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★PCゲームレビュー★

城と集落を道で繋ぎ、勢力圏を広げよ!
国境無き国盗り合戦、ここに見参!

「信長の野望・天道」

  • ジャンル:歴史シミュレーションゲーム
  • 開発/発売元:コーエー
  • 価格:11,340円(通常版)、13,440円(プレミアムBOX)
  • プラットフォーム:PC
  • 対応OS:Windows XP/Vista/7
  • 発売日:9月18日(発売中)
  • プレイ人数:1人
  • レーティング:CERO:A(全年齢対象)

 株式会社コーエーは9月18日、Windows用歴史シミュレーションゲーム「信長の野望・天道(以下、天道)」を発売した。「天道」は「三國志」シリーズと共にコーエーの歴史シミュレーションゲームの双璧をなす「信長」シリーズの最新作だ。

 

 プレーヤーは戦国を生き抜く大名の1人となって、全国統一を目指す。本シリーズは新作ごとに全国統一を果たす過程をさまざまな試みで描いてきた。「天道」では、前作「信長の野望・革新(以下、『革新』)」で採用されたリアルタイム制を踏襲したが、従来のように国を1つの点とみなすのではなく、“本城”を中心とした勢力圏を広げていくという点から面への進化を果たし、まさに「国境なき国盗り」を楽しめるようになっている。

 これまでコーエーの特設サイトや本作プロデューサー北見氏のインタビュー等において、「国境なき国盗り」の軸となる「道」のシステムや、大名家ごとの歴史にフィーチャーした群雄覇権モードなどがクローズアップされてきた。本稿では実際にプレイしてみてのレビューをご紹介していきたい。


【チュートリアル】
いつも筆者がひそかな楽しみにしているチュートリアル。今回は北条氏政が主人公。偉大な父の氏康亡き後、根拠の無い自信だけが頼りのおぼっちゃまが、お茶目な大叔父の北条幻庵から教えを乞うというスタイルだ。シリーズ随一の完成度と言える出来映えで、インストールしたその日はチュートリアルだけで終わるボリュームだ


■ 「道」を敷き、「支城」を作れ! バランスに優れたリアルタイムシミュレーション

「信長の野望・天道」は、リアルタイム制によるスリリングなゲームプレイと、国境のない国盗りゲームを両立させた意欲作だ

 「天道」最大の特徴は、シリーズ初となる「道」の概念をゲームに盛り込んだことだ。城を中心に各地の拠点を街道で結び、道を通じて経済活動や領国経営が行なわれるという、人間のあらゆる活動の基礎となる「道」のイメージがしっかりとゲームに落とし込まれている。

 これにより「信長」シリーズにおいて重要な役割を果たしてきた“城”は、攻防の要となる拠点にすぎず、それそのものは何も生み出さなくなった。勢力拡大に必要不可欠となる金銭・兵糧・兵力・生産物といった各種資源を得るためには、城とその周囲に点在する集落を街道で繋ぐ必要がある。さらに城下に各種施設を開発することにより、初めて資源を蓄えたり、兵を集めたりすることができる。各集落や施設は街道で繋がってさえいれば、自軍の部隊が入り口に達することで自軍の勢力下に置くことができる。日本国中に無数の網の目が張り巡らされるイメージだ。

 こうしたシステム変更により、「天道」では国力を挙げてぶつかりあっていた従来の「信長」シリーズから、常に前線の動向に注意を払いながら自勢力の及ぶ領域を押し広げていくことにゲームの流れが変化している。自城から集落へ伸びる街道が、日本国中隅々まで達したときプレーヤーは全国統一を成し遂げるのだ。1国1城を自分の色に塗りつぶしていく感覚から、道を押し広げていく感覚へ。これは「信長」シリーズの大きなパラダイムシフトといっていいかもしれない。

 本作のゲーム性のミソは、資源の供給源となる“集落”に耐久力の設定が無いことだ。集落は部隊が入り口まで到達するだけでそのまま自勢力に組み込むことができる。このため、地図上でこそ国境が区切られているが、実際の勢力図は国境では区切れない。自分の勢力がどこまでの集落を抱き込んでいるかという“勢力圏”の考え方が大事になってくる。文字通り国境無き国盗りを楽しめるわけだ。プレーヤーは少しずつ勢力圏を削り取りながら城を攻略しても良いし、最初から城だけを取りにいっても良い。城を落とすことができればリンクされている集落も同時に手に入れることができる。

 本作が素晴らしいのは兵站のバランスだ。道を敷くルールは、軍事コマンドから工作部隊を編成して、自分の拠点などから集落や資源まで道を作っていく。ただ、城から伸びた集落の先に敵国の領土があって、前線で延々と小競り合いが繰り広げられるわけではない。本作では大部隊を移動させる際に消費する兵糧が多く、自軍の本城から隣国の敵地の本城まで大部隊を移動させて戦っていると、たちまち兵糧が枯渇してしまう。だから、ほいほい大軍を前線に貼り付けておくことはできないわけだ。

 基本的には、小規模部隊で隣国の勢力圏を少しずつ侵しながら、辛抱できなくなって出撃してきた敵の本城から出てきた部隊を、様々な計略等により根気よくその戦力を削いで、最終的には敵国の本城を、最前線の支城から出陣させた本隊を持って陥落させるというのがもっとも美しいパターンとなる。

 「道」のシステムの存在で国の境がいかようにも変化するため、プレーヤーは前線の管理を中心に、手配り目配りすべきことは非常に多い。特に兵糧の管理は重要で、プレイし始めのころは兵力だけを集めたところでとにかく不足しっぱなしになってプレイ時間も長くなりがちだ。ゲーム内の設定難易度に関わらず難しいタイトルだ。

 本作でも踏襲されたリアルタイム制については、減り行く兵糧を見ながら攻城部隊の働きをハラハラしながら見守る楽しみが前作よりもさらパワーアップしており、「革新」をやり込んだ筆者としても非常に満足だ。


街道で結ばれた集落と本城がプレーヤーの勢力圏となる。支城を前線に構築するとそこまでが自軍の勢力下に置かれ、ここを軸に敵地の集落を削り取っていく
敵が設置した櫓などに注意しながら、遠巻きの集落から徐々に勢力下に組み込んでいこう。敵城への街道は邪魔なら潰してしまっても良い
「道」を繋げることで領土を拡大できるというシステムを逆用して、敵城と集落の間を遮断してしまうのも有効な戦術だ。戦闘部隊に道の敷設の可能な工作部隊を帯同させると勝手が良い


■ 「群雄覇権モード」で戦国大名家の成り立ちを紹介。「伝承イベント」には女謙信が登場

群雄覇権モードでは、各大名が家臣たちと心を通わせる様子が多数描かれている
伝承イベントを信じると、上杉謙信が女性だったという異説にのっとってゲームが進行する
外国人や未知の人物など、今回も多数の人物が新たに武将として追加されている

 前作「革新」からブラッシュアップされた点として特筆しておきたいのは、きっちりモードやシナリオを絞って遊びやすさが向上していることが挙げられる。お馴染みの全国モードでは、時代ごとの大名家から1つを選んでプレイできる。時代は前回の1555年の尾張統一から始まっていたものが1546年の信長元服からプレイ可能となっており、家康や信長の父や祖父の世代で活躍した武将が多数加わっている。

 前作では各地方が舞台となっていた「地方モード」は、「群雄覇権モード」に変わり、ゲーム性も大きく変化している。前作の地方モードは5つのシナリオ年代×6箇所の地方で計30個存在したが、ただ単に全国シナリオを地域のところだけに切り取って遊ぶだけのモードだった。「群雄覇権モード」は、全国シナリオとは独立した、全5つの架空シナリオに統合された。四国と山陰・山陽地域を舞台にした「瀬戸内の覇者」、三国で九州の覇者を争う「九州三国志」、関東地方をテーマにした「三つ巴と六門銭」、近畿を舞台にした「不如帰の行方」、東北を舞台にした「奥州、乱る」の5シナリオ。架空シナリオながら、各地の大名家の成り立ちや中興やエピソードに触れながらプレイできる方式に切り替わった。

 たとえば1560年1月のシナリオ「瀬戸内の覇者」では、四国全土と山陰山陽地域を舞台に、毛利家、尼子家、宇喜多家、三好家、長宗我部家の5家により、瀬戸内地域での覇が争われる。尼子家では尼子経久が大名で、「我に七難八苦を与えたまえ」と願った家臣の勇将山中幸盛を中心にストーリーが進む。途中で幸盛が傷だらけになりながら兵を募ってきたり、各勢力ともいくつかの技術を習得していたりと、その大名家で起きたエピソードを交えながらストーリーが展開する。全国モードで1からプレイするのとはまた違った楽しみ方が可能だ。

 群雄覇権モードでは、全国シナリオに登場するすべての大名家でプレイできるわけではないが、織田信長から一世代前の武将が盛り込まれていることで、地域レベルでの群雄割拠がよりよく描けるようになっており、お気に入りの大名家のことをゲームを通じてより深く知ることのできる優れたコンテンツになっている。特に従来の「信長」シリーズでは年代ごとの大局的なイベントしか見ることができなかったが、織田家以外の地方の大名にも仮想シナリオという形で主役の座を用意したのは大変すばらしい試みだ。戦国大名や歴史に興味のあるユーザーには是非触れてもらいたい新モードだ。

 また、本作の各シナリオスタート時に選択できるコンテンツとして「伝承イベント」というものが存在する。戦国時代の武将に存在する異説をゲームのシチュエーション上に再現しようという試みで、今回は「上杉謙信女性説」と「徳川家康影武者説」の2つの異説に関して、ゲーム開始時にそれぞれの異説を信じるかどうか選択することができる。「信じる」を選択すると、上杉謙信は女性大名として、徳川家康は影武者の異父弟という設定でゲームが進行する。

 ただ、こちらは群雄覇権モードのようにこれらの異説に関して特別なエピソードが語られる機会は無く、あくまで雰囲気のみの提供に留まる点は、今後の課題といえるだろう。この2つ以外にも戦国武将に関する異説は数多く、アップデートの中で増えていくことを期待したいところだ。


伝承イベントを選択しても武将の絵や口ぶりが変わるだけでストーリー上の変化は無い
群雄覇権モードの「九州三国志」では、大友宗麟を選択すると立花道雪との掛け合いや、アルメイダの申し出により日本で最初の病院が建てられたエピソードなどが紹介される


■ 城外施設は国の礎。諸勢力をさまざまな依頼を重ねて特殊能力を使いこなせ!

有名武将には特有の死亡イベントが用意されているが、シナリオ開始時に討ち死や寿命を無しに設定することができる。そもそも一線級の有名武将は全国統一まで生き残る者も多いため、目にする機会は少なかった
諸勢力は拠点の防御などの簡単な依頼をこなさせながら育てていこう
外交は「革新」を踏襲。従属の概念が無いため、大国にはさまれた小国にとって生き残ることは大変だ

 最後に、上記で紹介しきれなかった要素について簡潔にまとめておきたい。

 まず、「天道」ではこれまで本城およびその城下町が備えていた諸機能を、集落に“分権”させている。このため、資源の確保や生産、軍事などの分野において、城外の影響を受けることが非常に多い。募兵や金・兵糧の徴収、鉄砲や馬の売買、技術の研究や計略にいたるまで、集落や施設なしにはコマンドを実行したり効果を得たりすることができない。周囲の町並みをことごとく取られると本当に手も足も出なくなってしまう。これは従来の「信長」シリーズとは大きく異なるポイントだ。

 その一方で調略・計略関連のコマンドは今回ばっさり切り捨てられている。計略コマンドには忠誠度の低い敵将を味方につける「引き抜き」と、低い民忠を持つ拠点に対して一揆を起こす「扇動」、狼煙台の付近を通った敵部隊に対する「奇襲」以外攻撃的な内容はは盛り込まれておらず、使う局面はほとんど限定されている。結果として、迫りくる敵勢力に対しては、計略的には「足止め」くらいしか為す術が無く、「流言」で武将の忠誠を下げて謀反を起こさせて城を乗っ取るといった謀略系のコマンドを重視して全国統一を目指したいユーザーには少々違和感があるかもしれない。

 戦闘では多数の部隊をスタックさせ、陣形を組めることになった。陣形は3部隊以上で編成でき、部隊が持つ戦法が良く連携する「鶴翼」など9種類の陣形が存在する。陣形の持つ統率や知略などの能力は陣形内の1番高い武将のものが使われるため、その武将が持っている戦法などを考えながら幅広い武将たちを連れて行けるようになっている。ゲーム全体を通じたビジュアルは「革新」とそれほど変わらないが、プレーヤーはさまざまな角度から戦略を思考できるようになっている。

 外交でのコマンドは「革新」のシステムを踏襲しており、同盟関係を結んだり、停戦や捕虜の返還などを求めることができる。新機軸として、諸勢力の存在がある。諸勢力は集落と同じように各地に散らばっており、諸勢力の拠点を道で繋ぐことによって、自軍の勢力に協力させることができる。資金こそかかるが、依頼を行なうたびにどんどん諸勢力も力をつけていく。

 第三勢力となる「諸勢力」は勢力独自の能力や戦法を持っている。中でも派兵を行なってくれる山陰の“たたら場衆”は、攻城戦用の戦法「火攻め」を使うことができる。初期の戦力は3,000と心もとないが、依頼のたびに300ずつ出陣兵力が増していくので、攻城戦での貴重な戦力になってくれるだろう。

 諸勢力で面白いのが、諸勢力もまた集落と同じく大名の奪い合いの対象になるということだ。せっかく育てていった諸勢力も、それに続く街道を撤去されたり、敵勢力につなぎこまれてしまうと、育てた強さのまま今度はこちらに刃を向けることになる。1度確保して育てたら決して奪われないように気をつけたいところだ。


 さて、本作の機軸となっている「道」について重点的にレビューさせていただいた。城と城を奪い合う点と点との戦いから、面の戦いにシフトしたことは「革新」から続く全国1枚マップの流れの中で、非常に意義深いことだ。全国1枚マップはこのために用意されたとも言える内容で、シリーズファンにはぜひとも手にとってもらいたい。

 また、群雄覇権モードで全国の大名を主人公として楽しめる試みは、自分で好きな大名の全国統一までの歴史のストーリーを作っていく従来の「信長」とは一線を画す内容だ。エデュテイメントソフトとしても高く評価できる内容で、「天道」をきっかけに歴史に触れたくなるファンもきっと増えることだろう。

 本作はフリーの体験版が公式サイトよりダウンロード可能だ。体験版では長宗我部元親による四国統一のシナリオをプレイすることができる。戦法「鬼槍」を使うことのできる元親を筆頭に、足軽系の戦法に長けた武将達による戦法連鎖や集落の開発などを楽しむことができる。動作環境は製品版と同等なので、購入を検討されているユーザーは是非試してほしい。


各地の諸勢力は特有の戦法や能力を持っている。お抱え衆として召抱えれば全国どこにでもかけつけてもらえる
ド派手な戦闘シーンでは選択した布陣によって戦法が次々に連鎖する。部隊の強さは統率力や武勇の高い武将の数値に合わせられるため、文官系の武将でも連れて行きやすくなった

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(2009年 9月 20日)

[Reported by 三浦尋一 ]



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