【連載第82回】韓国最新オンラインゲームレポート

ncsoft、「Blade & Soul」第1次クローズドβテストレポート
待望の「B&S」がついに始動!! 師匠の仇に復讐の炎を燃やせ!!


「Blade & Soul」

4月27日~5月1日クローズドβテスト実施(韓国限定)



 韓国ncsoftは4月27日から5月1日までの日程で、「Blade & Soul」(以下、B&S)の第1次クローズドβテストを実施した。第2次クローズドβテストは8月を予定し、年内のサービスインを見込む。日本でのサービスについては未定となっている。

 「B&S」はncsoftの次期主力タイトルで、武侠の世界を舞台にしたMMORPG。「リネージュ」シリーズを開発してきたペ・ジェヒョン氏が開発を総括し、「マグナカルタ」シリーズのキャラクターデザイナーとして有名なキム・ヒョンテ氏がアートディレクターに参加していることなどから、韓国でも抜群の注目を集めている今年最大の期待作だ。

 「B&S」はキム・ヒョンテ氏が手掛けた美しいグラフィックスによるスタイリッシュな武侠の世界と、オリジナリティの高い独特の戦闘システムによる手ごたえが感じられるアクション性が印象的だった。斬新なプレイ感覚でやりこみの要素も多く、韓国での大ヒットは間違いないと感じられた。

 なお、本稿では、人名や地名といった本作の固有名詞も韓国語の発音に基づいて暫定的に日本語化しているが、日本サービスの際は変更される可能性があるのであらかじめご了解頂きたい。




■ まずはキャラクターメイキングで種族と職業を再度チェック

筆者が作った「ジン」の「カンフーマスター」

 まず、本作のキャラクターメイキングを通じて、種族とクラスについておさらいしておこう。

 本作では最も人間に近い姿の「ジン」、筋肉質な巨体を持つ「ゴン」、小さく可愛らしさが特徴の「リン」、女性だけの種族「クォン」という4つの種族が登場する。

 職業も4種類が用意されている。「ブレードマスター」は剣術を駆使する職業で、「カンフーマスター」は格闘技を駆使する職業、「フォースマスター」は魔法のような術を駆使する職業、「デストロイヤー」は斧のような重量感のある武器の武術を駆使する職業となっている。職業に関しては、今後さらにいくつかの種族が追加される予定だ。

 各種族は容貌的な差はあるが、能力値的な差はない。ただ、プレイ可能な職業が制限されており、第1次CBTでのプレイ可能な職業の制限は以下の通りになっている。

    「ジン」:ブレードマスター、カンフーマスター、フォースマスター
    「ゴン」:カンフーマスター、デストロイヤー
    「リン」:フォースマスター
    「クォン」:ブレードマスター、フォースマスター

 なお、去年の「G-Star 2010」での「リン」は「ブレードマスター」と「フォースマスター」を選択できたが、第1次CBTでは「フォースマスター」のみプレイ可能となっていた。

【4つの種族】
順に追って「ジン」、「ゴン」、「リン」、「グォン」。基本的にすべて美形のキャラクターたちだ




■ 襲撃者たちによって門派は壊滅!物語の始まりであるチュートリアルをチェック

 さて、キャラクターを作成しゲームをスタートさせると、ムイルボン島でのプロローグからスタートする。ここではチュートリアルを兼ねており、ゲームの基本的な遊び方を学ぶことができる。

 プレーヤーは、空中に浮かんでいる島「ムイルボン」で武術の修行をしている門派「ホンムンパ(紅門派)」の最後の弟子だ。まずはここで修行として基本操作から軽功術、アイテムの装備、オブジェクトの運び、NPCとの会話、基本的な戦闘スキルを覚えられる。

 キャラクターの操作方法はオーソドックスなMMORPGとほとんど変わらないが、ただ、本作ではそれに加えて武侠の特徴とも言える「軽功術」が使える。特に本作の「軽功術」は簡単で、いつでも駆使できる。具体的には、前進するWキーを2回連続で押すと「疾走」し、スペースキーを押すと高くジャンプする。その状態で、スペースキーをもう1回押すと、空中を滑るようにグライディングする「滑降」が使える。また、「疾走」中は水面上を走ることも可能だ。レベルを上げていくと、「滑降」の落下速度を速める「降下」といった新しい「軽功術」も覚えられるようになる。

 一通りのチュートリアルを終えると、島の平和は無残に打ち砕かれてしまう。義兄弟たちは「ジン・ソヨン」という人物とその手下たちにことごとく倒されていたのだ。彼らの狙いは師匠「ホン・ソックン」が持つ宝剣「ギチョンゴム(帰泉剣)」だ。

 「ホン・ソックン」は「ギチョンゴム(帰泉剣)」に秘められた力を引き出し、力強く若々しい巨体へ変貌する。パワフルな力で「ジン・ソヨン」たちを圧倒するが、最後の弟子であるプレーヤーが人質に取られ剣を渡してしまう。力を失った師匠は、剣だけでなく命までも奪われ、プレーヤーも斬られて島から落下してしまう。

 海に落ち、海底に沈んだプレーヤーだったが、白い衣を着た謎の女性が現われて、プレーヤーを海面へと浮き上がらせる。そして、プレーヤーは近くにいた「ホンムンパ(紅門派)」の仲間の船によって助けられた。ここまでが本作のプロローグシーンだ。

【プロローグシーン】
「ムイルボン」で、 師匠と義兄弟たちと平和に修行をしている

【ジン・ソヨン】
かつては「ホン・ソックン」の弟子で死亡したと思っていた「ジン・ソヨン」。「ギチョンゴム(帰泉剣)」を奪おうとプレーヤーたちを襲撃する

【謎の女性】
プレーヤーは海に落ちるが、なぞの女性によって助けられる。その女性の正体は今のところ不明

【軽功術】
武侠といえば「軽功術」。本作では簡単に使うことができ、レベルアップするとさらに多様な「軽功術」を習得できる




■ 師匠と門派の仇を討つため旅に出る! 武林高手たちと出合い成長していくストーリー

 プレーヤーは「竹の町」と呼ばれる町にある家の中で目を覚ます。「竹の町」は海賊の襲撃を受けて戦闘中だ。このためプレーヤーは怪我人を助けたり、海賊たちの狙いを探るなどの活動をすることになる。

 プレーヤーは「ジン・ソヨン」に関する情報を収集し、復讐を成し遂げるため、しばらくすると「竹の町」を放れ、キョンシーやゾンビが登場するマップや、汚染で廃墟となった海辺の町、美しい渓谷と滝といったマップにプレイフィールドを広げていく。

 ゲームの構造は、ストーリーが盛り込まれたメインクエストと、町の様々な悩みを手伝うお使い系のサブクエストの2種類に分かれている。プレーヤーはクエストを中心にプレイするようになっており、メインクエストと幾つかのサブクエストをクリアするだけで、次のマップで戦える十分なレベルアップと装備アイテムを集めることができる。

 序盤のメインクエストは、サブクエストと同じような簡単なお使い系の内容で、順に追ってクリアしていくと次のマップへ進めていける構造となっているが、レベル13ぐらいから迎えるメインクエスト1幕15草「予定された奇縁」からは本格的な内容が展開される。

 「予定された奇縁」では、「南道拳豪」、「北斗剣星」、「気功道天」、「黒風術師」といった異名を持つ武林高手(武術の達人)たちと偶然の出会いを果たし、いくつかの試練を受けることとなる。いくつかの戦闘による試練を通過したプレーヤーは武林高手たちによって気血を開けられ、短期間で武功を覚えられる体になった。

 武林高手たちと出会ったプレーヤーは先述した「降下」や空中を走れる「天上飛」とマップ上の「竜脈」という移動ポイントを利用できる「竜脈乗り」といった「軽功術」を覚えられる。「竜脈乗り」はマップ上に「竜脈」というポイントが登場するが、ここでスペースキーを押すと華麗な軽功術で、次の竜脈まで自動的に移動する演出的なシステムである。

 一通り修練したプレーヤーは再び「ジン・ソヨン」を探す旅立つことになる。これらのメインクエストのストーリーはまさに武侠小説らしい構造になっており、プレーヤーの悲劇と苦難、冒険、成長が描かれている。

【お使いクエスト】
プレーヤーは町からの様々な頼みを解決しながら、「ジン・ソヨン」の行方を探っていく

【武林高手】
洞窟で落ちたプレーヤーは偶然に武林高手と出会う。プレーヤーの本格的な活躍はここから始まる



■ スタイリッシュな武侠世界を実現しているグラフィックスとその工夫

真ん中の八角が「宝貝」。8つに分かれており、同じ種類の「宝貝」を全部装備すると、セットアイテムのように追加効果がある

 本作のストーリーはオーソドックスな武侠の世界を描いているが、グラフィックスは従来の武侠の枠組みから明らかにはみ出している。武侠といえば昔の中国のイメージで、少し野暮ったいところが古典的なものだろう。しかし、本作ではそういったものは全く感じられない、スタイリッシュな武侠を描くグラフィックスになっている。

 まず、殆どのキャラクターたちがncsoftらしく美形で、美しいボディーラインである。マップの風景も色鮮やかで、非常に明るく自然なグラフィックスにしている。さらに軽功や武術を使うキャラクターの動きが非常にスムーズで、特にキャラクター同士が絡む場面でもまったく違和感のない自然な動きを見せてくれる。様々なカスタマイズができるMMORPGで、これほどの動きを表現するのはなかなかない。

 本作で登場するスキルはジャンプして敵を叩きつける攻撃や、倒れた敵の上に乗っかっての攻撃など、激しい動きが多い。それらを違和感なく、自然な動きで表現されているため、野暮ったい感はまったく無くカッコいいと感じられる。ncsoftの前作「The Tower of AION」に比べても、動きの自然さは明らかに優れている。

 さらに、キャラクターの服装の自由さが特徴だ。というのも、本作では服装となる衣装アイテムは1つのスロットしか使わないのだ。他のMMORPGでは装備アイテムは頭部、胸部、腕、足といったいくつかのスロットに分かれている。そのため、服装をデザインするときも各部位に分かれるように、デザインする必要がある。

 本作の場合は、完全に1つの衣装となっているため、部位の制限に縛られず自由にデザインできる。そのため、どんな衣装を着ても完成度の高いキャラクターデザインになるわけだ。完成度の高いお洒落なデザインの衣装を着ることができるため、武侠の野暮ったさも無いわけだ。

 また、他のMMORPGでは、装備アイテムは能力値アップや、各部位を単一のシリーズで統一することでさらなる付加効果を得るセットアイテムを目指したりといったことが多いが、本作では各装備パーツの代わりに8つの宝貝という装備アイテムがその目的を果たす。衣装アイテムは能力値がない、ただのお洒落アイテムになっている。能力値の増加は服装ではなく、キャラクターの見た目に影響のない別の装備アイテムになっているため、防御力は高くても見た目は薄い装備という矛盾も解消されている。

【フィールド画面】
色鮮やかなマップの風景にキャラクターが上手く溶け込んでいる

【キャラクターの衣装】
自由さが高いキャラクターの衣装。様々なデザインの衣装が期待できそうだ

【キャラクターの動き】
キャラクターの動きは迫力があり自然的だ。ここまで表現的なMMORPGはなかなかない



■ 敵の動きの先読みが必要!!状況による様々なコンボが特徴

死亡すると敵から「運気調式」というスキルを使用してその場で復活することができる

 本作はアクション性を生かした戦闘システムにも注目だ。従来のMMORPGでは、敵をターゲットしておけば自動的に攻撃し、プレーヤーはスキルを繰り出せばいいというMMORPGが多いが、本作では自動的な攻撃は行なわれず、すべてプレーヤーの手動操作で戦うようになっている。

 まず、本作のターゲッティングシステムはキャラクターの“前方で近くにいる敵”に自動的にターゲットするようになっている。もし、キャラクターが向きを変えれると、その都度、“前方の近くにいる敵”に自動的にターゲットを切り替えるというシステムになっている。

 他のMMORPGでは一般的なマウスクリックによるターゲット指定はできない。このため複数の敵との乱戦ではターゲッティングで、少々不便に感じてしまうが、これらのターゲッティングシステムはプレーヤーが複雑な戦闘のアクションに集中できるようにするためだという。

 筆者がプレイした「カンフーマスター」の場合、特に複雑な仕様になっている。まず、Rキーで通常攻撃、Fキー、1~4キーで特定のスキルが使用できるようになっている。通常攻撃は3回まで連続攻撃でき、攻撃がヒットするたびに“闘魂”が溜まる。溜まった“闘魂”を使用して、2キーで強力な一撃を入れる「爆拳」か、3キーで敵を地面に倒せる「足掛け」、4キーで敵を遠くに飛ばせる「崩拳」が使用できる。

 また、1キーで敵が攻撃する前に反撃の態勢を取るスキルが使用でき、反撃に成功すると「崩拳」の使用時、ディレイなくすぐ発動できる。さらに、Fキーで遠くにいる敵へジャンプし叩きつけるスキルが使用でき、敵がグロッキー状態ならTABキーで敵を倒して、その上に乗っかることも可能だ。これらのスキルに連携できるコンボスキルも用意されている。

 このように本作での戦闘はかなり複雑だ。ひたすら、通常攻撃をして、たまには「爆拳」を使用するだけでも、敵は倒せるが、反撃を上手く使いこなし、敵の状態よって適切なスキルを使用していけば、被害は最小限にして素早く敵を倒すことができる奥深さもある。

 そのため、ターゲッティングシステムは気にしなくても自動的に行なわれるようになっている。また、距離が離れた状態でしか使えないFキーや、アイテムグロッギー状態でしか使えないTABキーなど使用頻度の低いキーは、使える状況にならないと画面上のUIに表示されない。こうした様々な工夫でプレーヤーは戦闘に集中できるようになっている。

 本作の戦闘は敵の攻撃パターンやスキルはすべて異なっており、これらに対応してコンボを繋げていく面白さがあった。従来のMMORPGでは1人で狩りするとき、同じスキルばかり使用するため、ただのクリックゲームになりがちだったが、「B&S」ではそういったことなく、毎回斬新で手ごたえのある戦いができた。

 なお、今回は時間不足であまり体験できなかったが、最大4人によるパーティプレイも可能になっている。本作では体力を回復させるのは回復アイテムだけで、すべての職業がアタッカーになっている。パーティプレイで相手するボスモンスターなどは、攻撃力が高いため、1人でプレイするより慎重な戦闘を強いられた。モンスターの攻撃パターンをしっかり覚えて、しっかり避けないと、自分だけ死んでしまい、クエストを完了できなかったり、アイテムを貰えない場面もあった。

 本作は本作的な武侠の展開に、美しいグラフィックスとやりこみのある戦闘システムで非常に満足できる作品だった。現時点での筆者は大ヒットは間違いないという感じ、本当に面白かった!8月に予定されている第2次CBTを期待したい。

【バトルシーン】
ヒーラーはおらず、すべての職業が攻撃型であるため、パーティプレイではダメージを受けないように反撃スキルや回避スキルを使うことが重要になってくる

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(2011年 5月 6日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]