(2015/3/6 00:00)
マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、15.6型ゲーミングノートPC「NEXTGEAR-NOTE i5702」シリーズが1月27日に発売された。価格は183,384円より。
「NEXTGEAR-NOTE i5702」シリーズは、ノートPCでありながらデスクトップPC用のCPUを搭載しているのが特徴のゲーミングノートPC。GPUはノートPC向けだが、NVIDIAの高性能GPUであるGeForce GTX 970Mを搭載し、最新のデスクトップPCにも比肩するスペックを有した1台になっている。
今回はその中でも最上位機種となる「NEXTGEAR-NOTE i5702PA1」をお借りする機会が得られたので、そのレビューをお届けする。
「Devil's Canyon」とGeForce GTX 970M、M.2 SSDのハイエンド構成
まずは「NEXTGEAR-NOTE i5702PA1」の主なスペックをご紹介しよう。
【スペック表】
NEXTGEAR-NOTE i5702PA1 | |
---|---|
CPU | Core i7-4790K |
チップセット | インテル Z97 Express |
GPU | GeForce GTX 970M(6GB) |
メモリ | DDR3-1600 32GB(8GB×4) |
SSD | PLEXTOR M6e 512GB(M.2/PCI Express) |
HDD | 1TB |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)ノングレアパネル |
OS | Windows 8.1 Update 64bit |
CPUは先述のとおりデスクトップ用で、最上位機種の本機は「Devil's Canyon」ことCore i7-4790Kを搭載している。チップセットもデスクトップ用のZ97 Expressで、ここだけを見ればデスクトップ型のゲーミングPCにも全く見劣りしない。GPUはMaxwellアーキテクチャを採用したGeForce GTX 970Mで、ビデオメモリは6GBとたっぷり搭載。これも並のデスクトップ向けGPUを凌駕する性能だ。
さらにストレージに、PLEXTOR製M.2/PCI Express接続のSSD「M6e」の512GBモデルを搭載。SATA3の限界速度を超える性能を持つ最新のSSDを、512GBの大容量で搭載するという贅沢仕様だ。加えてHDDも1TB搭載のデュアルドライブ仕様。ただし光学ドライブがなく、必要な場合は外付けの製品が必要になる点だけは注意が必要だ。
「NEXTGEAR-NOTE i5702PA1」の価格は302,184円。ハイエンドモデルだけあって安くはないが、スペックから考えれば妥当なラインだろう。なおCPUをCore i3-4160、メインメモリ8GB、SSDなしなどの基本モデルとなる「NEXTGEAR-NOTE i5702BA1」は183,384円から用意されている。いずれのモデルも、パーツ単位の細かいカスタマイズも可能だ。
スペックに違わぬ高性能を全方位で発揮
それではベンチマークテストの結果を見ていきたい。ゲーム系ベンチマークとして、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」を使用した。またゲーム以外のベンチマークテストとして、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 3.0.3」も利用した。
ゲーム系のベンチマークテストは、いずれもフルHDで最高画質を選んでも十分に余裕があるという結果になった。テスト中の様子を見ていてもフレームレートが常に高い状態を維持できている。また「CINEBENCH R15」の結果を見ても、ノートPCでありながらCPU・GPUとも非常に高い性能を有しているのがわかる。ここまで高性能だと、4Kモニターのチョイスがないのが残念に思える。
「CrystalDiskMark 3.0.3」によるストレージのベンチマークテストでは、SSDがリードで700MB/sを超える結果を出してくれた。ランダムアクセスも非常に高速で、実使用でもOSの起動はまさにあっという間。ゲームの起動も非常に高速だ。HDDも決して遅くはないが、ゲームを双方のドライブにインストールして試してみると、はっきり違いが感じられる。容量も512GBで余裕があり、ゲームのインストールもまず不安はなさそうだ。
バッテリーの持続時間は、最大で約2.5時間(JEITA測定法2.0)とされている。「BBench」を使って実測してみると、キーストロークとweb巡回あり(Wi-fi接続)、ディスプレイの明るさ40%の設定で、満充電から約2.4時間と、記載スペックに近い値になった。
ワーストケースとして、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」をループ再生し、NVIDIA Battery Boostをオフにした場合、約50分でバッテリー切れ。「Diablo III」の実プレイでは約1時間10分でバッテリー切れとなった。ゲームプレイではACアダプタを接続して利用する前提と思っておいていいだろう。
性能からは考えられない静音性の高さ
続いて実使用での感触もお伝えしよう。デスクトップ用の高性能CPUを搭載しているとなれば、気になるのは排熱だ。ファンは本体背面の左右に取り付けられている。と言っても低負荷時はほとんど無風で音もしない。ベンチマークテスト中など高負荷時は当然ファンが回るが、ファンの音は非常に控えめだ。音質も耳障りな風切り音はほとんどなく、ゲームの音を少し出していればもう紛れてしまう。
となると、熱が他へ逃げているのか。筐体のあちこちを触ってみると、まずキートップはやや温かくなる。特にゲームの操作によく使うWASDキー近辺には温かさが伝わってきている。とはいえ夏場の使用時は気になることがあるかも? という程度で、全く気にならないという人も多そうだ。リストレスト部は左手側にかすかな温かさが伝わるが、キートップに比べても控えめでほとんど気にならない。
15.6型という筐体の大きさと、スペックやベンチマークテストの結果から見ると、この冷却性のよさは非常に優れている。ゲーミングノートPCは高性能をコンパクトにまとめるため排熱処理が難しく、小型で高回転するファンはどうしてもうるさくなるものだ。より発熱の大きなデスクトップ用CPUを搭載しているのに、こんなに静かなゲーミングノートPCにまとまるのは驚きだ。これまで自分が見てきたPCはいったい何だったのかと思ってしまう。
キーボードは標準的なストロークの深さ。タッチは重くはないが、しっかりしたクリック感がある。強くタイプしても音が小さく、ゲーム中のカチャカチャという音もかなり低減されている。キートップがやや丸みを帯びた形状になっており、暗い場所でもミスタイプも減りそうだ。総合的に見て、キータッチが強めの人には特に合いそうだ。ただ一部のキーが縦に細長い形状に圧縮されているのが惜しい。
またキーボードのバックライトLEDも完備。基本は全体が青に光るが、専用アプリで色や光り方を変更できる。また同じアプリで任意のキーをマクロキーにできる機能も搭載しており、複雑なキー入力をワンタッチで実行することも可能だ。
スピーカーは本体とモニターのつなぎ目部分に装備されている。見た目は細長いが、実際は左右に分けて配置されており、ステレオ感はしっかりある。コンパクトなスピーカーなので重低音までは出ないが、高音までバランスのいい音が出ている。ゲームではヘッドフォンなしでも自然なプレイ感が得られた。
液晶はフルHDのノングレアパネル。色味や視野角を含めて標準的な印象で、特に不足を感じるわけではない。ただここまでハイエンドなPCなら、モニターも何かしらのプレミアム感が得られるものが欲しいな、という気はする。
高性能なだけではない、全体の完成度の高さが魅力
筆者はPCゲーミングにおいてはCPUよりGPUを重視すべきで、デスクトップPCを選択することにどこまでの意味があるのか……と思っていた。その考え自体は今も変わらないのだが、本機はそれを予想外の形で裏切ってくれた。
ノート用よりも発熱が大きいはずのデスクトップ用CPUを選んだら、余計に発熱が増えてしまい、ただでさえ排熱とファンの騒音に苦労するノートPCは不快さが増すのは必然だ。しかし本機は、デスクトップ用CPU、しかも「Devil's Canyon」を搭載しながら、並のゲーミングノートPCを下回るほどの静音性を実現している。どうやったらそんなことができるのか、分解してみたい気分だった。
下手なデスクトップPCよりもよほど静かで快適なのに、性能はしっかりハイエンドで、15.6型というサイズに見事に落とし込んでいる。ゲーミングノートPCとしての使い勝手は非常にいい。少々高価でも高性能と静音性を両立させたいという人には、とても魅力的な製品に仕上がっている。