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「IoT」で何ができるのかを「NFC+iBeacon仏壇」で解説
モノや場所をインターネットに繋げるNFCタグの面白さ
(2015/8/30 00:00)
「CEDEC 2015」の2日目となる8月27日、日本Androidの会 秋葉原支部の大坂泰弘氏による講演「今日から使えるIoT ~NFC、iBeaconを中心に~」が開催された。
最近にわかに耳にするようになった「IoT」という言葉。「Internet of Things」の略だが、言葉自体の意味が広すぎてよくわからないという人も多いだろう。結局のところ「IoT」とは何ができるのか。そのいくつかの事例が紹介された。
IoTのイメージが沸くNFC+iBeacon仏壇
そもそもIoTとは何かというと、Wikipediaでは「モノのインターネット」と訳されており、モノというのは「スマートフォンのようにIPアドレスを持つもの、IPアドレスを持つセンサーから検知可能なRFIDタグを付けた商品、IPアドレスを持った機器に格納されたコンテンツ」とある。筆者の感覚でざっくり言えば、インターネットと電子的に絡む何かしらの機能を付加されたもの、という感じだろうか。
RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略で、無線通信で認証を行なう技術のこと。NFCはNear field communicationの略で、RFID技術の1つ。ちなみに日本でおなじみのFelicaはNFC規格のうちの1つという位置付けになっている。
NFCを使ったIoTの一例として紹介されたのが、ペット用の仏壇。生前に遊んでいたおもちゃを仏壇にタッチすると、仏壇に置かれたモニターに、生前に撮り貯めた写真や動画がランダムに再生されるというもの。おもちゃにNFCタグ、仏壇にNFCリーダーを仕込むことで、この仕組みを実現している。
このNFC仏壇にiBeaconを加える。iBeaconは発信機に接近すると自動的にアクションを起こすという技術。iBeacon対応スマートフォンを持つユーザーが家に帰ってくると、仏壇が自動検知し、ペットから「おかえり!よかったら僕とも遊んで!」といったメッセージと写真がスマートフォンに届く。そして仏壇におもちゃをタッチすると、今度は「遊んでくれてありがとう」というメッセージが届く。
……と機能的に説明してしまうと、なるほどと思って終わりなのだが、状況面だけを見れば、死んでしまった犬と仏壇を通して繋がれるようなものになっている。IoTとは何かというイメージを持つには、とても面白い一例だ。
NFCであらゆるものが喋り出す
NFCはタッチするだけで様々な情報をやり取りできる。街中にあるポスターにNFCタグを埋め込めば、セールのポスターにタッチするだけで価格や商品情報にアクセスしたり、ショップの広告にタッチした場所からそのショップまでの道のりが表示されたりと、使い方は様々ある。
ソニーのスマートフォンXperiaでは、NFCタグにタッチするとスマートフォンの設定が変わるという仕組みを用意。車のNFCタグにタッチすると、GPSとBluetoothがオンになるとともに、ナビアプリが起動。オフィスに着いたらWi-Fiをオンにしてカレンダーアプリを起動……といった具合に、場所によって設定を一括して変更できる。
アイデアはまだまだある。無線LANルーターのNFCタグにSSIDとパスワードを入れておいたり、洗濯機のNFCタグに滅多に見ないがたまに必要な説明書の場所を書きこんでおいたり、てるてる坊主のNFCタグにタッチすると天気予報サイトにつながったり。冷蔵庫によく買う商品のNFCタグを貼っておき、なくなりそうな時にタッチすると、ネットスーパーの商品ページに1発でリンクするといったことも可能だ。
タッチして読み取るという挙動なら、QRコードという存在もある。QRコードに対するNFCの利点は、読みこみアプリを起動する必要がなく随時タッチすれば使えること、外から見えない位置に埋め込んでおけること、後から内容を書き換えられることなどがある。NFCタグはICチップを内蔵したシールなので高価なのではないかと思われるが、実際は1枚100円未満で入手可能だ。
大坂氏は、「NFCタグを使うだけで、モノや場所をインターネットに繋げられる」と語る。NFCはIoTを知るために最もわかりやすく、扱いやすく、入手しやすい道具と言えるだろう。さほど頭をひねることもなく、ゲームへの活用方法も思いつくはず。興味を持った方は、ぜひNFCタグを使った遊びに触れてみていただきたい。