【連載第293回】ゲームライフに役立つグッズをレポート


PS Vitaの3G通信をいつでも使えるようにしておきたい!!
代表的なSIMカードプランを吟味し、IIJmioのサービスを試してみた


 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 PlayStation Vitaには3G通信機能があるが、標準搭載されているドコモの「プリペイドデータプラン」には利用可能時間や更新期間(利用期間+更新猶予期間)がある。使い切ったか期限がきたかのどちらかの理由で、3G通信契約が終わってしまったという人は少なくないだろう。そこで今回は、PS Vitaで使える3G通信プランについて調べ、IIJmioの「ミニマムスタート128プラン」を実際に使って試してみた。

【今週のおしながき】
PS Vitaの3G契約期限が終わってしまった!! どうしよう?
SIMカードって何? 入れかえていいの? 変更する先にはどんなサービスがあるの? PS Vitaの3Gで使えるSIMカードサービスを調べてみた
IIJmioのSIMカード「高速モバイル/D」をPS Vitaで使ってみた



● PS Vitaの3G契約期限が終わってしまった!! どうしよう?

有効期限が切れて、左上の3G通信の表示が×になってしまった。更新の猶予期間が過ぎると、標準のプリペイドプランを再び使うにもショップでの再契約が必要で、2,100円の事務手数料がかかる。そこで今回は、他社の3G通信サービスを調べてみたというわけだ

 ある日、研究所員が個人的に所有しているPS Vitaの3G契約の更新期間が終わってしまった。初回限定版に付属していた“180日間有効なプリペイドデータプラン”の更新期間が過ぎてしまったのだ。3Gモデルに標準で搭載されているプランには更新期間があるので、Webサイトで契約更新をしない限りは誰しもこういう状況になるだろう。

 こうなると問題になるのが、「これからどうする?」ということ。選択肢はいくつかある。まず、“ドコモのプリペイドデータプランをそのまま契約更新する”、次に“3G機能は使わないものとしてそのままにする”、そして最後は“より安い3G通信プランを検討する”。この3つが主な選択肢だろう。

 せっかくの3G通信機能なので、どうせなら「使いたくなったらいつでも使えるという状態にしておきたい」というのが研究所員こと私の本音であり、そうなると標準のドコモ「プリペイドデータプラン」にある使用期限という仕様がネックになる。期限内にいつ使うかはわからないし、どれぐらい使うかもわからないからだ。

 というわけで、標準のドコモのプリペイドデータプラン以外の通信サービスを模索することにした。私の利用スタイルとしては、基本コストが低く、期限もなく、いざという時には使えるというものが理想だ。

● SIMカードって何? 入れかえていいの? 変更する先にはどんなサービスがあるの?
  PS Vitaの3Gで使えるSIMカードサービスを調べてみた

 そもそも「SIMカードを入れ替えて使う」という行為に馴染みのない方も多いだろう。そもそもSIMカードとは何かというところから始めるが、SIMカードは電話番号等の固有の番号が付与されているICカード。ざっくり言うと“電話番号そのもの”と言っていい。これを入れ替えることで電話番号を他の携帯電話機に移したり、ひとつの携帯電話端末で複数の電話番号を切替えて使用できる。

 ではSIMカード入れ替えによるデータ通信サービスとは何か。PS Vitaはドコモの3G通信FOMAネットワークに対応している機種であり、ドコモのFOMAネットワークであれば他社のサービスでも使用できる。

 そこで登場するのが、今回リストアップするMVNO(Mobile Virtual Network Operatorの略)だ。MVNOとは、携帯電話などの通信インフラを借り受けてサービスを提供している事業者のこと。PS Vita向けには、ドコモのFOMAネットワークを借り受けて接続する通信サービスが使える。そうした通信サービス用のSIMカードを購入して、入れ替えればいいというわけだ。

 ちなみにSIMカードには標準サイズ、Microサイズ、さらに通信も3Gのみか3G/LTE両対応かなど種類があるが、PS Vitaでは標準サイズの3Gのみ(もしくは両対応のもの)でいい。

 というわけで、今回の希望にあうPS Vita向けの通信サービスを以下にリストアップしてみた。

■ IIJmio「高速モバイル/D」

公式サイト
PS Vita用設定案内ページ

初期費用:3,150円
月額費用:945円
通信速度:最大128kbps(クーポン購入時、下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)

■ 日本通信 「b-mobile SIM(イオン専用)」

公式サイト
PS Vita用設定案内ページ

初期費用:3,150円
月額費用:980円
通信速度:最大100kbps

■ So-net 「So-net モバイル 3G」

公式サイト
□PS Vita用設定案内ページ

初期費用:3,150円
月額費用:2,983円(So-net新規加入の場合)
通信速度:最大14Mbps
※2年間の継続契約が必須
※2012年8月1日~2012年8月31日まで、登録事務手数料無料、月額315円割引

 今回ピックアップしたのはこの3つ。各サービスごとに上に記述しているものとは別の高速なプランもあるが、ここでは最も費用が安くPS Vitaに適しているプランのみに絞った。なお、通信に使う電波網に関しては、いずれもドコモFOMAネットワークなので、基本的に違いはない。

 3社の中では、IIJmioと日本通信のサービスは最大100kbps、最大128kbpsと速度は控えめだが、どちらも1,000円以下で使えるのが魅力。基本コストを抑えたいというニーズに合わせたものだ。

 PS Vitaに限らず、多くのゲーム内オンライン機能は、主に入力データの送受信など小さなデータを連続的に行なうものが多く、通信速度よりもレスポンスの速さが求められる。そのため、ゲーム用途であればこのプランでも十分だ。Webブラウジングやメッセージのやり取りなども問題なくできるが、「Youtube」や「ニコニコ」アプリの大きな映像データのやり取りになると少し辛いところがあるだろうか。

 それに対してSo-netのサービスは月額料金が約3,000円と高めだが、通信速度は最大14Mbps。大きなデータのやり取りも楽々カバーしてくれるリッチなプランと言える。

 研究所員の希望は、「できるだけ安く、ゲームでのオンライン機能をいつでも使えるようにしておきたい」というものなので、選択肢としてはIIJmioか日本通信のものとなる。両者を比較すると、通信速度と価格の面で、わずかながらIIJmioに軍配が上がる。というわけで、研究所員は下調べ後にIIJmio「高速モバイル/D」を使ってみることにした。

 なお、今回の企画を全て試し終わったあとに発表されたものなのだが、プロバイダーのDTIより「ServersMan SIM 3G 100」というデータ通信サービスも登場している。初期費用3,150円、通信速度最大100kbpsで月額490円という、かなり低価格なサービスだ。

■ DTI「ServersMan SIM 3G 100」

公式サイト

初期費用:3,150円
月額費用:490円
通信速度:最大100kbps


● 各通信サービスの詳細

IIJmio「高速モバイル/D」
ミニマムスタート128プラン
価格初期費用3,150円
月額料金945円
バンドルクーポン0MB
通信速度クーポン利用時下り最大75Mbps、上り最大25Mbps
通常時最大128kbps
SIMカード1枚提供
標準SIM/microSIMを選択可能
ファミリーシェア1GBプラン
価格初期費用3,150円
月額料金2,940円
バンドルクーポン1GB
通信速度クーポン利用時下り最大75Mbps、上り最大25Mbps
それ以外最大128kbps
SIMカード最大3枚まで利用可能
標準SIM/microSIMを選択可能

日本通信 「b-mobile SIM(イオン専用)」
3G専用プラン
価格初期費用3,150円
 商品名通信速度月額料金
月額料金プランA100kbps980円
プランB400kbps2,980円
プランCMbpsクラス4,980円
SIMカード標準SIM
3G/LTE 対応
価格初期費用3,150円
 商品名通信速度月額料金
月額料金プランXA100kbps980円
プランXB400kbps2,980円
プランXCMbpsクラス4,980円
SIMカード標準SIM/microSIMどちらか1枚を選択可能

So-net 「So-net モバイル 3G」
価格初期費用3,150円
 商品名通信速度月額料金
月額料金So-net モバイル 3G最大14Mbps2,983円
SIMカード標準SIM/microSIM/モバイルルーターから選択可能
契約期間サービス開始月を含む24ヵ月(途中契約解除料 9,975円)

DTI 「ServersMan SIM 3G 100」
価格初期費用3,150円
 商品名通信速度月額料金
月額料金ServersMan SIM 3G 100最大100kbps490円
SIMカード標準SIM1枚
チャージ式での最大14Mbps速度切り替えサービス予定

【追記】読者の方から「ヨドバシカメラの0円SIMが目的に合うのでは?」というご意見を頂いたのだが、ヨドバシカメラの0円SIMについてうっかり失念していた。お詫びするとともに追記させて頂きたい。

 まず「ヨドバシカメラの0円SIM」というのは、家電量販店のヨドバシカメラのみで扱われている、基本使用料金が0円という日本通信のサービスだ。初期費用3,150円、通信速度は下り最大14Mbps、上り最大5.7Mbps。月額料金は従量制となっており、100MBまでは1MBあたり37.8円でデータ通信料の分だけを払い、それ以降の100MB~1GBの使用は定額3,780円。1GBでその月の利用は停止となり、上限値設定を変更すればそれ以上に使うこともできる。

 この「b-mobile 基本料0円SIM」での考えどころは、基本料は0円だが、使用すると従量制から上限定額までの課金になるというところ。まったく使わないのであれば0円だが、使用すれば当然料金が発生する。ポイントになるのは“100MB以降は定額3,780円になる”というところで、この100MBまでが多いか少ないかが考えどころ。

 100MBと言えば、動画データなりを1~2つほど受信すれば簡単に到達する量。実際の利用には大きなデータのやり取りをしないように気を配る必要がある。月額固定で1,000円以下のサービスにするか、基本料は0円だが使用量に気をつけるものにするか。ここは悩みどころだ。個人的には定額制のもののほうが気兼ねが無く好みに合うので、今回はIIJmioのサービスを選ぶことにした。

■ b-mobile「b-mobile 基本料0円SIM(ヨドバシカメラ専売)」

公式サイト

初期費用:3,150円
月額費用:基本0円、100MBまでは従量制、100MB~1GBの使用は定額3,780円
通信速度:最大14Mbps

日本通信 「b-mobile 基本料0円SIM(ヨドバシカメラ専売)」
価格初期費用3,150円
月額料金基本0円 100MBまでは従量制 100MB~1GBの使用は定額3,780円
通信速度最大14Mbps
SIMカード標準SIM/microSIMから選択




● IIJmioのSIMカード「高速モバイル/D」をPS Vitaで使ってみた

「高速モバイル/D」ミニマムスタート128プラン

    メーカー:IIJmio
    初期費用:3,150円
    月額費用:945円
    通信速度:最大128kbps
    (クーポン購入時、下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)

 



もともと入っていたドコモのプリペイドデータプランのSIMカードと、IIJmio「高速モバイル/D」のSIMカード。これを入れ替えて設定するだけだ
PS VitaのAPN設定。パッケージに設定が書かれているので、その通りに入力すれば完了!

 各社のサービスを吟味した結果、IIJmio「高速モバイル/D」に決定した研究所員は、さっそくSIMカードを入手。丸いパッケージにはSIMカードが封入されていて、接続設定もここに記述されている。非常にわかりやすい作りだ。

 まずはPS VitaのSIMカードを入れ替える。3Gモデルの左側面にあるスロットからトレイごと標準で入っているSIMカードを取り出し、そのトレイのSIMカードをIIJmio「高速モバイル/D」のものと入れ替える。メモリーカードを入れ替えるような感覚で、簡単な手順だ。SIMカードを入れ替えると、PS Vitaは再起動される。

 続いてはモバイルネットワークの設定。設定>モバイルネットワーク設定>APN設定と進み、「手動で設定する」を選択。APN、ユーザー名、パスワードをパッケージ内に記述されている通りに入力すれば完了だ。こちらも非常に簡単。

 これで使用準備は完了。自動的にIIJmioでのドコモFOMAネットワークに接続される。電波の入り具合や使い勝手について特殊なことは特になく、標準のプリペイドデータプランと違いは感じられない。

 ブラウザーで「GAME Watch」を開いてみると、約25秒ほどでページの大部分は表示され、完全な表示完了までには約50秒かかった。最大128kbpsでの接続だということを考えると十分なレスポンスと思える。

 PS Networkへのサインインやフレンドリストの閲覧、メッセージのやり取りも、もちろん問題なく可能。さらにSkypeアプリも問題なく利用できるので、活用の幅はかなり広がる。

 一方で、やはり通信データの大きいアプリはちょっと厳しい。動画の「Youtube」や「ニコニコ」アプリだと、使えなくはないが、動画が再生開始されるまでのバッファが溜まるまでにだいぶ時間がかかってしまう。また、音楽配信の定額サービス「Music Unlimited」では、こちらも使えるには使えるものの、再生が時々途切れることがあった。

 ゲームでは「みんなといっしょ」や「サムライ&ドラゴンズ」を試したが、どちらも良好。自宅でのWi-fi接続とまでは当然いかないものの、標準のプリペイドデータプランと同様のレスポンスで使用できた。いつでもどこでもゲーム内の通信要素を楽しめる状態にしておきたい、という今回の希望には十分な結果だ。


SIMカードは専用のトレイに乗せられているので、角の切り欠きで向きを合わせ、トレイに置いて戻せばいい
都内某所のImpress Watch編集部内や、最寄りの駅構内などで、データ受信速度の測定サイトを使って速度を測定。電波が5段階ある場所を基本に、載せている画像以外にも10カ所ほどで試したが、いずれの場所でも110kbps以上の受信速度で、安定していた

 より低価格な3G通信サービスでPS Vitaの3G機能をいつでも使えるようにしておきたい、というところからIIJmio「高速モバイル/D」を使ってみた今回だが、結果は良好。月額945円という価格なら割高感もないし、使いたくなったらいつでも使えるという満足感を得られるのはなかなか嬉しい。また、ほかにもLTEや3G端末を使っているという人は、SIMカードが3枚提供されるファミリーシェア1GBプランにしてもお得だろう。研究所員同様に、3G通信契約が終わってしまったという人はぜひ、検討してみてはいかがだろうか?





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(2012年 8月9日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]