独特なオンラインプレイや誓約による“相互ロールプレイ”の魅力
(オンラインプレイ編)
- ジャンル:
- アクションRPG
- 発売元:
- 開発元:
- プラットフォーム:
- PS3
- 価格:
- 7,800円
- 発売日:
- 2011年9月22日
- プレイ人数:
- 1人
- レーティング:
- CERO:D (17歳以上対象)
絶望と希望を描くダークファンタジーアクションRPG「DARK SOULS」。以前には“オフラインプレイ編”のレビューをお送りしたが、今回は“オンラインプレイ編”のレビューをお送りしよう。
「Demon's Souls」では、その独特なオンラインの使い方も大きな魅力だったが、「DARK SOULS」ではそれをベースに、さらに凝った遊びも楽しめるようになっている。ただ本作の特色としてシステム面の解説があまりされていないため、楽しみ方がうまく浸透していないように思えるところがあるだろうか。そこで、オンラインプレイのシステムや楽しみ方の解説もしつつ、レビューをしていこうと思う。本稿をきっかけに理解度が高まり、よりプレイを深く楽しめるようになってもらえたら幸いだ。
なお、前回のオフラインプレイ編のレビューとは違い、このオンラインプレイ編では説明に必要なところだけ若干ネタバレ気味なところがある(主に固有名を使わざるを得ないところなど)。極力の配慮はしているので、その点にはご理解頂きたい。
■ プレイを共有するいい距離感のオンライン要素たち
「メッセージ」、「幻影」、「血痕」、「共鳴サイン」、「注ぎ火の伝播」
地面に残されたメッセージ。プレーヤーが書いたメッセージは他のプレーヤーの世界にも広がっていく。だが、旅のヒントになるものもあれば、嘘の内容もあり、気は抜けない |
メッセージは画像のように定型文の中に様々な単語を入れて作るという方式。詳細には書けないが、その曖昧に伝わるところが読んだ側の想像力をかき立てる |
オンラインモードでプレイしていると、何もしなくても様々な現象が起きるようになる。
まずは道に書かれている“メッセージ”だ。これは「橙の助言ろう石」というアイテムを使用して定型文のメッセージを残せるというもので、自分が書いたメッセージは他のプレーヤーの世界にも表示される。逆に他のプレーヤーが書いたメッセージも、自分の世界に表示される。
メッセージは定型文に単語を組み合わせていく方式で種類も豊富。例えば、「この先に、○○あり。」や「ジャンプ! 」といった内容で、周囲の危険や隠されたアイテムや場所を伝えられる。本作には「まさかこんなところに!」と驚かされるような仕掛けがたくさんあるが、メッセージの存在で発見が非常に楽になるだろう。
ただし、そのメッセージの内容が真実かどうかの保証はどこにもない。飛び降りるとショートカットができると思わせるメッセージでも実は嘘で、飛び降りたら死んでしまうなんていうこともある。そうした嘘のメッセージも残せるところがこのシステムの良さだ。適切な攻略メッセージももちろんいいが、秀逸な嘘メッセージも本作を盛り上げる魅力なのだ。
次に“幻影”。幻影とは霧のように見える他人の姿のことだ。この幻影は今そのときにその場所を冒険している他のプレーヤーの姿。互いに干渉することはできないが、絶望的なほど退廃的な世界の中で、人の存在を感じられるのは嬉しいものがある。
“血痕”というものもある。“血痕”はメッセージのように地面に表示される血だまりで、血痕に触れると、他のプレーヤーがどのように動いて死んでいったか幻影を見られる。他のプレーヤーの死のリプレイというわけだ。これを見る事で、“その場所にどんな死に方をする危険があるのか”を知ることができる。
こうしたオンライン要素の中でちょっと気になったのは“メッセージ”を評価する作り。他人が書いたメッセージに対してプラスの評価やマイナスの評価を入れることができるのだが、「橙の助言ろう石」を使うと最後に読んだメッセージの評価ができるという作りになっている。ただ、これはちょっと煩わしいのとわかりづらいので、メッセージを読んでそのまますぐに評価することもできるようになって欲しいところだ(※1)。
※1 この部分に関しては、今後のアップデートで何らかの形で修正される予定とのこと。
他のプレーヤーの姿が見える「幻影」。普段は青い霧のような姿だが、篝火の近くではよりはっきりと見える | |
他のプレーヤーがそこで死んだ証である「血痕」。調べると、そのプレーヤーがどのようにして死んだのか幻影が映し出される |
「DARK SOULS」から新たに加わったオンライン要素として、“共鳴サイン”や“注ぎ火の伝播”というものもある。
“共鳴サイン”は時々地面に表示される光る白い輪のことで、他のプレーヤーが強力な奇跡を使うと、自分の世界には共鳴サインが現われる。このサインの場所で共鳴する奇跡を使うと威力が上がるというものだ。共鳴サインを発生させる奇跡は、「大回復」、「神の怒り」、「太陽の光の癒し」、「太陽の光の恵み」。共鳴する奇跡を使うと威力が上がるのは、前述の4つの奇跡に加えて「回復」、「限られた大回復」、「生命湧き」、「フォース」、「放つフォース」となる。
“注ぎ火の伝播”は冒険中にオレンジ色の光が現れ自分のキャラクターに吸い込まれる現象のことで、エスト瓶の使用回数が増える。この現象は、自分が最後に休息した篝火に、他のプレーヤーが注ぎ火を行なうと起きるもの。いわば注ぎ火による恩恵のお裾分けというわけだ。
地面に時々現われるのは「共鳴サイン」。他のプレーヤーがそこで強力な奇跡を使った跡だ。この共鳴サインのところで特定の奇跡を使うと威力が高まる | 冒険中に光が自分のキャラクターに吸い込まれていったら、それは「注ぎ火の伝播」が起きたということだ。自分が最後に休息した篝火に、他のプレーヤーが注ぎ火を行なうと、その力が分け与えられてエスト瓶の使用回数が増える |
■ “人間性”はどう使えばいいのか? できる限り生者でいたほうができることが増える
アイテムの人間性を使って、人間性の数値を獲得! |
アイテムの人間性は黒い精のような形をしていて、使用すると黒い霧が自分の中へと吸い込まれていき、人間性の数値が増える |
人間性を篝火に捧げ、亡者から“生者”へと復活を遂げる。左上の数字が白くなっている状態が生者、グレーなら亡者だ。この画像の状態だと、生者だが人間性は0という状態になる |
ここからは、より積極的なオンラインプレイについて触れていこうと思うのだが、その前に“人間性”について説明しておこう。オンラインプレイを理解するのにはまず、人間性の理解が必要だ。
本作ではプレーヤーキャラクターに「生者」と「亡者」という2種類の状態がある。人間性を篝火に捧げることでプレーヤーは「生者」になる。そこから死ぬと「亡者」になる。亡者の時に死んでも亡者のままだ。どちらの状態なのかはキャラクターの外観や左上のHPゲージの左にある数字の色(生者だと白、亡者ならグレー)でわかる。
人間性の入手方法は基本的なもので2通りある。アイテムの「人間性」を入手した場合、そのアイテムを使うことで人間性の数字が増える。もうひとつ、敵を倒していると時々手に入って直接、人間性の数字が増えることもある。
人間性の代表的な使い道は、まず“生者になる”こと、そして“生者になってから篝火に注ぎ火をしてエスト瓶の使用回数を増やす”ということだ。注ぎ火は生者でないと行なえないので、亡者の状態からだと人間性が2以上必要になる。
篝火に人間性を捧げることでプレーヤーは生者になれるが、死ねば亡者に戻ってしまうので、亡者の時よりも注意が必要だ。なお、死ぬと生者は亡者になってしまうが、人間性の数値はソウルと同様に死ぬとその場に残される。復活してから残された緑の光を取り戻せば、ソウルと一緒に人間性の数値も取り戻せる。ソウル同様にできる限り取り戻すべきものだ。
この人間性をどう扱えばいいのか悩んでいる方が多いのではと思うが、本作ではあらゆる要素を楽しむために“常に生者でいること”が大事になる。特にオンライン要素は多くが生者でいることを前提にしているためだ。
アイテムの人間性はいつでも人間性を1~2得られるものとしてタイミングを見て便利に使えばいいとして、悩ましいのは敵を倒したときに自然と手に入る人間性だろう。人間性が1だけあっても生者になることはできても注ぎ火はできないため、アイテムの人間性などを足す必要がある。
アイテムの人間性も持っていない場合に敵を倒して人間性を1手に入れたのなら、生者になるか温存しておくかという選択になるわけだが、まずは温存し、もし死んでしまってソウルとともにその場に落としたのなら、全力で取り戻そう。
周辺の探索をある程度終えたら、思い切って生者になってしまうことをオススメしたい。プレイ体験からすると、人間性を長く温存しても結局ソウルとともに失い無駄にすることが多いからだ。いずれ何度か死んでソウル同様にロストしてしまうぐらいなら、いっそどこかのタイミングで生者になってしまったほうがいい。
生者の時にまた敵やアイテムから人間性を手に入れたら、篝火へ戻って注ぎ火するのがいいし、前述のように生者の時にはいろいろとできることが増えるところもある。生者となって、亡者にならないよう一段高い緊張感を持って慎重に進んでいくというのが、本作の一番根底にあるデザインなのだろう。
なお、この人間性という要素からの生者や亡者という状態についてだが、そのエリアのボスを倒した時には自動的に生者になっても良かったのではと思えた。というのも今の作りだと、どうにも人間性を温存したまま亡者のまま進んで、ほとんど生者の時の要素を味わえていない人が多いように思えるためだ。結果として、生者の時には何があるのか知らないままという人も多いのではと思う。エリアのボスを倒した時には、亡者から生者に、生者の時なら人間性の数値が増えるという仕組みになっていたら、よりスムーズに浸透したのではないだろうか。(※2)
※2 この部分に関しては、今後のアップデートで何らかの形で修正される予定とのこと。
■ 最大3人で困難に立ち向かう“協力プレイ”と、敵としてプレーヤーと対戦する“侵入プレイ”
2人のプレーヤーを自分の世界へ召喚し、最大3人での協力プレイができる。一人では辛い道のりも、ぐっと楽になる。召喚するには生者でないといけない(生者でないと召喚サインが見えない)ため、生者になる大きなメリットと言える |
こちらが「白いサインろう石」を使って書かれた召喚サイン。自分で書けば、それを誰かが調べてその人の世界へと召喚してくれるし、他人の書いたサインなら、ここから自分の世界へ召喚できる |
ここからはより積極的なオンラインプレイとして、まず「協力プレイ」を紹介しよう。協力プレイは、他のプレーヤーを最大で2人召喚して、3人でエリアを進んでいけるというものだ。
他のプレーヤーを召喚する時は、地面に浮かび上がる白く光るサインから召喚する。ただし、召喚する側は前提として“生者”でなければいけない。生者でなければサインは見えないためだ。召喚したプレーヤーは白い霊体の姿として表示される。
召喚する側(ホスト)の役割として大事なのが、エスト瓶を使うと自分だけでなく召喚したプレーヤーのHPも回復できるということだ。召喚されたプレーヤーはエスト瓶を使えない(魔法などのエスト瓶以外の回復はできる)ので、体力回復が少し難しい。そこで、ホストのプレーヤーが召喚したプレーヤーの体力表示を見て、エスト瓶で回復してあげることが大事になる。ホストは回復役でもあるというわけだ。
召喚される側は、「白いサインろう石」を使って召喚サインを書く。召喚される側は亡者の状態でも大丈夫だ。協力して世界を進み、そのエリアの主を倒せば人間性を得られる。召喚する側はそのエリアの主を倒すための助けとして、召喚される側は人間性を得るために召喚者を助けるという協力関係だ。そうして手に入れた人間性で生者になり、自分が今進んでいる場所の助けを得ていこう。
召喚サインを書く場所は自由だが、篝火の近くかボスの手前のどちらかがメジャーだろう。篝火の近くの場合、生者になった直後にサインが見える可能性が高いしそこからの道中を一緒に進める。ボスの手前はてっとりばやくボスだけ協力したいという時に最適だ。
召喚による協力プレイは、強敵と戦う大きな助けになる。コミュニケーションはジェスチャーで行なうのだが、直接的なやり取りではないぶんもどかしさはあるものの、独特な魅力がある。フレンドと一緒に遊ぶようなスタイルではなく、そのとき召喚サインを出していた人と召喚サインが見えた人とが繋がる、一期一会なスタイルだ。ジェスチャーでのコミュニケーションということもあり、人間関係の煩わしさのようなもののない、楽しいところだけ味わえる距離感になっている。
少し気になったのは、協力プレイ中にホストのプレーヤーが新たな篝火を見つけても、召喚中は篝火に触れないため、召喚したプレーヤーに帰ってもらうほかないところだ。大事な中継点である篝火に触りたいのは当然なので、召喚された側もそれを察して帰って行くのだが、ちょっと寂しいものがある。システムに密接に関わっていそうな篝火関連だけに変更するのは難しいのかもしれないが、できればなんらかの変更を期待したいところだ。
召喚サインから仲間を呼んで協力プレイ! どうしても倒せなかいボスや強敵の待つ場所では、協力プレイで挑むというのが最大の救済策となる。誰かと一緒にプレイするのは純粋に楽しいものなので、ぜひ積極的に召喚したりサインを出したりしていこう |
生者のプレーヤーの世界へ侵入してきた赤黒い闇霊。プレーヤーの命を、人間性を奪おうとやってきた侵入者だ |
闇霊が侵入してくると画面に通知が出るので侵入してきたこと自体はわかる。だが、場所が離れていたりすると、どこに潜んでいるかもわからなくなり、不意打ちを食らってしまうことも |
生者の時に可能なもうひとつのオンラインプレイが「侵入プレイ」だ。これは他人の世界へ敵として侵入していくプレイで、その世界のプレーヤーを倒せば人間性が得られる。侵入する先はやはり生者のプレーヤーに限定されるため、生者は協力も侵入もできるが、侵入されることもあるという状態になるわけだ。
侵入する際は、「ひび割れた赤い瞳のオーブ」を使う。使用すると、同じエリアにいる生者のプレーヤーの誰かの世界へと侵入していく。ただこの侵入用アイテム「ひび割れた赤い瞳のオーブ」は消費アイテムであり、しかもほとんど手に入らない。無制限に侵入するための「赤い瞳のオーブ」がどこかで手に入るので、侵入プレイを存分に楽しみたいという人はなんとかして手に入れよう。
侵入者の姿は赤黒い闇霊として表示され、周囲の敵は襲ってこない。まさに敵の一人としてプレーヤーを襲うわけだ。1対1のシチュエーションなら堂々と戦うのもいいが、侵入したプレーヤーが他のプレーヤーを召喚していて3人組だったりする場合もあるので、そういう場合には敵がいる方へうまく誘い込むなど、手段を選ばず戦っていこう。
侵入する方法には、もうひとつ「赤いサインろう石」というアイテムを使う方法もある。これは召喚サインのように地面に“侵入者を召喚するサイン”を書くというものだ。協力プレイのサインとは違って侵入サインは赤い光のサインで、相手がそのサインから召喚すると対人戦になる。相手側から侵入者を呼び込むという形になるわけだ。
ちなみに侵入して勝った場合は人間性を手に入れるが、負けた場合は自分の世界のその負けた場所に、ソウルと人間性を落として篝火に戻る。赤い霊体として侵入しているので、負けても亡者にはならない。ソウルと人間性を取り戻せば元通りだ。
また、侵入された側は、侵入者を撃退するとソウルや人間性が手に入るが、負けた場合は生者として戦い死亡したことになるため、亡者になって篝火に戻る。
侵入してきたプレーヤーにやられた時は、告罪して相手を罪人にできる。罪人となったプレーヤーは罪人録というランキングに載り、暗月の刃という誓約のプレーヤーに狙われるというリスクを負う |
侵入者に負けた時には“告罪”をすることもできる。「告罪符」というアイテムを持っていると、闇霊に負けて死亡した時に自動で「このプレーヤーを告罪しますか? 」という表示が現われる。ここでYESにすると、闇霊は告罪され、罪人として罪がカウントされるというわけだ。罪の数に応じて順位が決まる罪人のランキングのようなものがあり、この罪は「罪人録」というアイテムで観る事ができる。より多く告罪されている者には、後述する“暗月の剣”が襲いかかることだろう。
侵入プレイの熱さや面白さは言うに及ばず。侵入した側はなんとしても勝って人間性を得たいし、侵入された側は負ければ亡者になってしまい篝火に戻されてしまうため、負けるわけにはいかない。お互いに向き合って間合いを詰めていく時の緊張感や、攻撃をギリギリでかわしていく時の高揚感はたまらないものがある。
侵入プレイははっきり言ってなんでもあり。正々堂々と戦う人もいれば、負けそうになったら一目散に逃げて隙を突こうとする人だっている。幾多の困難を乗り越え成長したキャラクターと自分の腕を試す戦いであり、その熱さにハマる人はとことんハマること間違いなしだ。
侵入プレイでの戦い方は様々。画像左は、侵入したはいいものの相手は3人でどうにもならず、魔法の“擬態”を使ってやり過ごそうとしているところ。中央の壺が筆者のプレーヤーなのだ。やり過ごした後は後ろからそーっと近づいて不意打ちするという作戦だ。こうしたユニークな戦い方もある |
■ “誓約”により実現する、プレーヤー同士の敵対関係、チーム戦、そしてさらなる難易度に世界を変貌させる災厄
今作のオンライン要素の中で最も大きな特徴と言えるのがこの“誓約”だ。本作の特徴として発売前から伝えられていた「相互ロールプレイ」のシステムとなる。誓約とはいずれかの主に誓いを立て、その主の命に応じるというもの。これにより、単なる協力や侵入とは違う、凝ったオンラインプレイが実現されている。誓約できる場所や条件などはネタバレになるため伏せるが、ぜひ探し出してもらいたい。
・白教系誓約 - 「白教」、「太陽の戦士」、「王女の守り」は協力重視
「太陽の戦士」の誓約の象徴とも言えるソラール。彼を召喚すると画像のような独特なポーズを見せる。誓約を結べばプレーヤーもこのポーズが可能だ |
まずは白教の誓約だが、これは3種類ある。「白教」、「太陽の戦士」、「王女の守り」だ。この3つの誓約は、誓約の中でもかなりオーソドックスなもので、誓約する対象こそそれぞれに異なるが、白教誓約者同士だと召喚サインが表示されやすくなり、召喚がよりしやすくなるという効果がある。協力プレイを重視する人にオススメの誓約だ。
・「ダークレイス」 - 侵入プレイをたっぷり楽しみたい人は必須の誓約
ダークレイスはかなり特殊な誓約で、誓約する条件も特殊。侵入プレイを重視する人に向いた誓約となっていて、罪人としての高みを目指すなら必須と言っていい。無制限に侵入するための「赤い瞳のオーブ」を手に入れるなら、まずこの誓約を交わすことを目指そう。特殊な誓約ではあるが、本作をやり込むなら一度は誓約しておくべきものと言える。
・「暗月の剣」 - ダークレイスに復讐を誓う神の刃
罪人であるダークレイスや、ある条件のプレーヤーを狙う「暗月の剣」の誓約。プレーヤーはダークレイスと敵対し、復讐霊として侵入する |
ダークレイスと敵対する勢力がこの「暗月の剣」だ。暗月の剣は罪人ことダークレイスを討たんとする神の刃であり、「暗月の剣」に誓約したプレーヤーは、罪人の世界へと侵入する「青い瞳のオーブ」を扱える。「青い瞳のオーブ」を使えば、同エリアに罪人がいるとその世界へ青い復讐霊となって侵入していく。ダークレイスのプレーヤーは生者を狙い、そのダークレイスを暗月の剣が狙うという構図になっている。
また、ある条件を持った罪人のプレーヤーが現れると、自動で召喚されそのプレーヤーの世界へ侵入していく指輪も与えられる。暗月の神に召喚され、討伐の対象者の世界に送られるというわけだ。
・「森の狩猟者」 - 侵入者の人間を排除する森の守護者
森で繰り広げられる「生者の侵入者VS森の狩猟者のプレーヤー」。ここでは「森の狩猟者」の誓約を交わしているプレーヤーが次々に召喚され、侵入者を排除しようと戦いを挑んでくる。その様子はさながら「格闘ゲームの乱入対戦」のようなものだ |
森の狩猟者の誓約は、森に侵入してきた生者を排除する“狩猟団”の一員になる誓約だ。この誓約を交わした時にもらえる指輪を付けていると、森に侵入者が来た時に自動で青い闇霊として召喚される。召喚されるのは亡者の状態でもよく、侵入者を撃退すれば、ソウルやアイテムの報酬が得られる。
侵入者というのは生者のプレーヤーのことだ。生者の状態で森へ侵入すると、森の狩猟者の誓約者がどんどん侵入してくる。これは例えるなら「格闘ゲームの乱入対戦」のようなもの。次々に入ってくる狩猟者のプレーヤーを相手に、何人抜きできるか腕試しできる。狩猟者の闇霊を倒せば多額のソウルも手に入る。
また、まだ浸透していないようなところがあるが、ここはチーム戦がしやすい場所でもある。侵入者は他のプレーヤーを召喚すれば最大3人で戦えるし、狩猟者側も指輪を付けている複数のプレーヤーが自動で召喚される仕組みになっている。生者でなくとも森に入ってすぐのところに召喚サインを書いておけば、森へ入ったホストのプレーヤーに呼んでもらえるはず。これはぜひ浸透して欲しい遊びだ。
ただ1点、この森の狩猟者との戦いはある条件を満たしてしまうとできなくなってしまう。生者として侵入しても、狩猟者のプレーヤーが召喚されなくなってしまうのだ。できれば、いつでも狩猟者との戦いが楽しめるようにしてもらいたいところだ。
・「混沌の従者」 - 誰が一番献身的な従者なのかを競う
混沌の従者の誓約は文字通り、ある主に仕えて支えるというものだ。この誓約では同じ誓約者同士で“ある数”を競えるようになっている。「従者一覧」というアイテムでその数のランキングも閲覧できるようになっているので、プレーヤー同士で順位を争うというわけだ。ちょっと特殊な誓約と言える。
・「古竜への道」 - 竜のウロコを求め戦いに明け暮れる
古竜への道の誓約は、「竜のウロコ」というアイテムを手に入れるために戦う誓約だ。「古竜の瞳」というアイテムを使い地面にサインを書いて、竜のウロコを持っているプレーヤーに召喚してもらう。そして、どちらか勝ったほうが「竜のウロコ」をもらえる。どちらが負けても「竜のウロコ」が減るような事はないので、サインを見つけたらどんどん対戦してみよう。「竜のウロコ」を集め、文字通り竜への道を目指す誓約だ。
・「墓王の眷属」 - 瘴気をまき散らし世界に災厄をもたらす特殊な誓約
こちらは発売前に開催された「DARK SOULS Special Event」の様子から。画面に赤い敵が映っているが、これは侵入してきた闇霊ではなく、「死の瞳」の効果で増えた敵だ。墓王の眷属がまいた災厄によって他のプレーヤーの世界がより凶悪になっていく |
この墓王の眷属という誓約は、誓約の中で最も特殊なものだ。この誓約を結ぶと「死の瞳」という希少なアイテムが使えるようになる。「死の瞳」を使ったプレーヤーの体からは黒い瘴気が出るようになり、その瘴気はオンラインを通じて他のプレーヤーの世界にも届いていく。そしてその瘴気は災厄となり、他のプレーヤーの世界に通常は出現しない敵を出現させるのだ(2周目からのプレイで適用される)。
一方で、「死の瞳」を使うと、災厄と同時に「死の瞳の使用者に逆侵入できるサイン」が他のプレーヤーの世界にばら蒔かれ、そのサインから、どんどんと(災厄を取り除こうとする)敵対者が侵入してくることになる効果もある。災厄をまき散らす元凶として、狙われやすくなるのだ。また協力プレイのサインも見えなくなるので、リスクは大きい。この誓約は維持し続けるという点でも難しく、ある意味誓約プレイの最終到達点と言ってもいいかもしれない。今のところ災厄によって難易度が限界まで高まった世界というのは実現していないようだが、たっぷり本作をやり込んだ人は墓王の眷属となって、他のプレーヤーをより深い絶望へと誘ってもらいたい。
■ より快適にオンライン要素を楽しむためにポートを開けておこう!
最後に本作のオンラインプレイを楽しむ上での環境について。今作でのオンライン接続方式は、プレーヤーのPS3本体同士を直接接続する「Peer to Peer接続(P2P)」という方式になっている。キャラクターのレベル、場所などが近いプレーヤー同士がP2P接続され、幻影、血痕、メッセージ、召喚サインの通信がやりとりされる。
P2P方式のため、通信のスムーズさはプレーヤーのオンライン通信環境によって大きく影響される。ブロードバンドルーターを使っている方は、取扱説明書の7Pにある「TCP:80、443、5223」、「UDP:3478、3479、3658」のポートをルーターを設定して開けておこう。
■ 誓約による「相互ロールプレイ」も加わり、より魅力が増したオンライン要素。あとは快適さとバランス調整に期待
独特なオンラインの使い方は、オンラインプレイの良いところだけを使ったうまい作り。今作では誓約によって、より凝ったプレイも可能になった。本編をひとしきり楽しんだら、ぜひオンライン要素もたっぷりと楽しんでもらいたい |
他のプレーヤーが冒険している姿が垣間見える「幻影」や、有益なものやユニークな嘘が混在するメッセージ、他のプレーヤーの死が見える「血痕」、そして協力プレイができる「召喚サイン」や敵対する「侵入プレイ」など、独特なオンラインの使い方は相変わらずのオンリーワンな面白さ。気兼ねなくオンラインの美味しいところだけを楽しめるようにした使い方で、とても優れている。
また、新たな要素である「誓約」も、ダークレイスと暗月の剣という誓約者同士での対決あり、森の狩猟者と侵入者の戦いあり、「Demon's Souls」で言うところの黒傾向をプレーヤーが意図的に引き起こせるような誓約もありと、ユニークなものに仕上がっている。発売後しばらくは多少仕組みが複雑なところもあって、浸透していないところもあったかと思うが、これからというところだろう。
一方でオンラインサービス開始当初からの接続のしづらさは大きなネックになってしまっている。P2P接続によるユーザー側のオンライン環境(どちらかのポートが空いていないなど)も影響しているとは思うが、召喚サインが表示されるまでに時間がかかったり、表示されても数が少なかったり、召喚や侵入時に接続の失敗が頻繁に出てしまうのはやはり辛いところ。なんとか改善して、もう少し全体の接続のしやすさを引き上げてもらえたら、と思う。
また、侵入や復讐による対人戦のバランスについても、一部に強烈すぎるものが見られた。末永く楽しんでいくためにも、バグフィックスを含めて今後の調整を期待したいところだ。そうしてオンライン周りが快適になり、プレーヤー同士の戦いもバランスが整えば、より一段と素晴らしいタイトルになるはずだ。
(2011年 10月 24日)