8月18日、株式会社インデックス(アトラス)から、2003年12月にPS2でリリースされた「グローランサーIV」をリメイクした「グローランサーIV オーバーリローデッド」が発売される。“オーバーリローデッド”では、新キャラクターや新ルートが追加され、PS2のオリジナル版をプレイしていても新鮮な気持ちでプレイできるように作られている。
ロード時間を短縮できるデータインストールに対応。利用するには339MB以上の空き容量が必要。PSP-3000、SanDisk製 8GB Ultra II Memory Stick PRO Duoの環境で、インストールに必要な時間は7分弱程度であった。データインストール利用時のロード時間は短く、ロード時間で待たされる感覚はほとんどない。
早速、本作の魅力を紹介していきたい。
■ 新キャラクターや新イベントを大幅追加!エンディングは40種以上に!
─人類の文明が謎の滅亡を迎えて2000年─。 当時、何が起こったのか今となっては誰も知らず、 ただ戦乱の世を生き抜いていた。 水を汲むには川へ、暖が欲しければ薪を集める。 弓や罠で獣を狩り、網と銛で魚を捕り、鍬と鋤で畑を耕す。 自らの肉体で汗を流す素朴な暮らし。 それが嫌ならば、等価の金銭を払う当たり前な暮らし。 そんな時代だった。 ただ、まるでおとぎ話のように 「人を罰する天使」と「魔法」の存在が語られることがあった。 いち早く民主制を取り入れた 大陸西部の軍事国家デュルクハイムは、 北のイグレジアス王国と交戦状態にあり、 東の大国ヴァルカニア王国も参戦のタイミングを見計らっていた。 こうして大陸には、 多くの傭兵団が報酬目当てに集まってきていた─ |
「グローランサー」シリーズのPSPへの移植・リメイクは、シリーズ1作目の「グローランサー」に続き、本作が2本目となる。プロデューサーの高田慎二郎氏が本作を選んだ理由の1つとして「『II』と『III』も検討したのですが、『I』とお話が続いていますので、完全に楽しむには、予備知識が必要になりますよね。なので、初めての方でも予備知識がなく楽しめる、つまり世界観が他と関連していないという点も、『IV』を選んだ理由の1つになっています」と語る通り、オリジナル版のファンだけでなく、本作で初めて「グローランサー」シリーズに触れるという方も安心だ。
「グローランサーIV」には、主人公「クレヴァニール」、森の中で倒れていたところを主人公に助けられた少年「レムス」(CV:永田亮子 )、自分の名前以外全て忘れてしまっている遺跡から発見された少女「フレーネ」(CV:牧島有希)など、魅力的なキャラクターが多く登場する。
さらに、本作ではサポート係として戦場に赴く主人公らを陰から支える年上のお姉さん「パメラ」(CV:櫻井智)、パメラに命を救われ、その恩義からパメラの護衛役となる「マグナス」(CV:鈴木達央)、物騒なことを平気で考えてたり、不満をすぐに口に出してしまう双子の妹「メリーヌ」(CV:志村由美)、妹のメリーヌとは対照的に常識があり、まじめで、冷静な双子の姉「シンシア」、主人公が所属する基地の先輩の少女「トリシア」(CV:寺本來可)、自分を道具として考えている使い魔「D-MD型」(CV:日笠陽子)など、多くの新キャラクターが追加されている。これらの新キャラクターは、おまけ程度の登場ではなく、専用のイベントも用意されている。そして、オリジナル版のストーリーと密接に絡んでいるキャラクターも多数存在する。
主人公の行動や選択により、ストーリーが分岐するマルチシナリオ制が採用されている。本作では仲間同士が争うといった衝撃的なルートが新たに追加されている。新キャラクターや新ルート追加に伴いエンディング数も増えており、その数はなんと40種類以上も。
シリーズの特徴である女性キャラクターと恋人になれる要素もパワーアップ。ロイヤルガードの一員である「シルヴァネール」など、恋愛対象人数が大幅に増加。さらに休暇システムとして、ストーリー中には休暇が取れる機会が設けられ、休暇中にはキャラクターと話したり、デートに誘ったりすることで、より親密な関係を築くことができる。休暇中の過ごし方でエンディングの展開が変わることも。
■ 戦局を見極め、適宜指示を出していくRTSのようなバトル
リアルタイムに戦況が変化し、状況に応じて指示を切り替え、勝利を目指す特徴的なバトルシステムを採用 |
本作では、フィールド上を徘徊する敵に近寄ることでバトルへと突入する。移動フィールドがそのまま戦闘フィールドとなり、パーティーメンバーに行動指示を出して戦う。行動指示を出すと、マップ上の敵味方が一斉に行動を開始する。防御力の高いキャラクターを最前線に立たせて敵の進撃を防ぎつつ、後方からロングレンジ攻撃を仕掛けるなど、状況を見極めつつ、指示を変えていく必要がある。
武器で攻撃する「攻撃」、アイテムを使用する「アイテム」、装備変更する「装備」、指示したポイントへ移動させる「移動」、魔法を使用する「魔法」、習得している特技を使用する「特技」、防御姿勢をとり、敵からのダメージを軽減させる「防御」、武器を使い自動的に攻撃し続ける「突撃」(主人公はこのコマンドが使用できず、手動で攻撃を設定する)の指示コマンドがある。イベントバトルなどの高難易度の戦闘以外は、主人公に「攻撃」を、あとは主人公以外が突撃してくれるSTARTボタンを選択するだけで十分に勝利できる。レベル上げなどでは細かな指示を逐一出すことなく、簡単に戦えるわけだ。
「攻撃」コマンドでは、攻撃対象を選択すると、攻撃可能な距離まで移動して攻撃する。使用武器により、近接攻撃、間接攻撃と間合いが異なるのだが、本作では武器はキャラクター毎に固定で武器の装備変更なども存在しない。バトル開始時の隊列設定を決めるためにも、どのキャラクターがどんな間合いなのかを把握しておくことが肝心だ。
攻撃指示では対象を決定すれば、攻撃可能な距離まで自動で移動し、攻撃してくれる | キャラクターにより、武器での攻撃レンジが異なる。近距離タイプは前列に、遠距離タイプは後列に配置し、最前列のキャラクターは攻撃をくらいやすいため、防御力を上げておきたい |
「魔法」コマンドでは、MPを消費して、攻撃・回復・補助といった効果のある魔法を使用する。本作にはアタックウェイトゲージ(ゲージが0になると行動可能になる)とチャージゲージ(魔法毎に設定された分の詠唱時間が完了すれば魔法が繰り出せる)の2つが存在。魔法の発動には詠唱時間とMPが必要になるわけだ。
本作における魔法の自由度はとても高い。まず、詠唱完了後に対象を選択して使うもので、詠唱完了後、任意のタイミングで発動できる。次に高レベルの魔法詠唱中であっても低レベルの魔法分の詠唱が完了していれば、そのレベルで魔法が発動できる。このため、回復魔法を事前に詠唱し、詠唱を完了後、その状態を継続させておけば、味方がダメージを受けた瞬間に回復できるし、高レベルの攻撃魔法詠唱中に、敵の残りHPが少なくなり、低レベルの攻撃魔法でも倒せるという状況であれば、詠唱途中でも低レベルの攻撃魔法でトドメを指すなんてことができる。また、魔法はレンジが長い点でも優秀だ。ただし、魔法詠唱中は受けるダメージが大きくなる点には注意しておきたい。
魔法の発動には一定の詠唱時間が必要。詠唱完了後は、任意のタイミングで発動できる |
「協力」というスキルを習得すると、仲間と協力して魔法が放てるようになる。例えば、「アイスバレット」(冷属性/単体魔法)+「ウィンドエッジ」(風属性/単体魔法)=「ブリザード」(冷属性/範囲魔法)となる。2人が魔法を詠唱し、先に詠唱が終わった方を詠唱完了状態で継続させ、2人目が詠唱完了すれば「協力」コマンドが選択できるようになる。他にも詠唱しているメンバーがいる場合には、好きな組み合わせが選択できる。協力魔法の効果は高く、範囲攻撃ができる数少ない手段でもある(協力魔法の全てが範囲攻撃ではない)。協力スキルが習得できるようになったら、いち早く習得させて有利にバトルを進めたい。
協力スキルを習得しているメンバーなら協力魔法が発動可能。通常の魔法とは異なり、効果が高く、演出も派手 |
通常のバトルと異なり、ストーリー上発生するイベントバトルには、タイマーとミッションの要素が組み込まれる。タイマーは50からスタートし、カウントダウンされていく。残り時間が多いほど、経験値やお金などが多く獲得できる。また、クリアランクとして「MISSION COMPLETE」、「MISSION CLEAR」、「MISSION FAILED」の3つが用意されている。クリア条件を完全に満たし、タイマーの残り時間が多く残っている場合はCOMPLETE、クリア条件を満たし、残り時間が0以上の場合はCLEAR、最低限の条件を満たした場合はFAILEDとなる。FAILEDでもゲームオーバーにならず、ストーリーは進行するが、ランクが低いほど、得られる経験値も少なくなる。
攻撃や魔法といったキャラクターへの指示だけでなく、起動すると床がせり上がるスイッチなどが鍵となるイベントバトルも存在する。どうすればクリア条件を短い時間でこなせるかを考えなくてはCOMPLETEはまず取れない。一部のイベントバトルは、通常通りに戦うだけでは、ランクどころではなく、クリアできないものもある。ゲームオーバーとなれば、セーブポイントからやり直しするしかないので、よく考えて戦闘してもらいたい。基本的にセーブは宿屋などの施設か、ダンジョン内に設置されたセーブポイントで行なう。急に厳しいバトルが発生することもあるので、プレイした時間を無駄にしないよう、こまめなセーブを推奨する。
イベントバトルでは、タイマーが表示される。勝利、敗北条件を確認し、「MISSION COMPLETE」が取れるように戦略を練りたい | バトル終了後のリザルト画面では、戦闘での功績によって得た活躍ポイントの値で、獲得できる経験値が異なる |
■ リング=ウェポンと魔石による特徴的な育成要素
EXPを得てのレベルアップに加え、本作にはリング=ウェポンと魔石の要素がある。リングウェポンとは、様々な武器に姿を変える特殊なリング。リングは敵や宝箱などから入手できる。
リングには、攻撃力や移動力といったパラメーターをアップさせる力が備わっており、さらに色(赤/緑/黄)とレベルが設定された3つのスロットが空いている。スロットには、装備すると特殊な効果が得られたり、特技や魔法が習得できる魔石がセットできる。セットに関わってくるのが、スロットの色とレベルだ。スロットの色やレベルと同様に、魔石にも色とレベルが設定されており、リングにはスロットのレベル以下の魔石のみがセット可能。色は違ってセットできるが、その場合は、魔石で習得できる特技や魔法のレベルアップに必要な技能ポイントが通常の3/4になってしまう。色を合わせてセットすることで効率良く、特技や魔法が習得できるわけだ。
リング=ウェポンで上がるステータス、スロットの色やレベルは様々。1色しかないリングも存在する | 技能ポイントはトドメをさしたキャラクターのみが獲得できる。また、同じ技能習得魔石を複数装着すれば、その技能の習得速度が2倍、3倍と早くなる | 魔石で扱える技能は、技能レベルが1以上になると、魔石を外しても使えるようになる。多くの技能を修得すれば、その分、戦闘が楽になる |
■ 主人公をサポートしてくれる使い魔
ストーリーをある程度進めると主人公をサポートしてくれる使い魔が登場する。使い魔は成長させることができ、特殊能力を習得すれば、様々な面で主人公の役に立ってくれる。ダンジョンにある残りの宝箱数を探ってくれる「宝サーチ」、パーティーの各キャラクターが主人公をどう思っているのか、有効度を判定してくれる「友好度判定」など、基本は戦闘以外のサポートなのだが、習得する能力の中には、レベル×2%の確率で敵の攻撃を完全に防御してくれる「物理攻撃防御」といった、戦闘に大きく影響するようなものも存在する。
使い魔は育成することで多くの能力を習得する。探索や戦闘など、様々な面で主人公をサポートしてくれる | ||
コスチュームを獲得すれば、コスチュームチェンジさせることも可能 |
■ 最後に
単なるリメイクではなく、新キャラクター・ルート・イベント追加によるストーリー性の強化、恋愛対象や休暇システム追加による恋愛要素の強化など、オリジナル版のファンにはたまらない仕上がりの本作。前作をプレイしていなくても、世界観が他のシリーズタイトルと関連していないので、つながりを気にせず、ストーリーを楽しめる。マルチシナリオなので何度も遊べるため、ボリュームは十分。ロード時間は短く、ストレスなくプレイできる点も嬉しい。
攻略方法がわかっていないと勝利が少し難しいイベントバトル、高ランククリアを目指す面白さがあるにも関わらず、バトルをやり直しにくい点が少し残念。バトル中、やり直したい場合には、ソフトリセット(Lボタン+Rボタン+SELECTボタン+STARTボタン)が実装されているので、ゲームソフトを終了せずともすぐにタイトルへ戻ることができる。しかし、イベントバトルの直前に必ずセーブポイントがあるわけではないので、ダンジョン探索やレベル上げの時間がパーになってしまうこともある。それまでの成果を引き継げなくとも、バトルスタート時の状況からリトライできる機能があれば……と思うことが多々あった。こういうこともあるので、新しいダンジョンなどへ向かう際にはあらかじめセーブしておくことをお薦めする。
ゲームの難易度は昨今のRPGと比べると少し高め。頭を使うことによって戦闘がより有利に進むので、ただの力押しだけでは難しく、歯ごたえがある、他のRPGとは一味違うバトルを楽しみたい方にオススメしたい。
(2011年 8月 15日)