【連載第214回】ゲームライフに役立つグッズをレポート


「鉄拳6」発売でアーケードスティックが勢揃い!
初のPS3/Xbox 360用ワイヤレススティックやMadcatzの超本格スティックを試す!


 当連載は、ゲームライフに役立つグッズを発掘し、実際に使用してみようという試みをレポートするものである。ネタに困ったときはお休みしてしまうかもしれないので不定期連載である。ちょっとした投資や工夫で、よりよいゲームライフを送っていただけるよう、鋭意努力していく所存である。


 PS3/Xbox 360「鉄拳6」の発売に合わせ、スティックコントローラーが続々と登場した。中でも注目は株式会社バンダイナムコゲームスの「鉄拳6コレクターズBOXセット」に同梱されているHORI製の「ワイヤレススティック」で、PS3版、Xbox 360版ともに初めての完全ワイヤレス通信なスティックコントローラーだ、また、HORIの本格派向けスティックコントローラーの定番「リアルアーケードPRO.3/PRO.EX」も新たに鉄拳6対応として発売されているが、これまでのモデルから若干の変化があるということで、チェックしてみた。

 また、海外で評判の高いMadCatzのスティックコントローラー「Arcade Fightstick Tournament Edition for Xbox 360」が国内でもついに発売。前面6ボタンのXbox 360用コントローラー「Fightpad for Xbox 360」とともに、実際に試してみた。

【今週のおしながき】
PS3/Xbox 360 HORI 「ワイヤレススティック(鉄拳6コレクターズBOXセット)」
PS3/Xbox 360 HORI 「鉄拳6 対応 リアルアーケードPRO.3」
Xbox 360 Madcatz 「Arcade Fightstick Tournament Edition for Xbox 360」
Xbox 360 Madcatz 「Fightpad for Xbox 360」

 

● 初のPS3/Xbox 360用ワイヤレススティックコントローラー登場!

PS3/Xbox 360「ワイヤレスファイティングスティック(鉄拳6コレクターズBOXセット)」

    メーカー:バンダイナムコゲームス(ワイヤレスファイティングスティックはHORI製)
    価格:PS3版、Xbox 360版ともに17,829円
    同梱内容:「鉄拳6」、「HORI製ワイヤレススティックコントローラー」、「鉄拳6アートブック」


 PS3、Xbox 360それぞれに完全ワイヤレスのスティックコントローラーが登場した。こちらは「鉄拳6コレクターズBOX」に同梱されている物で単体発売はされておらず、発売予定も現在のところ未定。気になる使用感、操作性、ワイヤレスだけに気にかかるレスポンスなどをチェックしてみた。

・ PS3版「ワイヤレスファイティングスティック」

PS3用のワイヤレスファイティングスティックはUSBレシーバーを使用する方式
ボタンレイアウトは鉄拳6のデフォルト設定に合わせた左寄り(ノワール配置)になっている
薄く平べったい筐体
横からの写真。手前側が薄く傾斜している
動作には単三型乾電池2本を使用。乾電池は別途用意する必要がある。底面に電池ボックスがある

 全体のサイズは約31cm×約21.5cm×約4.3cm(横×縦×高さ)となっており、重量は約1,100gと軽量。HORIの「ファイティングスティック3」に近い大きさだが、筐体の形状は平べったい箱形の角を落としたような新しい型でスマートになっている。背面はゴム足4個を備え、動作用の乾電池入れがある。

 左側にレバー、右側には上段左から□、△、R1、L1、下段左から×、○、R2、L2とボタンが配置されている。「鉄拳6」同梱の製品だけに、「ファイティングスティック3」とは違い、左側に□、△、×、○ボタンが集まった「鉄拳6」用のレイアウトだ。レバーと主要ボタンの位置関係もきちんとアーケード版コントロールパネルに近いものに変更されている。右上にはスタートボタンとセレクトボタン、上部中央にはPSボタンが搭載されている。PSボタンはPS3の起動のみ対応していない。

 動作には単三型乾電池2本を使用する。コレクターズBOXには電池は付属しないので、その点は注意が必要だ。電池での動作時間は公称値で最大約400時間。コントローラーには電源スイッチのようなものはなく、コントローラーのいずれかのボタンを押すことでスリープから復帰する。また、3分以上操作がない状態が続くと自動でスリープモードになる。

 PS3版ではUSBのレシーバーが付属。これでコントローラーと通信する方式だ。無線帯域は2.4GHz帯を使用する。レシーバーの内部には緑色のLEDが搭載されていて、待機状態では点滅、通信時には点灯する。USBレシーバーは細長い形状で、コネクション用のボタンなどは設けられていない。出荷状態からスティックコントローラーと同期されていて、PS3本体に差すだけで使用できるようになっている。通信距離は最大約10m(遮蔽物がある場合は短くなる)、同時使用可能台数は7台とされている(USB Hub使用時)。

 実際にスティックコントローラーを持ってみると、まずその軽さに驚かされる。平たくて四角い箱形の形状なので、ノートPCのように小脇に抱えるの持つのも楽々だ。実際、重量もノートPC並になっている。それに加え、ワイヤレスであることが大きい。煩わしいケーブルがなく、持ち運びが楽で置き場所も自由に移動できる。この感覚は新鮮だ。

 天板には「鉄拳6」のキャラクターが描かれている。金属パーツではなく、デザインの施されたラバーシートのような物を表面に貼っている作りだ。サラサラとした手触りだが、ラバー質なためツルツルではない。少し手が擦れるところがあり、手汗などでべたつきいてくるのも感じた。

 使用するときは○、×、△、□ボタン、スタートボタン、セレクトボタン、レバーなど、いずれかを操作すればスリープモードが解除される。認識されるまで約1秒ほどとスピーディーだ。

 スティックの感触は基本的にこれまでのファイティングスティック系と似ている。「鉄拳6 対応 リアルアーケードPro.3」のレバーと比較すると、ほんの少しレバーを倒すストロークの深さが浅め、レバーを入れた時の重さもほんの少し重い。だが、こだわる人でなければ十分な質感と思えるだろう。

 ボタンを押下した感触には少しガサつきを感じる。ボタンの反発がボテッとした感触で、ボタンの枠に対して少しガタつくところもある。「鉄拳6 対応 リアルアーケードPro.3」と比べてみたところ、ワイヤレススティックのパーツにはツヤが無く、HORI製のオリジナルボタンでもコストを抑えた別のパーツが使われているのだろう。とはいえ、こちらも強いこだわりがなければ十分な出来だ。

 本格的なアーケードユーザーにとっては辛い面は、可搬性と相反する要素になるがやはり重量。激しい操作をすると、ワイン持ちの場合、ベースが軽いためコントローラーごと動いてしまう。だが、重量についてはワイヤレスの利点である手軽な扱いやすさとトレードオフの関係にあるわけで、ワイヤレスの利点を活かす方向に割り切っており、本格的な製品を求めるならRAP3を、というわけだ。

 主に「鉄拳6」をプレイして試してみたが不具合などは特になく、安定したプレイが楽しめた。ワイヤレスだけに遅延がないかが気になるところだったのだが、ほとんど気にならなかった。厳密に言えば、ほんの少し、本当に微妙に遅延を感じる瞬間があったのだが、ほんの少し違和感を感じるような、そうでもないような、というレベル。プレイ開始からすぐ感じなくなる程度で、有線のRAP3と交互に使ってみても次第に違いはないように思えてくる。

 なお、2.4GHz帯の無線機器や電子レンジなどが影響する可能性は少なからずあり、絶対的な安定性を考慮するなら、やはり有線のコントローラーを選択すべきだろうが、試しにリビングでプレイ中に電子レンジを使ってみたのだが、影響は出なかった。また遮蔽物についてもテーブルの下になるぐらいでは問題なく、研究所員宅のテレビ画面がちゃんと見える範囲で動き回った限りは問題なかった。

 プレイステーション 2ソフトの互換機能がある60GB版のPS3で、PS2ソフトのプレイにも使ってみた。結果は×で、起動時にUSBレシーバーのLEDが消えてしまい、通信ができなくなってしまった。レシーバーの挿し直しなど様々な手を尽くしてみても、そもそもレシーバーが動作せずプレイはできなかった。おそらく、USB無線レシーバーのデバイスにPS2互換機能側が対応していないのではと思える。PS1ソフトやゲームアーカイブスについてはPS3ソフト同様に問題なく使用できた。

 このワイヤレススティックの最大の魅力はやはり手軽さ。出し入れ、設置、持ち運びと、スティックコントローラーの悩ましい部分がいずれも楽に行なえるのが大きな魅力となっている。安定性や遅延においても有線のコントローラーとほぼ同等のクオリティで不安のない出来だ。手軽さを求める方向性で定番の一品にもなれそうな製品だけに、単体発売が未定なのが残念に思える。PS2ソフトのプレイに使えなかったのも残念だが、可能であればファームウェアのアップデートでの対応に期待したいところだ。


・ Xbox 360版「ワイヤレスファイティングスティック」

Xbox 360版のワイヤレスファイティングスティック。白がベースカラーになっている
ボタン配置は「鉄拳6」や「ストIV」のデフォルト設定に合わせられている
手前の左側にあるのがボイスコミュニケータ端子
サイズや重量はPS3版と同じ

 Xbox 360版の「鉄拳6コレクターズBOX」に同梱されているワイヤレスファイティングスティックも、基本的にはPS3版の物と同じ作りだ。ベースカラーがPS版が黒だったのに対し、Xbox 360版は白になっている。なお、Xbox 360版はXbox 360ライセンス製品となっている。

 筐体の基本的な作り、天板の感触や素材、レバー、ボタン等のフィーリングについてはPS3版とほぼ違いがない。それらについてはPS版の記述をご覧頂きたい。重量についても同じ1,100gとなっており、動作に単三乾電池2本を使用するところ、「鉄拳6コレクターズBOX」には電池が付属していないところも同様だ。

 PS3版との大きな違いとして、こちらはUSBレシーバーを使わず、360本体と直接通信する方式になっている。スティックコントローラーの左上に接続ボタンが設けられており、360本体の接続ボタンを押してからコントローラー側の接続ボタンを押せばコネクションが確立される。それ以降は純正のワイヤレスコントローラー同様に使用できるようになる。同時使用台数は4台となっている。また、筐体の手前側にはヘッドセットを接続するボイスコミュニケータ端子を備えている。

 ボタンのレイアウトも異なっていて、上段の左側から、B、X、Y、LBボタン、下段の左側からA、LT、RT、RBという並びになっている。主要のA、B、X、Yボタンをアーチ状に配置したものだ。ただこれは、Xbox 360版「鉄拳6」のデフォルト設定に合わせてあって、キーアサインの変更なしに左半分の4ボタンでプレイが可能になっている。

 重要な違いは動作時間で、PS3版が約400時間と記載されていたのに対し、Xbox 360版は約40時間となっている。10倍の差はかなり大きく、40時間となるとちょっと心細いが、PS3版とXbox 360版では音声通信の端子の有無など、本体とスティック部で行なう通信量が異なるゆえ(PS3では音声通信は行なわれない)のバッテリー消費量の違いとなっている。

 なお電源周りの仕様の違いとして、スリープモードにも違いがある。PS3版は未操作時間が3分続くとスリープモードに切り替わっていたが、Xbox 360版では15分で切り替わる。スリープモードからはXboxガイドボタンかスタートボタンを押すと復帰する。

 実際にプレイに使用してみると、コントローラー番号の割り振りに独特のクセがあることがわかった。まず、有線や無線のコントローラーが接続されている場合は、ワイヤレススティックが2番目に割り振られる。スティックのみ接続すれば1番に割り振られるので、コントローラーと併用するときは、Xbox ガイドボタンを押して電源を入れる順番を考えよう。これらはXbox 360の仕様の問題かもしれない。

 また、コントローラー側の番号を示すクアドランプがプレイ中に消灯してしまったり、割り当てとは違うランプが複数点灯したりしていたこともあった。ランプの件はプレイには支障はないが、少し気にかかるところだ。

 おおまかな感想についてはPS3版のワイヤレスファイティングスティックと同様で、ワイヤレスならではの手軽に扱える魅力は非常に大きい。アーケードタイトルをコントローラーパッドで遊ぶのは嫌だけど、本格的すぎる製品は持てあましてしまいそう、そう考えている人が大多数だろうと想像できるが、そうした人にピッタリのサイズと扱いやすさ、必要十分な操作感となっている。多少動作に不安定さを感じさせた部分が出たが、プレイ自体は問題なく行なえた。


基本的なフィーリング等はPS3版と同じだが、Xbox 360版はレシーバーを使わずに本体と直接通信できる。写真中央がペアリング用の通信ボタンだ。だが、そうした仕様の違いから、動作時間が40時間とPS3版の400時間に比べて10分の1ほどになっている

・ 分解してみた

 PS3版、Xbox 360版のワイヤレスファイティングスティックを分解して中身を確認してみた。まず最初に気をつけて頂きたいのは、使われているネジ山がY字型のタイプだということ。カバーを開くには専用の工具が必要になる。RAPのようにユーザーが自分でボタンを交換したりといったような、メンテナンスを考慮した作りではないというわけだ。

 内部を見てみると、ボタンは半田付けされており、換装は難しい。レバーはHORIオリジナルのファイティングスティック系のパーツと同様のもののようだ。

 Xbox 360版の内部はボイスコミュケータ端子の部分にチップの載った基板が1枚多くあった。この基板をはじめとする仕様の違いが動作時間の違いを生んでいるのだろう。


こちらはPS3版。使われているパーツはファイティングスティック系と同様のようで、ボタンは基板に半田付けされている。パーツを換装するのはちょっと難しい
こちらはXbox 360版。ボイスコミュニケータ端子のところにPS3版にはなかった基板が載っている



● 内部に変化が?「鉄拳6 対応 リアルアーケードPRO.3」

「鉄拳6 対応 リアルアーケードPRO.3」

    メーカー:HORI
    価格:9,800円


 本格派のユーザーに向けたヘビー級アーケードスティックとしてお馴染みの「リアルアーケードPRO」。「鉄拳6」モデルでは、PS3版の「鉄拳6対応 リアルアーケードPRO.3(以下、鉄拳6PRO.3)」が、Xbox 360版では「鉄拳6対応 リアルアーケードPRO.EX(以下、鉄拳6PRO.EX)」が発売されている。

 今回はひとまず「PRO.3」を購入してみた。というのも、レバーパーツがこれまでのRAP3とは変わっている(『鉄拳6PRO.3』ではレバーパーツに三和電子株式会社製の業務用パーツJLF-TP-8Y-SK-DHを、『鉄拳6PRO.EX』ではJLF-TM-8-SK-Kを使用)ほか、レバーとボタンの配置順はRAPと同様だが、レバーとボタンの位置関係は「ワイヤレススティック」同様、「鉄拳6」で使用されている筐体のコントロールパネルと同じようになるよう工夫されているようだ。とくに右側ボタン類がRAP3よりも上に位置しているなどの違いがある。

 「鉄拳6PRO.3」では、内部に変更もされている。分解して確認してみたところ、公式ページでもうたっているように、ファストン端子でボタンが接続されていた。HORI製の単体ゲームタイトル対応スティックは、通例であれば、「リアルアーケードPRO」もしくは「ファイティングスティック」とほぼ同じ筐体をベースに、三和電子製のレバーパーツ、HORI製のボタンパーツが搭載されるところまでは「RAP」と一緒だが、「RAP」とは異なり、ボタン類は配線基板に半田付けされているというのが一般的だった。ところが、今回はその名称が示すとおり、あくまで「鉄拳6」に対応をうたった「RAP」であるゆえ、今までの単体ゲームタイトル対応スティックとは発想が異なるようだ。


レバーの固定部の向きが変わっていた。また基板等の細部も変更されているようだ



● ついに日本でも発売!海外のモンスター級アーケードスティック!

「アーケード ファイト スティック トーナメント エディション for Xbox 360」

    メーカー:Madcatz
    販売:MSY
    価格:18,000円


VEWLIX筐体を再現したTEの筐体。手前や左右がひし型になっている
ボタン配置は写真の通り。「鉄拳6」や「ストIV」のデフォルト設定にあったレイアウトだ
天板のデザインは日本(アジア)用のオリジナル。ツルツルとしたクリアパーツになっている

 海外で発売されたモンスター級の本格アーケードスティック「アーケード ファイト スティック トーナメント エディション for Xbox 360(以下、TE)」がついに日本でも発売! 製造は海外メーカーのMadcatz、国内販売はMSYが行なっている。

 TEは元々「ストリートファイターIV」の発売に合わせて登場したアーケードスティックで、カプコンUSAと共同開発で作られた公式認定品。レバー、ボタンともに三和電子の業務用パーツを使用し、サイズは約407mm×約254mm×約127mm(横×縦×高さ:スティック部含む)、重量は約2.95kgと、RAPの重量約2.6kgをしのぐヘビー級スティックコントローラーとなっている。

 日本国内版ではベースカラーが全てホワイトになり、天板もオリジナルのデザインになっている。天板はアーケード筐体そのままの質感なクリアパネル。置いた手の滑りもよく好感触だ。筐体デザインはアーケードで主流のVEWLIX筐体を再現している。そこそこに高さのあるスティックコントローラーだが、手前側の傾斜が手首にフィットするようになっている。

 レバーは三和電子製のJLF-TP-8YT-SK。アーケードパーツだけに感触もそのまま。妙な重さや抵抗もなく、それでいて軽すぎず。スムーズに入力できる。デフォルト状態ではレバーのガイドは4方向だが、底面の金属板を外せばレバーが露出する作りになっているので、簡単にパーツを換装できる。

 ボタンは三和電子製のOBSF-30、OBSF-24。こちらもアーケードパーツそのもので、カシカシと小気味いい感触。嫌な負荷のない抜けのいい感触だが、押下後にスッと戻る。内部はもちろんファストン端子なので、換装も簡単に行なえる。ボタンのレイアウトは上段の左側から、B、X、Y、LBボタン、下段の左側からA、LT、RT、RBという並びになっている。「ストリートファイターIV」および「鉄拳6」でデフォルト設定のままプレイできるレイアウトだ。

 特徴的なのがスタートボタンとバックボタンで、筐体の背面側に付けられている。誤動作を防ぐ意味でこの配置になっているのだと思われるが、ここは少し好みが分かれるところかもしれない。格闘ゲームでは試合前、試合後のシーンをスタートボタンでスキップさせることが多いが、TEだとそのときにボタンから手を離して背面へ持っていかなければならない。実際に使ってみると大して気になることではないのだが、購入前にはこの配置が少し気にかかる人はいるかもしれない。

 360本体との接続ケーブルは長さが3.5mと長めだが、背面にケーブル収納用のスペースがあって、未使用時にはケーブルを閉まっておける。また、収納にはケーブル通し付きのフタがあって、そこから必要な長さだけ外に出すことができるようになっている。

 ヘッドセットを接続するボイスコミュニケータ端子は左手前の側面に配置。そのほか、レバーを方向キー、左アナログスティック、右アナログスティックで切り替える設定スイッチや、2段階に速度を切り替えられる連射機能と連射状態を示すLED、連写モード等をロックするロックスイッチを備えている。


底面には大型の高さのあるゴム足が付いている。ゴム足もネジで止められていて、外せばネジ穴を机等に固定するために使える。背面にスタート、バックボタンがあるのが特徴的で、少し好みが分かれるところかもしれない。付属のケーブルで旧型のヘッドセットも接続できる
背面にはケーブル収納用のスペースがある。普段はここにケーブルを閉まっておけばスマートに保管しておけるというわけだ。またフタにケーブル通しがあるので必要な長さだけ外に出せばいい

 実際にTEで「ストリートファイターIV」および「鉄拳6」をプレイしてみたが、これはさすがに文句の付けようもない。レバーとボタンのところに記述したように、標準でどちらもアーケードパーツが使用され、その感触もアーケードそのもの。筐体デザインもソリッドでVEWLIX筐体を再現しており、高級感と凝縮感のある作りだ。接続ケーブルを収納しておけるのもスッキリしていいデザインと感じる。

 天板、底面を開けやすく、メンテナンスのしやすい作りなのも好印象。天板は六角ネジで固定されていて、開けるとレバーやボタンをそのまま取り出せるようになっている。ボタンはスリーブのついたファストン端子で、基板にもそのままアクセスできる。ボタン配線の元はすべてコネクタでまとまっており、部品もケーブルもスペースにきっちり収まる凝縮感を感じさせる作りになっている。天板の交換やレバー・ボタンの換装がしやすい設計だ。


天板と底面を開けてみた。底面側はスティックとボタンの部分だけ触れるようになっていて、簡単なメンテナンスはこちらからできる。天板を外すと内部が完全に出てくる作りで、ネジやナットは樹脂のようなもので固めてあったりする(業務用筐体を思い起こさせる)。だが基本的にはメンテナンスしやすい作りだ

 本格派を満足させるアーケードパーツ仕様、アーケード筐体デザイン。換装等のメンテナンスをしやすい作りなど、家庭用ジョイスティックにまた1つ極めつけの1品といえる製品が登場したといえるだろう。さすがに高価なのがネックだが、その値段に納得できるクオリティとなっている。




● Xbox 360 Madcatz 「Fightpad for Xbox 360」

「ファイトパッド for Xbox 360」

    メーカー:Madcatz
    販売:MSY
    価格:4,515円


前面に大型のボタンを6個配置した、アーケードゲームに特化させたパッドコントローラー

 前面に6ボタンを配置したシンプルなゲームパッドタイプのコントローラーだ。TE同様、製造は海外メーカーのMadcatz、国内販売はMSYが行なっている。こちらもデザインが白を基調としたオリジナルデザインになっている。

 方向パッドのみでアナログスティックは無し。A、B、X、Y、LB、RBを前面に6個並べた、「ストリートファイターIV」を意識したレイアウトになっている。天面にはLT、RTも備えている。中央にはスタート、バック、Xboxガイドボタンのほか、連射機能用のボタンと連射状態を示すLEDを搭載。連射機能は2段階に切り替えられる。また、背面には方向パッドの入力割り当てを左右スティックや方向キーに切り替えるスイッチもある。

 表面はツルツルツヤツヤとしたクリア塗装。左右の側面と背面にはラバーパーツが使われていて、滑り止めになっている。サイズは約16.5cm×約9.5cm×約3.5cm(横×縦×厚み)と薄平べったい作りで、ゲームファンの人には「セガサターンパッド」を思い出させるところもあるだろう。重量は157gと軽量だ。

 方向パッドは丸形のフロート式。丸に十字の型がついた形状で中央に沿って凹んでいる。パッドの直径は3cmと、純正パッドの直径2.3mcよりも大型になっている。ボタンは平べったい大きめのパーツが使われていて、直径は約1.2cm。純正パッドのボタンは直径9mmなので、こちらも大型化されている。


薄平べったい形状で、セガサターンのパッドを彷彿とさせるデザイン。背面にあるスイッチは方向パッドの割り当て切り替え。方向キーや左右のアナログスティックのいずれかに切り替えられる
横幅のあるコントローラーで成人男性の手でも少し大きく感じる。両サイドや背面はラバーパーツが使われていて、滑り止めになっている

 実際に「ストリートファイターIV」や「鉄拳6」をプレイしてみる。パッドを手に持ってみるとかなり大きめのパッドだと感じる。そのあたりは海外製品らしいサイズと感じるところだが、成人男性の手でも大きいと感じるサイズで、持つというよりも両手で挟み込むという感触になる。手の小さい人にはちょっと辛いところだ。

 サイズは大きいもののフィット感はよく、両サイドと背面のラバーが手をしっかり捉えてくれる。グリップ状に沿っている両端もホールドしやすい。

 実際のプレイでは、ボタンの感触はパコパコカコカコとしていて、クリック感が乏しいが、右手の親指だけでプレイすると指を運ぶ範囲が広く、連続入力がしづらい印象を受けた。「ストIV」では縦、横にボタン同時押しをする必要があるため、この6ボタン配置にありがたみが感じられる。6ボタンが前面に配置されていることを活かすと、左手でグリップを握りこみ、右手はフリーな状態にして、A、B、X、Y、LB、RBのボタンを押すようにピアノをひくように指を立ててプレイするのが一番いいのではないかと感じられる。このスタイルでプレイするには、椅子に座ってひざの上にコントローラーを置くか、机の上で右側のグリップを床につけた状態で遊ぶのがいい。

 ボタンがXbox 360純正コントローラーよりも大きく、平らにできているので、たとえば「ストIV」のバイソンをプレイする際、キックボタン3つを第2関節で押しっぱなしにしてターンパンチを溜めながら、パンチボタンを押して使い、ターンパンチを撃つときは指を浮かせる、といったプレイに対応しやすさを感じた。

 こうしてプレイしているとやはり気になるのは、むしろ方向パッドの感触についてだ。グニグニとしていて上下左右は入りやすいものの、その分、斜め方向へは入れづらいし、どこに入っているのかが感覚としてつかみにくい。そのため、波動拳や昇竜拳系の斜めを経由するタイプのコマンドが厳しい。入力の感覚はXbox 360純正コントローラーの方向パッドに近いと感じた。ここは機構的なものも含めて、発想を変えて欲しかったように思う。

 シンプルで格闘ゲーム等のアーケードゲームに特化したデザインは魅力的なのだが、いかんせん方向パッドに辛さを感じた。純正コントローラーも方向パッドに人を選ぶ感覚が感じられるだけに、何らかの違いがあればよかったように思う。





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(2009年 11月 1日)

[Reported by ゲーム環境向上委員会]