【連載第81回】韓国最新オンラインゲームレポート

CJ E&M 、「CJ E&M Games Netmarble 2011 戦略発表会」を開催
CJがゲーム事業を再編し、韓国第2位のゲームメーカーが誕生! 「Special Force 2」を含め、21種類のタイトルを公開!!


「TERA The Exiled Realm of Arborea」

4月5日開催

CJ E&Mセンターメディアホール


 CJ Entertainment & Media(CJ E&M)は4月5日、CJ E&Mセンターメディアホールにおいて、「CJ E&M Games Netmarble 2011 新作及び戦略発表会」を開催した。

ソウル市上岩洞DMC(Digital Media City)に位置するCJ E&Mの自社ビル「CJ E&Mセンター」

 CJ E&Mは、これまでCJグループのオンラインゲーム事業を担当してきたCJ Internetをはじめ、CJグループの6つの傘下会社が合併して誕生した新会社だ。今回の発表会ではCJグループの新たなゲーム部門となったCJ E&Mによる今後の事業戦略とゲームのラインナップが発表された。

 CJ E&Mは、Anipark、CJ Game Lab、CJIG、Maius Games、Seed9 Gamesといった5つのゲーム開発会社による自社開発に力を入れ、2013年までに海外での売り上げを現在の8%から30%まで引き上げる計画だという。

 さらに、開発子会社が開発している11種のゲームと、CJ E&Mがパブリッシングする10種のゲーム、全部で21種類のゲームとそのリリースロードマップが公開された。新体制で、韓国では前例のない多作展開をしていくCJ E&Mに期待は高まる一方だ。

 本発表会は1時間半ほどで終了したため、21種類にも及ぶタイトルの紹介は簡単な概要説明だけに止まった。本稿ではCJ E&Mになった経由をはじめ、発表されたゲーム部門の新体制と21タイトルもの新作ゲームを紹介したい。




■ CJグループ傘下の6つの会社が合併。各種のエンターテイメントとメディアを通じたシナジー効果に期待

CJ E&Mゲーム部門の部門代表ナム・グンフン氏

 まず、発表会の内容に触れる前に、CJ E&Mについて説明が必要だろう。CJ E&Mは韓国の財閥系グループであるCJグループの傘下にいるエンターテイメント・メディア関連の5つの子会社が合併した会社だ。

 正確には、CJグループの傘下にいた持株会社オメディアホールディングスが1月にCJ E&Mに社名を変更し、グループ傘下企業のCJ Internet(オンラインゲーム)、On Media(ケーブル放送)、Mnet Media(音楽、公演、ケーブル放送関連)、CJ Media(ケーブル放送)、CJ Entertainment(映画、映像制作)を吸収合併した。

 CJ E&Mはゲーム部門、放送部門、映画部門、音楽・公演部門と4つの部門に分かれている。以前、CJグループがエンターテイメント・メディア関連の会社を買収していくうちに、グループ内で事業内容が被ってしまうことになったため、改めて体制を整える必要があったのだ。CJ E&Mの代表取締役はハ・デズン氏が就任。4つの部門それぞれには各部門の社長役になる部門代表が存在する。

 CJ E&Mのゲーム部門は、前身のCJ Internetがそのまま継続する。ゲーム部門の部門代表には元CJ Internet代表取締役社長のナム・グンフン氏が就任した。ちなみに、合併したCJ E&Mの時価総額は1兆9,000億ウォン(約1,500億円)、2010年度売上高は1兆3,970億ウォン(約1,120億円)の規模である。ゲーム事業単体で見た場合は、nc、NHN、Nexonといった3強にはまだ叶わないが、会社単位の売り上げ規模としては、NHN(約1兆5000億ウォン)に次ぐ、韓国第2位のゲームメーカーとなる。

 CJ E&MとしてCJグループのゲーム事業が再編されたことにより、今後は様々なシナジー効果を期待できる。たとえば、CJ E&Mのオンラインゲームポータルサイト「Netmarble」で運営するゲームを、放送部門が運営するゲーム専門放送局「Ongamenet」で告知。または音楽・公演部門を通じて、芸能人を通じたスターマーケティングなどが容易にできるわけだ。あるいは今回発表された、「Super Star K Online」は、放送部門の人気番組「Super Star K」をオンラインゲーム化したものとなる。




■ CJ E&Mゲーム部門は開発子会社による自社開発を強化し、グローバルビジネスを拡大

現在、CJ E&Mゲーム部門の構造図。なかでもCJIGは海外事業でのローカライズ業務も担当するようになっている

 本発表会を通じて、CJ E&Mのゲーム事業は、開発子会社による開発力を高め、パブリッシング事業と開発事業の両面で影響力のある総合的なオンラインゲームメーカーを作っていくこと方針を明らかにした。

 これらの中長期的な計画は1年前から動きがあった。CJ E&Mゲーム部門の前身であるCJ Internetの頃、2009年までは開発子会社はAniparkとCJIGの2つしかなかったが、2010年に入ってきて新たに3つの開発スタジオを子会社化した。現時点ではAnipark、CJ Game Lab、CJIG、Maius Games、Seed9 Gamesと5つだが、CJ E&Mゲーム部門はこれからも開発子会社を増やしくつもりで、2013年までには8社体制まで広げていくという。

 CJ E&Mゲーム部門は、豊富な開発力によって生み出された自社タイトルを海外へ積極的に展開し、現在全体の8%に留まっている海外の売上比率を2013年までには30%に引き上げるという計画だ。

 同時に2011年から2013年までに展開される21種のタイトルが紹介された。パブリッシングタイトル10種類、自社開発タイトル11種類で、2011年中に展開されるタイトルだけでも15種類になる。「Special Force 2」や「Soldier of Fortune Online」、「魔界村オンライン」といった注目作ばかりだった。




■ CJ E&Mが世界に放つ21タイトルを一挙紹介!!

 本発表会で紹介されたタイトルは発表時間や開発の都合上、簡単な概要と映像だけに止まり、詳しいゲームの内容は説明されなかった。映像から取り出したスクリーンショットと一緒に紹介したい。また、Seed9 Games、Anipark、CJIG、Maius Gamesのタイトルに関しては、映像やスクリーンショットが一切公開されていないため、簡単な説明だけでお届けする。

・パブリッシングタイトル

 CJ E&Mは自社開発力を高めていくが、同時にパブリッシング事業もさらに拡大していく。今回、発表されたパブリッシングタイトル10種類は、全部2011年中にサービス開始が予定されている。

【Special Force 2】
FPS「Special Force」の続編。デベロッパーはDragonfly。Unreal Engine 3をゲームエンジンとして使用し、より優れたグラフィックスとアニメーションが特徴。2011年第2四半期にクローズドβテストを予定

【「Special Force 2」最新トレーラー】

【Soldier of Fortune Online】
Activisionの「Soldier of Fortune」のオンラインゲーム版。デベロッパーはDragonfly。ジャンルはFPS。中東、東ヨーロッパ、東南アジアなどの紛争地域を舞台に、傭兵とゲリラー間の戦いを描いている。物理エンジンにHavoc Engineを使用している。2011年第2四半期にクローズドβテストを予定

【「Soldier of Fortune Online」最新トレーラー】

【Super Star K Online】
デベロッパーはChoirock Games。北米の人気リアルリティ番組「American Idol」をモチーフにした韓国の番組「Super Star K」のオンラインゲーム版だ。ユーザーたちがマイクを握り、歌の対決をするゲーム。歌の対決モード以外にも、従来の音ゲームのようなダンスモードと歌の対決を観戦する観戦モードが用意されている。WEBカメラなどを通じて、ユーザーたちの実際の姿を見ることもできるなど、かなりのチャレンジ精神が溢れた作品である。2011年第2四半期にクローズドβテストを予定

【「Super Star K Online」最新トレーラー】

【M Star】
デベロッパーはNurien Soft。ジャンルはリズムダンスゲーム。Unreal Engine 3を利用したリアルなキャラクターグラフィックスが特徴だ。元々は「Second Life」のように3Dアバターを通じてダンスゲームを中心としたソーシャルネットワークを楽しめるゲームとしてNurien Softが自社パブリッシングを展開したタイトルだ。しかし、これといった結果にはなれず、パブリッシャーがCJ E&Mに変わり、ダンスゲーム以外は全部省かれたゲームとなった。2011年第2四半期にクローズドβテストを予定

【Allods Online】
ロシアのAstrum Nivalが開発したMMORPG。PCパッケージゲームAllodsシリーズをオンライン化したゲームで、大規模の空中艦隊戦が特徴。すでに、3月17日から20日まで、第1次クローズドβテストを実施し、2011年第2四半期にはオープンβテストを予定

【Gunz the Second Duel】
TPS「Gunz」の続編。デベロッパーはMAIET entertainment。前作同様の壁を走りながら行なうスタイリッシュな戦闘に加え、巨大ボース戦が追加されたのが特徴。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

【Code Lyoco Online】
160カ国で放送されたアニメーション「Code Lyoco」をMMORPGに作ったタイトルだ。デベロッパーはNpluto。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

【H2】
「ファイナルファイト」を彷彿とさせるMOタイプの2D横スクロールアクションゲーム。デベロッパーはDadam Game。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

【Bloody Hunter】
流血の効果がすごくハードコアな横スクロールアクションゲーム。デベロッパーはStudio Wicket。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

【Pico Online】
様々なマップのギミックが楽しめるアクションMMORPG。デベロッパーはUNITRY soft。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

・CJ Game Lab

 CJ Game Labの前身はGH Hope IslandというGameHIの子会社だ。GameHIの次期新作の開発のため2009年4月に設立された子会社だが、2010年11月よりGameHIから旧CJ Internetの子会社になった。


【Kingdoms】
中世を舞台にしたブラウザゲーム。具体的なゲーム内容はまだわからなかったが、RTS風に展開されるターン制の戦争だという。2011年第3四半期にクローズドβテストを予定

【Hounds】
ハードコアなTPSで、感染された怪生物体との戦いを描いている。派手なアクションとストーリモードが特徴。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

【Project RAW(仮)】
「サドンアタック」の開発総括を担当したベック・スンフン氏の新作FPS。銃やキャラクターのカスタマイズが特徴だという。映像を見た限りでは4人の男たちによる戦いが繰り広がるゲームのように思える。2011年第3四半期にクローズドβテストを予定

【Project K(仮)】
近未来を舞台にしたSFMMORPG。映像で登場する戦闘シーンでは、剣や斧といった武器がメタルでできていてSFっぽく見える。銃といった武器も確認され、SFと中世ファンタジーを併せ持つ作品のように見える。サービススケジュールは未定

【Project Y(仮)】
中世東洋を舞台にしたMMORPG。ジャンプして地面に重厚な武器を叩きつける攻撃や、華麗な剣の攻撃など、迫力のある戦闘が期待できそうだ。サービススケジュールは未定

・Seed9 Games

 2000年に設立されたSeed9 Gamesは、日本でも話題になってた女性の生首の鉢植えを育てるという凄まじい恋愛シミュレーションゲーム「Tomak」を開発したデベロッパーで、2010年2月に旧CJ Internetの子会社となった。代表作は「R2BEAT」だが、現在開発中の「魔界村オンライン」を2011年第4四半期にサービス開始予定


【魔界村オンライン】
カプコンの「魔界村」シリーズのオンラインゲーム版。3D化され、3つの職業が用意されている。「G-Star 2010」ではソーダーとアーチャーの2つしか公開されてなかったが、4月10日に実施されるFocus Group Test(一部のユーザーのみを招待して行なうテスト)では3つ目の職業、コンジュラーを見せるという。2011年第4四半期に正式サービスを予定

・Anipark

 Aniparkは2000年に設立され、「A3」をはじめ、「魔球魔球」や「OZ Chronicle」といった代表作を開発したデベロッパーだ。2005年より、旧CJ Internetの子会社となった。


【Ground Zero】
近未来型の武器が登場し、多彩な戦略プレイが可能なFPSだという。2011年5月に第1次クローズドβテストが予定されており、2011年第3四半期には正式サービスを予定(左)
【魔球 the Real】
Aniparkの代表作「魔球魔球」の続編だ。Unreal Engine 3を使用し、前作のSDキャラクターとは違う、8頭身のリアルなキャラクターが登場する。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定
【チャグチャグ】
チャグとは蹴るという意味で、「チャグチャグ」は「魔球魔球」のサッカー版だ。「魔球魔球」同様にカードシステムによる試合と独特のチームマネジメントが特徴。2012年第1四半期にクローズドβテストを予定(右)

【Project P2(仮)】
CJIGは旧CJ Internetが始めて作った開発スタジオだ。代表作は「イースオンライン」、「プリウスオンライン」。「Project P2(仮)」は、「プリウスオンライン」の続編ということ以外、ゲームの説明はなかった。2013年第4四半期にオープンβを予定
【Monarch】
Maius Gamesは2008年8月に設立された新生デベロッパーで、2010年5月に旧CJ Internetの子会社となった。その処女作が「Monarch」だ。中世ヨーロッパを舞台にし、大規模の部隊戦争ができるシステムが盛り込まれたMMORPG。2011年第4四半期にクローズドβテストを予定

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(2011年 4月 11日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]