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Wargaming.net、元祖4Xゲーム「Master of Orion」を完全リメイク
CEOも大ハマりした宇宙を舞台に10種族が繰り広げる攻防戦
(2015/8/11 12:29)
4X(フォーエックス)というゲームジャンルをご存じだろうか? これは「explore(探索)」、「expand(拡張)」、「exploit(開発)」、「exterminate(殲滅)」という4つの要素が入ったストラテジーゲームのジャンルを指す名称で、その元祖ともいえるのが、今回紹介する「Master of Orion(以下、『MoO』)」だ。「MoO」は1993年に出たPC用のターンベースストラテジーゲーム。大人気を博してシリーズものも作られている。
Wargaming.netのCEO、Victor Kislyi氏が本作の大ファンで、売りに出されていたIPを取得。Wargaming.netでは独立系スタジオの開発をサポートする支援プログラム「WG Labs」を運営しており、その第1弾としてブエノスアイレスを拠点とするNGD StudiosがWargaming.netの支援を受けて本作を開発する。オリジナルを開発した作曲家やリードデザイナーなど、元祖メンバーが再結集して、開発しているだけに、元のゲームの味わいを残した丁寧なリメイクになっている。
今回は、エグゼクティブプロデューサーのRandy King氏がデモプレでゲームの流れをひと通り説明してくれたので、それをもとに「MoO」がどんなゲームなのか、その面白さをお伝えしたい。
新しい惑星や太陽系を探索、開発していく
まずは全体的なゲームの流れを説明すると、本作は惑星を開拓しながら自分たちの種族を繁栄させていき、500ターンという制限の内で、5つある勝利条件のどれかを満たすことが目的になる。1回のプレイは2時間から10時間程度だそうだ。
今回のプレイデモでは10種族あるうちの3種族、鳥っぽい見た目で誇り高い種族の「ALKARI(アルカリ)」、スパイを生業にしている得体のしれない雰囲気の「DARLOK(ダーロック)」、猫のような外見と気まぐれな性質の「MARSHAN(マーシャン)」、高い技術力を持つ「PSILON(サイロン)」という4つの種族からスタートすることができ、今回はALKARIでプレイした。どの種族を選ぶかで、それぞれ違うオープニングムービーが用意されている。
スタート時点では周りにある惑星はすべて未発見なので、黒く塗りつぶされている。まずはここに探索船を飛ばしてどういう惑星なのか調べることから始める。探索が終わると、その惑星からとれる資源がなにか判明するので、今度はコロニー船でその惑星に移住者を送り出し、開発を始める。
開発できる要素は、「リサーチ」、「フード」、「プロダクション」の3つ。「リサーチ」すると「プロダクション」で開発できる施設や宇宙船の種類が増える。「フード」は惑星の人口を増やす。「プロダクション」は実際に建造するためのコマンドだ。「リサーチ」できる技術は75ありツリー構造になっている。早く新施設を作れるようリサーチしたいところだが、移住したてでは人口が少ないので、まずは「フード」に人員を割いて人を増やすことが最初のステップになる。
人口は100万人ごとに1つのユニットとして表示される。このユニットをドラッグで動かして、3つのどれを担当させるか決める。King氏が例えば、とすべての人員を「リサーチ」に回してみると、リサーチ速度は急上昇するのだが、人口がマイナスになって減り始めてしまった。
ユニットからは税金をとることもできる。ただし、あまり税率を上げ過ぎるとストライキを始めてしまう。税率を上げつつストライキを防止するには、エンターテイメント施設、宗教施設などを作ってモラルを向上させるなどの手段がある。
遊ぶたびに展開が変わる。データを友達と共有することも
チュートリアルは一段落して、今度は少しゲームが進んだ130ターン目のデータをロードしてもらった。この辺りになると、惑星の開発だけではなく、スペースファクトリーで、小惑星を採掘するためのボートや、ワームホールからの敵の侵入を防ぐスターベースなど、色々な施設が作れるようになっている。
探索できる範囲が広がってくると、探索船を飛ばしたい宙域に宇宙怪獣が棲息していることもある。プレイデモでも、巨大イカ型宇宙怪獣が待ち構えているのがマップ上に表示されていた。こんな時にはフリゲート艦を飛ばして退治するか、その太陽系はとりあえず無視するという方法もある。
もし探索戦が、宇宙海賊が占拠している惑星を発見したら、デストロイヤー艦で殲滅する。海賊を倒せば、お金や奴隷などなんらかの報酬が手に入る。
すでにほかの種族が進出している惑星だった場合は、戦うか交易するか、同盟するかといった付き合い方を交渉で決めることができる。交渉画面は、相手種族の代表者が目の前に立って、選択式の会話で進めていく方式。例えばお互いの船が無条件に勢力内を行き来するような関係も作れるが、「マーシャルは気が変わりやすく、そこまで信用できないので、今回は貿易だけの関係にします」とKing氏。1度交渉が可能になった種族は、その種族がほかの種族とどんな関係にあるのかもグラフィカルに見ることができる。
また、スパイを送って相手を調べることもできる。スパイは情報収集だけではなく、相手勢力の開発を遅らせたり、相手からのスパイを防衛したり、相手の施設に対して破壊工作を行なうこともできる。
勝利条件は、自分たち以外の種族を殲滅する、技術ツリーを最も早く開発する、経済的な勝利、外交で自分たちの種族の地位を最も高くする、すべての種族と同盟関係を結ぶといったものがあり、King氏は最後の勝利条件が最もエクセレントだと語っていた。
本作についてKing氏は「無限の可能性を秘めたゲームです。毎回新しい発見があり、絶対に同じ展開にはなりません」とその広がりを語った。本作は基本的にはスタンドアロンのゲームだが、シードという固有のゲーム番号で、その時のゲーム内容を友達と共有する機能もある。画面を見ているかぎり、モバイル機器でのプレイにも向いているのではと尋ねたところ、現在検討中だということだ。「本当はもっと色々言いたいが、今の私の立場ではこれ以上は言えません」とのことなので、かなり具体的なところまで進んでいるのかもしれない。
ここまで読んで、あのゲームに似ているなと思いつくストラテジーゲームが1つ2つはあったのではないだろうか。本作が生み出した数々の要素は、「Civilization」シリーズをはじめとするその後のストラテジーゲームの名作に引き継がれている。
現状はクローズドαテストの段階で、近いうちにクローズドβテストに移行したいとのことだ。製品版はSteamから販売される予定。リリース日と、日本語にローカライズされるかどうかは現在のところ未定だ。
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