【連載第1回】開発者が語るiPhoneゲームの最先端

iPhone Spotlight Report

iPhoneプラットフォームの基本と端末購入ガイド
“全部入り”のiPhoneがキャンペーンでお買い得!

 世界中でブームを起こし、携帯電話市場を一変させたiPhoneは、新たなゲームプラットフォームとしても注目を集めている。本連載では、iPhoneゲーム開発者へのインタビューから、最新のトレンドや魅力を探っていく。



【iPhone 3GS】
6月26日 発売


 連載第1回は今後の下準備として、iPhone/iPod touchゲームアプリの概要と現状をお伝えするとともに、今から購入して遊んでみたいという方のための購入ガイドをしていこうと思う。まずは1度お読みいただき、iPhoneとiPod touchに興味を持っていただければ幸いだ。




■ iPhone/iPod touchでゲームを楽しむための機種選び

 まずは、ゲーム目的でiPhone/iPod touchを購入しようという方に向けた機種選びを紹介していこう。ゲームを遊ぶには、iPhoneやiPod touchの本体が必要になる。6月26日に日本でもiPhoneの新機種となるiPhone 3GSが発売になったが、各iPhoneとiPod touchでは搭載されている機能が異なり、さらにiPod touchの中にも2世代(種類)の製品がある。




● iPhone

 iPhoneはソフトバンクモバイルの携帯電話としての機能と、iPodの携帯AVプレーヤーを合体させ、さらにさまざまなアプリケーションを追加できる多機能端末だ。どこでも通信できるので、外出先で好きな音楽を聴きながらインターネットやメールを閲覧したり、電車の乗り換えを調べたり、ニュース記事を見たりと、PCに近い感覚で利用できる。またGPS機能も搭載しており、「Google Map」アプリで現在地を表示したり、カーナビのアプリを使って道案内することも可能だ。ほかにもカメラも内蔵しており、単純に写真を撮れるのはもちろん、写真を加工するアプリも多数登場している。

 iPhoneには、初代iPhone 3Gと新機種iPhone 3GSの2種類がある。iPhone 3GSは、動作クロックスピードが600MHzとなり初代の約1.5倍、メモリ容量は256MBと2倍にアップしている。そのおかげで各アプリの動作スピードが速くなり、非常に快適なものなっている。ゲームに関してもさまざまな場面での読み込みスピードがアップしており、少しの差ではあるが快適に遊べる。もちろん、ゲーム中のスピードが高速化されたりはしないので安心してほしい。

 他にも、カメラが3.0メガピクセルになったり、オートフォーカス撮影やビデオ撮影が可能になったり、電子コンパスが内蔵され方角がわかるようになったりといった違いがある。これらを快適に使ってみたい人はiPhone 3GSを選ぶといいだろう。しかし、iPhone 3GSに搭載された新機能はゲームで使われそうなものは少ないので、ゲーム用と割り切るならiPhone 3GSよりも安く手に入れられる初代iPhone 3Gを選ぶのも手である。

 とにかく多機能なiPhoneだが、携帯電話なので基本料金や通信料といった利用料金がかかることを忘れてはならない。9月30日まで実施されている期間限定キャンペーン「iPhone for everybody」を利用すると、新スーパーボーナス2年払いでiPhone 8GBを新規契約した場合、通信料からの割引(月月割)が適用され、2年間の毎月の機種代金支払額はiPhone 3G 8GBが実質負担0円、iPhone 3G 16GBだと240円、iPhone 3GS 16GBだと480円、iPhone 3GS 32GBだと960円になる。

 これに、基本料金となるホワイトプラン(i)が980円と、必須契約となるS!ベーシックパック(i)が315円、パケット定額フルが1,029円~4,410円(キャンペーン未適応では最高5,985円)が必要になる。最も安価なiPhone 8GBで月額2,324円~5,705円、最上位機種のiPhone 3GS 32GBでは月額3,285円~6,665円となる。

 ソフトバンクモバイルのキャンペーン情報ページでは、機種や料金プランを選んで月額利用料金のシミュレーションができるので、購入を検討している人は利用してみるといいだろう。ただしここでは、パケット定額フルの料金は最低額で計算されている。実際にiPhoneを使っていると、インターネットに繋げてニュースやメール、SNSなどを閲覧したり、「Google Map」などを利用していると、パケット料金はすぐに上限に達してしまうので、料金は最高額を想定しておくといいだろう。

 もう1つiPhone 3Gを手に入れる方法として、中古販売店でiPhone 3Gを購入する方法もある。筆者が見た範囲では、3万円前後で売られていた。新iPhone 3GS発売時には、中古販売店がソフトバンクショップの前で初代iPhoneの買い取りを行なっていたので、今後は中古市場に多く流れてくるとは思われる。

 しかし、中古販売店から購入してiPhone 3Gを電話として使うのはあまりお薦めできない。中古のiPhoneを電話として使えるようにするには、ソフトバンクショップへ持ち込み、新規契約として事務手数料2,835円をかけてSIMカードを作ってもらうのだが、端末購入者向けの通信料割引である月月割は適用されない。途中解約しないという前提であれば、iPhone 3Gの場合、8GBが月々割で実質0円になるので、中古で購入した額が丸損になる。より高性能なiPhone 3GS 16GBでも毎月480円を24カ月、11,520円の自己負担で購入できる計算になるので、中古品はまだ割高だ。またバッテリーの面でも、新品の方が持ちがいい。

 中古品を使うなら、電話としては使わないという手はある。iPhoneはSIMカードがないと電話をかけられないし、3Gでの通信もできないが、それ以外はキチンと機能する。iPodとして音楽を聴ければ、ゲームで遊ぶこともでき、Wi-Fiを使えば通信もできる。この場合は当然、基本利用料は不要だ。




● iPod touch

 iPod touchは、iPhoneよりも若干軽くて薄い。パケット通信はできないが、Wi-Fi環境が使える場所ならインターネットに接続できる。簡単に言うと、電話をかけられず、インターネットに常時は繋げられないiPhoneといったところだ。ほかにもGPSやカメラの機能が搭載されていないなど、細かい違いがある。

 iPhone/iPod touch用のゲームでは、今のところインターネット接続やGPS、カメラなどを利用したものがほとんど登場しておらず、大半はiPod touchでも問題なく利用できる。アプリのダウンロードも、Wi-FiないしPC経由で可能だ。しかしオンライン接続をメインとしたゲームや、GPSを利用したゲームも出始めており、今後増えてくる可能性もある。例えばMMORPG「Parallel Kingdom - Age of Gathering」は、インターネット接続のみならず、GPSも利用する内容となっている。

 また、ネットに常時接続可能かどうかは、ゲーム以外のアプリを利用するときに大きな差となって現われる。外出時、電車の乗り換え案内アプリなどを使って検索をしたいと思っても、Wi-Fiの設備があるホームならともかく、そうでない場合は使用できない。ほかにも移動中にニュース記事やSNSを見ようと思っても、アプリはあってもインターネットに接続できなければどうにもならない。月額料金がかかるとはいえ、iPhoneにしておけば利便性は格段に向上する。App Storeのさまざまなアプリの機能をフルに利用し、今までにない新しいタイプのゲームを楽しみたいのであれば、iPod touchよりもiPhoneをオススメしたい。

 なお一部のショップでは、第1世代のiPod touchが安く販売されていることがある。見た目は現行の第2世代と変わらないし、音楽を聴く用途ならば何も問題はない。しかしゲーム目的で買うと、App Storeを使ってアプリを追加するために、iPhone 3.0ソフトウェアへのアップデートが必要になる。これは有料で、1,200円となっている。

 また第1世代と第2世代では、性能面で若干の違いがある。第1世代は第2世代に比べてバッテリの稼働時間が短く、スピーカーが内蔵されていないため、ゲームで音を鳴らしたい場合はイヤフォンが必須になる。もし第2世代のように音声を出力したいなら、iPod用Dock接続のスピーカー「BLoCK Speaker」のような外部スピーカーを使うことになる。これは玩具のブロックのような形をした小さいスピーカーで、ゲームをプレイするときにも邪魔にならないが、これももちろん有料の製品だ。

 中古で第1世代の本体が安く買えるとはいえ、スピーカーの追加購入費やアップデート料金を足していくと、第2世代を買ったほうが安上がりな場合もある。iPod touchを購入する際は注意していただきたい。




■ カジュアルゲームから本格派まで、過去にない豊富なタイトル数が最大の魅力!!

 続いては、iPhoneで遊べるゲームについて紹介していこう。2008年7月のiPhone 3Gの発売とほぼ同時に、iPhone/iPod touch用アプリを配信するオンラインサービス「App Store」がオープンした。iTunes Storeで楽曲を買うように、iPhone/iPod touch用のゲームを含むアプリをオンラインで購入できる画期的なダウンロードサービスだ。

 翌年4月には、App Storeでのアプリダウンロード数が全世界累計で10億回を突破。アプリの数も25,000以上になっているという話もあり、さらにものすごい勢いで増え続けている。その中でゲームアプリは、全アプリの約20%を占めており、単純計算で5,000本以上あることになる。その影響もあってか、iPhone 3Gのテレビコマーシャルでは、何種類ものゲームを紹介するものもあり、さまざまなゲームが遊べる端末としてもアピールしている。

 コンシューマーゲームでおなじみの大手ゲームメーカーも続々と新作ゲームを配信している。iPhone 3Gの発売当初は、セガの「スーパーモンキーボール」、ハドソンの「BOMBERMAN TOUCH」、バンダイナムコゲームスの「パックマン」などがあったものの、数は少なかった。しかし2008年末辺りから、スクウェア・エニックスやエレクトロニック・アーツ、KONAMIなども参入している。

 有名タイトルでは、全世界的に大人気のプレイステーション 3用アクションゲーム「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS(メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット)」の世界観をベースに、iPhone/iPod touchならではのインターフェイスを活かした「メタルギアソリッド タッチ」(KONAMI)や、ゾンビが襲ってくるアクションゲーム「バイオハザード」シリーズを題材に描いた長編フルCG映画の逆ゲーム化版「バイオハザード ディジェネレーション」も登場した。いずれも既存タイトルの移植ではなく、iPhone/iPod touch用にオリジナルとして作られており、大手ゲームメーカーもiPhone/iPod touch用ゲームに力を入れていこうという姿勢が見える。

 もちろん、参入したのは大手ばかりではない。iPhone/iPod touchのアプリは、コンシューマーゲームに比べて参入や開発がしやすい環境にあるため、大手ゲームメーカーを退社した開発者が起こしたベンチャー企業からオリジナルゲームが配信されるケースもある。手裏剣を投げて敵の忍者を倒していくアクションゲーム「iNinja」は、「ファイナルファンタジー XI」の元メインプログラマーである宮川義之氏が代表取締役を務める株式会社ゼペットが開発したもので、App Storeランキングのゲーム部門で2位に入ったこともある。このほかにも著名な開発者が携わったゲームが多数登場しており、今後もまずまず充実したラインナップになっていくだろう。


【スクリーンショット】
「スーパーモンキーボール」(セガ)
おサルの入ったボールを本体を傾けて転がしながら制限時間内に迷路内のゴールを目指して進んでいく
(C)SEGA
「ボンバーマン TOUCH -The Legend of Mystic Bomb-」(ハドソン)
ボムの爆風で敵を倒していくファミコンの名作アクションゲームをアレンジ
(C)2008 HUDSON SOFT
「パックマン」(バンダイナムコゲームス)
ドットイートゲームの名作も完全再現。操作方法は3種類用意されていて、本体を傾けてパックマンを操作することも可能
(C)1980,2008 NAMCO BANDAI Games Inc.
「METAL GEAR SOLID TOUCH」(KONAMI)
「METAL GEAR SOLID4 GUNS OF THE PATRIOTS」の世界を舞台にしたガンシューティング
(C)2009 Konami Digital Entertainment Co.,Ltd.
「biohazard: DEGENERATION」(カプコン)
同名のフルCG映画を原作とした3Dアクションゲーム。空港を舞台に迫り来るゾンビを倒し、空港内から生存者を救出し脱出する
(C)2008 CAPCOM CO.,LTD./biohazard CG Film Partners
「iNinja」(ゼペット)
画面をフリックして、手裏剣を投げ飛ばし、迫り来る忍者たちや敵を倒していくアクションゲーム
(C)2009 Geppetto Inc.



■ iPhone/iPod touchならではの新感覚の操作感

 既存のゲームユーザーがiPhone/iPod touchゲームで最も気になるのは、操作性の部分だろう。コンシューマーゲームと違い十字ボタンなどはないが、画面を直接タップ(指で軽く叩く操作)やフリック(指で画面をはらう操作)したり、加速度センサーを利用してiPhone/iPod touch本体を左右に傾けて操作する。

 例えばガンアクションゲームでは、モグラ叩きのような感じで、銃で狙う場所を直接タップして弾を発射する。3Dダンジョンを進んでいくゲームでは、本体を傾けた方向に応じて視線の向きが変わり、3D空間にいるような感覚を味わえる。これまでの家庭用ゲームでは味わえなかったような操作でゲームを体感できるのは新鮮味があって面白い。


【スクリーンショット】
「SILENT HILL The Escape」(KONAMI)
iPhone/iPod touchの加速度センサーを利用し、本体を傾けることでプレーヤーの視線を上下左右に向けられ、迷宮内にいる感覚を味わえる
(C)2008 Konami Digital Entertainment
「Time Crisis Strike」(バンダイナムコゲームス)
射撃したいところを直接画面をタッチして敵を狙い撃つ。敵の攻撃を避けるときは本体を手前に倒して物陰に隠れる。まるで映画の銃撃シーンのような攻防を楽しめる
(C)1995-2009 NAMCO BANDAI Games Inc.
「Rolando」(ngmoco)
ボーナスステージでは本体を傾けたり回転させたりしながら操作し、迷路内にいる丸いキャラクターのRolandoを転がして進めていく
(C)[2008]ngmoco,Inc.



■ 価格は安価で、無料体験版も豊富

 ゲームアプリの価格は、単純なゲームだと115円や230円といった安価なものが多く、お試し感覚で気軽に遊べる。大手ゲームメーカーが開発した大掛かりなものでは600~1,200円辺りのものもあるが、コンシューマーゲームに比べればまだ割安だ。この価格は配信元が変更できるので、発売後に値下げされることもあれば、配信直後に期間限定のキャンペーン価格で配信されるケースもある。

 最近は価格競争が進み、クオリティの高いゲームでも115円(有料版の最低価格)で登場することが多くなった。これはユーザーとしてはとても嬉しい点だ。また無料のお試し版が用意されるケースも多く、実際にゲームを試してから有料版を購入できるようにもなっている。




■ ユーザーの評価がゲーム内容に反映され、良作に生まれ変わる!

iPhoneやiTunesから、ユーザーが自由にレビューを書き込める

 iPhone/iPod touchゲームの特長のひとつに、ゲーム配信後もバージョンアップが施され、遊びやすく改良されたり、モードが増えることが挙げられる。「メタルギア ソリッド タッチ」は、配信当初は12ステージまでしか遊べなかったが、バージョンアップで8ステージが追加された完全版となった。またスクウェア・エニックスのシミュレーションゲーム「クリスタル・ディフェンダーズ」は、当初は縦画面のみで操作性も悪いと不評だったが、バージョンアップにより横画面のフルスクリーンで、iPhone/iPod touchならではの操作も可能となった。

 コンシューマーゲームでは、ゲーム発売後にアップデートされることは少ないが、iPhone/iPod touchは制作側がオンラインでアップデータを提供でき、またユーザー側も簡単にそれを適用できる。またApp Storeにはユーザーがレビューを書ける場所が用意されており、ユーザーの意見を取り入れて内容が改善されることも多い。




■ やはりiPhoneでゲームを楽しもう!! 今なら本体を実質0円で購入可能

 最後に改めて、ゲーム目的でiPhone/iPod touchを選ぶ際には、iPhoneをオススメしておきたい。インターネットに自由に繋げられて、より多彩なアプリケーションに対応できるというのは、使えばわかるが非常に大きなアドバンテージとなる。さらに9月末までは、新規のiPhone 3Gの8GBなら本体価格が実質0円で購入できる。月々の料金はかかるもののあらゆる場面で使える優れものだ。iPhoneを手に入れ、iPhoneならではのゲームを楽しんで、さまざまなアプリも使いこなし、快適なiPhoneライフを過ごしてもらいたい。

 次回からは、いよいよiPhoneゲームの開発者にインタビューしていく。各社の新作タイトルについても尋ねていくので、ぜひご期待いただきたい。


(2009年 7月 23日)

[Reported by 川村和弘]