山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第36回

オペレーションが熱い「Battlefield 1」と不思議な魅力のRPG「Undertale」でPCゲーム三昧している話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

今週もこんにちは、山村智美です。あっという間に11月ですね。この季節はハードコアゲーマーな人たちにとっては、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)の新作に燃える季節でしょうか。

とりわけ今年は、「Battlefield 1」が10月21日、「TITANFALL 2」が10月28日、「コールオブデューティ インフィニット・ウォーフェア」が11月4日発売と、なんだか毎週FPSのビッグタイトルが並んじゃってて。

いかにFPS好きであっても「一体僕たちにどうして欲しいんだい?」みたいにもなりますよね、これは。なにしろ1週間ごとですからね。

そんななか、わりと緩めに楽しむ派の僕は「Battlefield 1」をとりあえずプレイしております。

「Battlefield 1」はシリーズ初の第1次世界大戦をモチーフにしたということで、ハイテク兵器満載の近代戦や、SF方向に進んでいた流れから、一気にBack to the 1914年。騎馬で突撃し、プロペラ機が飛び交う戦場となっております。

でもね、発売前に行なわれたオープンβテストをプレイしたときは、正直ちょっと不安だったんですよ。

というのも、「第1次世界大戦がモチーフなだけに……結構地味なのかも」っていう感想を持っちゃったんです。まぁ凝った兵器は少なめに、歩兵メインな感じになるのは当然なのかな、と。

(後に製品版をプレイした今では、βテストは砂漠マップをひたすら歩いていたから、そう感じただけだったとわかったわけですが)

そんな少々の不安を抱えつつも製品版を購入してプレイしてみると、その不安はすぐに消え去りました。

面白いんですよねーこれが。

βテストで感じた不安はどこへやら、シリアスさ・生々しさ・激しさというスパイスがたっぷり効いていて、特にマップの作りやそこから生まれている雰囲気の良さは秀逸です。

マップには最初から“その地で既に繰り広げられた戦いの爪痕が生々しく残っている”ところが個人的にポイントと感じていて、例えば砲撃でえぐれた地面であったり、崩れた瓦礫、積み上げられた大砲の弾など、大戦の雰囲気を作りつつも、プレイに活かせるオブジェクトになっているものがたくさんあるんですよね。えぐれた地面に伏せるだけでも相手の視界から隠れられますから。それに応じてなのか、スポット(発見した敵をマーキングするようなもの)が少しシビアになっているのも、うまく噛み合っています。

そうした、凝った建造物などではなく、あくまで1914年の自然の光景の中の戦場がまずあって、そこにある戦場の爪痕が、プレイに起伏を生んでくれているという。これまでにあまりないアプローチを感じさせます。

また、そういう油断のできないナチュラルな隠れ場所の多いマップなので、奇襲をかけたりかけられたりのシビアさも出てくるんですよね。クリアリングの緊張感高めななか、便利すぎる近代兵器のない歩兵メインな時代だからこそ、肉薄した戦闘がそこらで巻き起こると。

インパクトを与える派手さもしっかりケアされていて、飛行船や列車などの巨大兵器がやってきたときの脅威、砲撃でいたるところが崩れまくり、乗り物が破壊されたときの爆発も怯むほどの激しさ。

それになにより、遊びやすいんですよね。ゲーム全体のスピード感から操作の手触りまで、速め&激しさ重視に、上手い具合の小気味良さです。最近の「ハードライン」や「4」のようなまったり感はそのぶん薄れている感じでしょうか(慣れていくと、同じぐらいにまったりやれるようになるかもしれませんが)。

新モードの「オペレーション」も、大規模なラッシュと言いますか、攻撃側と防衛側にわかれているぶん、くっきりと戦場が激しくなるし、そこにストーリー性のあるラウンド形式が組み込まれたような作りになっていて、これも面白いです。「Battlefield 1」の独特なテイストを活かすのにマッチしたモードだなぁと思いますね。

今後の拡張パック次第というところもありますが、かなり長く楽しめるコストパフォーマンス抜群の1本となりそうです。僕のようにβテストに参加したらちょっと違和感があったので今も様子見をしているというシリーズファンの人がいたら、ぜひプレイ配信などを見てみてもらいたいところです。

さてさて、話は変わりましてもう1本。「Battlefield 1」もWindows版でプレイ中の僕ですが、友人からオススメされたインディーズゲーム「Undertale」を遊んでいます。Steamや公式サイトにて英語版のみ販売されているRPGですが、非公式ながら日本のファンによる日本語化パッチがあります。

英語版がはじめてリリースされてから約1年ほど経っているので、知っている人はとっくに知っているのだと思うのですが。今さらながらプレイしているというわけでして。

いやぁこれが、人気があるのも頷ける、“良い味してるゲーム”ですね。

主人公はエボット山にある“モンスターを封印したとされる穴”に落ちてしまい、そこで様々な出会いを経験するのですが……。

任天堂の名作RPG「MOTHER」シリーズからインスピレーションを受けているということで、それが随所に感じられる「優しくも、ちょっと不思議で、ちょっと不気味で、ちょっとアレ」なテイスト。日本語パッチの翻訳もそれを汲んだ“良い味な翻訳”ですね。

ちょいちょい「いかにも海外なジョークだぜ、よくわからないぜ、でも笑っておくぜ!」的になるような、日本人にはわかりづらいセンスのシーンもあったりしますが……でも面白いです。

ドット画のグラフィックスに、独特な柔らかさとブラックさを併せ持つテキストベースなストーリー。昨今のビッグタイトルでは味わえない魅力が楽しめますので。興味を持った方はぜひチェックしてみてください。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。