PS3/Xbox 360ゲームレビュー

四騎士ウォーが天使、悪魔の軍勢と戦う
良質アクションと凝ったパズルが特徴の新規タイトル

「DARKSIDERS~審判の時~」

  • ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 発売元:KONAMI
  • 開発元:THQ IncVigil Games
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3/Xbox 360
  • 発売日:発売中(3月18日)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)


 「DARKSIDERS~審判の時~(以下、「DARKSIDERS」)」は、ヨハネの黙示録に登場する四騎士をモチーフにしたアクションアドベンチャー作品だ。天軍と魔軍による終末戦争の末に滅んだ現代世界を舞台に、四騎士の1人「ウォー」として天使や悪魔と戦いを繰り広げる。パワフルかつスピード感あふれる本格アクションと、仕掛けの凝っているパズルが融合した、アクションアドベンチャーの新作タイトルだ。

 アメリカンコミックテイストのキャラクターや世界の描写、新約聖書を元にした重厚でダークな世界観、迫力のある凝った演出の数々など、新作タイトルながら非常にデキのいいゲームになっている。PS3/Xbox 360の両機種ともに体験版が用意されているが、体験版の内容だけで本作を判断するのはもったいない。このレビューで、新たなシリーズの第1作目となっていきそうな本作の魅力をお伝えしていこう。

 ※なおプレイはプレイステーション 3版で行なっており、操作ボタン名等の記述もPS3の表記にしている。


― Story ―

時は現代。
天軍と魔軍の戦争が勃発。

何者かの策略によって、黙示録の騎士も召喚されるが、無力のまま魔物に敗北する。
地上はことごとく破壊され、それまで栄えた人間界は失われてしまう。

時は経ち、人類は歩く屍と化し、荒廃した都市は魔物が支配する、
まさに厳正の終末のごとき様相となってしまう。
邪悪な陰謀によって崩された力の均衡を取り戻すため、
四騎士の1人“ウォー”は、巨大な剣を携え再び人間界へ降臨する。

天界から追われ、魔界にも憎まれ、そして自分を陥れた者への復讐のために ――


■ 世界観 ―― 人類が滅び、天使と悪魔が争う終末戦争の世界に、ウォーが降臨!

地上に出現した地獄の軍勢と戦うアバドン。天界の軍「ヘルガード」を束ねる彼は、四騎士の1人ウォーの姿を見て驚く
天国と地獄の戦いの真っ只中に覚醒した主人公のウォー。世界に何が起こっているのか把握できぬまま戦いに巻き込まれていく

 天と地の軍勢が終わり無き戦いを繰り広げていた世界。そこに、この世の秩序と調和を保つため、「焦炎評議会」が出現した。どちらか一方が全宇宙の基盤を揺るがすほどの力を持たぬよう、絶対の裁きを下す評議会に天国と地獄の軍勢は畏敬の念を抱く。

 評議会の恐怖の執行者たちは「四騎士」と呼ばれた。

 争いの最中、人類が誕生する。評議会はこの人類こそが調和に不可欠な存在になると予言し、人類の王国「第三の王国」が創られた。評議会の命により、天国と地獄は休戦協定を結び、その協定には7つの封印が施された。人類が終末戦争への力を蓄えた時、封印は解かれ、その戦いは調和をもたらすはずだった。

 独特の世界観が綴られたあと、ゲームは一気にクライマックスの場面から始まる。

 四騎士の1人「ウォー」が目覚めたとき、そこはすでに戦場だった。封印が解かれ天と地の軍勢の調和が崩れたときにのみ降臨する四騎士のめざめ。

 現代の世界では人類が逃げまどい、空からは隕石が降り注ぎ世界を破壊していく。地上では地獄の軍勢が破壊の限りを尽くしていた。天国の軍勢「ヘルガード」がそれに応戦する。現代社会の中に突如として、空を天使が舞い、地で悪魔が咆哮する戦い「終末戦争」が勃発していた。大地は裂け、世界は一変していく。人類が創りあげた「第三の王国」は崩壊していった。

 ウォーは圧倒的な力で立ちふさがる天使と悪魔をねじふせ進んでいく。天界の軍を率いる大天使アバドンは彼の姿を見て驚き、その不意を魔界の者に突かれ命を落してしまう。そしてウォーもまた、何者かによって力を奪われ、事態を把握できないままに強大な魔の手によって敗れ去った。

 地上で敗れ力を失ったウォーは、評議会の追求を受けていた。本来、封印が破られし時に降臨するはずの四騎士。だが、封印は破られていなかった。評議会はウォーが魔の者と結託して戦いを起こしたと結論づけ、裁きを下そうとする。ウォーは汚名を晴らすため、再び地上へと舞い降りることを決意する。

 評議会から義務づけられた監視役のウォッチャーとともに降り立った地上の世界は、終末戦争からおよそ1世紀後、人類が絶え、「破壊者」と呼ばれる魔の軍勢が支配する荒廃した世界だった。

強大な地獄の軍勢にアバドンはウォーの姿を見て驚いている隙を突かれ、ウォーもまた謎の力によって力を奪われ、敗れてしまう。焦炎評議会の元に戻ったウォーを待っていたのは、掟を破り調和を乱したという濡れ衣だった。ウォーは評議会の監視役、ウォッチャーを左手に宿し、汚名を晴らすべく再び地上へと降りていく


 本作のキャッチフレーズは「オレをハメたのは、天使か、悪魔か?」というウォーのセリフ。調和のために冷徹な鉄槌を下す存在の四騎士であるウォーは、天の軍勢にも地の軍勢にも憎まれる存在であり、そして彼は何者かの策略によって力を失い、調和を乱した張本人という汚名をきせられた。ウォーの目的は、評議会からの使命を果たすとともに、復讐を遂げることだ。

 「X-MEN」を手がけたアメコミ作家ジョー・マデュレイラ氏がディレクション、アートワークを担当しているということもあり、全体にアメコミテイストを感じさせる。アメコミの王道と言える“復讐心を頂いたダークヒーロー”というポイントをばっちりと抑えたウォーはその代表格だ。ストーリーからの背景だけでなく、ウォー自身の性格や振る舞いもかっこいい。彼は基本的に寡黙だが、はっきりとした物言いで意志を貫き、敵に対しては圧倒的なパワーを見せつける。魅力的なキャラクターだ。


地上は戦いから1世紀ほどの歳月が流れ、人類は死滅していた。地獄の軍勢がはびこり、天の軍勢にも追われる身となったウォーは、1人戦いながら世界を支配する「破壊者」を、そして自分に着せられた汚名の真相を探っていく



■ アクション ―― 巨大な剣「カオスイーター」をはじめ、多彩な武器を駆使して戦う良質アクション

 本作は画面を見ると純然なアクションタイトルに見えるのだが、実際のプレイの感触はもう少し異なる。ジャンルにも「アクションアドベンチャー」とあるとおりで、アクション操作で敵と戦いつつフィールドを自由に行き来し、ダンジョン内に入るとそこに謎解き要素も加わってくる。

 フィールドは広大で、切替えのないシームレスな作りになっている(エリアが変わったときに瞬間的な読み込みはある)。ウォーは地獄の軍勢から離脱した悪魔「ヴァルグリム」をはじめ、さまざまな存在から破壊者を倒すためのヒントやそのため目的を得て行動していく。ヴァルグリムからは敵を倒したり宝箱から得られるソウルと引き替えにアイテムや技の購入もできる。

アクション要素は爽快感もあり、攻撃の組み合わせも多彩。フォーカスモードにして敵をロックすると、画像のように上下にシネマ的な黒帯が入る
こちらは後方視点。手に持ったオブジェクトを投げたりするときに使う視点で、照準も表示される

 基本操作は、□ボタンが通常攻撃、△ボタンがサブウェポンでの攻撃、×ボタンがジャンプ(2段ジャンプ可能)、○ボタンが「トドメを刺す」アクション。「トドメを刺す」アクションは、弱い敵なら1撃で、ある程度以上の敵でも攻撃で弱らせれば○ボタンの表示が出て、トドメを刺せる。敵ごとに色んなトドメの刺し方があって、どれも残虐で激しいものだ。

 L2ボタンを押すと敵をロックするフォーカスモードになる。フォーカス中は通常は上から斜め見下ろしだった画面が水平に近くなり、上下に入る黒帯が映画的なイメージを想起させ、ダイナミックなアクションが迫力ある視点で展開される。ロックする敵は右スティックで切り替え可能だ。敵と戦うときはだいたいフォーカスでロックしながらになるが、トリガー式のL2ボタンなのでずっと押し続けるのはちょっと疲れるところがあった。残念ながらキーコンフィグがないため、そのあたりには慣れるほかない。

 R3ボタンを押すと照準を定める背後からの視点(TPS風の視点)になる。主に持った物を投げるときに使う視点で、画面に照準が表示される。マップ上には車であったりイスやテーブルであったりと、持ち上げられるオブジェクトがたくさんある。これらを持ち上げて敵にぶつける。また、爆弾を投げて狙った場所を破壊したり、装備品の1つ「クロスブレード(ブーメラン的な飛び道具)」を投げてギミックを操作したりと、パズル要素にも使う視点だ。

 R1ボタンで敵の攻撃をガードするブロック。タイミングよくガードすればカウンター攻撃になる。また、アナログスティックとR1ボタンを入れると、8方向へダッシュ移動できる。ダッシュ移動とはいうものの距離は短く硬直も多少あるため、回避手段といったほうが適切だ。ただ、ダッシュには無敵時間がないため、避ける方向をちゃんと考えないと攻撃を喰らってしまう。ガードにおいても敵の攻撃(特に大型の敵の攻撃)はガードしきれずダメージを喰らってしまう。ガードと回避に関してはどちらも性能が控えめで、シビアな印象を受けた。

 方向キーでサブウェポンや装備品の切替、L1ボタンを押しながらボタンでラス能力(魔法的な特殊能力)やアイテム(回復アイテム等)の使用となる。R2ボタンで装備品を使用する。

 このように全部のボタンをきっちりと駆使するため、プレイ当初は複雑な印象を受けるところがある。操作の割り当てやその動き、特徴にも独特なところがあって、馴染むまでに少しかかるかもしれない。実際筆者は本作の体験版をまずプレイしたのだが、その時には操作があまり馴染まず苦労した。

 製品版でプレイをはじめてからはプレイ時間を重ねることで操作感覚が身についてきて、今ではスムーズに各種の動きを繰り出せるようになった。キャラクターの動きと操作の一体感が高く、アクションの良さを楽しめる。コンボを絶え間なく繰り出し、敵の攻撃に反応して回避し、さらに攻撃を続けて、フィニッシュまで一気にたたみかける。上手くなればなるほどに面白くなるプレイ感だ。


ウォーに手を貸してくれる悪魔「ヴァルグリム」。敵を倒したり宝箱から手にはいるソウルと引き替えにアイテムや各種のアクション技を交換してくれる。また、各地域を楽に行き来できる「蛇の道」も彼が使えるようにしてくれる
両軍勢から襲われる立場のウォー。地上にいる存在は彼を利用しようとする者、恨みを持つ者など様々だ。破壊者を倒すためのヒントや目的を得て行動していく


ウォーを象徴する武器「カオスイーター」。多彩な技を繰り出せるメインウェポンだ
サブウェポンの1つ「サイス」。広範囲に攻撃できるのが特徴で、カオスイーター同様に技も種類がある

 ウォーの武器であり象徴とも言えるのが愛用の巨大な剣「カオスイーター」だ。ウォー本人もガッチリとした重量感のある体格をしているが、彼にも引けを取らない巨大な剣を振り回す。

 ほかにもストーリーが進むにつれて武器や装備品は増えていく。サブウェポンには、巨大な鎌の「サイス」、格闘攻撃を繰り出す「トレマー ガントレット」がある。サイスは広範囲に攻撃でき、ガントレットは単体に強烈な打撃を繰り出す。武器それぞれにコンボや技があって、方向キーやR1ボタンとの組み合わせで様々な技を繰り出せる。

 また、カオスイーター、サイス、ガントレットは、敵を倒すことで経験値が溜まりレベルアップしていく。レベルアップすることで威力が高まり、ヴァルグリムから購入できる技も強化可能だ。

 武器とは別に装備品も様々な種類がある。音で敵をひるませ吹き飛ばす「アースホルン」、敵をロックオンできる十字刃の飛び道具「クロスブレード」、銃の「マーシー」、敵をひきよせたり移動にも使う「アビスチェーン」などだ。これらの装備品は戦闘にも使えるし、謎解きにも使うことが多い。

 多彩な武器やアクションを駆使したコンボには余分な硬直が少なく、スピーディーに次々と繰り出せる。スピード感と重量感、気持ちよさを重視しているのを感じさせるものだ。武器の切替も瞬時に行なわれるし、なによりガードキャンセルの存在がコンボの組み立てを多彩にしている。コンボ中に一瞬だけガードボタンを押すことで、わずかな硬直もキャンセルし、すぐさま次のアクションに繋げられる。

 こうしたアクション全般のデキが非常にいいのが大きな魅力だ。実際のプレイだと例えば、通常攻撃のコンボから入り、ソードアッパーカット(□ボタン長押し、敵を空中へ跳ね上げる)で浮かせ、空中コンボを数発決めたあと着地してパワーストライク(R1ボタンと□ボタン同時押し、フルスイングで野球のホームランの如くかっとばす)を決め、遠くに飛んでいった敵をアビスチェーンで引き寄せてさらにコンボを叩き込む。○ボタンが表示されたところでトドメを刺してフィニッシュ! と、こんな感じの動きができる。前述のガードキャンセルも混ぜていくと、ほとんど無制限に攻撃を繋げていける。

 こうした一連のアクションは非常に非常に出来が良い。攻撃のリズム、ぶった斬っている感、重量感たっぷりの動きなのにスピーディーなアクションは、操作していて気持ちよくて爽快感も高い。トドメのアクションも残虐な描写ではあるが、ダークな世界観を引き立たせているし、恐怖の執行者である四騎士のウォーらしさも出している。

 映画的な見せ方にこだわったという本作は、演出や見せ方が非常にいい。とくに個人的にテンションが高まったのは、ウォーの愛馬ルインに乗って砂漠の砂に潜む大きなボスと戦うシーン。迫り来るボスから逃げつつ、振り返りながら銃の「マーシー」の銃撃を浴びせていく。スピード感が圧倒的で、アングルもものすごくかっこいい。もちろんそれはイベントシーンではなく、きちんと操作して戦ってうボス戦のワンシーンだ。他にも様々なシーンがあるのだが、演出のかっこよさも本作の大きな魅力の1つと言える。


敵を弱らせると○ボタンの表示が現われる。そばによって○ボタンを押せばトドメのアクションだ。この3枚の画像だと、カオスイーターで手を貫き動けなくしてから、打撃を浴びせ、最後に頭上から剣で貫く
愛馬ルインと再会するとルインを召喚できるようになる。騎乗状態では、ハイスピードに移動しつつ剣のカオスイーターや銃のマーシーで攻撃可能。ルインにノリながらのボス敵との戦いは非常にかっこいい
カオスイーターで攻撃することでカオスフレームのゲージが溜まっていく。満タンになると、カオスフォームして強大な力で攻撃できる。ズバズバとコンボを決めてゲージを高め、最後はカオスフォームで一掃する、というわけだ



■ 謎解きパズル ―― ギミックを独特の装備で操作する本格的な凝ったものが謎解きが多数

 戦闘ともう1つの本作の軸が、謎解きのパズル要素だ。爆弾を投げて上手く障害物を破壊したり、ギミックを操作して道を作ったりと、様々なものがある。序盤はシンプルな仕掛けが多いが、中盤~終盤になると、光の反射を誘導したり、ワープポータルを自分で作って進むなど、歯ごたえのある凝ったものが多くなる。

 ギミックだけでなくボス敵との戦いにも、弱点を探ってそこを突くという一種のパズル的な要素が入っている。周囲を見回し、持っている装備品の特徴を活かす、というタイプのものだ。


ギミックを操作するなどのパズル的な要素もたくさんある。ボス敵との戦いも通常の戦い方では倒せず、弱点を突いたり、周りにある物を利用したりといった、ある種のパズル要素が入っている


ダンジョン内にはパズル要素がかなりたくさんある。序盤はシンプルなギミックが多いが、後半になってくると画像のような光の反射をコントロールしたりといった、複雑なものが多くなる

 こうしたギミックを操作して先へと進んでいく、いわゆる謎解き要素は非常に多い。これが本作のジレンマで、アクションが良くできているだけに、パズル要素が多いと「もっと戦闘を楽しませて欲しい」と特に序盤~中盤にかけて感じてしまう。一方で、パズル要素も非常によくできているので、戦闘よりパズルを気に入るという、逆のパターンもあるだろう。

 パズル要素は良くも悪くも本格的な仕掛けが多くて、そこを楽しめる人もいれば、面倒に感じてしまう人もいるだろうと思う。これはもうアクションとパズルの要素のバランスの問題で、プレイ序盤には特にそういう気持ちになることが多かった。特に体験版に収録されている範囲はそれを強く感じさせるステージだ。レビュー冒頭で体験版だけで本作を評価するのはもったいないと書いているのはそのためだ。

 そうした水と油が一緒になっているようなチグハグな感じの印象は、プレイを進めていくと薄れていく。序盤はウォーの能力が制限されており装備品も少ないので、アクションもパズルも凝ったものが少ない。だがゲームが進むに連れて戦闘がどんどん面白くなり、パズル要素もウォーの装備品を駆使する凝ったものになっていく。その頃には本作の面白さにプレーヤーが引き込まれる格好になっているはずだ。

 ゲーム全体の面白さを振り返っても、やはり序盤のプレイ感の重さはネックだ。全ての能力と装備が戻ったあたりからは戦闘もパズルもとても面白いのだが、それはもうゲーム終盤のこと。面白さがピークになってからエンディングまでがわりと早いのも残念だった。もっと早い段階である程度の能力や装備が揃い、そこから本格的なプレイが始まるという具合だったら、よりスムーズに魅力を楽しめたのではと思う。

パズル要素はかなり本格的なものが多い。画像左は、ワープポータルを2つ撃ち出して作って移動するというもの。そのほかにも、時間をゆっくりにさせる装置を操作してから道を進んだり、爆弾をうまく使って障害物を破壊したりと様々なものがある



■ アクション、パズル、演出、世界観などいずれもレベルの高い良作。シリーズ化にも期待

アメコミテイストのダークな世界観や、シネマ的な見せ方を研究したという演出はいずれもクオリティが高い。アクション、パズルともに作りがしっかりとしていて、今後のシリーズに期待できるタイトルだ

 「DARKSIDERS」は、爽快感と操作する面白さが味わえるアクション要素、本格的で凝った仕掛けに感心できるパズル要素の2軸でゲームが構成されており、それらが黙示録を題材にしたダークな世界観、四騎士のウォーの魅力、映画的な手法の演出によって包まれている。どの面を見てもクオリティが高くて、良作と呼べる作品だ。

 グラフィックスに関しては、各画像をご覧頂くとわかると思うが、緻密に描かれているものの、ジャギーがけっこう目立つ。またティアリング(描画に横ズレが起きる現象)もだいぶ見られた。だが、グラフィックスの方向性やセンス、スピード感を重視した作りは好印象だ。次回作以降で技術レベルが高まるとかなり期待できるようになるのではと思う。

 全体に好感触のゲームなのだが、本作に用意されているゲーム内の多くの要素は、他の様々なゲームの良いところを取り入れたものではないかと感じさせるものが多数ある。アクション要素、パズル要素ともに、多数のタイトルをプレイしているゲームファンなら「ああ、この部分はあのゲームを参考にしているな」とすぐに思い浮かぶ。それらがクオリティ高くまとめられているため、逆に元のゲームを知らない人なら、ものすごいアイデアが多数詰まったゲームのように見えるかもしれない。

 そうしたところはあるものの、新規タイトルとしては十分に評価できる1本だ。全体に感じられるクオリティの高さと演出等の見せ方のセンスには、この先に大きく化けていくような予感を感じさせるところがある。次回シリーズにはもっとオリジナルのゲーム性が入ってくることを期待するとともに、新しい新作アクションシリーズの1作目、良作アクションとしてオススメしたい。

(C) 2009 THQ Inc. Darksiders, THQ and their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of THQ Inc. All rights reserved. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners.

(2010年4月1日)

[Reported by 山村智美 ]