(2015/5/23 00:00)
3月8日に発表された「ファイナルファンタジーXIV」の新しい拡張パッケージ「蒼天のイシュガルド」はファン待望の新パッチだ。6月23日に発売されるこの「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」(FFXIV: 蒼天のイシュガルド)に合わせて各メーカーが推奨PCを発表しつつある。5月22日には、TSUKUMOからも「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」の快適にプレイできる大型ゲーミングノートPCが発表された。今回、その新製品を触らせていただくことができたのでレビューしていこう。
ファン待望のアップデート「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」
「ファイナルファンタジーXIV」のプレーヤーたちにとって、待望のアップデートとなる「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」。新種族に新ジョブ、新しいエリア、空を飛べるフライングマウントなどなど、新要素一杯の「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」のアップデートを待ち望んでいるユーザーは多いことだろう。そして、PCゲーマーにとって興味深いのは今回のアップデートでDirectX 11対応のクライアントが配布されるということ。新要素のみならず、グラフィックス要素のパワーアップも大きなニュースだ。
今までDirectX 9ベースで動いていた「ファイナルファンタジーXIV」だが、ここに来てDirectX 11に対応し、水面の描画品質の向上やより立体的で美麗なグラフィックス描画が可能になる。そうなると気になるのが自分のPCの場合に、DirectX 11対応クライアントで「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」をプレイしたときに、どの程度快適に遊べるかということだ。
「ファイナルファンタジーXIV」を提供するスクウェア・エニックスは4月27日に「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」に対応した新しいベンチマーク、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を発表した。このベンチマークを使うことにより、以前の「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」と同じように、ゲームプレイの前に自分のPCで動作が可能かどうか、そしてどの程度快適に遊ぶことができるのかをチェックすることができる。
しかし、当然のことながら、以前のベンチマークで「とても快適」や「非常に快適」という評価がもらえないようなPCなら、DirectX 11環境での動作はちょっと厳しそうだ。ベンチマークの結果を試してからでも構わないが、今までのPCではちょっと実力不足というのなら、新しいPCに買い換えるのを考えてもよいだろう。そこで紹介したいのが、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」を快適に楽しむことができる実力を持ったTSUKUMOのハイパワーゲーミングPC「G-GEAR N1760J-710/E(N1760J)」だ。
「G-GEAR N1760J-710/E」の性能を、仕様を見ながらチェック
さて、「G-GEAR N1760J-710/E」のスペックを見ながらその実力をチェックしていってみよう。今回、発売されるモデルは2製品で「G-GEAR N1760J-710/E」のほかに少し構成の違う「G-GEAR N1760J-700/E」も発表されているので、そちらも表に入れてみたので参考にしてほしい。
【スペック表】
N1760J-710/E | N1760J-700/E | |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-4720HQ(2.6GHz、最大3.6GHz) | |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 965M | |
チップセット | Intel HM87 | |
ディスプレイ | 17.3型フルHDノングレア液晶(1,920×1,080ドット、LEDバックライト) | |
メモリ | PC3-12800 DDR3L SO-DRAM 8GB(4GB×2、空きスロット2) | PC3-12800 DDR3L SO-DRAM 4GB(4GB×1、空きスロット3) |
SSD | 128GB | - |
HDD | 500GB | |
光学ドライブ | 別売り | |
ネットワーク | 1000BASE-T、IEEE802.11a/ac/b/g/n、Bluetooth v4.0 | |
サイズ | 417×287×30(横幅×奥行き×高さ)mm | |
重量 | 約3.2kg | |
バッテリー | 約3.5時間 | |
OS | Windows 8,1 Update 64bit版 | |
価格 | 152,800円(税別) | 139,800円(税別) |
まず、製品の頭脳とも言えるのがCPU。「G-GEAR N1760J-710/E」ではIntelのハイエンドCPUであるCore i7-4720HQが搭載されている。Core i7-4720HQは4つのCPUコアが搭載されており、1つのコアで2つの処理を同時に行なうHyper-threadingに対応したハイパワーなCPUだ。4コア×2スレッドで、8スレッド同時処理を行なうことができるため、マルチスレッド処理が得意。複数のアプリケーションをムリなく同時に実行したり、マルチスレッド処理に対応したアプリケーションを高速に動作させたりすることができる。
CPUの動作周波数は2.6GHzで一時的にオーバークロック(OC)を自動的に行なうTurbo Boostにより、最大3.6GHzで動作させることが可能だ。この動作クロックはノートPCとしては非常に高いもので、モバイル性能や省電力性能を高めた低電圧版と違い、通常版のCPUを搭載していることに起因している。
そして3Dゲームの快適さのカギとなるグラフィックス機能にはNVIDIAのGeForce GTX 965Mを搭載している。GeForce GTX 965Mは、CPU内蔵のグラフィックス機能とは違い、非常に強力なGPU。開発コードMaxwellと呼ばれていたアーキテクチャを採用した最新のモバイル向けチップで、3D処理能力が高いのに省電力性能も高いというものだ。ハイエンドCPUと最新のGPUの組み合わせ。これだけでゲーミングPCとしての性能が高いことがうかがえる。
チップセットにはIntel HM87を採用。ノートPCであることや搭載しているCPUやGPUに適したチップセットだと言える。メモリはPC3-12800 DDR3L SO-DIMMのモジュールを2枚搭載。1枚が4GBで合計8GBだ。メモリスロットは4つ用意されており、最大32GBに対応しているため、必要であればWebサイトのBTOを使って容量を増やすこともできる。もちろんBTOでの構成変更は価格が上がったり下がったりするのだが、自分に必要であれば変更してみるのもよいだろう。筆者としては、3Dゲームをするだけなら8GBもあれば十分と考える。
ディスプレイは17.3型の大型の液晶パネルだ。電力消費の少ないLEDバックライトや映り込みの少ないノングレアパネルが採用されている。17.3型というのはノートPCとしてはかなり大型だ。モバイル用途には適していないと考えてよい。
実際のサイズは横幅が417mm、奥行きが287mmと大きい上に、重さも約3.2kgある。電車通勤で毎日仕事場に持っていくという用途には向かないだろう。しかしながら、家庭内で使ったり車で持ち運んだりと言うのであればメリットもある。いくら大きくて重くても家庭内で持ち運ぶ分には問題ないし、たまに持って歩いて移動する、車に乗せて運ぶなどであれば苦痛にはならないだろう。自宅内での移動は好きな場所でPCを使うことができることを意味しており、しまうときには立てかけておくこともできる。立てたときに気になる高さ(厚さ)は30mmと、このサイズのノートPCとしてはかなり薄型だ。置き場所に困ることもないだろう。
また、友人の家などに持っていけば、PCを使ったLANパーティ(LANで接続して対戦ゲームや協力ゲームを楽しむこと)もできる。一般的な家庭では、強力なグラフィックス機能を搭載したPCを2台も置いているケースは少ない。1人がゲーミングノートPCを持ち込めば、このような遊び方も楽しめるということだ。
ストレージに関しては、仕様上では128GBのSSDと500GBのHDDを搭載していることになっている。128GBのSSDだけでは、ビックタイトルをいくつも入れてしまうと容量が足りなくなってしまう。しかし、500GBのHDDも用意されているため、頻繁に遊ぶゲームはSSDに、それほど遊ばないゲームはHDDにインストールするといった使い分けが必要にはなるが、容量を気にせずにゲームをインストールすることができるこの構成はうれしい。
光学ドライブは別売りだ。製品本体が薄型なのは、光学ドライブを搭載していないことも起因しているのだろう。最近のゲームタイトルはインターネット経由で購入し、インストールもダウンロードして行なえるものがほとんどだ。人によっては光学ドライブはいらないという状態になってもおかしくない。光学メディアによるゲームの購入がメインなら、外付けのドライブをBTOで付けるか、別で購入するとよいだろう。光学ドライブの付いた別のPCがあり、ある程度のネットワーク知識があるのなら、ネットワーク経由で別のPCを使うといった手もある。
バッテリ駆動時間は約3.5時間だ。本製品はバッテリが内蔵式になっており、簡単に取り外しができるような状態ではない。別のバッテリを用意して交換して使うというやり方もできないが、あまり持ち運びをしないという用途であれば、十分な駆動時間と言える。
これだけの装備で価格は152,800円(税別)だ。ここまで見て来てある程度気が付いているPCに詳しい読者も多いだろう。そう、本製品はハイエンドターゲットのゲーミングPCではないということだ。CPUには強力なものが載っているものの、大容量のSSDを搭載せず、モバイルGPUもハイエンドの製品ではない。
しかしながら逆に言えることもある。削れるところを削ったバランスのよい構成ということだ。GeForce GTX 965Mは、最強のGPUではないが、コストパフォーマンスに優れたGPUだ。CPU内蔵のグラフィックス機能と比較すれば桁違いに強力なパワーを持っており、現在発表されているゲームタイトルならほとんどが支障なく動作する。それを補う形で搭載されているハイエンドCPUもポイントが高い。また、容量が小さくともSSDであればHDDよりも断然高速なデータアクセスが可能だ。先ほど書いたように頻繁にプレイするゲームはSSDに、たまにしか遊ばないゲームはHDDにインストールするというやり方で非常に効果の高い使い方をすることができる。
すべての構成をハイエンドに……ということであれば、この倍程度の価格になってしまう。15万円ちょっとでコストパフォーマンスを高めながらゲームを快適にプレイするというのがこの製品のコンセプトなのだろう。
コストパフォーマンスを高めながらも妥協のない性能を実証
ではここからは、実機を使ったベンチマークを行なっていこう。使用したベンチマークソフトとその結果について書いていく。
ベンチマークソフトが提示する結果の数字は、どの程度の性能でどのくらいの結果が出るという経験の蓄積が必要だ。ベンチマークソフトに詳しくないようであれば「FFXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」のところまで読み飛ばしてしまうとよいだろう。後学のためにベンチマークソフトの結果の数値だけを覚えておくというのもありだ。また、ベンチマークソフトにある程度精通しているのなら、Futuremarkの「PCMark 8」や「3DMark」はリンク先で結果の詳細も見られるようになっているので、そちらを確認してもらうとよいだろう。
PCMark 8
「PCMark 8」はPCの全体的な性能をチェックすることのできるベンチマークソフトだ。結果は3,672となっており、ゲーミングPCとしては及第点。特筆するほど高い値が出ているわけではないが、PCとしての全体的なパフォーマンスは標準的な結果となって表われた。
テスト項目 | 数値 |
---|---|
PCMark 8 | 3,672 |
3DMark
「PCMark 8」がPC全体のパフォーマンスを見ることのできるのに対し、「3DMark」はグラフィックス機能の性能を見るのに特化したベンチマークソフトだ。結果はDirectX 11などの負荷の高い処理を行なうFire Strikeで4,887となっている。CPU内蔵のグラフィックス機能では1,000ポイント以下になるため、どれほどの性能があるのかはある程度見て取れるだろう。もちろんノートPCとしてはかなり高めの値だ。
テスト項目 | 数値 |
---|---|
Fire Strike | 4,887 |
Sky Drive | 15,410 |
Cloud Gate | 18,126 |
Ice Storm | 85,082 |
CINEBENCH R15
「CINEBENCH R15」は、CPUの処理能力を見るベンチマークソフト。結果としてはマルチスレッドの性能を見るCPUの値が681となっており、シングルコアの計測結果も139となっている。省電力性の高い低電圧版ではなく、通常版のIntelの「Core i7」CPUを採用しているため、ノートPCとしては非常に高い値。デスクトップPCにも肉薄する性能が出ている。
テスト項目 | 数値 |
---|---|
CPU | 681 |
CPU(シングルコア) | 139 |
CrystalDiskMark 3.0.3
ストレージの性能は「CrystalDiskMark」を利用して計測した。1つ注意したいのは、試用機としてお借りしたものは、本来の128GB SSDではなく256GBのSSDが搭載されていたことだ。SSDは容量によってアクセス速度が変わるものもあるため、SSDの結果に関しては参考程度に考えていただきたい。しかしながら128GBと256GBの違いはそれほど大きいわけでもない。結果はSSDでReadが約490MB/s、HDDが約120MB/sとなっている。これは、SSDやHDDの平均的なアクセス速度だ。
「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」ベンチマーク
ここからは、実際のゲームに準拠したテストだ。本ベンチマークソフトは先に紹介したように「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」をプレイするのに適したPCかどうかを確認するためのアプリケーションソフト。今回初めて利用するベンチマークソフトだが、せっかくなのでDirectX 11でのテストを行なっている。テスト内容としては、プリセットが用意されているため、そちらを利用。フルHD解像度でフルスクリーン表示を行なった。結果は最高品質で「とても快適」とのお墨付きが出ている。高品質(ノートPC)以降の負荷が軽いテストでは最高評価の「非常に快適」という結果が出た。最高品質でのテスト結果は非常に快適とまでいかなくても、プレイするには十分な性能が約束されているのが分かるだろう。
テスト項目 | 数値 | プレイ指標 |
---|---|---|
最高品質 | 5,203 | とても快適 |
最高品質(DirectX 9相当) | 6,969 | とても快適 |
高品質(テスクトップPC) | 5,933 | とても快適 |
高品質(ノートPC) | 7,535 | 非常に快適 |
標準品質(テスクトップPC) | 10,957 | 非常に快適 |
標準品質(ノートPC) | 10,965 | 非常に快適 |
「バトルフィールド4」
「バトルフィールド4」は世界的にユーザー数の多い、人気の高いFPSだ。このゲームにはベンチマーク機能がないため、計測にはFrapsというフレームレートを計測するユーティリティソフトを利用してテストを行なっている。テストはキャンペーンの再プレイでTASHGARを開始。主人公たちが車で移動しているシーンの1分間の平均フレームレートをフルHDのフルスクリーン表示で計測している。
テスト内容としては「バトルフィールド 4」には描画性能のプリセットがあるため、それを利用して4つの設定で行なった。結果としては「高」設定で55.65fpsと、アクション性の高いゲームでも快適に遊べる数値が出ている。「最高」設定では約35fpsと、アクション性の高いゲームに置いてはちょっと低いかなという値。ただ、「バトルフィールド4」はかなり処理負荷の高いゲームで、「高」設定でもなかなか美麗な描画が行なわれている。ノートPCとしては十分な性能を持っていると言えるだろう。
最高 | 高 | 中 | 低 |
---|---|---|---|
35.25fps | 55.65fps | 78.95fps | 93.967fps |
新しくPCゲームを始めたい人にも古くなったゲーミングPCのリプレースにも
ベンチマークの結果を見ていただければわかるとおり、「G-GEAR N1760J-710/E」はノートPCとしてはかなりハイパワーなゲーミングPCだ。もちろん30万円クラスのウルトラハイエンドゲーミングノートPCと比較すれば、性能の差は歴然としているし、ベンチマークに精通しているのならもっと性能の高いノートPCやデスクトップPCが用意できると思う人もいるかもしれない。しかし、実売価格が15万円強でありながら、ベンチマークでこれだけの結果を残しているのであれば、コストパフォーマンス的に考えて、かなりお得なことがわかる。
TSUKUMOのノートPCではおなじみとも言えるPC制御用のControl Centerやゲームで利用できるマクロ機能を備えたFlexKeyといったユーティリティも用意されているため、ゲーマーにとっては心強いところ。「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」をプレイするには十分な性能があるし、処理負荷の高い3Dゲームもストレスなく遊ぶことができる。
新しくPCゲームを始めたい人にはぴったりの製品だろう。また、現在使用しているPCが少し古くなってきていて現行の3Dゲームを楽しむためには少し性能に不安を覚えるといったゲーマーのリプレース用PCとしてもお勧めだ。
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