「G-GEAR note N1562J-710/E」レビュー

G-GEAR note N1562J-710/E

おサイフに優しい価格設定!
MMORPG快適プレイを全方位からサポート!

ジャンル:
発売元:
  • TSUKUMO
開発元:
  • TSUKUMO
プラットフォーム:
価格:
発売日:

 一昔前までグラフィックスがリッチなMMORPGを最高設定で遊ぶには、それなりの資金を投入してハイエンドビデオカードを搭載したデスクトップマシンを自作しなければならなかった。それが最近では、高性能でコストパフォーマンスに優れたゲーミングノートPCが増えていて、快適なゲーム環境を手軽に入手できるようになってきた。

 MMORPGプレーヤーがプレイ時に重視する要素はいくつかある。どのくらい高い品質のグラフィックス設定で遊べるのかということはもちろん最重要だが、それ以外にも隅々までフィールドを見渡すためにモニターの解像度、戦場の変化をしっかり聞き取るためのスピーカーの音質、マクロを正確に素早く入力するための使いやすいキー配置、そして長時間プレイに耐えるエアフローもかなり重要だ。

 TSUKUMOから6月12日に発売されたG-GEAR noteシリーズの最新ラインナップ「G-GEAR note N1562J-500/E」と「G-GEAR note N1562J-710/E」はMMORPGやMOBAを快適に遊ぶことに力を入れたゲーミングノートPCだ。GPUにGeForce GTX 960Mを採用し、CPUにCore i5-4210Mを採用した「N1562J-500/E」の標準構成価格が10万4,800円(税別)、上位機種でCPUにCore i7-4710MQを採用した「N1562J-710/E」では標準構成価格が11万9,800円(税別)とゲーミングノートPCとしては非常に入手しやすい価格が設定されている。

 まずは2種類あるラインナップの仕様を見てみよう。


【N1562J-500/E】
CPU:Core i5-4210M
GPU:GeForce GTX 960M 2GB(メインメモリからシェア:最大1,664MB)
チップセット:インテル HM87 Express
メインメモリ:PC3-12800 DDR3L SODIMM 4GB (最大16GB)
ストレージ:500GB HDD (シリアルATA対応)
光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込み対応)
ディスプレイ:15.6型フルHD ノングレア液晶ディスプレイ(1,920×1,080)
OS:Windows 8.1 (64ビット版)またはWindows7 Home Premium (64ビット版)with Service Pack 1
サイズ:380×262×31.5mm(幅×奥行き×高さ)
価格:10万4,800円(税別)
http://www.tsukumo.co.jp/bto/pc/game/note/n1562j/2015/N1562J-500E.html

【N1562J-710/E】
CPU:Core i7-4710MQ
GPU:GeForce GTX 960M 2GB(メインメモリからシェア:最大1,664MB)
チップセット:インテル HM87 Express
メモリ:PC3-12800 DDR3L SODIMM 8GB (最大16GB)
HDD/SSD:500GB HDD (シリアルATA対応)
光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R 2層書込み対応)
ディスプレイ:15.6型フルHD ノングレア液晶ディスプレイ(1,920×1,080)
OS:Windows 8.1 (64ビット版)またはWindows7 Home Premium (64ビット版)with Service Pack 1
サイズ:380×262×31.5mm(幅×奥行き×高さ)
価格:11万9,800円(税別)
http://www.tsukumo.co.jp/bto/pc/game/note/n1562j/2015/N1562J-710E.html


 本体のサイズは380×262×31.5mmと標準的なA4ノートPCのサイズ。カバーにはG-GEARのロゴと、赤く輝くLEDの装飾が施されている。右側の側面には、かなり大きめの排気口と、電源、D-sub15、HDMI、LANポート、USB3.0ポートが2つ並んでいる。左側の側面には吸気口が付いたDVDマルチドライブと、USB2.0ポートが2つとヘッドフォンジャック、正面にはSDカードリーダーが配置されている。

 背面には何もなく、カバーを開けた時にカバーの背面を支点にしてキーボードの奥側が手前よりも高くなり、底面が机から数ミリ浮き上がる仕組みになっている。これにより、キーボードを打つ時の負荷を軽減するとともに、排熱効果もあり、底面が熱が篭もって全体が熱くなりやすいノートPCの弱点を軽減する構造になっている。

 15.6インチ フルHDのモニターはノングレアIPS液晶を採用。鮮明で輝度の高い鮮やかな画面でゲームを楽しむことができる。反射低減処理を施したノングレアパネルで、日中の屋外でも映り込みに悩まされることなく、快適なプレイが可能だ。

【N1562Jの外観】
天板部分にはロゴと赤色LEDが輝く装飾が施されている
正面から。キーボードも赤色LEDでクールに輝く
左側面。奥に大きめの排気口がある。その奥に電源、手前にD-sub15ポート、HDMIポート、LANポート、USB3.0が2ポートある
右側面。奥にあるDVDマルチドライブは吸気口も兼ねている。その手前にUSB2.0ポートが2つと、ヘッドフォンジャックがある

 グラフィックスと共に重要なのがサウンドだ。本機種にはキーボード上部の左右にステレオスピーカーを、底面には重低音をカバーするサブウーファーを搭載している。このため、シャカシャカ音が軽減された深みのある立体的な音を楽しむことができる。

 キーボードは、テンキー付きのフルキーボード。バックライトの赤色LEDを付けると、ゲーミングPCらしいスタイリッシュな雰囲気になる。ゲーミングPCでフルキーボードは比較的珍しいが、本モデルではさらに記念の1枚を取り逃すことがないよう、「Print Screen」が独立して存在している。場所はキーボードの右側端あたりでテンキーの上にあり、探さなくてもすぐに押せる気軽さは便利だ。

 キーボードの上には「G1」から「G3」まで3つのボタンがある。これは「G1」がファンの回転速度を上げる「クーラーブースト機能」のオンオフ。「G2」がタッチパッドのオンオフ、「G3」がキーボードの背面LEDのオンオフだ。クーラーブースト機能は、長時間にわたって高負荷の状態が続いている時、ボタン1つでファンの回転速度を高めることができる。今回のレビュー期間中もゲームプレイ中にW、A、S、Dに置いた手が熱を感じるほど温度が上がるシーンがあったが、そんな時に使うと効果的だ。ただし、この機能を使うとファンの音はかなり気になる程度には大きくなる。

 「G2」ボタンも使い勝手の良いキーだ。ノートPCでゲームを遊んだことがあれば、手のひらがタッチパッドに当たって誤動作してしまうという経験を1度ならず体験して、設定からわざわざ切った経験がある人は多いだろう。このマシンでは「G2」ボタン1つでオンオフできるため非常に便利だ。オンの時にはタッチパッドの周囲のLEDが赤く点くのも分かりやすい。

 また、モニターの上部にはウェブカメラが内蔵されているほか、SkypeやTeamspeakなどのボイスチャットを利用するためのデジタルマイクが2基搭載されている。また、HDDと共に次世代規格のM.2インターフェイスに対応したSSDを搭載可能だ。

 今回は、250GBのSSD(M.2 SATA)と500GB HDDを搭載したツインドライブモデルの「N1562J-710E/MD1」をメーカーから借りることができたので試用してみた。

【N1562Jの外観】
正面。左側にSDカードのスロットがある。カバーは爪をひっかけて手前に引き出す手動式
背面。熱を持ちやすい部分にエアフローのための吸気口がある
付属品のACアダプターはかなり大きめで重量もあるため、持ち歩くのは躊躇するサイズだ。
キーボードの上にある「G1」から「G3」のボタン
テンキーの上にある「Print Screen」ボタン
横から見ると底面が少し浮き上がっているのがわかる

各種ベンチマークでは特にグラフィックス面で好成績

 まずは気になるグラフィックスの性能だ。本機種はビデオカードにGeForce GTX 960Mを採用している。コストパフォーマンスと性能を兼ね備えたゲーミングPC用のビデオカードしては人気No.1のGTX 960Mだが、描画性能としては上位機種の970Mや980Mより一段下がる。それでは本機種での性能はどの程度のものか、定番のベンチマークソフトと共に、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」と「ファンタシースターオンライン2」のベンチマークでテストしてみた。なお、すべてのソフトはSSDにインストールしている。解像度はすべて1,920×1,080のフルスクリーンでの計測だ。

CINEBENCH

 CPUの性能を図るテストでは、615cbをマークした。デスクトップ用のミドルスペックCPUのi7-4770Kが822なので、ノートにしては好成績だといえるだろう。ビデオカードの性能をOpenGLをもとに測定するテストでは99.12fpsと非常に高い数値をはじき出した。

【CINEBENCH】
CINEBENCHでのベンチマーク結果。CPUは615cb、OpenGLのテストでは99.12という高い数値を記録した

PC Mark 8

 PC Mark 8は、PCの総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークソフト。ブラウジングの性能を計測するWeb Browsing、.NET Framework 4.5を使ったテキストエディタでドキュメントの処理速度をテストするWriting、DirectX 9相当の3Dゲームの平均フレームレートを見るCasual Gaming、DirectX 11相当の平均フレームレートを見るMainstream Gamingなど複数のテストを組み合わせて最終的なスコアを出すため、PCの総合力が問われる。2935というスコアは、ゲーミングノートPCとしてはまずまず十分な性能を有しているとみていいだろう。

【PCMark 8】
PCの総合的なパフォーマンスを見るPCMark8では2935という手堅い数値を出した

3DMARK

 PCベンチマークの定番ソフト。DirectX 11の処理速度をみる「Fire Strike」では3956と、デスクトップのミドルクラス程度の数値を記録した。3DMARKの想定しているゲーミングノートPCよりは高い性能だ。

【3DMARK】
3DMARKでは、「Fire Strike」で3956、「SKY DRIVER」で12843、「CLOUD GATE」で17365、「ICE STORM」で91396というスコアだった

「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」

【DirectX 9版】
標準品質(ノートPC) 9212(非常に快適)
標準品質(デスクトップPC) 9445(非常に快適)
高品質(ノートPC) 7556(非常に快適)
高品質(デスクトップPC) 6084(とても快適)
最高品質 5920(とても快適)

【DirectX 11版】
標準品質(ノートPC) 9411(非常に快適)
標準品質(デスクトップPC) 9094(非常に快適)
高品質(ノートPC) 6409(とても快適)
高品質(デスクトップPC) 5175(とても快適)
最高品質(DirectX 9相当) 6110(とても快適)
最高品質 4475(快適)

 ベンチマークの目安では5,000以上出ていればプレイに支障はなく、7,000以上なら好きなグラフィックス設定で快適にプレイできるとされており、数値的には最高品質でのプレイも問題ない。「FFXIV」の場合、品質によるグラフィックスの差は非常に小さく、もっとも下のDirectX 9版の標準設定でも、十分に美しいグラフィックスでのプレイが可能だ。

 「FFXIV」ベンチで気になったのはスコアやパフォーマンスよりむしろ本体温度だ。ベンチマークでは非常に良いスコアで、FPSもおおむね50~60の間をキープできていた。しかし、実際のゲームを起動してしばらく遊んでいると、だんだんとPCの温度が上がっていき、特にDirectX 11版では70度を超えるほどの高温になってしまった。暑い時期は放熱対策を考えた方がいいかもしれない。

【「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマーク】
「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマークではDirectX 9版と11版をテスト

「ファンタシースターオンライン2」ベンチマーク

 「PSO2」ベンチでは、テクスチャ解像度「高解像度」、シェーダー品質「標準」でテスト。結果は「15858」だった。5000以上であれば快適なプレイができるということなので、及第点を大きく上回る好結果を記録した。FPSは軽いシーンでは200を少し超えるほどで、重めの戦闘シーンでは90程度になることもあったが、おおむね150から180の間くらいを維持してきた。

【「ファンタシースターオンライン2」ベンチマーク】
「ファンタシースターオンライン2」ベンチマークでは15858の好成績を記録

「モンスターハンター フロンティアG」ベンチマーク

 「モンスターハンター フロンティアG」の「大討伐」ベンチマークでは18326というスコアだった。おおむね4000以上であれば、高設定でストレスのないプレイができるということなので、こちらもまったく問題なく高解像度でのプレイができそうだ。FPSはシーンによってばらつきがあったが、戦闘中はだいたい70~80程度だった。

【「モンスターハンター フロンティアG」ベンチマーク】
「モンスターハンター フロンティアG」のベンチマークは18326

「バイオハザード6」ベンチマーク

 最高品質でテストしたところ、ベンチマークの結果は6720で、快適なプレイが見込める「S」評価だった。「バイオハザード6」のベンチは2つのパートに分かれている。レオンとヘレナがゾンビに終われる前半のシーンでは60~70FPSと十分満足できるパフォーマンスだったが、後半のゾンビがさなぎの中から孵化するシークエンスではやや下がり35~50程度で推移した。

【「バイオハザード6」ベンチマーク】
「バイオハザード6」のベンチでは6720をマーク

「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」ベンチマーク

「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」のベンチマークは、フルスクリーンの最高品質ではスコアが2413で「やや重い」、標準品質では3524で「普通」、低品質では4150で「普通」という結果だった。FPSは標準品質で22~53程度と数値的にはあまり高くはないが、ベンチマークの映像は切り替えも早く、画面いっぱいにくさったしたいが表示されるような負荷の大きいシーンでもチラツキやカクツキなどラグを感じさせるようなものはなく、十分快適にプレイできそうな感じだった。

【「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」ベンチマーク】
「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」は最高品質で評価は[やや重い」だった

とりあえず明日からMMORPGで遊びたいなら、間違いのない1台

「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」の新エリア。フライングマウントが導入されて、空中を自由に移動できるようになった

 試用してみて「G1」から「G3」までのワンプッシュで、ファンやLEDを操作できる便利さが、かなりありがたく感じられた。個人的にはキーボードの右側に「Sfift」キーがあると更に嬉しかったが、「Print Screen」キーが右端にあるのは非常に使いやすく、今回の記事のための撮影でも大活躍してくれた。

 「G2」キーでタッチパッドがオンオフできるのも、他のノートPCで高感度のタッチパッドにイライラさせられた経験があるだけに、とても使いやすかった。SSDとHDDのデュアルストレージなので起動も非常に早く、使い勝手や操作性などではデスクトップのゲーミングPCに一歩も引けを取っていない。むしろプレイの場所を選ばないという意味では利点のほうが多いくらいだ。

 しかし気になった点もあった。特にノートPCでMMORPGをプレイするうえで最大の弱点ともいえるのが排熱だ。本機種にはエアフローのためのターボボタンがついていて、緊急の時に急激に温度を落とせるようになっているが、この仕様を加味しても長時間プレイしているとかなり熱くなる。

 このため、これから夏にかけて指が汗ばむほどキーボードが熱を持つようなら、排熱シートを使ったり、画質の設定を落としたり、少し休憩したりとPCに無理をさせない配慮が必要だ。逆にそこにだけ気を配れるなら、持ち運びやすくコストパフォーマンスのいいパワフルなゲーミングノートPCは、快適なMMORPGライフを送るいい相棒になってくれるだろう。

(石井聡)