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スクエニ「予言者育成学園 フォーチュン テラーズ アカデミー」インタビュー

みんなでコミュニケーションを取りながら“未来”を予言するこれまでにないゲーム!

サービス中

価格:基本プレイ無料アイテム課金制

美麗なグラフィックスが目を引く。ローディング画面も含め、全編、1枚のグラフィックスとして通じる美しさだ

 スクウェア・エニックスは、現在運営中のAndroid/iOS用リアル連動ゲーム「予言者育成学園 フォーチュン テラーズ アカデミー」において初めてのアップデートを行なう。これに合わせて、サービス開始から現在までの流れと、これからのアップデートの方針などを、プロデューサー・ディレクターを務める藤澤 仁氏と問題製作を手がける問題制作ディレクターの眞形隆之氏にお話を伺った。

 「フォーチュン テラーズ アカデミー」は、全てにおいてこれまでにないタイプのゲームだ。予言者を育成するという物語の中で、プレーヤーは出題されたクイズに対して“現実に起こること”を予想して答える。たとえば「明日行なわれるサッカーの試合に勝つのはどちらのチームか?」というクイズに、選択肢の中から1つを選んで答えていく。出題された時点では答えが存在しないという、これまでにないクイズなのだ。

 しかしこのゲームはこれだけではない。予言者テストに答えると敵が出現し、バトルに突入する。このバトルでも“予想”することが求められる。味方が戦うのを見ながら敵の行動を予測しながら対策を立てて味方を守り抜くという、これまでとは逆転の発想でバトルが進行する。従来のRPGでは、コマンドを選択して基本的に攻めの姿勢でバトルが進行するが、「フォーチュン テラーズ アカデミー」では敵の行動を予測し、キャラクターを守るのか? 攻撃に転じるのか? より戦略性が求められるバトルシステムとなっている。

 現実とリンクした「クイズ問題」に答えるという点と、独特なシステムを持ったバトルシステム、雰囲気たっぷりのストーリー展開……と言うことで、じわじわと注目を集めている「フォーチュン テラーズ アカデミー」。その魅力と今後の展開を探ってみた。

【予言者育成学園 Fortune Tellers Academy バージョン1.1予告PV】

プロデューサー・ディレクターを務めるスクウェア・エニックスの藤澤 仁氏
問題作成を手がける眞形隆之問題制作ディレクター

「予言テスト」の盛り上がりに手応えを感じています!

――サービスが始まり、手応えはいかがでしょうか?

藤澤氏:サービス開始から半月が経過しましたが、プレーヤーの数は現在のところ堅調な状況です。ただ、遊んでくれている人たちの熱量が高く、ネットの掲示板で1日に6,000件余りの書き込みがあり、“勢いランキング”が常に上位という状況です。

 もともと世の中で起きている出来事に対して、情報を共有しながらたった1つの未来を究明していくというゲームの性格上、他の方とのコミュニケーションを取りたくなるゲームなんだと思います。ただ、こちらの予想以上にその熱量が高くて、みんなで楽しんでもらっているという状況は見えています。

 それと、どこをとっても従来のゲームとは少し違うので、ゲーム慣れしている人ほど「どういうゲームなんだろう?」と最初に感じるようです。でも、何日か進んでいって「予言テスト」の答え合わせを体験して、答え合わせの報酬となる強敵とのバトルを繰り返しているうちに、「こういうゲームなんだ!」とつかめてきたお客さんは、しっかりと楽しんでいただけているようです。

――「フォーチュン テラーズ アカデミー」では、ゲーム進行においていくつかの側面があると思います。大きく分けると、ストーリーを読むパートと、予言するパート(クイズ)、そしてバトル。反応としてはどこら辺に人気が集まっているのでしょうか?

藤澤氏:今回のゲームを作る上でのコンセプトは、「予言テスト」が常に中心にある、というものです。なので、「予言テスト」を楽しむために、それ以外の要素があるというゲーム設計としています。いわゆるスマートフォンのゲームでよくあるゲームサイクル……ストーリーを進めるために強いボスがいて、強いボスを倒すためにバトルをしなくてはならなくて、バトルするためには……というサイクルをあえて取り払っているゲームです。

 「予言テスト」があって、それに加えてバトルを楽しみたい人はバトルを遊ぶ、ストーリーを楽しみたい人はストーリーを読んで進める。逆に言えば、やりたくないところはやらなくても良いんですよ。そういった取捨選択ができるというゲームシステムにしているので、それぞれのパートで全く違ったリアクションが来ていると感じています。

 ただ、先ほどの話の通り「予言テスト」は話題沸騰していて良い傾向です。ストーリーは小説形式なので、読む人と読まない人とはっきり分かれるものと思っていたのですが、予想以上にストーリー部分の感触が良くて「ストーリーの先の展開が楽しみだ」という声は高いです。

 バトルに関しては、(これまでのゲームのバトルと違い)普通のバトルシステムではないんですね。やはり最初は「なんだこのバトルは!」というところで拒否感を示す声が大きかったので不安に思っていたのですが、数日経つにつれて「これは(やればやるほど味が出る)スルメゲームだね」と評価いただけるようになったので、バトルはバトルでちゃんと楽しんでいただけているというのは感じています。

――以前体験記事を作成するにあたり、正直、編集部内部でもなかなかわかってもらえないところがありました。前述の3つの要素がありますが、この3つが有機的にどう繋がっているのか? をわかってもらえないようでした。

藤澤氏:(3つの要素が)繋がっていないですからね(笑)。おそらく編集部内でのその反応が世の中の反応と同じなのだと思います。通常のゲームサイクルだと思ってプレイしたら全然そうではなくて、「あれ? どうやって遊んだら良いんだろう?」という戸惑いが最初はあったのではないかなと。だけど、「このゲームは、それぞれのパートを全てプレイしなくてはいけないという固定観念を排除したゲームシステムなんだと、気付いた方には、楽しんで遊んでもらえていると思います。でも、「スマートフォンのゲームってこういうもの」という固定観念があるほど、「うん?」と疑問に感じられるかもしれません。

――ゲーマーほどそういう人が多いのかもしれませんが、全てプレイしなければと感じる方もいて、これを効率的に回すためにはどうすれば良いんだろう? と感じてしまうと、悩んでしまうかもしれませんね。

藤澤氏:一方で、ゲームとして足りてないパーツもあると自覚もしています。たとえばバトルも、単体では面白いと思うのですが、バトルそのものを楽しむのは全体の30%くらいの比率で、残りの70%は“強くなって強敵に挑む”という成長を楽しむことだと僕は思うんです。今はいるべき強い敵というのが(ゲーム内の)世界にはいないので、わりと平穏な世界なんですね。そんな世界の中では、なにを目標に戦っていけば良いのだろうと、自分の中で目標設定ができないという意見が当然あるだろうと思っています。

――たしかに現状ではすぐに戦勝確率が100%になってしまいますね。これはわざとなのでしょうか?

藤澤氏:いまのところはそうですね。いまはRPGで言うところのレベル上げに相当するフェーズで、レベル上げの段階では毎バトル毎バトル死ぬか生きるかというバトルはくたびれてしまうとも思うので。もちろん、これから先のバージョンになり、倒すべき強敵が出てきますので、そこに向けていまは準備をしておいていただければと思います。

――バトルも、最初はどう戦って良いのかわからないというのがあるかと思うのですが、何度か戦っていくうちに少し見えてくるところがありますね。

藤澤氏:このゲームでは、コマンドで指示を出してプレーヤー自身が戦うバトルではなく、プレーヤーは戦っている味方を守る……サポートするという立場になるので、そこがわかりづらいというのはあるかもしれません。

――それだけ新しいシステムと言うことですね。

藤澤氏:そうですね、バトルシステムは、とても斬新だと思います。

――しかしそれもなかなか説明しづらいものがありますね。説明しすぎても飽きてしまいますし難しいですね。

藤澤氏:そう思います。そこに関しては(以前手がけた)「ドラゴンクエスト」の時もそうだったのですが、説明が必要なバトルシステムはダメだと僕は思っています。ですが、現実として、このバトルシステムならばもう一声フォローやわかりやすさが求められていたのかなと思いますね。

バトルシーンも“予言”が中心となっている。1番左のスクリーンショットを見て頂くとわかるが、右上に確定と出ている。これは、「勝利が確定した」ということで、ここをタップすると戦闘が自動進行して勝利となる。バトルに突入後すぐにここが確定するときもあれば、いろいろ予想して戦略を立て、敵を追い詰めていくことで戦勝確率を確定させることもある
ちなみにバトルに勝利すると、確実に敵アルカナが入手できるわけではない。戦勝確率とアルカナを獲得できる確率は別に用意されている。と言うわけで、戦闘に勝利したあと、ルーレットを回してアルカナを入手することになる。……苦労した末にアルカナを入手できないこともあるが、アメジストというアイテムを使って入手することもできる

バトル突入前に、最強メンバー、接戦になると思われるメンバー、そして自由にメンバーを選抜できる、3つのフェーズから1つ選択することができる。敵アルカナを見極めて選択したい
バトル中に「絶対予知」を行なったところ。これから敵が起こす行動が100%わかる。この結果を見た上でどう対応を取るのかが、プレーヤーの腕の見せ所となる

――今後、バトルシステムに対してフォローなどを考えていかれると言うことでしょうか?

藤澤氏:はい。バトルに関しては、今後「よりスリリング」で「よりわかりやすく」というところはバージョンが上がる毎に仕上げていこうと思いますので、いま遊んでいただいている方も楽しみにしていただければと思います。

――バトルに関して、戦うコツなどありますでしょうか?すでにバトルの楽しさを見出しているプレーヤーに対して、作り手ならではの視点があれば。

藤澤氏:そうですねえ。

 このゲームの1つの特徴で、1発攻撃されると死んでしまうことが多いと感じることがあると思うんです。だからガードが重要だという言い方もあるのですが、逆に言えば、ヒットポイントが残り“1”になったとしても死ななければ良いんです。と言うことは、ゲーム内のコマンドで未来を見た結果がすごくダメージを受けいても、ヒットポイント“1”で生き残るのであれば、そのターンはあえてダメージを受けて、次の攻撃に備えて味方を強化するという戦法もアリなんですよね。

 あとは、よくネットでゲームシステムを考察されていらっしゃる方達の中に、曜日による強化属性があると思われている方が多いですが(火が木に強く、木が水に強く、水は火に対して強いといった五行思想)、このゲームにはそういった対極要素はありません。このゲームで曜日が設定されているのは、「その曜日にパラメーターが強化されます」ということだけです。こういった特徴を理解した上で、誰を育てたいか考えながら誰を使うべきかイメージしてもらえると良いかと思います。

――ちなみに、それ以外に現在問題と感じておられるところや、改善したいと考えていらっしゃるところはありますでしょうか?

藤澤氏:いま、自分の中で3大問題点というのがありまして、先ほどお話ししたバトルの問題がその1つめです。目標とすべき強敵が、まだゲームの中に存在しないという点ですね。

 2つ目はサービスインしての率直な反省点なのですが、まだ不具合が少なからずありまして、不具合が発見され次第どのように回避すれば良いか告知はこまめにやっているのですが、ご迷惑をおかけしています。

 3点目の問題は、ローディングの問題ですね。スマートフォンのゲームですからサクサクと動作しなければならないのは命題だと思っているのですが、もう少し軽快に動いて欲しいという要望は頂いています。そこに関しては、さっそく対策を入れたバージョンをリリースします。しかし、根本的なローディングの対策は時間が掛かりますので、スキップできる場面を増やしてゲームそのもののに軽快感を出していく対応を順次していきます。

「予言クイズ」はコミュニケーション促進ツール?

問題製作チームを率いる眞形氏。テレビ番組のクイズ作成を手がけるスタッフも多いという

――眞形さんは他にもクイズの作成などを手がけていらっしゃるかと思うのですが、そもそも「クイズ」の問題はどうやって作るものなのでしょう?

眞形氏:それはケース・バイ・ケースだと思うんですね。どんなクイズを求められているのか? 例えば時事問題とかスポーツ問題とか。スポーツ問題でかつ今話題になっているものとか、みんなが知っているけどトリビア的なものですとか。引き出しはいろいろあるのですが、クイズとは答えが必ずあるので、問題から答えを作るというやり方がありますし、答えから問題を作るという考え方もありますね。そこはケース・バイ・ケースです。

 ところが、「フォーチュン テラーズ アカデミー」の場合は答えがありませんから、普通とは全く違う作り方をしています。今回、予言テストを作るチームには何名かメンバーがいるのですが、いずれも有名なテレビ番組などでクイズを作ったりしているメンバーです。でも、今回のような答えがない問題を作ったことはありませんから大変でした。

――1番最初に「フォーチュン テラーズ アカデミー」の企画を聞いたときは、どのように感じられましたか?

眞形氏:今までにないものという点で、すごく面白いと思いました。その時はまだ実際に問題を作成しているわけではないので、問題を作るのが大変だというところまで想像が及んでなかったんですね(笑)。僕はスポーツが大好きですから、野球やサッカーといったものの結果を友達と話したり、飲み屋のネタで「今度日本は勝てるかな?」といった話をするのですが、それがそのまま予言テストで再現できればすごく面白いなと思いました。

――実際に引き受けられて問題を作成されるところで……

眞形氏:まず、作り方がわからないですね(笑)。答えのない問題を作ったことがないですから。いろいろな作り方があるのですが、まず最初に出題日が決まります。出題日が決まると、出題日から何日かあとに答えがわかるもののニュースを探しまくります。ちょうど話題になりそうなニュースがあれば、それをどうやって問題にしようかという風に考えます。基本的な問題の作成手順は、こういった手順ですね。出題日から逆算してニュースを探して面白いニュースでかつ問題になりそうなものを探すという。

 ただこれが無限にあるんですね。スポーツの話題もそうですし、文化的なもの、政治・経済、どこからあたっても良いのですが、あまりにも広くて見つけると言うよりも……なんか落ちてくると言いますか、それが普通のクイズの作り方とは違うところかもしれません。ある問題をがんばって作るというよりも、「何かないかな?」と探していたら「あっ! 面白いの拾った!」というか、宝物を見つけた感じでしょうか。「このニュースはお宝だ」とか、「いまこれが話題になっているから、これを問題にできるな」とか、そんな感じが多いかもしれませんね。

藤澤氏:こういう問題を出すと、「遊んでくれている人がこういう風に楽しんでくれるだろう……」というところまで想像しながら問題を作っているので、なるべく話題になりそうなネタを扱ってはいますね。

 たとえば、どんなに問題としては妥当性が高いとしても、話題にならないものはあえて取り上げないという点ではこだわってますね。

――「盛り上がるかどうか?」という点が大切なんですね。

眞形氏:大きなニュースサイトのトップページで扱われるニュース番組のトップに使われるものを扱うようにはしています。

――出題問題の中に「展示会『GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~』で1番最初に展示されているマシンは?」というのがあったのですが、普通のクイズの答えであれば1つだけなのですが、「フォーチュン テラーズ アカデミー」の場合は未来のことなので、答えがわからない。「もし2台展示されていたら右側が先」といった条件付けまでされていて、そこまで考えなければならないというのが、普通のクイズとは考え方が違うなと感じました。

眞形氏:たぶんみんな最初は考えていないんですよ。それに対して、みんなで意見を出し合っていくんです。そうすると、仰るような問題点が出てくるんです。そうすると問題がどんどん深くなっていくんですね。

――では問題をチームで出し合って、それをディスカッションする場があるのですか?

眞形氏:それはSNSが多いですね。ネタがあれば随時出していき、それに対して「こうすればもっと面白くなるんじゃない?」とか意見を出し合うようにしています。それとは別に週に1回とか会議はしていますが、基本はSNSで意見のやり取りをしています。最初に出た問題から、チームメンバーの意見を吸収しながら変わっていき、最終形が作られていきます。

「予言クイズ」。その時々でタイムリーな問題が作成されている。話題性を重視して制作されているという

――いままで人気があった問題は何でしょうか?

藤澤氏:公式ホームページで、全ての問題の参加人数を出すという、正直きわまりないゲームで、プレーヤー人数が丸わかりなんですが(笑)。

眞形氏:誰がどの答えを選択したのか全てデータ化されているので……。

藤澤氏:いままでで1番参加人数が多かったのは1万4千人くらい参加した問題があったかな?

眞形氏:そうですね。1番多いのは「JoySoundで、2月22日に誕生日を迎えたアイドルグループ・乃木坂46の曲でリクエスト数が1番多い曲名は?」という問題で14,400人くらい参加してますね。今のところは、14,000人を超えると多いなと感じますね。

藤澤氏:(プレーヤーの)問題への興味ばかりではなく、出題していた期間が長かったりいろいろな要素があるんですけどね。

眞形氏:性別を超えて誰でも参加できるような問題のほうが、参加者が伸びる傾向がありますね。たとえばスポーツのちょっとマニアックな問題ですと、女性がわからないと感じるのか、敬遠する傾向がありますね。逆に女性向けの問題ですと(参加率は全体的に高く)、男子はわからなくてもチャレンジする傾向がありますね。

藤澤氏:サッカーのアジアチャンピオンズリーグの問題への女性の参加率は低かったように思いますね(笑)。

眞形氏:やはり女性は、Jリーグのチームとか聞かれてもわからないので。

――そういった統計データを見ながら、問題の選定を行なっていらっしゃるのでしょうか?

眞形氏:なるべくバラバラに、たくさん多くのジャンルから選定するようには考えています。女性が入りやすい問題というのも多くしなければいけないなと考えていますし、ポイントはなるべく偏らないということですね。スポーツ問題ばかりやってますと苦手な方はいやな気持ちになると思いますので、「スポーツ問題は1日に1問だけ」とか決まりを決め手やっています。

藤澤氏:ジャンル自体は偏りなく出そうと考えているのですが、問題内容に関してはあえて偏った内容も出すようにしようと話し合っています。たとえば問題を読んだ時点で、小学生でなければわからないといった極端な問題も出そうと思っているんです。あるいは「うちのおじいちゃんなら知っているかも」といった問題をあえて出そうと。それによってこのゲームを通じていろいろな人から話を聞いてくるということができれば良いなと想像しているんです。なので、時にはそういった問題も織り交ぜていきますので、コミュニケーションも含めて楽しんでもらえると良いなと思います。

眞形氏:そうですね。例えば子供向けのアニメの問題ですとか。大人は見てないけど5歳児に聞くと即答で帰ってくるとか。大人はわからないけど、子供にはわかる問題ですね。逆もまた然りです。

藤澤氏:姿としては、お母さんが子供にスマートフォンを見せて、「これわかる?」と聞いているような場面があったら良いなと思いますね。

――一種のコミュニケーションツールと言うことですね。

藤澤氏:そうですね、老若男女を問わず、みんなの頭脳を結集して未来を言い当ててくれと(笑)。

眞形氏:TwitterやSNSでも、ちょっと上の年代に対する問題とかで「わからないのでお母さんに聞いてみた」といった中高生が見かけられましたね。

藤澤氏:「相撲の問題が全くわからなかったので、お父さんに聞いてみた」とかね。

眞形氏:そういう会話があったというのは、嬉しいですよね。

藤澤氏:本当に。ゲームとして、1つの役割を果たした気持ちになりますね。

――「予言テスト」が上手く機能していると言うことですよね。

眞形氏:基本的にクイズとかテストって、他の人に聞いてはいけないじゃないですか? このゲームはオープンですので、みんなに聞いて情報を集めて精度を上げるといった点では、他のクイズとは楽しみ方が違うんですよね。

困ったときの、教えて!ジャン先生!! 出された問題に関するデータを提示してくれる。これを信じるかどうかはあなた次第! 問題によってはグラフィックス付きで丁寧に予想してくれる

――これまでこれは上手くはまったなという問題はありますか?

眞形氏:盛り上がる問題……例えばテレビと連動している問題ですとか、そういった問題は盛り上がるなと感じます。Twitterで「(問題で取り上げたテレビ番組が)始まるよ! ワクワクしてきた! ドキドキする!」といった風に流れてくると、クイズを作って良かったなと思いますね。今後そういった問題はたくさん出していきたいと思いますし、イベントと言えば、この先オリンピックとかと連動できたら良いものができるのかなと想像しています。

藤澤氏:僕としては、そう言ったライブ感のある問題も楽しいのですが、「このゲームを遊んでいると時事問題に強くなる」というのが、目指していたところなんです。例えばこの間の国勢調査でデータが出たのですが、その統計が発表されるのに合わせて「人口が増加する県は?」という問題を出したんです。東京と神奈川はぶっちぎりで多いから答えから除外して、「3位はどの県でしょう?」とした時、1番人気は埼玉で2番人気が千葉だったんです。だけど正解は3番人気の愛知だったんです。この情報って、「フォーチュン テラーズ アカデミー」がなかったらたぶん気にも留めない情報なんですよ。

眞形氏:こういった問題をどこかから拾ってくる人がメンバーにいるんですよ(笑)。

――クイズの場合普通なら1番を当てると思うのですが、3位を当てるという問題になるところが、「未来を予測する」という「フォーチュン テラーズ アカデミー」ならではだと思います。

藤澤氏:やはり、話題にならないことはやってもしようがない。1位を当てても話題にはならないけど、3位なら話題になる! みんなで相談しがいがあるかということですね。

眞形氏:「東京で決まりでしょ!」で、すぐ次の問題に行かれないためにも、3位を当てるということなんです。

――毎日運営されていますが、1日に何本くらい問題を作成されるのでしょうか? つまり、ボツになるネタもたくさんあるんですよね?

眞形氏:もちろんボツになるネタはたくさんあります。現在、毎日4問ずつ出題しています。ネタ的には毎日10問くらい考えます。その中から晴れて4問くらい採用されるという感じですね。ただ、その日によってバラツキがあって、ネタが多い日もあれば、全くネタが落ちてこない日もあります。ですから、平均したらこれくらいという感じです。

 もちろん、10本のネタを出すために、ニュースを調べたりしてさらに20本くらいのネタ出しも行なっています。

藤澤氏:僕も毎日チェックしていて、「これは話題にならないよ」と自分の段階でもボツにしているのですが、最近は僕がネタを選別する傾向が問題作成チームに読まれていて、ほとんどボツにならなくなってきた(笑)。

眞形氏:問題作成チームで、「このネタは藤澤さんのチェックを通らない傾向なので、ここをこう変えると面白くなる」といったところまで考えて問題を作ってます(笑)。そういった、傾向を読んで対策を施すプロなんですよね、問題作成者って。

 問題作成者はクイズマニアを納得させるその上をいく人たちで、多岐にわたる知識を有しているので、次から次に話題は尽きないですね。たとえば「ペットボトルについて」とお題が出れば、ペットボトルに関するノウハウがその場でどんどん出てきます。

藤澤氏:「生き字引」ってこういう人のことを言うんだなって感じですよね。

――知識欲を掻き立てるゲームですよね。

藤澤氏:そうですね。正しい未来にたどり着こうとするまでの調査も楽しいし、それを人と共有することも楽しいですから。

眞形氏:今回(予言テストに解答するために)調べるということに対して、みんながものすごく楽しんでいるなというのを感じますね。プレーヤーが探偵になった感じです。毎日宿題を渡され、それに対してどう調べていくのか? スマートフォンで調べて8択の答えの中から2択まで絞られて……といった楽しさがあるのかなと。

藤澤氏:問題そのものの選択も、たとえば羽生名人の問題であれば普通対局の結果を当てる問題を出すじゃないですか? でもそうではなく、あえて羽生名人が食べる昼食を予想する問題を出すとか、自分たちはこれを「とんちが効いている」と言っているのですが、そういった一捻りした「なぜ、そこを問題にしたの?」っていう問題を意識して作っています。

――それも全て回答者のプレーヤーがコミュニケーションとして盛り上がってもらえればと言うことですよね?

藤澤氏:そうですね。問題が話題の一端になってもらえればと思います。

――今後クイズで、こういった風にしていきたいとかありますか?

眞形氏:問題出題のご協力者を探しています! 問題を出すとみんなが調べますので、認知拡大の役割も果たし、プロモーションに繋がるんです。ですので、気軽に申し込んでいただければともいます。

藤澤氏:実は乃木坂46のカラオケ問題が出題されたときに、プレーヤーの方で乃木坂46の同じ楽曲を延々と歌い続けた方もいらっしゃったようなんです。「真の予言者は未来を変えていく者だ」って。現実とそういった関わりでつながっている部分も(このゲームには)あるんですね。

予言テストやバトルなど、ゲームをプレイすることで小説を読み進めることができる。藤澤氏によれば「ストーリーは非常に好評」だという。長すぎず、「電車で1駅の間に読みきれる分量」を目処に制作されている。非常に印象的な物語だ

今後の展開について

「これまでにないスマートフォンゲーム」をめざし、このゲームが媒介になってコミュニケーションを誘発するゲームとなっている

――今回初めてのバージョンアップが行なわれますが。

藤澤氏:はい、先ほどお話ししたとおり、(ゲーム内)世界に強敵が現われます。今はアルカナを育てることで戦力を強化しておいてもらえればと思いますが、それでも太刀打ちできないほどの強敵が現われます。

 そのほかには、細部にわたって使いやすくしていくことをひたすらやっていこうと思っています。また、ストーリーも含めて世界観はどんどん深みが増していきますので、楽しんでいただきたいと思います。

 それと、期間限定イベントとして、これまでとは違う内容のものが予定されていますので、そちらもお楽しみに。

――長期スパンのアップデートについてはいかがでしょうか?

藤澤氏:これまで出てきた不具合の量や安定させていくための流れなど、自分たちの実力も見えてきたので、少し落ち着いたペースでゲームを育てていきたいと思っています。

 今後目指している方向としては2つありまして、1つは自分のキャラクターを着飾って他のプレーヤーに見てもらう場面を増やしていきたいですね。そのために装備品も増やしたいし、自分のキャラクターを他の人に見てもらえる場面も増やしたいです。

 2つめは、アルカナというキャラクターが、僕たちが想定していた以上にプレーヤーさんに愛されているなと感じているので、アルカナ1人1人が持つキャラクター性とかストーリーとかを楽しんでもらえるようなイベントをやっていきたいですね。

――ということは、アルカナのサブストーリーなどが描かれるんですね。

藤澤氏:まさにいま考えています。

――最後に、プレーヤーの皆さんへ一言頂けますでしょうか?

藤澤氏:僕もスマートフォンのゲームを作るのもはじめてなのですが、ただ、世の中にあるものをなぞって作っても仕方ないという気持ちがあったので、これまでのスマートフォンのゲームとは違うスタイルを目指していこうと思っています。

 これまでパッケージのゲームしかプレイしたことがなく、スマートフォンのゲームをプレイしたことがない方でも、きちんと満足してもらえるゲームにしていきたいと思います。

 このゲームは「(未来を予測すると言うことから)ゲームの外が楽しい」という少し変わったゲームです。興味を持ってもらえたら、是非1度プレイしてください!

眞形氏:僕がいちばんうれしいのは、「えっ? そんなこと考えたこともなかった!」とプレーヤーの方に感じていただくことですね。このゲームがなかったら、この問題に出会わなければ、この情報に一生出会うことがなかったということがたくさんあると思うんです。そしてこの情報に出会うことで、新しい発見などがたくさんの人に伝えられていけば嬉しいですね。

 特にいまは日の目を見ない情報……例えばマイナーなスポーツを知るきっかけになったり、いろいろな物に目を向けて広げて欲しいですね。

――ありがとうございました!

(船津稔)