山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第38回
VRに4K/HDRとSIEは未来にアグレッシブと思いつつ、携帯ゲーム機の未来も少し気にしたい話
2016年11月16日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
「PlayStation 4 Pro」、そして「PlayStation VR」、さらには「ニンテンドークラシックミニ ファミコン」と、今年ゲーム好きの話題を牽引してきたハードウェアたちが、先月、今月とで続々と発売されました。
みなさんは上のいずれかを購入してて楽しんでいたりされてますでしょうか?
え、上の3つとも全部買った?
え、テレビも4K/HDR対応のものに買い換えた?
むしろ、その4K/HDRテレビにミニファミコンを繋げて遊んでる?
セレブですねー。セレブゲーマーやわ。
……今この連載を読んでくれている人のなかには、本当にそういう人もいらっしゃるんだろうなーと思うと、羨ましい限り。
僕の場合はお仕事でもあるので、こうしたハードやプレイ環境への投資を惜しんではいけないところもあるのですが……4K/HDRテレビへの買い換えができておらず。
というのも、その購入費用もさることながら、届いてから設置したり、今までのテレビを片付けたりする時間が全然ないんです……。来年かなぁ(遠い目)。
それにしたって最近のリリースラッシュについていくのは出費がなかなかのものですよね。
もともとゲームという趣味はコストパフォーマンスがものすごくいいと言われますし、実際のところ他の“大人の趣味や遊び”と比較すると安上がりに長く楽しめるものなのですが、
ミニファミコンはさすがに安価なのも売りの商品なのでさておき、「PS4 Pro」、「PS VR」、「4K/HDRディスプレイ」という3点をズバッと一気に買いそろえるとなると、ディスプレイ次第ですけど、20万から30万円ほどかかってしまいます。
順に揃えていくにしても、5万円(PS VR)、5万円(PS4 Pro)、10~20万円(4K/HDRテレビ)となるのですから。初期プレイステーション 3の価格と、フルHD対応ディスプレイへの乗り換えの流れも出費の多い切り替えでしたが……
って、「PS3だXbox 360だ、時代はフルHDだハイデフだ!」って言ってたのは2006年のことですか。10年前ですか。そうですか。10年でフルHDから4Kに意識が移っていくのは、はたして早いのか、遅いのか。
フルHDから4Kは画素数的には約4倍ですので、10年で4倍になるという換算なら、2026年には16K、2036年には64K……2106年頃には262,144K、約2億ぐらいになりますね!解像度2億越えとか肉眼より見えてそうというか、その頃にはテレビとかディスプレイとかないでしょうけど。
今10歳ぐらいのお子様であれば、2100年頃の世界とか技術をギリギリ見られそうですので。もしこの連載を読んでいる10歳ぐらいのちょっと変わった……センスのいいキッズがいらっしゃいましたら、「昔こんなことを書いていた人がいたな……」と覚えておいてください。あ、記憶力の無駄使いだと思うのですぐに忘れてもいいです。
さてさて、妄想はこれぐらいにしておいて。
冒頭にも“セレブゲーマー”なんて書き方をしたとおり、
PS4 Pro、PS VR、さらに4K/HDRっていう環境を整えていくというのは「大人ゲーマー向けの話だなぁ」って、思うんです。今のところは、趣味につぎ込める可処分所得がたっぷりある人向けな領域だなぁと。
PS VRもそうなんですけど、そういうところもおそらくは重々承知な上で、PS4 Proで4K世代へ真っ先に入っていく、しかも、それら新世代の開拓、切り込みとも言える製品を、わずか2カ月の間にリリースするソニー・インタラクティブエンタテインメントは、すごくアグレッシブです。
ただ、どちらも言うなれば、新しい何かを生むためにいずれ進んでいくべきもの、発展していくべきものという側面もあり。でも、それはどこかが率先して推し進めていかなければ、なかなか進まないもの……というものでもあったりします。
そういう……言うなれば“未来への加速”ですよね。未来への切り口。その入り口。
逆に言えば、PS4 Proのような製品が発売され、4K/HDRテレビやディスプレイにも注目が集まることで、こなれていく、ラインナップが増えてお求めやすくなるところもありますので。
そんなわけで、それらをすぐに買い揃えるのはきついという人も、自分のゲーム欲と市場の価格帯(特にテレビ/ディスプレイ)とを、うまいことバランスを計りつつ、ちょっとずつ、無理なくリッチな環境にしていけばいいのでは……と思いますよ。
僕もこれから押し寄せる(一部はもう押し寄せてきてるのですが)大型タイトルラッシュのお仕事が一段落したら、ひとつずつステップアップしていく予定です。
この話題の最後に、YouTubeにて公開された動画を2つ。ひとつはPlayStation Japanが公開した「“PlayStation 4 Pro“分解映像」、もうひとつは、任天堂による「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ TVCM」です。
同日に発売された最新製品なのに、それぞれの動画のアプローチの違いときたら、すごいですよ。ほんとゲームって自由だなとか、2016年ってカオスな年だなって思います。
今週に思ったことはもうひとつありまして。
むしろここからが今週に書きたかったことの本題とも言えるのですが。
PS4 Proとミニファミコンが同時に発売となって、それこそ全然違ったベクトルで盛り上がっていたところに、世相が見えるというか、いろんな見方ができるなぁと思いつつ……、
やっぱり、どちらも大人向けなんですよね。あらゆる意味で。
より若い世代の人は……やっぱりスマートフォンで十分、この盛り上がりは自分たちにはあまり関係ない話となってしまっているように思います。
この話は今さら始まったものではなく、ここ何年もずっとの話ではありますが、
生活に根ざしたことを言えば、家族分のスマートフォンの購入費や維持費がかなりかかっていて、ゲーム機に使えるお金はなかなか出しづらいというのもあるでしょうし、中学、高校生が1番欲しがるものはスマートフォンになりますし、親御さんからすれば、スマホ持たせるから、ゲーム機は我慢しなさいな、ともなると思えます。
その実情に対して、ゲーム機の世界は、スマートフォンとどう付き合うのか。どこかのタイミングで、融合するとか、取り込むとか、手を組むとか。
そういうターニングポイントをそろそろ迎えて欲しい気持ちがあります。
据置ゲーム機の世界は今回書いていったように、ハイエンド路線も交えつつ突き進んでいますが、よりポータブルな、若い世代の人にも向いた新しいアプローチも期待したいという思いがあって。
そういう意味ではこの話は、“携帯ゲーム機の次の未来”という話にもなるのかもしれません。
いつでも手軽に、家のなかでもゴロ寝で楽しめるデバイスっていうのは、据置とはまた別の魅力ですよね。
小さなお子様向けに安価な携帯ゲーム機を提供するという路線がこれまでも、おそらくこれからももちろんあって、でもその後に中/高校生ぐらいになると、当然スマートフォンを持ちたいってなっていると思います。
でも、スマホが欲しいのと同時に、ゲーム機でのゲームだって本当はまだまだ遊びたいっていう気持ちがあるはず。
一方で親御さんとしては、子供にスマホを持たせることへの不安がもちろんあります。その不安に対して、フィルタリングやペアレンタルロックが手間入らずにしっかりとされている安心、安全なスマホがあれば……という要望は常にあるのではないでしょうか。
そこで、僕としてはゲームプラットフォーマーの提案する、“ゲームも遊べて子供にも安心・安全なファーストスマートフォン”的な携帯ゲーム機スマホ……というアプローチを期待したいんですよね。昨年まではPlayStation Mobileという、Androidでプレイステーションタイトルを展開するものもありましたけど、より本格的に融合した発展をして欲しいという思いです。
任天堂関連で言えば今年は「ポケモンGO」のヒットがあり、12月15日にはiOS向けアクション「スーパーマリオラン」も配信されるということで。
少しずつ、そういう新しい未来が近づいているように……近づいていたらいいなぁって思います。
あ、最後に近況です。この連載に最近プレイしていると書いた、一部の人に絶大な人気を誇るPCゲームのRPG「Undertale」ですが、いろいろなアレを経て、1番難しい例のアレ、までたどり着きました(ネタバレを避けつつの書き方ですが、プレイした人ならわかりますよね)。
まだ例のアレを突破できていませんが……良いゲームです、ホント。一風変わった味わいを求めるゲーム好きの人には、ぜひともプレイして頂きたいですね。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。