2016年9月30日 00:00
Android/iOS「ポケモンGO(Pokemon GO)」専用のスマートフォン向け周辺機器「Pokemon GO Plus」が、9月16日に発売された。
「Pokemon GO」起動中のスマートフォンの画面を見なくても、ポケモンを捕まえられたり、ポケストップで道具を獲得できるという、ポケモントレーナー必携の便利なウェアラブルデバイスで、今年7月末に発売予定だったものが延期となり、このたび待望の発売となった。
今回筆者が個人的にこの「Pokemon GO Plus」を入手し、1週間ほど使ってみての感触や使い勝手などをチェックしてみたので、本稿にてお届けしてみたい。
TGS2016真っ最中、熾烈な購入競争をWEB販売で制す!
本題に入る前に、筆者が本機を入手した顛末を書かせていただきたい。
「Pokemon GO Plus」の発売日が発表される前後は、「Pokemon GO」リリース直後のフィーバーぶりからは多少落ち着いた感はあるものの、まだまだ多くのトレーナーがポケモンを探して日夜歩き続けており、その対応機器が発売されるとなれば争奪戦は必至、というのは誰にでも予想できる状況だった。
筆者もトレーナーの端くれとしてなんとしても手に入れるべく、7月末予定だった発売日が延期された後も、池袋のポケモンセンターメガトウキョーで、事前に販売方法などを確認するなどしていた(その時点では、「(同店舗の)スタッフブログを見てください」という返答だけだった)。
その発売日がなんと「東京ゲームショウ2016」会期中の9月16日だと知らされたときは、「よりによってこの日か」と軽い絶望感を味わうこととなる。日本のゲーム業界にとって最も忙しい日にぶつかったわけだが、同じ気持ちになったゲームファンやゲーム業界の方々も多かったのではないか。ちなみに今回の店頭販売は全国のポケモンセンター、ポケモンストア、ポケモンEXPOジムのみで、オンラインも含め事前予約は行われなかった。
筆者は取材のために会期中は幕張に宿泊することが決定していて、TGSの開場前、海浜幕張駅から2駅の南船橋駅のポケモンセンタートウキョーベイに行くことなどとも考えたが、販売される時間が不明だったため、あまり現実的な策とは言えなかった。
その一縷の望みを、発売日当日午前7時に販売することが事前に発表されていた、ポケモンセンターオンラインに賭けてみることにしたわけだが、結果的にWEB上での購入を選んだのが正解だった。
当日早朝、TGS会場におもむく前にアクセスしたポケモンセンターオンラインは、商品をカートに入れられたのはいいものの、アクセス過多でそこから先にまったく進まない。1時間近くそんなことが続いて焦る筆者が覗いたTwitterのタイムラインに、「Amazonで購入できた」とのつぶやきがいくつか流れてきていた。ダメ元と思ってそちらにシフトしてみたら、それまでの苦労が嘘のようにあっさり購入できたという顛末である。
一方のポケモンセンターオンラインのほうも、Amazonでの購入組が増えてくるにつれサイトも軽くなり、最終的に購入できたという人は多かったようで、筆者の周辺で購入したという人は、全員がオンラインでの購入だった。
店頭販売では全国のポケモンセンターなどで9月16~17日の2日間販売され、早朝のうちに完売、ポケモンセンターオンラインやAmazonなどのオンラインも、発売から2時間程度で完売という結果となった。これは余談だが、オンライン販売の本機には、シール(ポケモンセンターオンライン)やスマホ向け壁紙(Amazon)などの特典が数量限定で用意されていた。
約4.5cmの小さなデバイス。付属のベルトで腕に巻くことも可能
前置きが長くなったが、改めて「Pokemon GO Plus」を紹介していこう。パッケージは上部にフック穴がある7×10.2×2.7cm(幅×高さ×奥行き)の紙箱、デザインは比較的シンプルだ。「Pokemon GO」のタイトル画面にはなかった任天堂のロゴが入っているのも興味深いところだ。
箱を開けてみると、本体と付属品はエアキャップとビニール袋で簡易梱包されており、PET製の内箱やボール紙の緩衝材などの類は使われていない。紙類は説明書のみ(保証書なし)のシンプル仕様だ。説明書はハードウェアについての説明のみで、ペアリング方法などは公式サイトやアプリ内の説明に任せている。任天堂関連のハードウェアとしてはやや簡素な梱包だったが、なんとなく、次のロットではもっとちゃんとした梱包材が用意されるような気もしている。
内容は本体の他に、専用のバンドが付属。またテスト用のCR2031コイン電池が本体にセットされていて、絶縁シートを引き抜くことですぐに使用が可能だ。
スマホとはBluetoothで接続。アプリ内の設定で行なえる
本機はBluetoothでスマホと接続されるのだが、設定は「Pokemon GO」のアプリ内で行なう仕様となっている。筆者のスマホはiPhoneなのだが、公式のサポートサイトを見るかぎり、iOS/Androidとも接続方法は同じだ。
9月13日実施アップデート以降のバージョンの「設定」画面には「Pokemon GO Plus」の項目が追加されている。Bluetoothをオンにした状態でここをタップし、出てくる画面で本体のボタンを押すと「Pokemon GO Plus」が表示され、それをタップするとペアリングが完了する。iOSの場合はこのときにダイアログが出るので、「ペアリング」をタップすればOKだ。
スマホと「Pokemon GO Plus」が接続されると、アイコンが画面左上に表示されるようになり、以降の接続はこのアイコンのタップ+本体ボタンで簡単に接続できるようになる仕組みだ。
「Pokemon GO Plus」使用中は、アプリをバックグラウンドで起動できる
「Pokemon GO Plus」をスマホと接続すると、アプリがバックグラウンドでも動作するようになり、従来のように画面を常に表示していなくても、GPSによる移動が計測されていく。「ふかそうち」や相棒ポケモンに関わる移動距離も、端末がスリープ状態でも加算されていくので、バッテリー消費量も従来よりは緩やかになるはずだ。
ボタン一つでポケモン捕獲とポケストップで道具を入手できる
スマホと本機を接続してできることは、「ポケモンを捕まえる」ことと「ポケストップから道具を手に入れる」ことの2つ。これだけながら、実際に使ってみるとそのプレイ感覚は激変した。
本機を使ってポケモンを捕まえるチャンスは、基本的に通常時と同じだ。トレーナーの周囲にポケモンが現われると本体が振動し、ボタンが緑または黄色に点滅するので、すかさずボタンを押すと手持ちのモンスターボールが1個消費され、上手くポケモンを捕まえられれば振動+7色に点滅、捕まえられなかったときは振動+赤点滅で知らせてくれる。
状況 | ランプの色 | 振動パターン |
---|---|---|
ポケモンが出現(捕まえたことがあるポケモン) | 緑点滅 | ブーッ×6 |
ポケモンが出現(捕まえたことがないポケモン) | 黄色点滅 | ブーッ×6 |
↓(ボタンを押す) | ||
捕まえている間 | 白点滅 | ブッ×3 |
↓ | ||
捕まえた | 七色点滅 | ブーッ×5 |
逃げられた | 赤点滅 | ブブブッ |
対象がどんなポケモンでも、使用するボールはモンスターボール1個のみで、そのぶん捕まえられる確率は、筆者の体感で5~6割程度といったところだろうか。アプリの画面を見ないでわかることは、対象のポケモンを捕まえたことがある(図鑑登録済み)かいないかだけで、ポケモンの種類やCPの高さはわからないため、本機のみでポケモン捕獲を試みるのはある意味ギャンブル性が高いと言えるが、これはこれで面白くもあった。
捕獲の結果は「ぼうけんノート」で確認できるので、それを見て喜ぶもガッカリするもよし、ポケモンを日付でソートして捕まえたものだけ確認するもよし、意外に楽しめるのではないだろうか。
そしてもう1つ本機でできるポケストップからの道具の入手は、アプリの画面で行なうときと同じで、ランダムで数個のアイテムと経験値を獲得できる。トレーナーがポケストップに近づくと本体が振動して青く点滅するので、素早くボタンを押すことで振動+7色に点滅し、道具が手に入る。
状況 | ランプの色 | 振動パターン |
---|---|---|
ポケストップに接近 | 青点滅 | ブブーッ×6 |
↓(ボタンを押す) | ||
道具を入手 | 七色点滅 | ブッ×3 |
道具が一杯で入手不可 | 白 | ブーッ |
ポケストップが離れてしまった | 赤 | ブーッ |
ポケストップがどこにあるかはアプリの画面を確認する必要はあるが、都心部のようにポケストップがあふれているときは、本体の振動にあわせてボタンを押しているだけでアイテムが入手できるので、機能としては非常に有用だ。なお持てるアイテムが一杯のときは、当然アイテムは手に入らないが、経験値は加算されている。ボタンが青く点滅したときは、とりあえずボタンを押しておくだけで、トレーナーには必ずプラスになるのである。
なお本機でそれぞれを確認した場合、ボタンを押さずにスマホから手動で操作をするのももちろんOKだ。ただしアプリ上でポケモンを捕まえる画面に移行すると、本機との通信が切れてしまうので、再度通信を行なう必要がある。
「歩きスマホ」が激減! 電車の中などでも使えなくはない
こうした機能を踏まえ、実際に町中のいくつかのシチュエーションにて本機を使用してみた。
まずは徒歩で使用する場合、画面を見なくても「Pokemon GO」の最低限のことができるので、いわゆる「歩きスマホ」状態がグッと減る。前述の通りポケモンを捕まえるときの確実性が高くないということもあるが、ポケモンが気になる場合は画面を見ればいいので、「ポケモン探知機」としての使い方はあると思う。通勤通学途中やウォーキング、ジョギングなど、移動のペースを落としたくないトレーナーにとっての強い味方だ。
また電車の中や車の助手席などでも使ってみたが、正直これはあまり期待しないほうがいい。筆者が移動によく使う山手線などは、沿線だけでもかなりの数のポケストップがあり、人が集まる駅周辺にもポケモンがよく出現しているが、まず前者の場合、本機が青く光ったときにボタンを押したとしても、その間に既にアイテムが獲得できる範囲から離れていることが多く、アイテムも経験値も手に入らない。
ポケモンに関しては、距離が離れることがどの程度捕まえられる確率に影響しているのかわからないが、筆者が試した限りでは、決して高いとは言えない手応えだった。それでも混んでいる車内など、ゲームをプレイしづらい環境などでは、本機を使う意義は大いにあると思う。
ちなみに本機を使ってできる2つの行動は、ゲーム中で何か別のことをしていても行なえる。ただし先述通り、アプリで直接ポケモンを捕まえるときや、ジムで戦うときは通信が切れてしまうことを覚えておきたい。
スマホのバッテリーもある程度セーブしながら「Pokemon GO」を楽しめるのが大きい
以上のように、「Pokemon GO Plus」は持っていることでポケモントレーナーに対していくつかの恩恵をもたらしてくれる。ゲームプレイがスマートになり、何よりゲームがバックグラウンドで動くことで、スマホのバッテリーが節約できるのは大きい。
ポケモンを捕まえるときの条件をゲーム本編とは大きく変えたことで、持ったとしても絶対的に有利になるわけではないバランスになっているのもいいところだった。世界観に合わせたデザインは、直接身に付けるには抵抗がある人もいるかもしれないが、ポケットに忍ばせておくにも邪魔にならないちょうどいいサイズなのも気に入ったポイントだ。
なお現在は売り切れ状態となっており、次の出荷は11月に決定している。ぜひ手にしたいという人は、ポケモンセンターの公式サイトやポケモンセンターオンラインといった販売店舗で、販売方法などをチェックしておいてほしい。