山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第37回

PS4 Pro発売で家庭用ゲーム機がいよいよ4K/HDRの領域へ入っていく話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

いよいよ発売となるハイエンドスペック版PS4こと、「プレイステーション 4 Pro(CUH-7000シリーズ)」。ついに家庭用ゲーム機の世界も4K解像度(3,840×2,160ピクセル)に突入です。

PS4 Proについておさらいしますと、

“11月10日に発売されるPS4 Proは、現行のPS4と完全な互換性を保ちつつ、CPU・GPUともに強化され、ゲームをより滑らかに動作させることのできる上位機種”

というもの。

最大の特徴として、画面の出力解像度が4K(3,840×2,160ピクセル、2160p)に対応しており、単純に出力解像度だけで言えば、これまでのフルHDの約4倍の高精細なグラフィックスが表示されます。

また、明暗部のコントラストをより豊かに表現できるハイダイナミックレンジ(HDR)と組み合わせることで、4Kの精細さとHDRの生み出す色味が、新時代の映像表現を作り出します。

11月10日にいよいよ発売となる「プレイステーション 4 Pro」
2017年3月2日発売予定の「Horizon Zero Dawn」より。これから発売されていくファーストパーティタイトルは、4K/HDRでの表現も念頭に置いたものになっていきます

……この連載らしく、くだけた言い方をすると“すごくキレイで強いPS4”です。スゴイやつ。

単純にフルHDが約200万ピクセルなのに対して、4Kは約800万ピクセルなので。4倍!

ですので。

4K解像度については、フルHDへの移行を体験した人はだいたい想像がつくと思いますし、移行当時を体験した人だと、「そんなに高い解像度って必要なの??」という声に同意しつつも、「……でもいずれ4Kが普通にると、もうフルHDには戻れない……みたいになるんだろうな」という想像もできるかと思います。

個人的にその移行は、地デジ切り替えのあったHD/フルHD世代のときよりも緩やかではありつつも、東京オリンピック開催の頃ぐらいには、だいぶ進むのかなぁという予想をしています。

より実生活に根ざした話をすれば、引っ越しや結婚などの、新生活のタイミングに「どうせなら」と買い換えたりなど、人それぞれに訪れるきっかけ次第なのかなとも思いますが。

テレビやディスプレイの製品ラインナップの移り変わり次第、そして値段次第でもありまして。長い目で見ると、いずれ置き換わっていくものでしかない……とも思います。

一方で、もうひとつのポイントである「HDR(ハイダイナミックレンジ)」は、スマートフォンのカメラ撮影モードなどにあったりもするものの、

“言葉は見かけたことがあるけれど、意味はよく知らない”

というワードになっていそうな予感がします。

HDRはざっくり言うと、「明るいところと暗いところを同時に幅広く表現できる」ということなのですが、

例えるなら、今までのHDRなし映像での光による明るさは、

「明るいですねー……ここはもっと明るいですねー……これ以上は差が細かくて表現できないんで! もう全部明るいってことでいいですよね!?」

っと、途中から全部一緒ですみたいになっていたのですが、HDRだと、

「明るい……もうちょっと明るい……ここはもっと明るい……ほらほら見て、ここもまたちょっと違うよ……!」

みたいに、ひたすら明暗の違いを表現してくれます。

これが実はゲームにかなり効いてくるんですよね。

僕からは、東京ゲームショウ2016でも「PS4 Proの実力を4K/HDRテレビで体験!」という記事でお伝えしたのですが、

“これまでのゲーム内映像になかった色”が映るんです。

正確にはこれまでになかった明るさの表現と暗さの表現になるのですが、明暗、特に明るさはそれが照らすものの色味を変えていきますので。光に照らされて色がグラデーションしている箇所などに違いがググッと出てきます。

4K/HDR対応のテレビやディスプレイと組み合わせてこそのものではありますが、映像表現が“一歩新しい世代に進むんだな”と感じられるものになっていますよ。

ただ……これが実は「どうお伝えしていけばいいやら」というのが内部的な悩み。解像度的にも色味としても、写真ではその描写の100%は伝えられないものがありますし、動画も同様というか、4K/HDRをキャプチャーできる機材がほぼ見当たらないという状態です。

VRデバイスもそうなのですが、実は4K/HDRも、実際に製品そのもので体験してもらわないと伝わらない……というところがあり。ネット上の素材だけでなく、家電量販店等でぜひその目でご体験頂ければという次第です。

4K/HDRは、ネット経由での写真や動画では伝えきれない領域。ネット上での素材をある程度の参考にしつつ、家電量販店等でのデモで実際に体験してみてもらいたいところです

さてさて、プレイステーションやXboxは4K/HDRの映像表現とハイスペックの世界へ突き進んでいくその一方で、同日の11月10日に任天堂から“手のひらサイズのファミコン「ニンテンドークラシックミニ ファミコン」”が発売されるというのが、個人的にとても見所です。

ちょっとおおげさな言い方をすれば、プラットフォーマーのスタンスやアプローチを示しているところがあるなとも思えます。ハイスペック路線に対しての、体験の枠組みや提案を変えていく路線という感じです。

例えば、4K/HDRはテレビ・ディスプレイありきな話にはなり、どうにも環境含めてついていくのが大変という人も多いかと思うのですが、来年3月に発売予定の任天堂の新ハード「ニンテンドースイッチ」では、必要な環境自体も変えていこうというもので。それにそこにはまだ明かされていないものもあるのかもしれません。“スイッチする”というコンセプトがどれほどの体験を変えていくのか、意味合いがあるのか、注目です。

11月10日に発売される「ニンテンドークラシックミニ ファミコン」
アプローチを変えてゲーム体験自体の定義を変えていく任天堂。「ニンテンドースイッチ」もまだまだ何かがあるような気がしてなりません

ではでは、今回はこのへんで。また来週。