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ヤマハミュージック、ゲームの音声作成作業を効率化「Nuendo 7」を発表
プラチナゲームズが「ベヨネッタ2」のデータを披露しながらデモンストレーション
(2015/7/3 19:31)
ヤマハミュージックジャパンとスタインバーグソフトウェアは、映像作品などの音声作成やポストプロダクションを行なうデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)ソフトウェア「Nuendo 7」のデモンストレーションをゲーム制作関係者やプレス関係者に対して行なった。
「Nuendo 7」は、映画、テレビ、CMなどの音響制作において使用されている業務用のソフトで、映像作品に対して効率的に音声データなどの制作を行なえるソフトウェア。新バージョンとして発売された「Nuendo 7」では映像作品だけでなく、ゲームやインタラクティブオーディオ制作現場で使用されているAudiokineticのゲームオーディオミドルウェア「Wwise」との連携機能を搭載した。
映画では、タイムラインを基本として映像に合わせてトラックダウンを行ない、音声の配置を行なっている。映像作品であれば、たとえば何度再生しても同じ場面で爆発が起こるので、時間に合わせて音声の貼り付けを行なっていくことになる。
しかしゲームの場合はプレーヤーによって展開が異なるため、イベントの進行によって音声の再生が行なわれることになる。イベントの進行と音声ファイルの再生管理はゲームエンジン側で行なわれるが、現在ゲームの制作現場では、ミドルウェアで行なわれることが多い。これまでは「Nuendo」などの音声の制作ソフトで制作された音声ファイルをネットワーク上で共有しながらミドルウェアに受け渡しを行ないゲームエンジンに実装していた。
ゲームでは数千から数万の音声データを扱うことになるため、データ管理が煩雑で作業効率の低下を招いていたという。また、音声データの制作過程で作り直しや修正が発生したとき、何度もデータの受け渡しが発生し、同じ作業を繰り返すことになり煩雑だった。「Nuendo 7」では、Audiokineticのゲームオーディオミドルウェア「Wwise」と連携することで、「Nuendo」で制作したデータを連携機能「Game Audio Connect」を使って「Wwise」に持って行き、ゲームエンジン側にダイレクトに送ることができ、効率化が図られると同時に、管理も容易になったという。
デモンストレーションでは「Nuendo 7」を使用して音声データの制作実装を行なっているプラチナゲームズの中越健太郎氏と山口裕史氏が登壇し「ベヨネッタ2」のデータを実際に披露しながら行なった。ちなみにプラチナゲームズではBGMの制作を6名で、SEの制作を7名で行なっているという。
デモ自体は非常に専門性の高い内容だったが、使用プラグインの披露や、制作過程におけるトラックのとりまとめ、トラックをインビジブルにすることでの作業効率のアップなどの披露が行なわれた。また、ゲームの場合、ゲーム進行のタイミングによってどんなところでも音楽が自然に繋がって再生されていくことが求められるが(インタラクティブミュージック)、その確認などにも「Nuendo」を利用しているという。
SEの制作現場のデモでは、例えば銃を発射したときの音声も低音から高音まで4つの音声で構成され、そのうち1つの音声はデータ開始時は無音となっている。これはゲームの特殊性で、音の発生源とプレーヤーとの関連性が関係してくる(通常の音声データの場合横軸はタイムラインだが、ゲームの場合はプレーヤーとの距離も表しているため)。プレーヤーから近い位置にいれば音声データの最初から再生され、音の発生源がプレーヤーから遠い場合は(音が小さくかすれがちになる)途中から再生される。これらの距離感を自動で行なう機能などもミドルウェア側で行なわれる。
こういった編集能力の高さや簡単な点は重要だが、多くのメンバーで制作を行なっていることから、情報の共有と各メンバーの連携が重要であり、そういった意味でも「Nuendo 7」によるデータの管理機能の向上は大きな意味を持つという。プラチナゲームズの中越氏によれば、作業効率としては感覚値ではあるが倍になるという。
なお、会場では「Avid ProTools」からの買い換えキャンペーンが実施されることも発表された。Advanced Nuendo Dealerだけの限定販売となり、期間は7月6日から11月30日までとなっている。