★ iPhone/iPod touch/iPadゲームレビュー★
PC向けの美麗3Dオンライン麻雀がiOSに登場
初心者から麻雀好きまで楽しめる充実の内容
「雀龍門Mobile」
ジャンル:
オンライン麻雀
発売元:
エヌ・シー・ジャパン
開発元:
NCsoft
プラットフォーム:
iPhone 4/iPod touch(第4世代)/iPad
価格:
無料(iPhone/iPod touch)/85円(iPad)、アイテム課金制
発売日:
10月28日

 iOS用のオンライン麻雀ゲーム「雀龍門Mobile」が、エヌ・シー・ジャパン株式会社より11月28日にリリースされた。本作は、同社が提供するWindows版「雀龍門」シリーズのモバイル版となる。Windows版は現在「雀龍門3」として提供されているオンライン麻雀ゲームで、80万人以上のユーザーを抱える人気タイトル。「雀龍門Mobile」は、そのDNAを受け継いだモバイルゲームとなっている。

 今回はリリース前のiPad版に触れる機会を得たので、その麻雀ゲームとしての感触や、本作に収録されている麻雀講座「雀龍門講座」を中心にご紹介したい。ただし、この記事はサービス開始前に執筆しているという事情もあり、通信対戦周りのシステムについては多少触れているが、レビューはオフライン環境のみのものとなっているので、この点についてはご容赦いただきたい。




■ 美麗な3Dグラフィックスのオンライン麻雀が安価で登場

3Dで再現された麻雀牌は綺麗で洗練された印象

 ゲームの説明に入る前に、まずは本作最大の特徴であるグラフィックスの話をしておきたい。スクリーンショットを見てもらえばわかるように、麻雀牌や卓は3Dグラフィックスで描かれている。視点も卓を斜め上から見下ろすようになっており、平面的な2Dグラフィックスの麻雀よりも画面全体として綺麗な仕上がりだ。

 さらにゲーム画面のもう1つの特徴が、プレーヤーの分身となる「手」だ。捨牌を選ぶと、プレーヤーの代わりにこの手が牌を捨ててくれる。牌を摘まむようにして捨てたり、ドラは少し強めにパシッと捨てたりと、捨て方や捨牌を直す仕草にも何種類かパターンがある。表情のある「手」の動作と綺麗なグラフィックスが合わさり、洗練された雰囲気が画面から感じられる。

 グラフィックス面では、アガリの際の演出も特徴がある。ロンをした場合、アガリの牌には「シパーン!」という音と共に雷が落ちる。さらに満貫以上なら、手牌を倒すカットが差し込まれる、といったものだ。点数が大きくなれば演出もより派手になる。この演出によって、アガリには独自の爽快感が生まれている。

 iOSの麻雀ゲームの中ではトップクラスの美しさを持つ本作は、iPhone/iPod touchでは無料、iPadでは85円という安さで入手できる。オフラインのシングルプレイは無料で、オンラインプレイも毎日ある程度までは無料で遊べる。料金周りの詳細はこちらの記事をご覧いただきたい。


【スクリーンショット】
ロンの声がかかると、当たり牌には「シパーン!」と雷が落ちる演出が入る満貫以上の手をアガると、手牌を「バーン!」と倒すムービーが入り、「雀龍門」ならではの爽快感が生まれている



■ 起動してすぐに対戦開始。スワイプ操作にも対応

「通信対戦」は3種類あるゲームモードを選ぶ
スワイプ操作にも対応。操作方法は対局中にも確認できる

 「雀龍門Mobile」では、実際に麻雀ができるゲームモードは2つある。1つは、オンラインで対戦できる「通信対戦」。ここでは「東風戦」か「半荘戦」、またはマッチコードを決めて友人と対戦ができる「友人戦」を選んでオンライン対戦ができる。もう1つが「シングルモード」で、こちらは通信環境に関係なく、オフラインで3人のCPUと対局できる。

 モード選択は、起動してすぐに表示されるメニューでを選ぶだけ。特に「シングルモード」は、タッチすればいきなり対局が始まる。「通信対戦」でも、3つあるゲームの内1つを選択すればいいだけなので、起動から最短2タッチで対戦準備が整うことになる。

 「通信対戦」のルールはありありの東風戦と半荘戦が選べるが、「シングルモード」はありありの東風戦のみ。ただ、こちらはオフライン環境でも遊べることに加え、ホームボタンでスリープして中断しても、再起動すれば中断したところから再開できる。少し空いた時間や移動時間などに麻雀を遊びたい時には最適だ。オンライン対戦では当然ながら相手が待ってはくれないので、スリープからの再開はできない。

 ゲーム中の操作はタッチパネルを使った直感的なもので、捨牌選択は手牌から要らない牌を2回タッチするだけ。発声できる牌が捨てられた時は、ゲームの進行が止まって「ポン」や「アガリ」といったボタンが表示されるのでそれを押せばいい。見逃したい時は、その隣の「パス」ボタンを押す。

 また、これらの動作はスワイプ操作にも対応している。例えば、捨てたい牌を下から上に払えば捨牌になり、チーは画面を左から右へ払う。画面を右から左へ払えば、ツモ切りと「パス」の動作になる。ゲームの進行はボタンをタッチするので十分事足りるが、iPhoneやiPod touchでは画面が比較的小さいため、ボタンをタッチするよりも楽に操作ができるというメリットがある。あとは単純に、「スワイプ操作が気持ちいい」というのもある。




■ 捨牌にも宿るリアルさ。相手手牌の切り出しに注目

 グラフィックスが綺麗だということは先に書いたが、対局中の牌と手の組み合わせは、ゲームの戦略の点からも面白い。対戦相手が牌を捨てる瞬間に注目していると、手牌から切り出される場所がその度に違うことがわかる。これは、手牌のどこから切り出したかを正確に示しているためだと思われる。ツモ切りか手出しかがわかるだけでなく、ツモ牌がどこに仕舞われたかも描写されるので、これらの情報を覚えて組み合わせれば、どの辺りにどのような牌が集まっているかなど、ある程度の相手の手牌を把握できる。

 と簡単に言ってはみたものの、自分も和了を目指しながら他人の様子を見るのは、とんでもなく高度な技術だ。筆者もまだまだ挑戦中だが、少なくとも練習はできる。そしてこれは、本物の麻雀にも活かせる技術だ。「雀龍門Mobile」がリアルな麻雀に近づけようと目指したことで、こういった特殊な技術を活かせるし、鍛錬もできる。逆に言えば、リアルな麻雀で培った技術がここに活かせるということでもある。細かい部分だが、細かいからこそ、麻雀好きの血が疼く。

 一方で、上記のような方法で看破されるのを防ぐため、普段は自動となっている理牌機能のon/offを切り替えられる。offにすると手動で牌を移動する必要があるが、この技術を持っているかもしれない上級の相手と対戦する際には必須の機能だろう。この他のサポート機能としては、タッチした手牌のと同じ牌とその前後の牌が、捨て牌などにあれば色が変わって表示されたり、手牌のドラ牌が光って知らせてくれたりといったものがある。相手の待ち牌を読みやすくしてくれたり、うっかりドラを捨ててしまわない役目を果たしたりと、重宝するサポート機能だ。


【スクリーンショット】
捨牌などを行なってくれる「手」。リアル志向の細かな描写が画面を盛り上げる対局中には、選択した牌と同じ牌が場に何枚あるか一目でわかる機能などのサポートもあるサポート機能には他にも、自動ツモ切り、自動和了などがある



■ 初めてでも楽しく学べる。丁寧かつ充実の「雀龍門講座」

トップ画面から選択できるもう1つのゲームモード「雀龍門講座」。「メイリン」が丁寧に麻雀を教えてくれる
知らなくてもゲームはできるが、知っていたらより有利になる点数計算方法も収録。制作者の「ユーザーに強くなってほしい」という思いが伝わってくる

 本作には他にもう1つ、「雀龍門講座」というモードがある。こちらはチャイナドレスを着たかわいらしい女性キャラクター「メイリン」ら3姉妹が、麻雀のルールを「雀龍門Mobile」のゲーム画面を使ってわかりやすく解説してくれるというもの。一見おまけの要素に見えなくもないが、それは大きな間違い。実際にはかなりのボリュームがあり、とても丁寧な説明が用意されている。

 「雀龍門講座」は全部で20章。麻雀の基本的な流れから説明が始まり、手役の作り方、リーチ、フリテン、明槓(ミンカン)と暗槓(アンカン)の違いといったようなテーマが続く。どの章からでも選択でき、自分の知りたい項目に沿って受講できるようになっている。講座という名目だけだと堅苦しいイメージがあるかもしれないが、「メイリン」たち美人3姉妹が、掛け合いをして楽しく話を進めてくれるほか、章の最後にはまとめとしてクイズも出題される。受講すると言うよりは、インタラクティブな読み物を気軽に読み進める感覚だ。

 この講座が丁寧だなと感じさせるのは、点数計算の方法も収録されているところ。対局では点数を自動で計算してくれるので、計算方法を知らなくてもゲームはできるが、僅差でオーラスを迎えた際など、実際のゲームプレイでは点数計算ができれば有利になる場面が多々ある。ただ麻雀をやってもらいたいだけではなく、プレーヤーに強くなってほしいという制作者の思いが伝わってくる。この章にも点数計算のクイズが待っているので、「私は点数計算を覚えているから大丈夫!」という人でも、改めて確認してみるといいだろう。

 筆者は麻雀のルールは一通り知ってはいるが、もっと前にこの講座に出会っていれば、より楽しく麻雀を覚えられたと思うし、これから麻雀を覚えたいと考えている人には、「わかりやすい講座が付いているから、『雀龍門』を始めてみれば?」とぜひオススメしたい。この講座を読めば一般的な麻雀ルールがまるごと理解できる内容になっている。こちらは追加料金なしで利用できるので、麻雀初心者の人だけでなく、改めて点数計算方法を学びたいという人も、1度こちらの「雀龍門講座」を試してみてほしい。


【スクリーンショット】
講座は充実の20章立て。これを見るだけでも力を入れて制作されたことが伝わってくる麻雀を何も知らない、という人にも「メイリン」が麻雀卓を使ったり、解説図を表示したりしながら丁寧に教えてくれる
講座は「メイリン」の姉妹もサポートしてくれる。こちらは長女の「メイファ」こちらは末っ子の「メイシン」。講座はこの3姉妹が掛け合いをするようにして進む章の最後には、まとめとしてクイズが出題され、ここで復習できる



■ 初心者から麻雀好きまで。誰もが楽しめる麻雀ゲーム

アカウントは、TwitterやFacebookのものをそのまま使える。この管理画面では、他にアカウントの画像変更などができる
言語設定を変えると、「雀龍門講座」もその言語になる。ここで韓国語と英語の勉強をする……といった使い方もできるかもしれない

 本作はアカウントがなくても遊べるが、アカウントを取得すれば各種管理情報が見られる。このアカウントは「雀龍門Mobile」専用のものを新規に作成できるほか、TwitterとFacebookのアカウントがあれば、それをそのまま使用できる。

 設定画面では、使用する言語を日本語、韓国語、英語の3種類から選べる。これは「雀龍門Mobile」が世界展開を視野に入れていることから導入されているもの。試しに英語でプレイしてみると、表示される役名が、面前ツモは「Concealed Tsumo」、タンヤオは「All Simples」、混チャンタが「Mixed Outside Hand」となっており、普段見慣れない外国語での麻雀用語が新鮮で面白い。設定画面や「雀龍門講座」でも表記言語が切り替わるが、対局中の音声は日本語のままなので、どの役がどのような表記をされるか見比べてみるのも楽しい。

 今回は正式オープン前の体験で「通信対戦」は利用できなかったが、連携済みのTwitterとFacebookアカウントに対局結果をその場でアップロードしたり、対戦を重ねることで自分の成績がデータとして蓄積されたりといったオンライン機能もある。また一定の条件で獲得できる「称号」や、プレーヤーのレベルを表す「段位」昇格といった要素も加わるようだ。

 「雀龍門Mobile」は、対局開始までの手順がとてもシンプルで、対局中はリアルなグラフィックスや直感的な操作、派手な演出が楽しい。麻雀をやりたくなったら「とりあえず『雀龍門Mobile』を立ち上げてみようかな」と思わせてくれる仕上がりだ。世界中のプレーヤーが対戦相手になり、これから麻雀を覚えようという人から、生粋の麻雀好きまで、誰もが気軽に楽しめる麻雀ゲームだと言えるだろう。

 なお、先にサービスが始まっているWindows版「雀龍門3」では、よりパワフルなPCのスペックを活かし、物理エンジンを採用したさらにリアルなグラフィックス表現を実現している。外ではiOSの「雀龍門Mobile」で、家ではWindowsの「雀龍門3」で麻雀の腕を磨くのもオススメだ。ただしiOS版とWindows版はネットワークは別となっており、相互対戦はできないので、その点は注意していただきたい。



(2011年10月28日)

[Reported by 安田俊亮]