PS3/Xbox 360ゲームレビュー

重厚な演出、前例のない臨場感と疾走感!
“じゃじゃ馬”を乗りこなす迫力のレース体験

「ニード・フォー・スピード シフト」


サーキットレースをテーマとする「NFS:SHIFT」。ド迫力の演出でかつてない臨場感を楽しめる

 エレクトロニック・アーツが11月12日に発売した「ニード・フォー・スピード シフト(以下『NFS:SHIFT』)」は、これまでのレースゲームには無かった素晴らしい演出上の特徴と、独自の走行評価システム、好みの分かれるドライビングモデルを備える、個性的なタイトルだ。

 1990年代から続く「ニード・フォー・スピード(NFS)」というレースゲームのシリーズには、「公道をスーパースポーツカーで疾走する、アンダーグラウンドで危険な走り」という伝統的なスタイルがある。しかし、近年のシリーズ作品は、そのシチュエーションやサイドストーリー、バックグラウンドの充実に多くの力を裂きすぎた結果、肝心の「走り」がおざなりにされてきた感があった。前作「アンダーカバー」、前々作「プロストリート」の評価が国際的にいまひとつだったのは象徴的な出来事だ。

 最新作として登場した本作「NFS:SHIFT」では、今回もまた大幅な軌道修正が行なわれている。町乗りというスタイルを否定してまで、「走り」そのものに独特のこだわりを持ち込んだのだ。その結果、本作がどのようなレースゲームになったのかをお伝えしていこう。



■ 独特のドライビングモデルと強烈なG体験が、前例のない臨場感と疾走感を生み出す!

実在のスポーツカーを使ってサーキットバトルを展開
タテ揺れ、ヨコ揺れの演出が凄まじく、車両に「乗っている感じ」を非常に楽しめる
グラフィックスの質は非常に高く、その代償としてフレームレートは30fps固定となっている

 本作の開発を担当した英Slightly Mad Studioの開発メンバーは、PC用レーシングシム「GTR」シリーズをSimBinと共同開発した旧Blimey! Gamesのコアスタッフたちで構成されている。「GTR2」で見せたリアル系の極地というべきドライビングモデルを実現した高い技術力を武器に、「NFS」シリーズに新境地のテイストを持ち込むという試みが、本作で行なわれたわけである。

 こういった開発の経緯から、「NFS:SHIFT」は発売前よりシリーズ初のリアル系ドライビングシムになるのではないかと予測されてきた。果たしてその予測は、部分的に当たってはいるが、外れてもいる。本作が目指したドライビングの表現は、本当に独特なものなのだ。

 まず、本作はG(加速度)の表現がものすごい。全車種に用意されているコックピットビューでプレイすると、コーナーリング時やクラッシュ時など強いGが発生するシーンでカメラがグラグラと揺れ、さらにはHUD表示(タイムや速度計など)まで画面上を揺れ踊るのだ。スピードに乗れば画面中央を残して視界がぼやけ、ドライバーの視野が狭まる様子が表現される。さらには、縁石に乗ったり、路面の細かな凹凸によって発生する車体への細かなタテ揺れも、常時激しく表現されるのだ。

 こういった演出のおかげで、本作のコックピット視点でのドライビングは、凄まじいほどの臨場感と疾走感がある。とにかくド派手で、下品なまでにプレーヤーの興奮を刺激するのだ。本作をプレイした後に「Forza Motorsport 3」をプレイすると、トラクションコントロールをオフにした状態でも、車両の動きが極端にスムーズで、上品で、まるで電磁石で浮いた車両がレール上を滑っていくような感覚を受ける。それほどまでに「NFS:SHIFT」の走りは荒々しいのだ。

じゃじゃ馬のように激しさを持って挙動する本作の車両。クラッシュ時の演出では画面がぼやけ、ドライバーの意識が一瞬、遠のいている様子が再現される



基本、オーバーステア気味の挙動。ほぼドリフト気味のコーナリングとなる
「PRO」モードのハンドリングではシム系の挙動に。それでも他のゲームに比べ、車両の揺れが激しく演出される
車両へのダメージはゲーム的にデフォルメされている。破損の影響をOFFにもできるし、ONにしても完全に走行不能になることはない

 この演出効果に応じて、本作のドライビングモデルもかなり派手な調整になっている。本作には基本、2系統のドライビングモデルが存在して、それぞれ異なったドライビング感覚が得られるようになっている。

 カジュアルゲーマー向きの「EASY」から「HARD」モードは、アーケード系のドライビングモデルになっており、現実よりもかなり強化されたグリッピングがあり、軽い入力にも極端に反応する操舵角があいまって、車両は常にオーバーステア気味の挙動を示す。このため、コーナーに入るたび激しいスキール音を上げ、ドリフト気味に内側を向いて強引に走りぬけるような、野生味溢れるドライビングをほぼ“強制”されるのだ。さらに路面の凹凸によるタテ揺れがかなり極端に車両を突き動かすので、高速ではまっすぐ走ることすら難しい。車種によってはタイヤが浮いて突然グリップを失うほどだ。

 レースシムファン向けの「PRO」モードというシム系ドライビングモデルでは、一気に車両挙動が現実よりとなる。タイヤのグリッピングはシム仕様となり、コーナーでは現実同様の速度まで落としてから的確にラインを攻めることが要求されるようになる。路面の凹凸によるタテ揺れは依然として存在するが、多少ゆるやかになっており、低難易度のモードよりもスムーズに運転することが可能だ。人によってはこちらのほうが「簡単」と感じるかもしれない。

 2系統のドライビングモデルが存在することで幅広いユーザーが楽しめる、と言いたいところだが、本作はあまりカジュアルゲーマー向きではないかもしれない。アーケード系ドライビングモデルを選択したときはとくに、とにかく車両の反応が極端で、コントロールが難しく、他のシム系レースゲームよりもはるかに、レースの難易度が高いのだ。

 特に筆者が苦しめられたのは、本作のステアリング入力に微妙な「ラグ」が存在することだ。コントローラーのアナログスティックを倒してから、ゲーム内ドライバーのハンドルを握る手、および車両が反応するまで、目測でおよそ0.2~0.3秒くらいの遅延がある。これが原因で、他のゲームと同じ感覚でプレイしていると、コーナーへの進入やラインの微調整といった操作が微妙に遅れて入るので、避けられないコースアウトの原因となってしまうのだ。

 さらに本作のステアリング入力感度は異様に高く、デフォルト設定ではスティックをチョンと触っただけで、全力で旋回しようとする。オプション設定でステアリング感度を下げれば多少は改善されるが、それでもかなり制御が難しいレベルだ。前述した操作のラグとあいまって、低速時に走行ラインを修正しようとしたところ、うまく制御できず蛇行運転に突入してしまうことが多々あった。

 筆者自身はレースゲームやシムの経験はそれなりに豊富だと自負しているが、本作ではコース上を蛇行してまっすぐ走ることすらできない自分にかなりイライラすることになった。3日ほどかかって操作ラグに慣れてからはそれなりの走りができるようになったが、いまだに一部の車両とコースの組み合わせではコースアウトせずに走ることができないでいるので、さらなる修練が必要そうだ。本作に関心のある方は、まずはデモ版をプレイして、操作性が自分に合っているかどうかを確かめておくべきだろう。


2系統あるドライビングモデルのうち、アーケード系の挙動では通常よりも高いトップスピード、コーナリングスピードとなるため、地面の細かな凹凸の影響が大きく反映されるようだ。その結果、スピードのある高レベルの車両の制御は、むしろシム系のドライビングモデルよりも難しい面がある。この点を考慮したうえで、ドライビングモデルを好みによって選ぼう



■ 「正確性」と「攻撃性」の2軸で評価されるドライバースタイル。クラッシュ上等のレースに挑め!

各車両はレベル1~4にランクわけされ、ゲームを進めることで上位車種が購入可能になる
スパ・フランコルシャンサーキット。本作の中でも特に高難易度のコースだ

 本作は「NFS」シリーズとしては珍しくサーキット・レースのみをテーマとしており、プレーヤーはひとりのレースドライバーとして数々のレースイベントに参戦する。レースで経験を積み、キャリアアップを重ね、新たな車両を入手して、最終的に「NFS World Tour」と呼ばれる最高峰のレースに勝利することが目的だ。

 本作に登場する車種は一般のスポーツ車からスーパースポーツカー、レース仕様車までおよそ60車種以上。メーカーはアウディ、BMW、ケーニグセグ、ブガッティ、ランボルギーニ、ルノー、ロータス、ポルシェ、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、ルノー、マセラティ、パガーニ、ドッジ、フォード、ニッサン、トヨタ、ホンダ、マツダといった有名どころが押さえられており、フェラーリを除き、おおむね定番の車種は揃っている印象だ。

 収録コースは実在のサーキットと架空のサーキットを交えて18コースあり、そのうち大多数のコースは構成に複数のバリエーションがある。実在コースとしては、「スパ」、「シルバーストーン」、「ラグナ・セカ」、「ニュルブルクリンク 北コース」といった、レースファン好みのものが多数収録されている点が好印象だ。レースの種類としては、着順を争う「バトル」、ラップタイムを競う「タイムアタック」、ドリフトスコアを競う「ドリフト」などが用意されている。

 本作は1人でプレイするキャリアモードと多人数で対戦するマルチプレイモードの2系統のゲームモードを備えているが、その双方で、プレーヤーの所有する車両や資金、それに関連した「ドライバーレベル」が保持されている。このため、マルチプレイモードに突入する前にある程度、キャリアモードで経験を積み、車両を手に入れておくことが必要だ。

 キャリアモードの進行度は大きく分けて5段階の「レベル」が設定されており、レベル1の段階では短く簡単なレースに取り組むことになる。この段階で入手できる車両はレベル1にカテゴライズされたスポーツカーやクーペで、車両性能が低い分、簡単にコースを攻めることが可能だ。はじめのうちは1レースでショートコース2周程度の長さなので、とんとん拍子に次のレースレベルへ進むことができる。


「バトル」、「タイムアタック」、「ドリフト」といったルールで、様々な車種、様々なコースでのイベントに望む。好成績でクリアしていけば次のレベルへ進める

稼いだ資金を使って新たな車両を購入。資金が足りなければリアルマネーで購入する方法も用意されている。Xbox 360版の場合、レベル1車両で40MSP(約60円)、レベル2で80MSP(約120円)、レベル3で160MSP(約240円)、レベル4で240MSP(約360円)という価格になっている。また、資金を使って各車両にアップグレードを施すことも可能だ



条件を満たして「スター」を獲得。規定量を集めれば、次のレベルのレースイベントがアンロックされる
「ポイント」はレース中の様々な行為によって常時蓄積していく。ライバル車をコースアウトさせて「アグレッシブ」ポイントを獲得しよう
AIカーは非常に攻撃的。実際のレースでは即失格になるような危険行為をガンガンやってくるので、それを上回る走りをしなければいけない

 ドライバーとしてのキャリアを進める中で重要な要素となるのが、各レースで「スター」を獲得することだ。スターは次のレースレベルへ進むための条件であり、1レースで最大6個のスターを獲得できるようになっている。スターの獲得条件は、1位~3位でレースを終える、規定の「ポイント」をレース中に獲得する、「ラインを75%以上守る」などの追加のボーナス条件をクリアする、の3種類だ。

 このうちユニークな評価軸となっているのが「ポイント」の存在である。これはドライバーのレベルに関係する、いわば経験値みたいなもので、2系統のドライビングスタイル評価によって獲得できるのだ。

 スタイルのひとつは「プレシジョン(正確性)」。コーナーを正確なラインでクリアしたり、ライバルカーに接触せずにクリーンなオーバーテイクを決めることによって上昇していく。もうひとつのスタイルは「アグレッシブ(攻撃性)」。ライバルカーに接触してコースアウトやスピンをさせたり、コーナーをドリフトしながらクリアすることによってポイントを獲得する。

 レースゲームとして本作の特徴を決定付けているのが、後者の「アグレッシブ」という評価軸の存在だ。これにより、本作ではライバルカーにぶつかり、クラッシュさせるというプレイが、ゲーム的に推奨されているのだ。この点、レースゲームに迫力とアクションを求めるユーザーのニーズに答えたものになっている。

 この基本的なゲーム仕様を反映して、本作に登場するコンピューター操作のライバルカーは非常にアグレッシブだ。プレーヤーと併走しようものなら積極的に寄せてきてコースアウトさせようとしたり、プレーヤーがギリギリの速度でコーナーリング中に、オーバースピードで突っ込んできてリアに接触するなんて危険行為は日常茶飯事。スピンアウトさせられてトップから一気にビリになるという状況は、本作では当たり前のことと思うべきだ。

 こういった「クラッシュ上等」なゲーム性のため、ただでさえ難しい本作のレースはさらに手を焼く存在になっている。願わくば、「Race Driver GRID」や「Forza 3」のような“巻き戻しシステム”がほしいところだが、本作でサポートされているのはレースの最初からリスタートすることのみ。このため相当厳しめのバランシングとなっており、レベル3から4以上の高難易度レースでは、熟練したレースゲーマーでもかなり苦戦することになるだろう。

 それでもレースに勝ち、「スター」を獲得していけば、最終目標である「NFS World Tour」への参加権獲得へ近づいていける。獲得した賞金を元に新たな車両を手に入れ、マルチプレーヤーレースに参戦して実力を試すのもいいだろう。いずれにしても、プレーヤーが走ったすべてのレースで獲得した「ポイント」は、経験値となってプレーヤーのドライバーレベルを上げ、新たなレースイベントを解除したり、所有できる車両の数を向上させたりといった効果を与えてくれる。

華麗な走りで「プレシジョン」ポイントを稼ぐか、危険なアタックを仕掛けて「アグレッシブ」ポイントを稼ぐか。プレーヤーのスタイルに応じて走りの内容が評価される

あらゆるレースイベントでクラッシュ上等の激しいレースが展開する。ライバルカーが宙を舞ったり、スピンして壁に激突している間、トップを走る車両は悠々先行してしまうので、早めに第2集団の混雑を抜けるすべを身につけよう。ある程度運任せではあるのだが



■ 潤沢なやりこみ要素。「コーナーマスター」を目指すプレイや、ドリフトバトルは大いにハマる

コーナーマスターを目指すには、完璧なライン取りでコーナーをクリアする必要がある。何度も挑戦してプレイの精度を上げよう
ドリフトスコアはスピード、角度、クリッピングポイントへの近さが評価される。ラインを維持するためには緻密な操作が必要だ
ドリフトイベントで高ポイントを獲得。1レースの所要時間が短いので、ドライバーレベルを荒稼ぎできる

 本作には、各コースでひととおり1位を取れるようになってもまだまだ遊べる要素が用意されている。各レースイベントですべての「スター」を取るためには、単にトップで走るだけでなく、様々なボーナスチャレンジを達成する必要があるのだ。

 ボーナスチャレンジには、レースのタイプによって様々な内容がある。一般的な「バトル」レースでは、「75%以上、理想ラインを守る」というチャレンジや、「ライバルに接触したり、コースアウトせずにクリーンなラップを走る」というチャレンジ、あるいは「すべてのコーナーをマスターする」というチャレンジがある。この中でもコーナーをマスターするチャレンジは、全コースで達成を目指す価値があるほど、面白いものだ。

 本作の全コースには、各コーナーに「そのコーナーを完璧なラインで走破したかどうか」を示すチェックボックスが用意されている。レース中に完璧なライン取りで走行すれば、そのコーナーをクリアだ。ニュルブルクリンク 北コースといったロングコースではこれが30個以上も用意されており、すべてをクリアするのは至難の業。しかし、達成を目指すことでプレーヤーの走りの質を大幅に向上させてくれるという効果もあり、ついつい繰り返しコースを攻めたくなるという按配だ。

 もうひとつ、繰り返しプレイしてしまうのが「ドリフト」形式のレースだ。ドリフトレースでは500m~2km程度のショートコースを使い、タイムではなくドリフトのスタイルと正確さによる「ポイント」を競う。そして本作のドリフト挙動は、迫力ある演出も相まって、非常に気持ちが良いのだ。

 ドリフトに入るためには、ある程度スピードに乗った状態で軽く減速し、直後にアクセルを入れて後輪をスピンさせるか、角度が厳しい場合はハンドブレーキを使う。ドリフトに入ったあとは適切なカウンターステアを当てつつ、アクセルワークを微調整して角度を調節する。慣れないうちはすぐにクラッシュしてしまうが、しばらく練習すればすぐに、長いドリフトを決められるようになる。

 「ドリフト」レースでは、ドリフト中のスピード、角度、そしてコーナーのクリッピングポイントまでの近さが評価され、「ポイント」の獲得につながる仕組みだ。特にクリッピングポイントにギリギリまで近づいて大角度で滑っていくドリフトを成功させると高スコア。普通の「バトル」形式ではなかなか勝てない「ハード」レベルのAIプレーヤーにも、ドリフトに熟練すればダブルスコアで快勝することも可能だ。

 このとき獲得できる「ポイント」は、他のレースで獲得できるポイントと同様に、ドライバーレベルを上げる経験値として扱われる。このためドリフトイベントで高スコアを取れるようになれば、通常のロングレースを走るよりも非常に効率的に、ドライバーレベルを向上させることができる。これにより新たなレースイベントに参戦することも可能となるので、積極的にドリフトの技術を磨こう。


高難易度のコースで「コーナーマスター」を獲得するためには、車両のチューニングを調整して最適なセッティングを見つける必要もある。ブレーキ、ステアリング、アクセルのタイミングが変化することで、自然なライン取りも微妙に変わってくるからだ

ドリフトに慣れてきたら色々な車種でのプレイに挑戦してみよう。トヨタAE86はスピードに乗りにくいがドリフトのキレが深く、完璧に制御すればさらなるハイスコアを目指せそう。BMWのM3あたりは機敏で素直な挙動で、長いドリブルを維持しやすい



■ ドライビングの迫力と緊張感に価値あるタイトル。独特の操作感は好みが分かれるところ

迫力たっぷりの演出効果は、他のレースゲームにも大いに学んでほしいと思うほどのデキ。その点において本作は新たなスタンダードを築くことに成功している

 総合的に見て、本作はプレーヤーによる好みが激しく分かれそうなタイトルだ。じゃじゃ馬のような激しい車両の挙動、大迫力の演出により、レースの臨場感、緊張感は他の追随を許さないレベル。この点については競合タイトルの中で本作だけが、新たな境地を切り開くことに成功していると言ってもよい。だが、独特の操作性による車両制御のしづらさは、「Forza」シリーズのような上品なドライビング体験を求めるユーザーには大きな違和感の対象となるだろう。

 いずれにしても非常にクセのあるタイトルなので、ゲームに完全に慣れてしまうまで、かなりの努力を要求される面もある。筆者は3日かけてようやく、いくつかのコースで理想に近い走りができるようになったものの、いくつかの上級レースイベントでは、レースラインに乗ることはおろか、路上を走ることにさえ苦労している。本作に収録されている車両のうちいくつかは、コース上を走っていても激しいタテ揺れを起こし、突然グリップを失うことがあるというのが、それに拍車をかけている状況だ。

 こういった難しさを本作にもたらしているのは、「GTR2」ゆずりのシム系の挙動に、迫力を重視した調整を加えた結果、車両の挙動がいろいろな意味で過敏になってしまった、という点を挙げることができそうだ。コントローラー操作時のスティック入力量に対する、ゲーム中のステア操作の感度が過敏すぎること、また、操作に一定のラグがあることも、難しさの原因だ。正確なドライビングをしたいなら、まずステアリングコントローラーは必須のアイテムと言い切っていいと思う。

 だがそれだけに、本作は現実の車両以上にレースの迫力と手ごたえを伝えてくれるゲームなのかもしれない。それを楽しめるかどうかが、本作を心から気に入ることができるかどうかの分かれ目になるだろう。万人にお勧めできるタイトルではないが、ぜひ1度試して、自分に合うかどうかを判断してほしいタイトルだ。


【スクリーンショット】

(C) 2009 Electronic Arts Inc. Trademarks belong to their respective owners. All rights reserved.


(2009年 11月 13日)

[Reported by 佐藤カフジ ]