★ゲーミングPCレビュー★

ツクモG-GEARからの「現実的なチョイス」
節電とゲーミングを両立させたミドルクラスPC

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  • ジャンル:ゲーミングPC
  • 発売元:ProjectWhite
  • OS:Windows 7 Home Premium SP1 32bit/64bit
  • 価格:104,980円
  • 発売日:4月14日(発売中)


 ツクモeX.computerのゲーミングPCブランドG-GEARがこの春、新モデルを販売開始した。ハイエンドからローエンドまで多数のモデルが用意される中、今春の注目ポイントはずばり「消費電力」。折しも関東圏で長期にわたる電力不足が危惧される状況で、節電を目的として新しいPCへの買い替えを考える人も多いだろう。

 そこで今回ご紹介するのは、G-GEAR新製品の中でも多くのPCゲーマーにとって現実的なチョイスとなるミドルクラスより、「80PLUS BRONZE認証電源」を搭載した「GA7J-E34/S」だ。CPUにCore i7-2600(Sandy Bridge)、GPUにNVIDIA GeForce GTX 560 Tiを搭載し、ベースモデルの販売価格は104,980円。姉妹モデルとしてAMD RADEON HD 6970を搭載した「GA7J-F34/S」も用意されている。さて、ゲームのパフォーマンスと節電は両立するのだろうか?


■ バランスの良いパーツ構成を取る現実路線のゲーミングPC

「GA7J-E34/S」
側板を外して内部を見る。オーソドックスなATXケースだ
ヘッドセットやゲームコントローラー用の端子は前面からアクセスできる

 昨今のゲーミングシーンは、プレイステーション 3やXbox 360といったHD世代のゲーム機のゲームタイトルが主流であることもあり、最新ゲームをプレイするためだけなら大量の電力を必要とするようなハイエンドPCの必要性は薄くなっている。現在ゲーミングPCに求められる特性とは、幅広いカテゴリのゲームを快適に遊べること、そして一般家庭で無理なく使用を継続できること、そしてコストが安いことだと言えよう。

 その条件を性能、サイズ、消費電力などの面で同時に満たすPCを自作するためには各パーツへの深く幅広い知識が必要であり、たやすくできることではないが、本製品「GA7J-E34/S」では、あらかじめ最適なパーツ構成で理想的なバランスが実現されている。

 「GA7J-E34/S」のCPUは第2世代(Sandy Bridge)のIntel Core i7-2600。定格3.4GHz、ターボ動作時で最大3.8GHzでTDPは95W。可変倍率によりアイドル時/低負荷動作時は1.5GHz程度の動作で電力消費を抑えつつ、ビジー時には自動的に倍率が高まりトップパフォーマンスが提供される。

 ビデオカードはツインファンを搭載したMSI「N560GTX-Ti Twin Frozr II OC」。搭載GPUはNVIDIA GeForce GTX 560 Tiで、TDP(最大放熱量)は170Wだ。1世代前のGeForce GTX 460に比べTDPは10W増加しているが、CUDAコア数の増加、クロックの向上などにより平均30%前後の性能向上を果たし、エネルギー効率が高まっている。その上で静音タイプのファン2基での冷却により、高い冷却性能と静音性が両立されているのもポイントだ。

 CPUにCore i7-2600、GPUにGeForce GTX 560 Tiという構成は、現時点のゲーミングPCではまさにミドルクラスというチョイスで、オンラインゲーム・パッケージゲームを問わず多数の最新ゲームが快適に動くという点で必要充分な性能が提供できる。価格を考えれば非常にバランスのとれた現実的な構成と言えそうだ。

 マザーボードはIntel P67 Expressチップセットを搭載したMSIの「P67A-S40」だ。本製品の出荷時に使用されているPCI Express x16スロット以外に、PCI Expressが1スロットおよびPCIスロットが3基フリーとなっており、サウンドカード、ビデオキャプチャボードといった追加の拡張カードが取り付け可能だ。

 ケースは「G-GEAR Plus ミドルタワーケース(10-6XR80-150-2+)」という型番のもので、外形寸法は210×460×465mm(横×縦×高さ)。突起等はなく素直な形状で、側板はドライバー無しで簡単に取り付け・取り外しが可能。充分なメンテナンス性が確保されている。

側面・前面はメッシュ構造で通気性を確保
背面にはUSB2.0やUSB3.0を含め10系統の端子を装備

ビデオカードはツインファン仕様。ケースファンも大口径のものを採用し静音性に配慮
前面ケースファンは上段・下段のデュアル装備で、HDDとビデオカードの冷却のために配置されている


【G-GEAR GA7JE34/S】
OSWindows 7 Home Premium SP1 32bit または 64bit
CPUIntel Core i7-2600
チップセットIntel P67 Express
マザーボードMSI P67A-S40
ビデオチップNVIDIA GeForce GTX 560 Ti
メモリ4GB(2GB×2) ※8GB(4GB)×2への無料アップグレード可
HDD2TB (Serial ATA II)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書き込み対応)
前面インターフェイスUSB2.0ポート×2、マイク入力x1、ヘッドフォン出力x1
背面インターフェイスUSB2.0ポート×8、USB3.0ポート×2、PS/2ポート×1、LAN、ディスプレイ出力(DVI-I)×2、Mini HDMI ×1)、オーディオ入出力(マイク入力、スピーカー出力、ライン入力)


■ 80PLUS BRONZE認定電源採用で、高い電力効率を実現

電源はTopwer製 80PLUS BRONZE認証タイプ

 そして本製品で特に注力されているのがエアフローと電源まわりだ。内部前面には大口径ファンが2基装備されており、上段のファンはHDDを、下段のファンはグラフィックスカードを直接冷却する配置。背面にもファンがあり、これはケース内部の冷却に充てられている。いずれも大型・低回転タイプのファンで、動作音は顔を近づけなければ気にならない程度に抑えられている。

 電源にはTopower製の550W 80PLUS BRONZE対応の電源ユニットを採用。80PLUS BRONZEは電力使用効率が82%以上の電源に与えられる認定で、発熱が少ないことで、静音性にも優れ、消費電力にも貢献してくれる。ただでさえ大きな電力を消費するゲーミングPCでは大きな差となって現われる、重要なパーツと言えるだろう。

 筆者実測での本製品の消費電力はアイドル時で68W、CPUのみビジー時で147W、重量級のゲーム実行時で274W。HD世代ゲーム機水準の大容量ACアダプターでも電力を供給できそうな数値だ。ゲーム実行時の排熱もかなり抑えられており、電源ファン排気口近くに手をかざしても、ほんのり温かい程度にとどまる。

 これが数世代前のCPUをベースにした筆者自作のPC(Core2 Duo 3.8GHz/GeForce GTX 580)では、アイドル時で214W、ゲーム実行時で482Wと、電子レンジ並の消費電力で、ゲームのパフォーマンスは本製品のほうが高い場合が多いというレベル。特にCPUと電源の性能で差が付いている印象だ。筆者自身、この現実を前にして真剣に買い替えを検討してしまった。

 また本製品の電源容量が最大550Wで、実際のピーク電力から見てもまだ余裕があることは、それなりの拡張性が確保されていることも意味している。もしさらなるパワーを求めるなら、のちのちさらにハイエンドのCPU/GPUに換装することを考えてもいいだろう。



■ 最新PCゲームも快適に遊べる、高いパフォーマンス

DirectX 11のテッセレーションを多用する「Stone Giant」デモ。60fps以上で動作
「クライシス 2」も快適なフレームレートで遊べる

 さて、肝心のゲームでのパフォーマンスについて少し詳しく見てみよう。まず、オンラインゲーム代表として「FINAL FANTASY XIV Official Benchmark」では、フルスクリーンHIGH設定で4254と、1世代前のハイエンドPC並み。もちろん「FF XIV」を快適に遊べる水準だ。

 重量級タイトルの代表格として「クライシス 2」でもベンチマークを行なった。こちらはユーザーコミュニティ制作のベンチマークツール「Adrenaline クライシス 2 Benchmark Tool」を使用して、マップは「Central Park」、解像度1,920×1,080ドット、アンチエイリアス4×設定で計測。

 その結果、最高負荷のEXTREME設定でも平均54.49fpsを叩き出し、快適なフレームレートで遊べることが実証された。実際にプレイしてみたところでも、ほぼ全編に渡り、顕著なフレームレート低下を感じることはなく、常時60fps以上で楽しむことができた。

 さらにDirectX 11世代の表現を多用した「LOST PLANET 2 BENCHMARK」でも高いフレームレートを記録した。テッセレーションを多用する「HIGH」設定では、実際のゲームシーンを反映したTEST Aで45.5FPS、巨大クリーチャーが登場するTEST Bで39.5FPS。「LOW」設定ではそれぞれ66.6FPS、73.2FPSとなり、DirectX 11の機能、特にテッセレーションの負荷が高いことがわかるが、充分に快適に遊べるレベルだ。

 DirectX 11のテッセレーション機能をフィーチャーした技術デモ「Stone Giant」でも、常時60fps以上をキープ。岩の巨人にギリギリまで近接すると頂点数が増えるため負荷が高まるが、それでも50fpsを割ることはほとんどない。今後登場してくるDirectX 11専用タイトルでも本製品で対応できそうな気配だ。

 本製品「GA7JE34/S」は、10万円ちょっとの価格で最新ゲームが快適に動作するという点で理想的、それでいて消費電力が抑えられている点で現実的と、非常にバランス良くまとまったゲーミングPCとなっている。そこそこの拡張性も確保されているため多くのPCゲーマーにオススメできるし、筆者のように、少し古めのハイパワー&大電力PCでゲームをするのが辛くなってきた向きにも、買い替えの良い時期が来ているとお知らせしておこう。

「LOST PLANET 2」DX11機能を活用したシーンでも高いフレームレートで動作する


【ベンチマーク】
3DMark 11 (1,280×720ドット、Performance設定)
ScoreP4366 3DMarks
クライシス 2 (1,920x1,080ドット、4×AA、Central Park)
EXTREMEMin:10.0 Max:326.80 Ave:54.49
VERY HIGHMin:10.13 Max:335.57 Ave:55.35
HIGHMin:10.96 Max:425.53 Ave:55.61
LOST PLANET 2 (1920x1080、最高設定)
DX11機能 HIGHTEST A:45.5fps TEST B:39.5fps
DX11機能 LOWTEST A:66.6fps TEST B:73.2fps
FINAL FANTASY OFFICIAL BENCHMARK(ヒューラン男)
HIGH全画面4254 (Load Time 10384ms)
LOW全画面6197 (Load Time 10423ms)
Stone Giant Demo(1,920×1,080ドット、初期視点でのFPS)
テッセレーションHIGH63fps
テッセレーションLOW75fps
CINEBENCH R11.5
CPU6.77PTS
OpenGL55.28fps

(2011年 4月 26日)

[Reported by 佐藤カフジ ]