2017年6月26日 12:50
TSUKUMOの「G-GEAR note N1570K」はCPUにCore i7-7700HQとGPUにNVIDIA GeForce GTX 1060を搭載したノートPC。ゲーマーにターゲットを絞ったG-GEARシリーズの新製品で、最新のCPUとGPUを搭載している。今回は、実機をお借りすることができたので、その実力を交えて紹介していこう。
スペックで見る「N1570K-700/T」
今回お借りしたのは、「G-GEAR note N1570K」シリーズの「N1570K-700/T」だ。「N1570K」シリーズには、「N1570K-700/T」と、「N1570K-710/T」の2製品がラインナップされている。お借りした試用機は「N1570K-700/T」だが、大きな違いはOSとストレージだ。それではその違いも含め、下のスペック表を見ながら、仕様の観点から製品を紹介していくとしよう。
【スペック】
製品名 | G-GEAR note N1570K-710/T | G-GEAR note N1570K-700/T |
---|---|---|
CPU | Core i7-7700HQ(4コア8スレッド、2.8GHz TurboBoost時最大3.8GHz) | |
GPU | GeForce GTX 1060(GDDR5 6GB) | |
チップセット | Mobile Intel HM175 Express | |
メモリ | PC4-19200 DDR SO-DIMM 16GB(8GB×2) | |
ストレージ | 512GB M.2 SSD(MVNe) | 275GB M.2 SSD(Serial ATA 6Gbps) |
ディスプレイ | 15.6型フルHDノングレアIPS方式液晶(1,920×1,080ドット) | |
映像出力映像出力 | Mini DisplayPort×2、HDMI×1 | |
USB 3.1 | Type-C×2 | |
USB 3.0 | 2 | |
USB 2.0 | - | |
イーサネット | 1000BASE-T | |
無線機能 | IEEE802.11a/ac/b/g/n、Bluetooth v4.2 | |
サイズ(横×奥行×高さ) | 385×271×27.3mm | |
重量 | 約2.6kg | |
バッテリ駆動時間 | 約2時間 | |
OS | Windows 10 Pro 64bit | Windows 10 Home 64bit |
価格(税込) | 188,784円 | 167,184円 |
最新のパワフルなCPUとGPUを搭載
まずCPUだが、IntelのCore i7-7700HQが採用されている。Core i7ファミリーは、Intelのメインストリーム向けCPUの中でも、ハイエンドに位置付けされており、4つのCPUコアを搭載している。CPUコアそれぞれが同時に2つの処理を行なうことのできるHyper-Threadingに対応しているため、4コア8スレッドでの動作が可能だ。
普段の動作周波数は低く抑えられ、通常時にはベース動作周波数までクロックが上がる。そこからさらに、Turbo Boostによる一時的なオーバークロック(OC)が自動的に行なわれるようになっており、処理能力が必要な際には性能が上がる仕組だ。また、前世代と同様に、対応メモリはDDR4だが、メモリクロックは引き上げられ、より高速なメモリアクセスが可能になった。
本機に搭載されているCore i7-7700HQは、ベース動作周波数が2.8GHzで最大周波数は3.8GHzとなっている。Intelとしては最新の第7世代Coreプロセッサで、開発時にはKaby Lakeと呼ばれていたもの。従来の同クラス製品と比較すると、高クロックなのがウリで、本機に搭載されている製品はモバイル版であるが、電力あたりのパフォーマンスが向上した。
ゲーミングPCのキモとなるGPUには、NVIDIAのGeForce GTX 1060が採用されている。GeForce GTX 1060もCPU同様に最新の製品で、Pascalアーキテクチャが採用されている。Pascalは、これまでのGPUと違い、立体的なトランジスタであるFinFETを採用しており、前世代のMaxwellと比較して低電力で高性能になった。
本製品に搭載されているGeForce GTX 1060は、モバイル向けのものだが、NVIDIAはデスクトップ向けの製品と性能的に大きな違いがないことを理由に、デスクトップ向けと同名を採用している。同社の製品としてはアッパーミドルもしくはミドルレンジに属するが、VR Readyがうたわれており、VRデバイスを使えるだけの十分な性能があることを示している。
ストレージの選択がカギとなる?
2モデルの違いがあるのが、ストレージだ。上位モデルの「N1570K-710/T」には、MVMe接続のM.2 SSDが採用されており、容量は512GB。下位モデルの「N1570K-700/T」では、256GBのM.2 SSDだが、接続はSerial ATA 6Gbpsとなっている。一般的な認知としては、Serial ATA 6Gbps接続の場合、Sequential Readの速度は500~600MB/s、MVMeの場合、高速なものでは3,000MB/sを超えるものもあるため、5倍程度の性能差がある。
しかし、上位と下位製品の価格は、上位の「N1570K-710/T」は174,800円、下位の「N1570K-700/T」は154,800円と、その価格差は2万円もある。容量に関してはユーザーの利用状況にもよるが、このアクセス速度と価格の差をどう考えるかは、ユーザーしだいと言えるだろう。
次に、液晶モニタだが、15.6型のノングレアタイプが採用されている。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット表示)で、IPS方式だ。パネルサイズはゲーミングノートとしては一般的だが、これだけの大きさがあれば、十分な没入感を得られるだろう。また、外部出力もMini DisplayPortが2つにHDMIが1つと、合計で3つも用意されている。外部接続の4Kモニタなどをつないでもよいし、VRへ向けた対応とも見られる。ポートタイプのインターフェイスは外部映像出力だけでなく、Type-CのUSB 3.1が2つにUSB 3.0が2つだ。また通信機能もノートPCらしく、有線LAN、IEEE802.11ac、Bluetoothの3つがある。
サイズは、幅が385、奥行きが271、厚みが27.3mmだ。これで重量は2.6kg。バッテリ駆動時間が約2時間になっていることを考えても、軽量なモバイル向けではなく、家の中での移動程度を含めた据え付けに近い用途となるだろう。
写真で見る「G-GEAR note N1570K-700/T」
それでは、ここからは、写真や画像を見ながら「N1570K-700/T」を見ていこう。本機はゲーマー向けということで、ゲーミングPCならではの機能もおさえられている。それらもあわせて紹介していこう。
ベンチマークで実力を見る
それではここからはお待ちかねのベンチマークソフトを使ったテストだ。試用機は下位機種の「N1570K-700/T」なので、ストレージ速度は上位機種の「N1570K-710/T」のほうが圧倒的に早い。そのことを注意しながらベンチマークの結果を見ていってほしい。
PCMark 8
PCMark 8はFuturemarkの提供する定番ベンチマークソフトで、システム全体の性能とバランスを見ることができる。結果は3,916と、4,000ポイントに近い数値になっている。ノートPCとしてはよい結果だ。このベンチマークソフトでは、CPUやメモリやストレージなど、どれか1つが突出してよくても高スコアは出ない。4,000近い数値が出るということはバランスも優れていることがわかる。
PCMark 8 | |
---|---|
測定数値 | 3,916 |
3DMark
こちらもPCMark 8同様、Futuremarkの提供するベンチマークソフト。PCMark 8はシステム全体を総合的に判断するためのベンチマークソフトだが、こちらはゲーム性能などを見るためのグラフィックスの表示能力を調べることができる。結果はDirectX 12を利用したTime Spyで3,916ポイントとなっており、こちらも4,000ポイント近い結果で、ノートPCとして見た場合かなり高い。DirectX 11を使ったFire Strikeでも10,000越えとなっており、1世代前のゲームであれば、かなりの余裕を持ってプレイできるというような結果が出ている。
3DMark(Time Spy) | 3DMark(Fire Strike) | |
---|---|---|
測定数値 | 3,916 | 10,125 |
CINEBENCH R15
CINEBENCHは画像のレンダリング処理を行ないながらCPU性能をはかるためのベンチマークソフト。マルチコアマルチスレッドでテストを行なうCPUの結果は738で、こちらもノートPCとしてはかなり高め。デスクトップ用の現在のハイエンドCPU、Core i7-7700Kでは950前後の結果となるため、そちらと比較すると低めの数値だが、数年前のデスクトップ向けハイエンドCPUと同等の性能だ。
テスト項目 | 測定結果 |
---|---|
CPU | 738 |
CPU(シングルコア) | 160 |
Unigine Valley Benchmark 1.0
Unigineがオープンワールドを舞台にしたゲーム製作時に、副産物として生まれたのがValley Benchmarkだ。オープンワールドを舞台にしたゲームは、遠方にある設置物まで処理を要求されるため負荷が高いことが多い。結果はポイントのほか、平均フレームレート(1秒間の描画回数で、単位はFrames Per Secondを略しfpsとされる)で結果を表わすことができる。アクション性の高いゲームでは、平均で60fps以上が出ていれば快適にプレイできるというが、本機での結果は60.9fpsとなっている。つまり、かなり良好という結果になる。
Unigine Valley Benchmark 1.0(Extreme HD) | |
---|---|
測定数値 | 60.9fps(2,548) |
CrystalDiskMark 5.2.1
ストレージの性能を見るためのベンチマークソフトがCrystalDiskMarkだ。Sequential Readの結果は500MB/sを超えておりかなり早いが、これはSerial ATA 6Gbps接続のM.2 SSDを採用しているため。HDDでは100~120MB/sとなるためかなり良好だ。しかし、上位機種の「N1570K-710/T」はMVMe接続のM.2 SSDを採用しているため、3,000MB/s前後の結果が出るものと考えられることにも注意していただきたい。
SteamVR Performance Test
SteamVR Performance Testはストアなどを統合したゲームランチャであるSteamを開発運営するValveの無料ベンチマークソフト。結果は7.6(高い)で「VR Ready」となった。VRデバイスを安心してつかると言う結果になっている。
テスト項目 | 測定結果 |
---|---|
平均忠実度 | 7.6(高い) |
評価 | VR Ready(可能) |
「バトルフィールド 4」
ここからは実際のゲームを前提としたベンチマークを行なっていこう。バトルフィールド4は世界的にファンの多いオンラインFPSだ。新タイトルのバトルフィールド 1はすでに発売されているが、ベンチマークに適していないためこちらを使用している。ただし、バトルフィールド 4も負荷は低いわけではない。測定はfrapsと言う、平均フレームレートを計測するソフトウェアで行なった。
テストではキャンペーンのTASHGARを開始し、主人公たちが車で移動しているシーンの1分間平均フレームレートをはかっている。描画負荷はプリセットがあるためそれを使用。「最高」、「高」、「中」の3つを使ってテストした。結果としては、負荷の1番大きな最高設定での平均フレームレートが80.383fpsとなっている。これは高い数値で、かなり快適にプレイすることができることがわかる。
【4K】
最高 | 高 | 中 |
---|---|---|
80.383fps | 119.5fps | 160.783fps |
「『ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター』ベンチマーク」
人気の国産MMO RPG「ファイナルファンタジーXIV」の公式ベンチマークソフトで、最新パッケージ「紅蓮のリベレーター」に合わせて2017年の4月に公開されたばかりのものだ。
このベンチマークソフトはゲームの動作環境として問題ないかをチェックするだけでなく、ゲームエンジンを使ったベンチマーク機能も用意されており、そちらを利用してテストした。描画負荷もプリセットが用意されているため、「最高設定」、「高品質(デスクトップPC)」、「高品質(ノートPC)」の3つを利用して測定した。結果は最高品質で10,000を超える数値が出ており、7,000が出れば最高の評価である「非常に快適」が得られるテストでありながら、かなりの高得点。かなり快適にゲームを楽しめることが保証されている。
最高品質 | 高品質(デスクトップPC) | 高品質(ノートPC) |
---|---|---|
10,874 | 11,356 | 12,481 |
非常に快適 | 非常に快適 | 非常に快適 |
最高性能を望まなければ十分に満足できる
「N1570K-700/T」は、ベンチマークの結果を見ると、ノートPCでありながらかなり高性能なPCであることがわかる。4Kモニタを接続して最新の3Dゲームをバリバリ楽しむといった用途では、ちょっと性能的に厳しいものがあるが、搭載されているフルHD液晶パネルでプレイする分には、ほとんどのゲームを美しい描画を行ないながらプレイすることができるだろう。
個人的にはゲームの待ち時間が気になる方なので、上位機種の「N1570K-710/T」をお勧めしたいが、VRの利用にも十分な性能を持っているため、「N1570K-700/T」はほとんどのゲーマーにお勧めできると言ってもよいだろう。