ゲーミングPCレビュー「G-GEAR N1580J-710/E」

G-GEAR N1580J-710/E

CPUやGPU以外もゲーマー向けのこだわりスペック

CPUやGPU以外もゲーマー向けのこだわりスペック

Killer Network Managerで各種の設定を行なう。難しいネットワーク用語が並ぶが、「ゲーム最適化」などの肝心な機能は標準でオンになっている
Sound Blaster Cinemaの機能のひとつ「SBX PRO STUDIO」。ヘッドホンや本体のステレオスピーカーで仮想5.1chサラウンドを楽しめる

 「G-GEAR N1580J-710/E」にはそのほかにもゲーミングノートPCとしてのポイントがいくつかある。

 まずはネットワーク機能を紹介しよう。有線LAN、無線LANに「Killer」とあるが、これはゲーム向けに開発されたネットワークチップだ。Killerチップが普通のLANチップと何が違うかと言うと、レイテンシが短い点。GbpsやMbpsといったネットワーク速度は変わらないが、レイテンシが短いため、ゲーム中に何かのコマンドを発した際、そのコマンドがすぐさまサーバーに送られ、レスポンスの戻りも速い、と言うわけだ。

 実際のネットワークは、通信速度が変動するし、サーバーの性能にも左右されるし、レイテンシが短いと言ってもミリセカンド単位の時間なので、体感上の変化となると判断が難しい。ただ、ゲーマーが60fpsというフレームレートにこだわるのと同じ感覚と表現すればよいだろうか。

 次はサウンド。一般的なノートPCであればHDオーディオと表記して終わりというところだが、本製品ではサウンドブラスターシリーズの「Sound Blaster Cinema」対応オーディオチップが採用されている。デスクトップで言えば、サウンドカードが追加搭載されているようなものだ。ノートPCでも、高品質なサウンドを求めてUSBサウンド機器を外付けする方も多いが、本製品ではそれが標準装備されていると考えればよい。5.1chのDolby Digital出力やDTS Connect機能に対応し、オーディオエフェクトでは「THX TruStudio Pro」にも対応する。

 最後はキーボード。本製品は、キーボードにもこだわっており、ゲーマー向けのキーボードやマウス、マウスパッドなどの機器で知られる「SteelSeries」製を採用している。耐久性やレスポンス、復数キーの同時押しなど、ゲームで要求されるハードウェアスペックを満たしている。また、通常時は便利でもゲーム時には押し間違いしてしまいがちなWindowsキーを、通常の左下から右下へと移動させているのもポイント。FPSゲームなどで不意にコンソールが開いてしまったり、IMEが起動して戻せなくなったりといったトラブルを未然に防止する。

 また、ゲーム時に多用するCtrlキーやAltキーがやや大きめにとられているのもポイントとなる。そして“見た目”で最大のインパクトとなるのがイルミネーション機能だろうか。キーボードバックライトが組み込まれてあり、室内を暗くしてもキートップの刻印が浮かび上がる。

【キーボードレイアウト】
左下にあるべきWindowsキーがゲーム中の誤操作防止のため右下のカナ/かなキーと右Ctrlキーの間に移されている。Windowsキーのスペースぶん、左Ctrlと左Altキーはひとまわり大きくとられている。こうした特殊配列のため、ある程度慣れが必要だ。ほか、タッチパッドは、USBポートにマウスを挿すと自動的に機能オフとなる。ゲーマーからの要望を取り入れて実装された機能とのこと

【キーボードバックライト】
キーボードバックライトのオン/オフはキーボード奥にあるタッチセンサーボタンで行なう。Fn+テンキーの+/-キーで彩度の調節も可能だ。ほか、でんでん太鼓風ボタンはファン回転数を全開にする機能。強制的に冷やすことでHaswellのTurbo Boost、GeForce GTX 770MのGPU Boost 2.0という2つの自動OC機能を効率的に活用できる

標準構成でも十分だが、BTOでさらにハイパフォーマンスマシンに進化する

 さて、ノートPCとなると、購入後のハードウェアの変更というのがデスクトップと比べた際のネックとなる。CPUやGPUの交換は実質不可能であり、ストレージを変更するにも分解作業が必要で、多くの場合、本体を分解してしまうと本体保証が切れてしまう。そこで、当初より将来を見越したスペック選び、本製品の場合はBTOカスタマイズを施すのがよい。

【背面写真】
背面にはACアダプタ用ジャック、LANに加え、Dsub 15ピン、Mini DisplayPort、HDMIと3系統のディスプレイ出力端子を備え、マルチディスプレイにも対応する。大きめの排気口はゲーム時でも満足の静かさが得られる

【左右側面写真】
右側面には光学ドライブとUSB 2.0、4系統のオーディオ入出力端子を備え、左側面には3つのUSB 3.0、カードリーダーを備える。この左側面にも排気口を装備。吸気口は底面および手前側左右に備えている

 BTOとは言っても、本製品の場合、GPUの変更には対応していない。主なBTO項目は、CPU、メモリ、ストレージ、そしてOSのグレードやOfficeソフトの有無となる。パフォーマンス面でチェックしたいのは、主にストレージだろう。標準構成で、128GBのSSD+500GBのHDDとなっているが、SSDは256GBも選べるほか、HDDは1TBが選択できる。HDDは、場合によってはUSB 3.0による外付けでも速度面でネックになることは無いため、ポイントとなるのはSSDだろう。HDDを500GBのままSSDを256GBに増量した際でプラス10,500円、HDDを1TBに、SSDを256GBに増量した場合でプラス15,750円となっているので、それぞれの単品価格と比べても価格メリットはバッチリだ。HDDも、場合によってはUSB外付けドライブを追加するよりも低コストとなる。

 そのほか、メモリは8GBから16GBへの増量ができ、光学ドライブはBlu-rayドライブにも変更可能、CPUもCore i7-4900MQ(4C8T/2.8GH/TB時3.8GHz)に変更可能となっている。CPUの変更は45,150円とコストがかかるものの、定格2.8GHz、Turbo Boost時3.8GHzともなるとほぼデスクトップのハイエンドCPUと変わらぬパフォーマンスになってしまう。CPUは実質交換不可なパーツだけに、思い切ってアップグレードするというのも、長期使用を考えれば選択肢に挙げられるだろう。

 そしてOSだが、標準のWindows 8のほか、Pro版、そしてWindows 7 Home Premium/Professionalも選べる。手間なしにスタートボタンが欲しい! とか、慣れ親しんだ画面が良い! といった場合は、こちらを選ぶことも検討したい。

 G-GEAR N1580J-710/Eは、あくまでゲーミングノートPCとして設計されているため、通常のキーボードと異なる少々クセのあるキー配列は、普段使いではやや戸惑いがあるかもしれないが、ただそれだけにゲーミングPCとしてのパフォーマンスは高い。

 また、デスクトップPCとは異なり、これ以上に性能を引き上げる「拡張カードの追加」やCPUの換装といった購入後のアップグレードはできないが、これ1台で最新のゲーミング環境が揃うのは頼もしい限り。とりわけ、MMORPGやアクションタイトルを楽しみたい方にとって、今回計測したベンチマークスコアは頼もしい値ではないだろうか。

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(石川ひさよし)