、これは赤外線という方式がトラッキング表面の素材により性能変化を起こしやすいためだろう。良質のゲーミングマウスパッドを使うことにより最大の性能を出すことが期待できるので、まずはマウス、マウスパッドの両面にこだわって環境を構築するようにしたい。
スタイルとしてはかぶせ持ちに適した大柄なシャーシとなっており、指をひっかけるくぼみが浅いためつまみ持ちにはあまり向かない。ただ、ベースの形そのものは手になじみやすいため、グリップテープを張るなどのちょっとしたカスタマイズを加えることによって様々なプレーヤーのスタイルに簡単に適応させることができる。
他のRazer製品と同じく、本製品には1,000Hzのレポートレート、高機能なプログラマブルボタン/マクロ機能など、ゲーミングデバイスとして必須の項目がすべて備えられている。形状が気に入っただけの時点で買いに走っても絶対に後悔することのない製品だ。
かぶせ持ちに適した形状。Razer製品の常として、使用時は青いLEDが点灯する。気になる場合はドライバの設定画面でLEDを消灯することも可能だ |
【DHARMA TACTICAL MOUSE 03(DRTCM03)】 | |
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発売元:シグマA・P・Oシステム販売 発売日:2008年11月 価格:7,980円 寸法:63×115×42mm 重量:110g(ケーブル重量込み) センサー:レーザーセンサー 解像度:400~3,200cpi(ネイティブ解像度最大1,600cpi。100cpi刻みで4パターンの設定を本体に保存可) 最大速度:65インチ/秒 接続方式:USB2.0、有線 |
・日本企業がデザインした日本人のための国産ゲーミングマウス
つまみ持ちをしやすいスリムボディ |
国内の中堅PCプリフェラルメーカーであるシグマA・P・Oシステム販売が展開するゲーミングブランド「DHARMAPOINT」。その立ち上げから2年余りが経ち、ゲーマーの間では良く知られる存在となった。そのDHARMAPOINTによるゲーミングマウスの最新モデルは昨年末に発売された「DRTCM03」レーザーマウスだ。
この製品は発売から1年ほどが経過していることもあり、すでに常用しているユーザーも多い。また、これからゲーミングマウスに手を出そうとしている人にも大いにオススメできる製品だ。
まず、その形状が最大の特徴だ。中央部に大きなくびれを持つシャーシは手にフィットしやすく、つまみ持ちのスタイルに完璧に適合する。国産であり、もともと日本人の手のサイズに合わせてデザインされているため、標準的な成人男性よりも小さめの手を持つ筆者のようなプレーヤーにとっては救世主のようなゲーミングマウスなのだ。
搭載するレーザーセンサーは最大トラッキング速度65インチ/秒。他の最新製品と比べれば低めの数値だが、相当な低センシティビティでマウスをブンブン振り回すようなプレーヤーでない限り、実用上の問題はない水準だ。その上で本製品は左サイドにプログラム可能な2ボタンを搭載し、チルトホイールも備える。専用の設定ソフトではリフトオフディスタンスを任意の高さに調整することも可能と、豊富なカスタマイズ性を備えることも魅力のひとつだ。
大き目のマウスが多い海外メーカー製とは異なり、日本人の手になじみやすいデザインが採用されている。右手でつまみ持ちをする場合、右側面にある「MODE」ボタンを間違えて押しやすいのが唯一の欠点か |
【Gaming Mouse G500】 | |
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発売元:ロジクール 発売日:2009年9月18日 価格:6,980円 寸法:73.4×129.2×44mm 重量:138g~165g(ケーブル除く。ウェイトカートリッジで調整可) センサー:レーザーセンサー 解像度:200~5,700cpi 最大速度:165インチ/秒 接続方式:USB2.0、有線 |
・ロジクールの人気マウス「MX518」のゲーミンググレードバージョン
万人向けのエルゴノミックデザイン。「MX518」に比べていくつかのボタンが追加されている |
丸っこく手に馴染みやすい形状を備える「Gaming Mouse G500」は、ロジクールの一般向けマウスの人気製品である「MX 512 Performance Optical Mouse」のゲーミンググレード版といえる製品だ。
中央部にしっかりとしたくぼみのあるボディはかぶせ持ちとつまみ持ちの両方に完全フィット。その上で最新世代のレーザーセンサーを搭載し、最大トラッキング速度は165インチ/秒という高性能を実現している。解像度設定は200~5,700間で調整可能で、切り替えボタンにより複数の設定を切り替えることができる。
ここまでは他のゲーミングマウスでも実現されていることだが、本製品において大きな違いがあるとすれば、ホイールの出来が非常に良いということだ。
本製品に搭載されるホイールには「クリック・トゥ・クリックモード」と「高速スクロールモード」という2モードが搭載されており、前者ではカチカチっとしっかりしたクリック感により武器の切り替え操作などを確実に行なえ、後者ではウェブブラウジングなど一般操作を快適に行なえる。一般向けマウスの開発で技術を蓄積しているロジクールならではのフィーチャーと言えるだろう。
また本製品には「ウェイトカートリッジ」というギミックが付属しており、同梱のおもりをつけてマウスに挿入することで、マウス本体の重量を調整することが可能だ。重めのマウスを好むプレーヤーにとっては外せない選択肢になるはずである。
ユーザーからの評判が高い「MX518」を純粋にゲーミンググレード化したらこうなったという、ある意味愚直なまでに王道を行く製品。ただし標準的なゲーミングマウスに比べて重さがあるので、スピーディな操作は苦手かもしれない |
より重い状態で操作したい場合は付属のウェイトカートリッジを使用する。錘を装着してマウス本体に差し込む |
■ はじめてのゲーミングマウス体験に最適。3,000円台のエントリーモデル
【SteelSeries Kinzu Optical】 | |
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発売元:ゲート 発売日:2009年9月18日 価格:3,980円 寸法:64×117×36mm 重量:70g(本体のみ。ケーブル除く) センサー:赤外線センサー 解像度:400~3,200cpi(ドライバで設定可) 最大速度:75インチ/秒 接続方式:USB2.0 有線 |
・シンプルに低価格、それでいて高いセンサー性能を実現
スッキリとした外観。小ぶりで扱いやすいマウスだ |
ゲーミングマウスとしては破格の価格帯に位置する本製品「SteelSeries Kinzu Optical」は、ひとまずゲーミングマウスを触ってみたいという人には最適な製品のひとつだ。形状は上位機種の「SteelSeries Xai Laser」と似通っているが、その性格はかなり違うものになっている。
まず、75インチ/秒という最大トラッキング速度を実現する赤外線センサーは、最上級の性能ではないにしても、激しいゲーミング用途においても満足いくパフォーマンスを示す。それに加えて本製品の70gという本体重量は、全ゲーミングマウス中で最も軽い部類に属し、プレーヤーの意図をクイックに伝えやすい。小さな力で操作できる分、マウスの正確なコントロール力を養うのに最適だ。
ただし、本製品にはゲーミングマウスに合ってしかるべきサイドボタンがないなど、低コスト化のために犠牲となっている部分も多い。すでに他のマウスでサイドボタンを使用してきたプレーヤーにとっては選択外にならざるをえないし、ボタンが少なすぎるためマクロ機能などへの期待もしようがない。
それでも標準で3,980円という価格は魅力的だ。同価格帯にある一般向けマウスとは別次元のトラッキング性能を示すことは明らかであり、オンライン系のFPSなど操作がシンプルなゲームでの「武器」として大いに活用できる製品と言えるだろう。
サイドボタンがない、というのはコストのためとはいえ、大きな問題だ。センサー性能は高いので、ゲーミングマウスの入門用としてはオススメできる |
【Sidewinder X3 Mouse】 | |
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発売元:マイクロソフト 発売日:2009年5月29日 価格:3,800円 寸法:67×118×32mm 重量:134g(ケーブル込み) センサー:レーザーセンサー 解像度:最大2,000cpi(200/400/800/1,000/1,600/2,000) 最大速度:45インチ/秒 接続方式:USB2.0 |
・素直な形状、必要な機能、低価格。このコストパフォーマンスは抜群
左右対称のシンプルなデザイン。上位版のゴツゴツした形状よりもとっつきやすい |
マイクロソフトが展開するゲーミングデバイス「Sidewinder」シリーズからは、低価格モデルである本製品をご紹介しよう。この「Sidewinder X3 Mouse」は、必要最低限の機能をしっかり実装していながらも、非常に手に入れやすい価格を実現したハイコストパフォーマンスモデルだ。
まず形状については、左右どちらの手でも同じように使えるシンメトリックボディを採用。かぶせ持ち、つまみ持ちどちらでもいける汎用性の高いフォルムだ。左右両面に1つづつのプログラム可能なサイドボタンを搭載しており、マクロ機能も利用できる。また、マウス中央部にある3つのボタンで、3種の解像度設定を瞬時に切り替えることも可能だ。
搭載するセンサーはレーザー方式で、最大トラッキング速度は45インチ/秒と、ゲーミンググレードのマウスとしては低め。この性能ではマウスを激しく動かすローセンシティビティ設定のFPSプレーヤーには向かないが、ストラテジーゲームやRPGといった3Dゲームで不満を感じることはほぼないだろう。
他社製の低価格ゲーミングマウスというと、サイドボタンがなかったり、マクロ機能が利用できなかったり、オンザフライの解像度切り替えができなかったりと不満がつきものなのだが、本製品だけは例外だ。ゲーミングマウスに期待するすべてを最低限のレベルで搭載しており、ゲーミングマウス入門用に購入したとしても末永く使えるはず。この価格でこの内容というのは、まさに抜群のコストパフォーマンスである。
安価なマウスでありながらゲーミングマウスとして必要最低限のものを備えている。初めてゲーミングマウスを試そうという方には最適の一品。ただし激しい動きを要するFPSには、センサーの性能面で厳しいところもある |
■ さらに上の快適を実現するために────最新マウスパッド3種
【Razer Sphex】 | |
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発売元:MSY 発売日:10月15日 価格:2,480円 寸法:300×250mm 特徴:フィルムのような薄さ。Razerによる呼称は「デスクトップスキン」 |
・マウスパッドの既成概念を破壊する。机に貼り付ける「マウススキン」
マウスの走りにサラサラとした感触が得られる |
Razerが新機軸のマウスパッドをリリースした。本製品「Razer Sphex」は、机に貼り付けるシールのようなものだ。300×250mmという、ゲーミングマウスパッドとして必要最低限の大きさを確保した本製品の質感は、まるで紙のよう。裏面は特殊加工による接着面となっており、平らな机にペタリと貼り付けることができる。
表面はハードな樹脂系マテリアルで、硬く、適度な凹凸が加えられている。マウスを走らせると「サラサラ」とした上質な紙のような感触。樹脂系のマウスパッドにありがちな「マウスソールの張り付きによる、初動抵抗と走行抵抗の極端な差」は全くなく、随時なめらかなマウス操作が可能だ。
その上で本製品の特徴を言うとすれば、やはりこの驚異的な薄さだろう。机からはがして持ち上げればペラペラと紙そのもの。重さは数十グラムしかない。マウス使用時に机の高さとマウスパッドの高さの違いが気になるシーンは結構あるものだが、本製品だけはそのような影響と無縁だ。新たなマウス操作の感触が得られ、非常にオススメである。
注意点としては、素材の特性上、折り目をつけると完全に元に戻らないため、丸めて気軽に持ち運ぶことがむずかしいことが挙げられる。また、欲を言えばもっと大きなバージョン(できれば机の半分を覆うくらいの大きさ)が用意されていれば尚良かった。素材の薄さからマウスパッド内外の段差が気にならないため、いくら大きくても邪魔にならないためである。
マウスパッドというよりほとんどシールみたいなものだが、接着面は何度剥がしても使え、洗えば新品同様に戻る。机とマウスパッドの段差がほぼ存在しないというのは、なかなか面白い感覚だ |
【SteelSeries 4HD/9HD】 | |
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発売元:ゲート 発売日:2009年9月18日 価格:2,980円(4HD) 4,980円(9HD) 寸法:290×240×2mm(4HD) 320×270×2mm(9HD) 特徴:表面はエンボス加工されたハードプラスチック |
・スムーズな操作がウリ。完成度の高い優等生的マウスパッド
写真は「4HD」と「Kinzu」の組み合わせ。十分な操作スペースがある |
SteelSeriesが新たにリリースしたマウスパッド「4HD」と「9HD」は、ハードプラスチック系の表面素材でクイックな操作感を実現しつつ、同時に布系マウスパッドのようななめらなか初動とストッピングを備える製品だ。ちなみに「4HD」と「9HD」の違いはサイズにあり、素材や厚み等は同じである。
マウスを乗せて動かしてみた際、まず実感するのが滑りの良さ。マウスの走りに名品「Air Pad Pro」のようなエアホッケー的スムーズさが現出され、ローセンシティビティ設定におけるすばやいマウス操作を少ない力で実行することができる。それと同時に、表面の細かな凹凸と適度な硬度により、布系のマウスパッドにあるしっかりとしたストッピングができるのだ。
特に樹脂製の弱点であった初動抵抗の高さは本製品には全く見られず、汗で多少表面がウェットになっても常時スムーズな操作が可能。スナイパー系のFPSプレーヤーは布系マウスパッドを好むそうだが、そういったプレーヤーにもしっかり適合するマウスパッドだと言えるだろう。
素材としてはハードプラスチックであるため折り曲げることはできず、持ち運びには大きめのバッグが必要になりそう。まあ、盛んにLANパーティに出かけるようなプレーヤーならば、本製品をメインで使いつつ、折り曲げ可能な布系のマウスパッドを別途用意することに抵抗はないだろう。その際は、下に紹介する製品を検討してみても良いかもしれない。
プラ系マウスパッドでありながら、布系マウスパッドのなめらかさを獲得した一品。万人にオススメできる優等生的なできばえだ |
【ZOWIE P-TF / G-TF】 | |
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発売元:マスタードシード 発売日:2009年9月18日 価格:2,980円(P-TF) 3,980円(G-TF) 寸法:340×290×4mm(P-TF) 440×380×4mm(G-TF) 特徴:丸めることも可能な布系パッド。表面は特殊素材でプラ系のレスポンスが得られる |
・布製マウスパッドに樹脂性マウスパッドのクイックネスを実現
布製なので丸めて小さくすることができる |
どうも樹脂系と布系の良いところを合わせる、というのが最近のマウスパッドにおけるトレンドらしい。本製品は布系マウスパッドでありながら樹脂系のクイックな操作感を同時に実現した製品だ。製品デザインにあたってスウェーデンの有名プロゲーマーであるAbdisamad "SpawN" Mohamed氏が関わっているという。
SpawN氏が求めたのは、布系マウスパッドのスムーズさを維持しながら、樹脂系マウスパッドのクイックネスと耐久性を持ち込むことだったようだ。本製品の表面は、網目を構成する繊維が不規則に行きかうというちょっと不思議な加工になっており、通常の布製マウスパッドにはない「硬さ」がある。
マウスを動かしてみると感触は確かに布製だ。だが布製にありがちなマウスの微細な沈み込みは感じられず、マウスの走りは非常にスムーズ。すばやい切り返しも樹脂製マウスパッドに近い感覚で行なえ、スピーディなエイミングをするプレーヤーに大いに適合しそうな感触だ。
その代わり、細かい操作の際には樹脂製に典型的な「表面にマウスソールを捕まえられる」ような感覚が若干ある。そのため時折、布製では本来無いはずの初動抵抗を感じることがある。これは樹脂製のよさを持ち込んだ副作用と言えそうだが、まあ影響は軽微だ。布系と樹脂系の利点を組み合わせるという点で、本製品は非常に高いレベルにある。
本製品に唯一の弱点があるとすれば、4mmにも達するマウスパッドの厚みだろう。マウスパッド内外の段差を気にするプレーヤーは少々注意が必要だ。そのかわりといっては何だが、本製品はかなり頑丈な作りになっており、表面の耐久度も高いため、長く使えるマウスパッドのひとつになるだろう。
特殊な表面加工によりスムーズな動きと的確なストッピングを高次元で実現。4mmという分厚さだけが弱点だ |
(2009年 12月 4日)