PS4/PS3/PS Vita「進撃の巨人」レビュー

進撃の巨人

シンプル操作で誰でも簡単に立体機動が体感できる!

ジャンル:
  • タクティカルハンティングアクション
発売元:
  • コーエーテクモゲームス
プラットフォーム:
  • PS4
  • PS3
  • PS Vita
価格:
8,424円
(PS4 / PS3)
7,344円
(PS Vita)
発売日:
2016年2月18日

 プレイステーション 4/3/PlayStation Vita用タクティカルハンティングアクションゲーム「進撃の巨人」が遂に発売された。今回はPS4版をプレイする機会が得られたので、その感触や魅力についてレビューしていこう。

 まず「進撃の巨人」は諫山創氏による同名の漫画作品を原作とし、人間よりもはるかに巨大な敵「巨人」を相手に、人類が開発した「立体機動装置」を使い、縦横無尽の戦いを繰り広げるバトルシーンが人気のひとつとなっている。ゲームでもこの「立体機動」はアクションの要として再現されていて、簡単な操作で自由自在に空中を駆け回り、巨人たちを駆逐する爽快感を味わうことができる。プレーヤーはエレンやミカサ、リヴァイといった主要キャラクターを操作し、物語の世界を探検したり、様々なミッションを遂行して巨人たちと戦っていくことになる。

【「進撃の巨人」PV第3弾】

大迫力で爽快な戦闘システム

原作の追体験モードと壁の外を調査するモードで遊べる

 基本となる操作は非常にシンプルで、□ボタンひとつでワイヤー射出から離陸までの立体機動アクションが全自動で行なわれる。あとはブランコを漕ぐ感覚で□ボタンをタイミングよく押していけば、画面の中ではキャラクターたちがスタイリッシュな立体機動を繰り広げてくれる……という感覚だ。これが非常に爽快で、そびえ立つ建物の間や森の中を縦横無尽に駆け巡る楽しさは1発で虜になってしまった。

 そうやって気持ちよく移動していると、敵となる巨人に遭遇することになる。巨人を見つけたら「R1」で戦闘態勢に移行する。巨人はサイズにもよるが、首・腕・足などの身体の部位をロック対象として選ぶことができ、攻撃によって各部位を破壊することができる。戦闘態勢時は立体機動のアンカーは巨人に対して射出されるので、うまく使って接近しよう。攻撃手段となるブレード(剣)が届く距離まで近づいたら、△ボタンで巨人を攻撃することができる。

 巨人は手足を切断しても時間が経つと再生してしまうが、弱点であるうなじを攻撃すれば再生することなく倒せるので、積極的に狙っていこう。しかし、巨人側もそうやすやすと弱点を攻撃させてはくれない……そんなときは×ボタンを押してのブーストが有効となる。立体機動装置内のガスを噴射するこのアクションは、キャラクターの移動スピードを劇的に加速させることができるので、移動時の時間短縮や攻撃時の高速突撃など便利に使っていこう。

 このように、基本の操作は左スティックと□、△、×、R1の4ボタンだけで事足りてしまう。この簡単操作設計と、それによって画面内で展開するド派手な戦闘シーンのギャップにはプレイしながら舌を巻いてしまった。簡単操作で巨人を相手に戦いを挑むことができる操作性の良さは、「進撃の巨人」は好きだけどアクションゲームはちょっと……という人にこそぜひ遊んでもらいたいと思った。

 この他にも巨人の視覚を奪う閃光弾や聴覚を奪う音響弾など、ゲームを進めるうえで有利になるアイテムが多数用意されているので、プラスアルファで活用すれば戦略の幅が広がるだろう。

立体機動で自由自在にフィールドを飛び回れる
ワイヤーとガスを駆使して巨人を翻弄しよう

 戦闘が長引いてくると、高速移動用のガスが減ってきたり、スナップブレードの刃が消耗して戦闘を継続できなくなることがある。そんな時は所持アイテムにある予備のガスとブレードを消費してリロードしよう。予備も使い果たしちゃったよ……なんて時は、マップに現われる補給兵に譲ってもらったり、戦いで力尽きた仲間から失敬することもできる。なんだか悪い気もするけど、人類が生き残るために涙を飲んでモリモリ頂戴していこう。

 また、戦闘中にゲージが貯まると一定時間の強化状態になる「決戦の狼煙」を発動することができる。この状態になるとプレーヤーと共に行動している仲間たちが一斉に巨人に襲いかかり、奴らを一気に駆逐してくれる。その他にもキャラの攻撃力強化やガスとブレードが消耗しなくなるなど多くのメリットがあるので、積極的に発動を狙っていきたい。

 そのほか視点変更などの操作性は、同じコーエーテクモのタイトル「無双」シリーズにかなり近いものとなっている。「無双」シリーズの経験者としては、馴染み深くシンプルな操作性を実現しつつも、アクションの感触は全く新しいゲームに仕上がっているところが素晴らしいと感じた。

キャラの再現性も高し。もちろん巨人になることも!

 キャラクターについては、主人公のエレンをはじめミカサやアルミンにリヴァイなど、原作の主要キャラクターはほとんど操作すことができる。それぞれのキャラクターには特徴があり、ミカサの超人的な機動性やリヴァイ兵長の超絶戦闘力などもステータスとして反映されているので、思う存分好きなキャラクターになりきって暴れることができる。

 そして「進撃の巨人」といえば、“立体機動装置”と共に忘れてはいけないものがエレンの「巨人化」だろう。本作でもエレン巨人を操作し、他の巨人どもをなぎ倒すことができる。巨人化モードでは立体機動装置のスピードによる爽快感のかわりに、圧倒的なパワーで巨人や建物をバリバリ破壊していく快感が得られるだろう。こうなるとゲームとしての手触りもガラリと変わって、まさに一粒で二度おいしい状態。ぜひご近所に怒られない範囲で雄叫びを上げながら大暴れしよう。

ミカサやリヴァイ、アルミンなど操作できるキャラも豊富

巨人化モードは、それまでとは全く違う感覚が味わえる

やり込み要素も充実

 本作はアクションゲームとしての作り込みだけでなく、ディープなやり込み要素も充実している。巨人を倒した時やミッション達成時の報酬として手に入る素材から新装備を作成したり、過去のミッションを反復してのキャラクター育成など、じっくり腰を据えてプレイしたいという人の希望にも十分応えてくれるだろう。

 コスチュームなどの戦闘には関係ない部分もカスタマイズ可能なので、自分の好きなキャラクターを好きなようにアレンジして遊ぶことができる。お掃除姿の兵長が血まみれで巨人を仕留めまくる光景を見た時は、「自分は夢でも見てるんだろうか……」と思わず頭を抱えてしまった。

 先日の完成発表会でも明かされたように、オンライン協力プレイなど大型アップデートも控えている本作。とっつきやすい操作性でサクッと気軽にプレイするもよし、最強の兵団目指してどっぷりやり込むもよしと、いわゆる“キャラゲー”の枠を超えた楽しさを提供してくれることは間違いない。原作ファンもアクションゲームファンも等しく満足させる快作として、自信を持っておすすめできる完成度だ。

装備は素材を入手することで開発や強化ができる
入手したコスチュームは自由に着せ替えが可能
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(市川太一(クリエンタ))