山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第1回

音楽が良くて「Life is Strange」 is Beautifulな話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

まだこれを書いている時点ではプレイしはじめたばかりなんだけど、
「Life is Strange」に何度もハッとさせられてる。

「Life is Strange」はフランスの開発会社DONTNOD Entertainmentが制作し、スクウェア・エニックスから発売されたゲームだ。海外では2015年からエピソードを順次配信するスタイルで1年ぐらい前から発売されていたんだけど、その日本語吹き替え版がついに3月3日に発売された(プラットフォームはプレイステーション 4/3、Windows。PS3はダウンロード版のみ)。

で、その「Life is Strange」なんだけど。高校で写真を学ぶ主人公の少女マックスが、ある不思議な体験をしたあと、教室を出て行く。

そこから、トイレに行くまでのわずかな時間なんだけど、彼女はそこでイヤフォンをつけて歩き出した。(それだけで、彼女がいかに周りと自分を遮断したがる人なのか、そういう不安な気分なのかが……わかるよね)

聞こえてきた曲は、Syd Mattersの「To All of You」。
その曲をバックに印象的なカット割りで、スクウェア・エニックス、DONTNOD、そして、「Life is Strange」のタイトルロゴ。

主人公が何か音楽をかける動きをして、それで作品全体の挿入歌が流れてタイトルロゴへと繋がっていくっていうのは、とても映画的というか。結構多くみかけるベタな演出と言っちゃえばそうなんだけど。僕はこの見せ方がとても好きだ。これをやられると無条件に、

「あ、いい作品に出会えた予感がする!」

って感じてしまうところがある。

(もちろん、その期待があとで裏切られることもあるんだけど、「Life is Strange」は今のところ大丈夫だ)

Syd Mattersの曲は、それこそ昨年に海外で「Life is Strange」が配信されて間もない頃に、アルバム「Someday We Will Foresee Obstacles」ごとiTunesで速やかに購入していた。でも、ちょっと後悔もしている。「Life is Strange」のゲーム中のシーンで初めて「To All of You」や「Obstacles」を聴いていたら、もっと鮮烈な、忘れられない思い出になっていたかもしれない。

(なので、YouTubeにアップされているSyd Matters「To All of You」のオフィシャルミュージックビデオをこの下に置いておくけど、ゲームを遊ぶつもりのある人は、プレイ後に観た方がいいかもしれない!!)

【Syd Matters - To All of You (official music video)】

「Life is Strange」は時を巻き戻せる不思議な力に目覚めた、ハイスクールのティーンエイジャーな少女の物語。いくつもの選択をプレーヤーが選び直せる、アドベンチャーだ。その年代だけにある感受性から生まれる刺激、痛み、楽しさ、辛さ。そういう色がとても良く出ている。もちろんそこには、インディーズフォーク的な数々の曲がとてもよく似合っていて、欠かせない。

グラフィックスはリアル調をベースに、油絵のような質感に見える独特な処理が施されていて、こちらも個性的。そうした表現だからこそ描けるもの、伝わるものがあるのかもしれない(でも眼はちょっと怖い)。そして、シーンの見せ方(映画的な言い方をすればカット割りとか、アニメ的な言い方だと絵コンテとか)の良さにも、たびたびハッとさせられる。なにか、心の奥をなでられるような、そんなシーンの連続だ。

そんなわけで。「Life is Strange」をまだプレイしていないという人は、ぜひ遊んでみて欲しい。

……。

余談なんだけど、「Life is Strange」はサウンドトラックが出ていない。海外でもLimited Editionに同梱されていたサントラしかないのだとか。でも、日本にはサントラ同梱の豪華版とかなかったし。ゲーム中に使われているボーカル曲を個別に買っていってもいいんだけども……。なんとか、誰でも手軽に買える形を用意してもらえないですかね?(僕は今、いっそ海外のLimited Editionを輸入価格で買ってしまおうか本気で悩んでいる!!)

ではでは、また来週。次回もまた「Life is Strange」の話を書くかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

Amazonで購入

(山村智美)