★ PS3ダウンロードゲームファーストインプレッション★
「ドリーミーシアター」がパワーアップして登場!
3D対応で立体感あふれる演出が楽しめる
「初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター 2nd」
ジャンル:
  • リズムアクション
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • PS3
価格:
(ダウンロード専売)
発売日:
2011年8月4日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:B(12才以上対象)

 株式会社セガは、PSP用リズムアクション「初音ミク -Project DIVA- 2nd」(以下、「Project DIVA 2nd」)をプレイステーション 3のパワーを使ったハイエンド映像で楽しめる「初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター 2nd」(以下、本作)の配信を、8月4日に開始した。

 PS3とPSPをUSBケーブルでの接続をすることで、PSP「初音ミク -Project DIVA-」(以下、「Project DIVA」)をハイエンドのグラフィックスで楽しめる「初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター」(以下、前作)が昨年の6月24日に配信されたことは、「初音ミク -Project DIVA-」シリーズのファンはもちろん、ゲームファンなら記憶に新しいことだろう。本作は基本的には同様のシステムを「Project DIVA 2nd」の楽曲・モジュールで楽しめるタイトル。

 ただし、本作は「Project DIVA 2nd」をPS3のパワーを利用したハイエンドHDグラフィックスで楽しめるだけではなく、新たに3Dテレビに対応することで、3D立体視が可能になったほか、PSPとの接続認証が簡素化されるなど、新機能の追加や改良が行なわれた内容になっている。

 今回編集部では、配信直前に大画面3D対応テレビで本作を試遊する機会を得ることができた。気になる3Dモードでの立体感はもちろん、単なる移植作ではない本作ならではの特長を存分に体験してきたので、ファーストインプレッションとして紹介していこう。


■ アーケードと同等のハイエンドグラフィックスが家庭で楽しめる!
  接続認証を簡素化しシステムデータ等のコピーは必要なときのみに

 まずは、本作をプレイする際に必要になるPSPとPS3の接続について説明していこう。接続には、PSPとPS3を繋ぐUSBケーブル(PS3付属のものでOK)UMD版もしくはダウンロード版「Project DIVA 2nd」とそのシステムデータが保存されたPSPが必要になる。接続認証を行なうには、以上のものを用意した上で、PS3に本作、PSPに「初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター2nd 接続アプリ」をダウンロードすることで準備完了。あとは、本作のメニュー画面から“DIVAデータコピー”を選択することでシステムデータ・エディットデータの転送・認証ができる。

 改良された点として、前作ではゲームを起動する度に接続認証が必要だったのに対して、本作では、1度システムデータ・エディットデータをコピーすれば、それ以降は接続認証をしなくてもゲームを楽しめるようになったことが挙げられる。ゲーム開始前の接続認証は確実にひと手間だったため、ユーザーにとっては嬉しい改良点といえるだろう。

 ただし、本作でプレイできる楽曲やボーカロイドたちのモジュール(衣装)は、「Project DIVA 2nd」のシステムデータに依存する。そのため、「Project DIVA 2nd」で新たな楽曲やモジュールを解放した場合や、新たなエディットデータやダウンロードコンテンツを追加したい場合は、再度“DIVAデータコピー”が必要となる。本作のために「Project DIVA 2nd」を購入しようと思っている方は、手間を省くためにある程度PSPの方で楽曲・モジュールの解放を行なってから、データをコピーすることをおすすめしたい。


リズムゲームのメニュー画面。楽曲は画面左上から、「Project DIVA 2nd」、前作「ドリーミーシアター」、「Project DIVA 2nd」のDLCというように分かれている

 次に、リズムアクションの部分について紹介していこう。メニュー画面のフリープレイで、楽曲やモジュール、難易度などの設定をすることで、リズムアクションゲームを始められる。なお、ゲームに登場するキャラクターは、「Project DIVA 2nd」と同じくキャラクターごとにモジュールの設定が可能なため、デュエット楽曲でそれぞれ別々のモジュールを着せることも可能だ。

 リズムゲーム譜面に関しては、「Project DIVA 2nd」と同じなので、同程度の難易度となっている。試遊した環境では、デフォルトのボタン入力タイミングでは若干早めにボタンを入力する必要があり、しばらくの間は「SAFE」などが出てしまっていたが、次第にタイミングを合わせられるようになっていった。このあたりは、モニターとの接続環境や個人差もあるため一概にはいえないが、前作と同様、オプションメニューでボタン入力タイミングを調整することもできるので、どうしてもタイミングが合わないという人は、自分にあったタイミングに調整してもらえれば問題ないはずだ。

 なお、「Project DIVA 2nd」でできて、本作でできないのは、DIVAルームとエディットモード、あとはリズムゲーム中のアイテム使用となっており、このあたりは前作と同様に、リズムゲーム部分を楽しむことに特化した内容といえる。

 プレイしてまず最初に感じたことは、PS3のパワーでハイエンドで表現されたグラフィックスを大画面で楽しめるのは、やはり格別だということ。同等のハイクオリティのグラフィックスは、アーケードで稼動中の「初音ミク Project DIVA Arcade」でも楽しめるが、プレイ環境によるものの、家庭の大画面テレビでゆっくりと楽しめる本作は、アーケード版とはまた一味違った感覚を与えてくれるはずだ。


収録されている楽曲のリズムゲーム譜面は「Project DIVA 2nd」と同じ。ボタンの長押しや同時押し、デュエット演出なども「Project DIVA 2nd」と同様に楽しめる



■ 前作の楽曲・リズムゲーム譜面も完全収録!
  リズムゲーム譜面の比較や好きな曲が混ざったプレイリストが作成可能に

「ドリーミーシアター」に収録されている「フキゲンワルツ」(アーティスト:OSTER project)を「Project DIVA 2nd」のモジュールで楽しむ。家庭用でこんなことができるのも本作ならでは

 本作の収録楽曲は、システムデータの進行状況に左右されるものの、「Project DIVA 2nd」のすべての楽曲はもちろん、「アイドルマスターSP」のコラボダウンロードコンテンツを除くすべてのダウンロードコンテンツにも対応しているほか、前作に収録されていた楽曲・リズムゲーム譜面もすべて収録されており、「初音ミク Project DIVA」シリーズの家庭用タイトルとしては最多の楽曲収録数となっている。これらすべての曲の中から、好きな曲を気軽に楽しめるのはシリーズのファンには嬉しい点といえるだろう。

 また、前作の楽曲も収録されているということで、「Project DIVA 2nd」の豊富なモジュールを選んで前作の収録楽曲を楽しめるのも嬉しいポイント。また、プレイリストを作成する場合も、これらすべての楽曲の中から選択できるようになっているので、幅広い楽曲の中から自分の好きな楽曲を集めたオリジナルのプレイリストを作成して、PVを流し続けることも可能だ。

 プレイリストでは、前作と同様に楽曲ごとにモジュールを選択できるほか、シャッフル・リピート再生を設定することもできるので、お気に入りの楽曲とモジュールを組み合わせたこだわりのプレイリストを作成して、ひたすらPVを流し続ける、なんてことも可能だ。このように、これまでで最多の楽曲・モジュールのバリエーションの中から自分だけのプレイリストを作成する楽しみは、「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの中でも本作だけの特長。シリーズのファンならこれだけでも購入する価値があるといえるのではないだろうか。


ダウンロードコンテンツを購入したシステムデータをコピーすれば、これまでに購入した「Project DIVA 2nd」の追加楽曲やモジュールも、本作で選択可能となる



■ PV鑑賞は3D対応テレビの立体視表示に対応
  3D立体視で楽しめる初音ミクたちの存在感はシリーズ最高のもの

 最後に、気になる3D対応テレビでの立体視について紹介していこう。まず、3D表示を行なうために必要な環境として、HDMIの3D規格に準拠した3D対応テレビと、ハイスピード規格に対応したHDMIケーブルが必要となる。なお、3D表示が行なえるのはPV鑑賞のみで、ゲームプレイに関しては3D表示ができない。

 以上の条件を整えた上で、オプションメニューで3D表示をONに変更すると、PV鑑賞を選択した際に自動的に3D信号に変換され、立体視映像が楽しめるようになる。

※画像はイメージです。

3D表示をONにすると、単なる3Dグラフィックスとは比べ物にならないほど立体感のある演出が楽しめる。キャラクターと背景それぞれの立体の度合いが設定可能だ

 実際に3D表示にしてみると、その差は一目瞭然。最初に体験した「こっち向いてBaby」(アーティスト:ryo)では背景やステージ上に配置してある店内の棚や商品なども立体的に見えるようになり、ステージ内でのキャラクターの立ち位置や動きなどがより立体的に感じることができた。

 次に見た「Just Be Friends」(アーティスト:Dixie Flatline)では、躍動する巡音ルカのモデルはもちろん、ステージ全体の奥行きがより感じられ、まさにライブ会場でコンサートを楽しんでいるかのような印象を受けた。ステージの奥行き感という意味では、「荒野と森と魔法の歌」(アーティスト:トラボルタ)の荒野のステージも、壮大なまでの奥行きが感じられるようになっており、3D立体視による効果が大きく感じられる演出となっている。

 ちなみに、「ラブリスト更新中」(アーティスト:畑 亜貴)や「ミラクルペイント」(アーティスト:OSTER project)など、奥行きや背景の変化が少ないステージの場合は、ステージの立体感が薄れるかわりに、キャラクターがその分際立つように感じられた。特に「ラブリスト更新中」では、2Dの背景の中を立体感あふれるキャラクターが動く演出が多用され、これはこれで独特な味わいの演出となっていた。

 3D立体視のレベルは、オプションの中で調整できるようになっており、背景については「3D奥行き調整」、キャラクターについては「3D飛び出し調整」で、-3から+3の間の7段階で調整可能だ。最大の+3に設定すると、キャラクターや背景・エフェクトなどの立体感は大きく増すものの、キャラクターがアップで映し出される場面ではパースが効きすぎて、少し目が疲れることもあった。このあたりは個人差もあるものの、最低の-3でも立体感は十分に感じられたので、常に+3にするのではなく自分にあった値に調整してもらえればと思う。

 なお、PV鑑賞開始時にオプションメニューで設定した「3D奥行き調整」と「3D飛び出し調整」の数値で3D表示されるようになっているが、鑑賞中でも3D立体視レベルは、一時的にポーズしてその場で調整することも可能となっている。また、3D立体視は曲毎に設定が可能なので、自分に合ったレベルを調整しながら楽しんでもらいたい。

 3D立体視を実際に体験してみて思ったのは、見慣れたPVの演出でも3D立体視が加わることで大きく変わった印象になるということ。本作の3D立体視によるPV鑑賞は、シリーズをやりこんだファンの方にも新鮮な驚きとなるのではないか思う。また、筆者もこれまでに量販店などで、3D対応テレビを何度か体験してみたことはあるものの、ここまで3D立体視が効果的に働いているのを感じたのは、本作が初めての経験だった。

 なんにしても「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの中で、3D立体視を楽しめるのは本作だけの特長。3Dテレビを持っている方はもちろん、持っていない場合も機会があればぜひとも環境を用意して体験してもらいたい。


アップになる場面ではより大きな迫力となるものの、カメラの手前に左手があるような場面では、パースが効きすぎる可能性も。目が疲れると感じたら「3D飛び出し調整」を下げよう「初音ミクの激唱」(アーティスト:Storyteller)では、背景のウィンドウそれぞれに奥行き感が加えられており、よりサイバースペースっぽいイメージが高められた演出となっていたエフェクトも浮き出すような演出が楽しめる。楽曲やステージごとに異なるエフェクトの演出にも注目すると、より3D立体視を楽しめることだろう



■ 最多の楽曲バリエーションをPS3のハイエンドグラフィックスで味わえる
  シリーズファンはもちろん3D立体視のデモソフトとしてもオススメの1本

 前作をプレイした際にも感じたことだが、PS3のハイエンドグラフィックスを大画面で楽しめるというのは、それだけで十分な魅力といえる。本作はさらに、最多の楽曲・譜面バリエーションを収録した上、3D立体視にも対応するなど、大幅にパワーアップしており、「初音ミク -Project DIVA-」シリーズのファンなら、間違いなく買って損なしの内容といえるのではないだろうか。

 1つ気になったのは、システムデータのコピーが必須となるため、「Project DIVA 2nd」を持っていない人は「Project DIVA 2nd」をひと通りプレイする必要があること。そのため、本作から「初音ミク -Project DIVA-」シリーズをプレイし始めようという方には、若干ハードルが高く感じられてしまうのではないかと思われる。

 前作から、シリーズのファンのためのタイトルという位置づけということは理解しているものの、これだけのボリューム・クオリティのタイトルが、PSP版を持っているファンでないとプレイされにくいというのは、やはり少しもったいないようにも感じてしまった。PSPを持たずに「初音ミク Project DIVA Arcade」のみをプレイしている人もいると思われるので、ファンの裾野を広げるという意味でも、PS3だけでも楽しめる独立したタイトルとした上で「PSP版のシステムデータがある人は、その分はシステムデータを移せばすぐに解放できますよ」という形でもよかったのではないだろうかと思う。

 とはいえ、「Project DIVA 2nd」をたっぷりプレイした人にとっては、システムデータを1回コピーするだけで、面倒な作業なしに幅広い楽曲が楽しめる、嬉しいタイトル。特に初めからシリーズを追いかけているファンはもちろん、「Project DIVA 2nd」から始めた人にとっては、「Project DIVA 2nd」の楽曲をハイエンドで楽しめるだけではなく、前作の楽曲も楽しめるという意味で、とてもお得なタイトルといえるだろう。

 以上のように本作は、「Project DIVA 2nd」をたっぷりとプレイした人、特に3D対応テレビを持っている人にオススメしたいタイトルとなっている。もちろん、PS3のハイクオリティのグラフィックスだけでも十分に価値はあるものの、やはり3D対応テレビを使うことで、本作の持つポテンシャルが最大限に発揮されるのもまた事実。先日、地上デジタル放送への移行が行なわれたばかりということもあり、テレビの買い替えを検討している方は、これを機に3D対応テレビの購入を検討してみてはいかがだろうか。もちろん安い買い物というわけにはいかないだろうが、3D立体視でのみ感じられる迫力と新鮮な感覚は、1度体験すればきっと満足していただけるはずだ。


(2011年 8月 11日)

[Reported by 菅原哲二 ]