オンラインゲームレビュー

デッキ構築力と一瞬の判断力で競いあう
デジタルならではのカードゲームがオンライン化

「アヴァロンの鍵オンライン」

  • ジャンル:オンラインTAG(鬼ごっこ)ボードゲーム
  • 運営/開発元:GPコアエッジ
  • 利用料金:基本プレイ無料・アイテム課金制
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:2009年12月10日(正式サービス中)

 株式会社GPコアエッジは、Windows用オンラインTAG(鬼ごっこ)ボードゲーム「アヴァロンの鍵オンライン」のサービスを2009年12月10日より開始した。本作は2003年に株式会社セガが発売したアーケードゲーム「アヴァロンの鍵」をオンラインゲーム化したものだ。

 本作はアーケード版の基本的なシステムを踏襲したうえで、新たなマップの追加や、キャラクターのカスタマイズといった様々なオリジナル要素が追加されている。アミューズメント施設に足を運ばなくても自宅で遊べるし、毎週のようにゲーム内でイベントが楽しめるのもオンライン版ならではのよさだ。

 ちなみに正式サービスは2009年12月10日より開始されたが、その後しばらくはゲームが途中で止まってしまうなどの致命的な不具合があった。しかし、それも数度のメンテナンスによって修正され、今では十分に遊べる環境が整っている。正式サービスから時間が経ってしまったが、改めてPCでリバイバルされた本作の魅力をお伝えする。




■ 「ホルダー」と「チェイサー」による4人対戦プレイ

ボードゲームとトレーディングカードゲームが組み合わさったゲームシステムだ

 「アヴァロンの鍵オンライン」の舞台は、魔術を詠唱したりモンスターの召喚などができるファンタジーな世界だ。主人公はその世界の中で1人前の魔導師になるため、「魔導アカデミー」の生徒として魔導の腕を磨いていく。

 ゲームのメインコンテンツは、「魔導アカデミー」で課せられる「魔導試験」で、プレーヤー4名による対戦型のゲームになっている。ゲームジャンルとしては、プレーヤーの移動にはボードゲームのシステムが、戦闘にはトレーディングカードゲームのシステムが採用された複合ジャンルとなっている。

 ゲームの目的は、「アヴァロンの鍵」を手に入れた状態で祠に3回たどり着くこと。鍵はフィールド上に1つだけ存在し、鍵を持って祠に向かうプレーヤーを、他のプレーヤーが鍵を奪うために追いかけるという展開になる。本作では鍵を所持しているプレーヤーを「ホルダー」、鍵を持っていない残り3人を「チェイサー」と呼んでいる。


【スクリーンショット】
まずは「アヴァロンの鍵」手に入れて「ホルダー」になる次に「ホルダー」の状態で祠を目指して移動する最終目標は祠に3回たどり着くこと



■ 瞬発的思考が重要なカードを使用した行動

全体マップをみれば、「ホルダー」や「チェイサー」、祠の位置などがチェックできる

 まずはボードゲーム部分の移動について紹介していこう。本作の移動にはカードを使用する。カードはデッキと呼ばれる30枚のカードの束から、ターンごとに手持ちが6枚になるよう引く。

 カードには4色に分けられた属性移動値が設定されている。マップ上のマス目も同様に4色に分けられており、属性移動値の分だけ、同色のマス目を移動できる。例えば緑が3の移動値のカードであれば、緑色のマス目を3つ移動できる。もし通りたいルートのマスの色に対応したカードを持っていなければ、別のルートに迂回して移動しなければならない。ただし白のマス目はどの属性のカードでも通過でき、白の属性移動値のカードはどの色のマス目も移動できる。

 実際のプレイでは、マスの色に対応したカードを持っていないことが多く、複数のルートを考えた上で、手持ちのカードから最善のルートと使用順を導きだしていく、パズルのような思考が必要となる。

 そしてこの移動方法にリアルタイム性を加えているのが行動ターンのシステムだ。行動ターンは「ホルダー」と「チェイサー」の2パターンに分けられており、それぞれ約90秒の制限時間が設定されている。

 「ホルダー」は1人しかいないので、制限時間いっぱいまで考えて行動しても構わない。しかし「チェイサー」の場合は、他の「チェイサー」よりも早く「ホルダー」の鍵を奪いに行かなければならないので、誰よりも早く「ホルダー」のいるマスに到着する必要がある。

 適切なルートを考えるには時間が必要だが、上級者は「チェイサー」のターン開始と同時に動き出し、ものの数秒で「ホルダー」に到着してしまう。これは「ホルダー」の行動中に、次のターンで使用できるカードとマップを確認し、ルートを考えているからだ。普通のボードゲームでは、他のプレーヤーの操作中は待ち時間になることが多いが、本作はその時間でいかに多くの情報を得て、次の行動を考えておくことが重要になる。つまりプレイ中は終始頭をフル回転させ、いち早く結論を出すことが重要になるわけだ。


【スクリーンショット】
カードを選択するとマスが光り、移動可能な範囲を知らせてくれる目的地をクリックするとカードを消費して移動するターン終了時、次のターンで使えるカードが配布されるので、それを見て次の作戦を練る



■ 柔軟な判断力が必要な駆け引き重視の戦闘

「ホルダー」と「チェイサー」の戦闘シーン。カードを使って対戦する

 次に戦闘について紹介していこう。これも移動と同様にカードを利用する。カードには先述した移動値の他に、攻撃値、耐久値が設定されている。

 戦闘は「ホルダー」と「チェイサー」間でのみ発生する。「ホルダー」は鍵を持って祠に向かいながら、カードを使ってモンスターを召喚し、移動経路をふさいだり、自分のいるマスに配置して鍵を奪われないようにするのが基本となる。そして「ホルダー」がモンスターを配置したマスを「チェイサー」が通ろうとすると、戦闘が発生する。逆に「チェイサー」が配置したモンスターがいるマスを「ホルダー」が通ろうとした場合も戦闘になる。

 戦闘では、モンスターを配置しておいたプレーヤーが防衛側、後からやってきたプレーヤーが攻撃側となる。基本的に、攻撃側モンスターの攻撃値が防衛側モンスターの耐久値を上回っていれば撃破となる。攻撃側が倒せなかった場合は、防衛側が反撃し、それでも決着がつかなければ防衛側の勝利となる。「ホルダー」が止まっているマス上での戦闘に勝った「チェイサー」は鍵を手に入れ、「ホルダー」が交代する。

 モンスターには攻撃値と耐久値のほか、固有の能力が設定されているものがある。例えば「先制」という能力を持ったカードは、通常は後攻となる防衛側においても、先に攻撃を仕掛けられる。

 また戦闘時には、戦闘用のモンスターカードのほかにもう1枚、戦闘支援カードを使える。支援に使えるカードには、支援専用のカードと、モンスターカードでありながら支援能力を持つものの2種類がある。いずれも能力は固有のものが設定されており、攻撃値や耐久値を上昇させたり、前述の固有能力を付加するものなどがある。

 この2枚のカードを組み合わせることで、戦闘に幅広い戦略が生まれている。例えば、攻撃すると必ず相手を倒す「即死」という能力を持ったモンスターで攻撃された時、何もしなければなすすべなく倒されてしまう。しかし「先制」の能力を付与する戦闘支援カードを使えば、相手より先に攻撃して倒してしまうことも可能だ。だが攻撃側が耐久値を高める戦闘支援カードを使えば、先に攻撃されても耐え切って「即死」の攻撃を仕掛けられる。

 この戦闘支援カードを選べるのは、戦闘前に与えられた10秒間のみ。この10秒間は対戦相手のモンスターカードは確認できるものの、何の戦闘支援カードを使ったのかは確認できない。相手のモンスターカードを見て、どんな戦闘支援カードを使ってくるかを予測し、その裏をかくという駆け引きがある。

 戦闘用のカードは、移動用のカードと同じモンスターカードであり、手持ちの6枚のカードの中から選ぶことになる。つまり6枚のカードから戦闘用に1枚か2枚を取っておき、残りのカードで移動方法を考える必要がある。移動ばかりを気にしていては戦闘時に勝てるカードを用意できず、かといって戦闘だけを考えていては「ホルダー」のもとにたどり着けもしない。行動には柔軟かつ素早い判断力が必要となる。


【スクリーンショット】
戦闘の前には、相手が設置したカードを見て、攻撃値や耐久値などが確認できる相手のマスに止まったら攻撃用のカードを選択する最後に戦闘支援するカードを選ぶと戦闘が開始される
モンスターカード単体では攻撃値は低いが、戦闘支援カードの能力で攻撃値が上昇し、相手を撃破できた



■ 移動と戦闘などバランスが重要なデッキ構築

デッキ構築画面。所持しているカードのうち30枚のカードを組み合わせてデッキを構築する

 ゲームを開始した直後は、スターターと呼ばれるデッキを所持しており、手を加えなくてもすぐにゲームを遊べるようになっている。スターターデッキもかなりよくできており、十分遊べる状態ではあるのだが、ゲームに慣れていくともっと多くのカードを使って、特徴のあるオリジナルのデッキを構築したくなるもの。

 新たなカードの入手方法は、ゲーム内のショップで販売されているものを有料で購入するか、ゲームを遊んで入手するかの2通りがある。前者はカード1枚が30G(30円相当)で販売されているほか、複数のカードをセットにして割引販売しているものもある。

 ゲームを遊んでカードを入手する方法としては、プレーヤーの学位(レベル)が上がった時や、対戦終了時に手に入る「Ava-point」での交換、ゲーム内イベントで貰うといった方法がある。そうやって入手したカードでスターターに手を加え、プレーヤーオリジナルのデッキを構築する。攻撃値重視、耐久値重視、移動値重視といったデッキから、カード同士の組み合わせを重視したコンボデッキなど様々なものが考えられる。何かに特化したデッキで、思い通りの動きができた場合は爽快だ。

 ただデッキを構築する際に重要になるのが、デッキのバランスだ。本作では多くのカードが移動と戦闘の両方で使用できるが、どれも能力は一長一短で、オールマイティに使えるカードはほとんどない。移動ばかりを重視したデッキにすると戦闘がおろそかになるし、逆に戦闘を重視すると移動しづらくなる。また移動だけを考えても、属性が偏っていれば思い通りに移動できない。また前述の戦闘支援カードは移動の能力を持たないので、こればかりでデッキを構築してしまうと、最悪の場合一歩も動けないことがある。デッキ構築時には何かに特化させつつも、ある程度のバランスが必要だ。


【スクリーンショット】
デッキ構築後はどういったカードで組まれているのか分析結果が表示される。カードの種類だけでなく、移動値の色ごとのグラフや、攻撃値と耐久値の平均など細かく分析できる



 「アヴァロンの鍵オンライン」は、ボードゲームとカードゲームが巧みに融合しているゲームではあるが、アクションゲームのような素早い動きも必要で、一般的なボードゲームやカードゲームとは似て非なる作品だ。デッキの構築はもちろん重要だが、対戦においては常に多くの情報を得て、素早く最適解を出せるプレーヤーが勝利に近づく。

 時間をかけて良質なデッキを組むというカードゲーム的な思考と、素早い判断と操作を必要とするリアルタイムストラテジーに近いゲームプレイ。この2つの総合能力を競い合えるのが本作の面白さの真髄だ。




■ ゲーム内カード「アーマジロ」をプレゼント!

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 GPコアエッジ様より、「アヴァロンの鍵オンライン」で使用できるシリアルキーをいただきましたので、読者の皆様にご提供します。下の16文字のシリアルキーを、ログイン後の「ホーム」画面の左下にあるボタンを押すと出る入力欄に入力すると、「アーマジロ」のカードを1枚入手できます。シリアルキーはお1人様につき1回使用できますので、ぜひご利用ください。

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 「アーマジロ」は攻撃0、耐久18のアンコモンカード。戦闘時発動能力として、「後攻」、「受けたダメージを倍にして返す」があります。数値を見ると防衛向きに見えますが、能力によって攻撃時にこそ強力なカードになります。うまく活用して「魔導試験」を勝ち抜いてください。


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(2010年 5月 12日)

[Reported by 日高文典]