“竜退治はもう飽きた!”。1991年に発売されたファミコン用ロールプレイングゲーム「メタルマックス」のTVCMに使われていたこの挑戦的なキャッチフレーズは、当時のゲームファンに強烈なインパクトを与えた。1993年にはスーパーファミコンで続編の「メタルマックス2」が発売。荒廃した近未来で戦車に乗ってモンスターと戦うという斬新な世界観、ジャンク風味が妙に心地良いテキスト、高い自由度とたっぷりの遊びごたえ。強烈な個性は他にない魅力として愛された。
それからなんと17年。正式なナンバリングタイトルとしての最新作「メタルマックス3」が突如発表され、ゲームファンを驚かせた。開発には、ゲームデザインの宮岡寛氏、アートワークの山本貴嗣氏、サウンドの門倉聡氏と、当時のオリジナルスタッフが再集結。正真正銘の血統を持った最新作だ。このレビューでは、「メタルマックス」の強烈な個性は最新作にも息づいているのか?そして最新作ならでの要素は?こうしたあたりにスポットを当てていこう。
― ストーリー ― 伝説の“大破壊”によって、人類の文明が滅んだ近未来。 |
■ 主人公は「記憶を失った赤い髪の男」、伝説の大破壊により文明が失われた世界で物語がはじまる!
“自称”電撃蘇生学の権威「Dr.ミンチ」の研究室で、今まさに1人の男が蘇ろうとしていた。物語のはじまりであり、17年ぶりの「メタルマックス」の復活を象徴するようなワンシーン |
生き返った赤い髪の男は、記憶を全て失っていた。自分が誰なのか、なぜ死んでいたのか、何も思い出せない |
あの「メタルマックス」の最新作が発売されるなんて夢のようだ。ドキドキしながらDSの電源を入れて、プレイ開始。ときおりパリパリと電気が走る暗い画面が映る。「さぁ、よみがえるのだ!この電撃でぇぇっ!」という、あの懐かしいセリフとともに中央がビカビカと光る。これはシリーズのお約束のひとつである電撃蘇生だ。死んだ人間に強烈な電撃を流すことで蘇らせるという、「メタルマックス」を象徴するような荒削りな方法。荒くれた世界では神に祈ったりなんてしない。今まさに何かが蘇ろうとしている。それは物語の始まりのイベントであるとともに、「メタルマックス」というシリーズそのものの復活も示しているのかもしれない。
起き上がったのは赤い髪の男だった。彼が今作の主人公。蘇生術を施したDr.ミンチ本人も蘇生の成功に驚いていたが、さらに驚きが待っていた。赤い髪の男は、自分が今まで死んでいたという事実はもちろんとして、それ以前のことも何も覚えてはいなかったのだ。記憶がない。自分が誰なのか、なぜ死んでいたのか、誰かに殺されたのか?一切がわからない。唯一の手がかりはDr.ミンチが教えてくれた「キミの死体は川の上流から流れてきた」ということだけだった。
Dr.ミンチの研究室を飛び出ると、そこは荒野の街「クライング・ママ」だった。朽ち果てた建物の残骸の中で人々がなんとか雨風をしのいでいる場所。「クライング・ママ」という名前は、建物の残骸の壁が、まるで女性が泣いているように見えるところからつけられたそうだ。
この世界には近代文明は残っていない。伝説の大破壊という惨事によってあらゆる物が崩壊し、かろうじて生き残った人々がしぶとく生きている、弱肉強食の荒れ果てた世界だ。こうした世界では徒党を組んで牛耳ろうとする組織が現われるのが常で、街の住人から通称「冷血党」こと「クラン・コールドブラッド」が、悪名高く暴れ回っているという話が聞けた。
街の外へ向かうと、男と女が何か言い合いをしていた。どうやら女は何かに追われているらしく、一緒に逃げようと男に詰め寄っているが、男は弱気で乗り気でない。そこに屈強な男が1人近づいてきた。どうやら女を連れて行こうとしている追手のよう。弱気な男があっさりはねつけられてしまい、さらわれそうになった女は赤い髪の男の影に隠れた。「何者だおまえ!? 名前を聞かせろ!」と言われるも、記憶が無いから名乗れない。そうこうしているうちに男が襲ってきた。
だが、赤い髪の男は強かった。それも異常なまでに。あっさりと追手の男をぶちのめしたものの、今度はその男の相棒だという男が戦車に乗ってやってきた。こちらに向けられた主砲。機関銃も撃つし、火炎も放射するぞと脅してくる。生身じゃあ戦車には勝てないし、命を張る理由もありゃあしない。赤い髪の男は助けを求める女の声を背中に、スタコラサッサと立ち去った。
ここまでがプロローグで、直後にシリーズでお馴染みのオープニングテーマとともにタイトルが現われる。荒廃した世界、異様な強さを持つものの記憶を失っている主人公、悪名高い冷血党、そして助けを求めてきた女。ここから「メタルマックス3」の物語が始まっていく。
Dr.ミンチの研究室があるのは「クライング・ママ」という、街とは言えないような廃墟で何人かが暮らしている場所。外に出ようとすると、連れ去られようとしている女に助けを求められるが、戦車の前の退散。ここから「メタルマックス3」の物語が始まっていく |
■ 生き抜くには“クルマ”が必要だ!戦車もあれば車両もある!今回はバイクも登場!
手に入れた“クルマ”に乗り込んで戦うのが「メタルマックス」最大の魅力。クルマとは、代表的なものだと戦車で、その他にも自動車もある。どこかで眠っているクルマを探し出し、カスタマイズするのが醍醐味だ |
今作ではついに「バイク」が登場!バイクは他のクルマと違って、人間装備の武器や道具も乗り込んだまま使用できる |
「メタルマックス」最大の特徴といえば、なんといっても「クルマ」に乗って戦うということ。クルマは乗り物の総称で戦車や車両などいろいろな種類がある。大破壊後の世界では、機械がモンスターと化して人間を襲っていて、生身のままで冒険するのは危険すぎる。そこで、厚い装甲と強力な装備を持つクルマに乗り込んで対抗するわけだ。従来のRPGのように生身でも戦えるが、戦車に乗れる場所では乗って戦うのが基本になる。
クルマは代表的な存在の戦車以外にも、パトカーなどのユニークな車両や特殊なものが存在するのだが、今作ではついに「バイク」が登場した。バイクは他のクルマと違って、戦闘時にバイクの装備以外に人間が装備している武器でも攻撃できるほか、道具も使用できる(他はクルマから降りないと人間用の武器や道具が使えない)。他のクルマとは違う戦い方ができる。
クルマはどこでも売っているようなものではなくて、どこかに埋もれていたり、危険な廃墟の奥で眠っていたりする。それらを探し出して手に入れるわけだ。街の人から「○○のどこかに戦車(またはクルマ)があるらしいぜ……」みたいな噂話を聞いてそこを目指したり、いかにも怪しげな場所を探索してみたり。発見したときの嬉しさはたまらない。
クルマは、シャシー、エンジン、Cユニットといったパーツで構成されていて、そこに主砲であったり機銃であったりといった、装備を搭載していく。パーツにはいずれも重さがあって、エンジンの馬力のぶんだけ搭載できる。また生身で言うところのHPにあたるのが装甲タイル。これもエンジンと全体の重量によって搭載できる量が決まる。
このようにクルマは、レベルアップという概念ではなくパーツを交換することでパワーアップしていく。お金を貯めて、ショップで買ったパーツを装着して強い戦車にカスタマイズしていくというわけだ。より強力なパーツを求めて新しい街を目指したり、危険な廃墟に隠された兵器を求めたり。かわいい自分のクルマのためにあっちこっちをさまようのが楽しい。
さらに改造してより自分好みの戦車にできるのも魅力。1番大きな改造は、兵器を装着する「穴」の改造で、主砲をたくさんつけてみたり、機銃をたくさんつけてみたり。無茶な改造だってできる。今作では改造の仕方を分岐から選ぶようにになっていて、分岐先のパターンが非常に多い。単純に穴を増やすというより、グレードアップさせるようなイメージだ。
他にも防御力や重量、兵器の弾数、さらにクルマのカラーリングなど、細かにカスタマイズできる。もちろん各種の改造にはお金がかかり、大きな改造には膨大な金額が必要になる。それだけ稼ぐのは大変ではあるが、強くかっこよく、自分好みのクルマにできるというのは楽しくてモチベーションが高まる。ストーリーそっちのけで最終形態までがっちり自分好みにカスタマイズしたくなる。
手に入れたクルマを大改造!主砲を増やしたり、機銃だらけにしてみたり。画像のように分岐パターンで改造していく方式で、最終形態まではかなりのパターンがある。他にもカラーリングを変更したりと、こだわりの改造が施せる |
クルマに乗っての戦いは生身の時とはだいぶ異なる。下画面側のSPというゲージがクルマの耐久力で、SPが0になっても大破しない限りは戦える |
クルマは単に装備が強力というだけではなく、生身で戦うのとはいろいろと違いがある。もっとも大きな違いはHPの概念で、クルマは装甲タイルが0になってもそれで戦えなくなるわけではない。各種パーツが破壊されて、大破してしまうまで戦える。大破されたら、搭乗者が降りて生身で戦うことになる。
強敵との戦い、激しい攻撃で装甲タイルはとっくに0。だが、クルマは大破せずに粘っている。それからさらに数ターン攻撃を浴びると、次第にクルマは黒い煙を噴き上げ始める。それでもまだ攻撃はできる。こうした場面では「がんばれ!なんとかもってくれ!」というような祈るような気持ちで見守ることになる。
数値には見えない領域でギリギリの戦いを続ける場面には、ハラハラとさせられる。敵をそのまま倒せたときは「よく耐えてくれたー!」という気持ちになるし、大破させられてしまいキャラクターがクルマから降りてきたのを見ると「あぁーやられちゃったよぉぉ……。」という悲しさとともにヒリヒリした緊張感が走る(クルマを破壊できるぐらいの強敵相手に生身に降ろされてしまっては、後数ターン持つかどうか。ギリギリなのだ)。
ちなみにシャシー、エンジン、Cユニットといったクルマを構成するメインパーツが大破してしまった場合、自走不能になってしまう。そうした場合は他の走れるクルマで牽引して運んだり、街に戻って修理屋に回収してきてもらったりすることになる。クルマを貸してもらえるレンタルタンクも健在だ。頼もしいけど手間もお金もかかるクルマだが、それだけに愛着が沸く。
戦闘は従来シリーズ同様のコマンド式ターン制バトルだ。シリーズ作にもあった「戦闘モード」の切替がしっかり今作にも搭載されている。これは攻撃表示の進行を切り替えられるオプションで、敵味方の攻撃が交互に行なわれる普通のターンバトル以外に、ほとんど一斉に攻撃が入り乱れるようなスピーディーな表示にもできる。攻撃が激しく入り乱れる表示が実にかっこいい。スピーディーだし迫力も段違いだ。
戦闘モードの切替は「メタルマックス」シリーズの隠れた魅力。順番に攻撃する普通の表示以外に、一斉にドンパチする表示もあり、テキスト送りのパターンやテキストの有り無しも変更できる |
■ 生き抜くには金と名声が必要だ!“WANTEDモンスター”を倒して賞金を手に入れろ!
強力すぎて脅威になっているモンスターは「WANTEDモンスター」として賞金がかけられている。倒すのは簡単ではないが、挑まずにはいられない |
クルマを改造するのはおろか、普通にクルマ用、人間用の装備を整えるだけにしても、とにかくお金が必要だ。そこで目をつけることになるのが、「WANTEDモンスター」の存在。WANTEDモンスターは強力なモンスターで、ハンターオフィスの壁にポスターが貼られ、討伐者には賞金が与えられる。シリーズの醍醐味のひとつといえる存在だ。
WANTEDモンスターは他のモンスターと違ってランダムエンカウントではなく、フィールド上にその姿が見えている。倒そうと狙っているときはその姿を探し回ることになるが、初めてのエリアで不意に見つけてしまったときは驚かされる。
ハンターオフィスで聞いた情報を得て、万全の体制を整えてWANTEDモンスターに挑む。モンスターのシンボルに突っ込むと戦闘開始。強敵専用のシリーズでもお馴染みの曲がテンションを高めてくる。WANTEDモンスターはそれなりの敵からとんでもない強敵まで豊富に存在して、それぞれに賞金の額も異なる。
見事に撃破できたときの嬉しさとほっと一安心した気持ちが同居したような感覚。最寄りのハンターオフィスに戻って賞金を受け取ったときの喜びは格別なものだ。賞金を受け取ったあとは酒場に寄って「おだいじん」でもしたくなる。ちなみに「おだいじん」とは、酒場の他のお客全員にお酒をおごるメニューで、おごったからといって特に意味はないが、なんだか嬉しい。
WANTEDモンスターはストーリーに関係していないものが大半で、「戦いたければ戦えばいい」とでも言わんばかりの存在。別にスルーしてもかまわないのだが、強敵と戦ってみたい、そして勝ちたい。なにより賞金のためだ。
ハンターオフィスでWANTEDモンスターの情報を聞く。壁にはWANTEDモンスターのポスターが貼られていて、賞金額も載っている |
■ 生き抜くには仲間が必要だ!今回はマルチパーティ制で自由にパーティを組める!
今作では仲間は「ヌッカの酒場」で入れ替えする。職業は6種類に増え、自分で登録した仲間を連れて行くこともできる |
主人公の謎の男は確かに強いのだが、それだけで通用するのもほんの序盤だけ。1人ではやっていけない。そこで仲間とパーティを組む。今作はマルチパーティ制でこれまでのシリーズにもなかった新しい職業を含め、いろんな仲間を自由に連れて歩ける。
仲間は「ヌッカの酒場」という場所で募る。店主のヌッカは強面の外見をしたおっちゃんなのだが、なぜかお姉言葉の元ソルジャーだ。これまでのシリーズだと、主人公がハンター。仲間はメカニックとソルジャー、さらに犬が1匹という構成が基本だったが、今作では仲間の職業が6種類と増加した。3人+1匹という構成は「メタルマックス2」と同様だ。
6種類の職業は、“クルマの操縦がうまい「ハンター(主人公と同じタイプ)」”、“クルマの修理を得意とする「メカニック」”、“あらゆる武器を扱うがクルマの操縦は苦手な「ソルジャー」”というシリーズでお馴染みの職業に加えて、“回復が得意な「ナース」”、“武器に頼らず肉体で戦う「レスラー」”、“ゲージツという特殊な特技を持つ「アーチスト」”の3種類が加わった。ステータスの違いだけでなく、レベルアップすることで職業によってそれぞれ特技を覚えるのもポイントだ。
仲間は自分で名前、性別、職業を決めて作ることもできる。性別のところに男女だけでなくオカマもあったりするところが、いかにも「メタルマックス」らしい。ヌッカの酒場にたどり着けさえすれば、仲間の入れ替えは特に条件もなく自由にできるのだが、その反面、ストーリー的な流れがあって仲間になるという要素がないのは少し残念なところだ。だが、自由に色んなキャラクターを育成できるのは嬉しい。
もちろん犬も健在。犬はコマンド操作ができず、クルマにも乗れないが、今作ではポチバイクやポチタンクといった装備品がある。他のクルマと違って2つとも単に装備品の扱いなのだが、これらを装備することで多少死ににくくなる。6種類の職業とイヌが仲間。職業ごとに装備できるものやステータスが異なる以外に、「特技」という特殊能力がそれぞれにある。自分で仲間を登録する時には性別も選べるのだが、「オカマ」も選べるあたりが「メタルマックス」らしさ |
■ 生き抜くにはハンターライフを満喫しなければいけない!「メタルマックス」らしさが溢れている
大破壊で崩壊してしまった世界は荒れ果てているものの、ところどころに文明の跡が見られる |
「メタルマックス3」はとにかく、“「メタルマックス」らしさ”があふれていて、すごく好印象だ。17年ぶりのナンバリングタイトルとは思えないほどに、1と2の良さをしっかりとそのままに持っている。
グラフィックス面は3Dグラフィックスになってはいるものの、変に凝ったりせずにシリーズ作そのままな見せ方をしているところがとても良い。戦闘中の敵の攻撃アニメーションが豊かでスムーズになったところは、良い意味で進化している。
プレイのリズムも早めで気持ちいい。無駄なストレスがなく、サクサクとしている。1と2はファミコン、スーパーファミコン時代のタイトルだが、その時代のサクサクとしたスピーディーな感触を3でもそのままに持っている。それと比べると昨今のゲームはプレイ感が重たすぎると痛感させられる。
自由度の高さもシリーズ作そのままの良さ。メインストーリーはもちろんしっかりとしているが、それ以外の要素が非常に充実している。WANTEDモンスターにしてもクルマ集めにしても、「やりたければやればいい」というスタンスで必須ではない。だがいずれも、自分から行動したくなる魅力をちゃんと持っている。
世界観も驚くほどにちゃんと“これぞ「メタルマックス」!”と思えるものになっている。崩壊した世界で絶望にうちひしがれながら暮らしていたり、しぶとく強く生きていたりする人々。こんなものを利用して暮らしているの?と思ってしまうユニークな廃墟の利用の仕方。危険な廃墟も、昔に人がいた痕跡だけが残っていて今は危険な機械が潜んでいるところが、独特の不気味さを感じさせる。
街の人々とのやりとりも、シリーズファン納得のテイスト。メモリーセンターでセーブするときのやりとりや、改造屋のなんだか別の意味に聞こえてくるようなユニークなやりとりなど、「これこれ、この会話だよー!」と思わず興奮してしまう。
さらにサウンド面もシリーズでお馴染みのものが多い。多少リッチな聞こえ方はするものの、基本的にシリーズそのままで。もともと1と2の頃から曲は秀逸で、記憶に残るものが多かった。それだけに、下手に新しいものにされていないのは嬉しいところだ。
「メタルマックス」といえばゲーム機でミニゲームも遊べるが、それは今作も健在どころかちょっとパワーアップ。弾を撃って風船を割る「戦車でワンワン!」というゲームのほか、「ブラックジャック」や「スロット」で大金を稼ぐこともできる。
その他にも“らしさ”をあげていったらキリがないほど。お酒を注文するまで口を聞いてくれないマスター、安い宿に泊まると血を吸いにくる蚊。インテリアショップの高価な家具を買って送り知り合った女性に喜ばれる、転送装置ももちろんあるし、ドラム缶を押すのが好きな人はそこかしこにあるドラム缶を押せばいい。金属探知機で鉄くずを拾い集める日々ももちろん待っている。そうこうしているうちにふと戦車を見ると、とりのふんとかナマリタケがごってりくっついている。そうなれば洗車屋で洗車だ。めくるめくハンターライフが楽しめる。
独特なテイストが「メタルマックス」シリーズの魅力だが、17年ぶりの新作となる今作でもそのテイストはしっかりと健在。ちょっとしたセリフだったり細かなところまで、「これぞメタルマックス!」という定番要素がバッチリ入っている | ||
ゲーム機を調べると遊べるミニゲームも健在。左から「ブラックジャック」、「スロット」、「戦車でワンワン!」だ。お金稼ぎにもなるので、ついつい夢中になってしまう |
■ 生き抜くには「メタルマックス3」を遊ぶのがオススメ! DSタイトルの中でも屈指の良作
メインストーリー以外にたくさんの要素があるが、いずれも自分からやりたくなる魅力を持っているのがポイントだ。ストレスもなく、サクサクと、それでいて奥深く遊べる |
めくるめくハンターライフ。クルマをひたすらに改造し、WANTEDモンスターを狙い、そしてまたクルマをいじる。文明が崩壊した世界での冒険は新鮮でユーモアに溢れているし、ボリュームもたっぷり。メインストーリーの難易度もけっこうなもので、一筋縄ではいかない。そのためにも、装備を整えクルマをいじっていくことになり、そうするうちに愛着が沸いて、もっと自分好みのクルマに仕上げたくなってくる。
自然と世界の隅々まで探索したくなる魅力があるし、それはストレスを感じさせるような要素が少なく、いずれにも魅力が溢れているからだろう。ヒントが多すぎたりするようなことがないので、自分で見つけた場所に「ここにはなにかあるかもしれない」と予感できる。そしてその予感にはだいたいそれ相応の物が待っている。だからこそ、自分から色んなところを探索したくなる。RPG本来の魅力をちゃんと持っている。
ちょっと気になったところとしては、一部の場所のエンカウント率が異様に高いのが気になったのだが、そういうところもクラシックな感触のひとつとして考えられているのかもしれない。これに関してはもう少しほどほどが良かったかなと感じた。
17年ぶりのナンバリングタイトルということで、シリーズ作を知っている人はいろいろと楽しみでもあり不安でもあったかもしれないが、そんな心配は無用の「これぞ『メタルマックス』!」という仕上がりだった。数多くのDSタイトルの中でも屈指の良作といっていい。シリーズ作をプレイしていなくてもまったく問題がないので、RPG好きの人は間違いなくプレイしたほうがいい。そう断言できる作品だ。
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□「メタルマックス3」のホームページ
http://metalmax.info/
(2010年8月24日)