★ダウンロードコンテンツショートレビュー★

至高のモト・トライアルゲームに追加パック登場!
意外性抜群のギミックで、さらに楽しいコース攻略

「Trials HD - Big Pack」

  • 開発元:RedLynx
  • 発売元:マイクロソフト
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • レーティング:CERO:A (全年齢対象)
  • 価格:400マイクロソフトポイント(約600円)
  • 発売日:2009年12月23日(発売中)

 Xbox 360ならではの遊びを多数配信しているサービスXbox LIVEアーケード(XBLA)。2009年にはますます本格的なダウンロード配信タイトルが充実し、ゲーマーの睡眠時間を大いに削ってくれた。そうした数あるダウンロードコンテンツ(DLC)の中でも、今年のXBLAを語る上で絶対に外せないタイトルが「Trials HD」だ。その魅力については発売直後にレビュー記事でもお伝えしたとおりである。

 今年8月にXBLAでリリースされた「Trials HD」は、モトクロスバイクを使って起伏の激しい地形を走破する“モトトライアル”というスポーツをゲーム化したものだ。息を呑む超絶テクニック、思わず爆笑してしまうようなクラッシュシーン。奇想天外なコースと、ある意味現実にどこまでも忠実なバイクアクションが最高に噛み合い、ついつい延々とタイムアタックしてしまうようなゲームである。

 そんな「Trials HD」に待望の拡張パックが登場した。その名も「BIG Pack」と題し、23の新コースと12のスキルゲームをゲームに追加。エディットに使える新型オブジェクト50種類も同梱してお値段400マイクロソフトポイントだ。全コースで“プラチナメダル”を取るまでやりこんだ人にはもちろん、そうでない人にも新たな遊びを約束してくれる。


【Trials HD - BIG Pack】
  • ジャンル:追加コース
  • ボリューム:2~50時間
  • サイズ:8MB
  • 実績:50ポイント
  • オススメ度:★★★★☆
  • 「Trials HD」を楽しんだファンなら絶対に外せない追加コースパック。それ以外の人も、これを機にプレイを始めれば、抜群のボリューム感で楽しめるだろう。


■ Big Packはあの手この手でプレーヤーを驚かせる! 奇想天外なコースを楽しもう

クルマに乗って……って何か間違ってる?
1ビットの世界。ただのシルエットが突然動き出したりするので困る
低重力の世界。落ち着いて操作しないと、車体が勝手に浮いてしまう

 「Trials HD - Big Pack」は複数の追加コースを収録したDLCだ。本作を購入してダウンロードすると、ゲームのコース選択メニューに新たなコースが追加される。追加コースはミディアム難易度に12個、ハードに9個、エクストリームに2個、そしてスキルゲームに12個(全スキルゲームに対応)。総数35のコースが楽しめるというわけだ。

 「Trials HD」の発売から数カ月が経過してからの拡張パックであるだけに、どのコースもテクニカルで個性的。凝ったギミックが一杯で、一通り走破するだけでも非常に楽しめるという内容だ。全体的な難易度は高めなので、プレーヤーの腕前にもよると思うが、全体を把握するのに1~2時間ほどはかかるだろう。

 特に面白いのは物理オブジェクトを使った仕掛けがふんだんに登場するコース。「Big Pack」に含まれるコースのほとんどすべてがそうであると言ってよいのだが、トランポリンでジャンプしたり、クルマに乗って前に進んだり、障害物をドミノ倒しに乗り越えて進んでいったりと、とにかくコースそのもののアクションも非常に激しく、遊び応えがあるのだ。

 映像的な面白さもある。「1Bit Trip」というコースでは、大昔のコンピューターのような、緑と黒で構成されたモノクロの世界をひた走る。バイクの動きは変わらないが、コースの形がシルエットでしかわからないため意外とむずかしい。突如として地面が盛り上がってジャンプしたり、はたまた支柱が倒れて道ができたりという動きを、よりいっそう印象的に展開してくれるわけである。

 「Space Station」というコースも面白い。このコースは全面的に低重力環境となっており、ちょっとした振動でもバイクが簡単に浮いてしまうのだ。後輪で地面を蹴らなければ前に進めない以上、丁寧に丁寧に車体をコントロールし、むやみにタイヤを浮かすことなく前進していく必要がある。そしてゴールに突っ込むと宇宙空間にご案内。哀れなライダーは虚空を彷徨うのであった。

 さらには、ハード難易度やエクストリーム難易度に追加されるコースは、非常に手ごたえのあるものばかりだ。タイヤ1つ分もない足場の連続をウィリーしながら跳ねていく、急角度の坂の連続に、少しでもひっかかれば飛距離が足りなくなる裂け目。ただでさえむずかしいコースに、ジャンプ台や車体を浮かす扇風機、反重力装置なんてものもあるから大変だ。

 中でもエクストリーム難易度の最後のコース「Diabolic」は、クリアできるだけでも人に自慢できるレベルなので、ぜひ挑戦して見てほしい。プラチナメダルを獲得するためにはノーミスでのクリアが必要となるが、果たしてそんなことが可能なのだろうか……と思わせるほどのコース構成である。


車輪、ジェット、トランポリン、重力装置……。「Big pack」の各コースは仕掛けが沢山、何度も走らないとその全貌はわからない
コースの難易度は全体的に高めなので、手痛いクラッシュを何度も経験することになるだろう。それがまた楽しい要素なのではあるが
最高難易度エクストリームのコース「Diabolic」。凄まじい角度の傾斜や、タイヤ1個分もない足場で、何度もリトライするはめに。かなりの上級者でも相当の手ごたえを感じられるはずだ


■ さらにテクニカル度を増したコースの数々。ゴールドメダル以上の獲得は容易ならず!

すべてのコースでメダルを獲得して世界ランク上位を狙いたい
最適なコース取りのためには相応のテクニックが必要だ
スムーズな走行は正確なスピードコントロールから。地形を良く覚えておこう

 というわけで、「Big Pack」に追加されるコースをすべて走破するだけでも相当楽しめることだろう。しかし、本作をプレイする上では当然、タイムアタックという遊び方も視野に入れておきたい。まずは各コースでブロンズメダル、シルバーメダル。コースを理解してゴールドメダルを目指し、完璧なコース取りを見つけてプラチナメダルを目指す。このプロセスに夢中になってしまうと、あっというまに時間が過ぎ去っていく。

 その点、タイムアタックをプレイする中で本作から感じられるテーマを上げるとすれば、それは「緻密なテクニックとコース取り」となる。すべてのコースは見た目だけでなく構造も計算し尽くされており、ちょっとした走行技術の違いが大きなタイムの違いになって現われやすい。初回の走行とタイムアタック走行では、ルート取りが全く違うことすら多いほどで、コース構造への理解と、最適ルートを進むためのテクニックが強く求められる。

 例えば、ミディアム難易度で最初の追加コースである「Workshop of Secrets」。このコースではリフトを使って上下2階層のルートを選択できるようになっている。単に「シルバーメダル」程度の走りを目指すなら、上層コースを走れば簡単・確実だ。しかし、ゴールドメダル以上を獲得するには、それではうまくいかない。下層コースをがんばって走っても無駄な努力なので、新たな戦術を取る必要があるのだ。

 それは、「途中まで下層側のコースを走り、あるポイントで全力でジャンプして、前転しながら上階側コースによじ登る」というもの。リフトで上層に上がるためのタイムロスを大胆にカットするというわけだが、ジャンプして上層に上るためには普通の姿勢ではダメで、前回転をかけて前輪を上層のフチにひっかけるという荒業が必要なのだ。

 さらに面白いのが、プレーヤーの運転テクニックによって全く違った顔を見せる「Pro Speed Way」というコース。このコースは一見、ひたすらデコボコとした悪路が続いているのだが、実は上手に走ることによって、これ以上なくスムーズなコースに一変するのだ。そこで必要になるのは、「後輪をちょっとだけ地面に当てて車体を浮かす」とか、「前輪から着地してスムーズに次の動作に移る」とか、細かいテクニックを確実に実行できる技術である。

 と言う感じで、「Big Pack」の収録コースはタイムアタック派のプレーヤーにとって手ごたえのあるチャレンジを与えてくれる。ゲームにはじめから標準搭載されているコースに比べ、メダル獲得の難しさは遥かに高いので、しばらくは研究、練習、また練習という日々を楽しめることだろう。


「Big Pack」には、複数のルートを取ることのできるコースが多い。最適なルートを見つけてタイムを短縮しよう
タイムアタックどころではない、走破することすら難しいコースもある

タイムアタックに疲れたら「スキルゲーム」で息抜き。と思いきや、こちらもコースがパワーアップしておりエキサイトせざるを得ない始末。特に「Hill Climb(ひたすら坂を登るチャレンジ)」はテクニカルで楽しいものになっている


■ ひと通りプレイするだけなら2時間程度だが、本気でやりこむなら数十時間!
 コストパフォーマンスに優れるDLC

エディット用のパーツが50種類ほど追加され、色々とできることが増えている。筆者は2トンの重りを使い、投石器を作ってみたい

 追加コースで楽しみが広がった「Trials HD」の世界。各難易度のコースをある程度走り込んだ後も、今度はスキルゲームの新コースでメダル獲得を目指してみるというふうに、400マイクロソフトポイントで提供される遊びのボリュームはかなりのものがある。

 もちろんコースエディット機能への恩恵もあって、「Big pack」で追加された50の新規オブジェクトのすべてを、自作コースの作成に使うことができる。追加されたオブジェクトは「壊れた車」、「階段」といった固定オブジェクトから、「重り」、「回転軸」、「ピストン」のようにギミック作成に使えるものも多い。特に自律して動くパーツの数々は、コースエディットにのめりこんだ多くのプレーヤーが待ち望んでいたものだろう。

 本作で提供されるコースを一通り走るだけなら1時間程度で終わってしまう。しかし、本作を購入するプレーヤーの多くは、用意されたコンテンツを1度通して遊ぶだけではなく、とことんまで攻略してみるという遊び方も知っているはずだ。「Big pack」のコンテンツはそういった遊び方に完璧なまでに答えてくれるもので、少なくとも数十時間は、夢中になれる時間を提供してくれるだろう。

 そういった意味で本作「Trials HD - Big pack」のコストパフォーマンスは非常に優れている。「Trials HD」をすでに購入したプレーヤーなら、絶対に当てが外れるようなことはないはずだ。まだ「Trials HD」を未体験の方も、これを機に始めてみてはいかがだろうか?




(C) RedLynx Ltd.

(2009年 12月 28日)

[Reported by 佐藤カフジ ]