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Xbox One「Happy Dungeons」ファーストインプレッション

トイロジックが放つ手軽にサクサク楽しめるハクスラ系オンラインRPG

2016年リリース予定

 「Happy Wars」の開発元として知られる日本のパブリッシャー トイロジックの新作タイトル「Happy Dungeons」がE3で発表された。新作発表にも関わらずあまり目立っていないのは、「Happy Wars」がMicrosoft Studiosがパブリッシャーだったのに対し、「Happy Dungeons」は初の自社パブリッシングタイトルとしてID@Xboxプログラムを使って開発が進められているためだ。発売時期は2016年春を予定し、基本プレイ無料のアイテム課金制を予定。本稿では、「Happy Dungeons」プロデューサーを務めるトイロジック代表取締役社長の岳洋一氏に話を聞くことができたので、その内容をお届けしたい。

【ハッピーダンジョン E3 2015 トレーラー】

取材に協力していただいた「Happy Dungeons」プロデューサーの岳洋一氏
「Happy Wars」のゲームエンジンを使ったダンジョンRPG
1人プレイの様子
4人画面分割プレイの様子。これだけ大量の敵が出ているにも関わらずパフォーマンスがまったく落ちない
ボス戦の様子。パーティーメンバー間の連携が必要不可欠となる

 「Happy Dungeons」は、Xbox One版「Happy Wars」のゲームエンジンを使って開発されているハック&スラッシュ系のダンジョンRPG。最大4人までのオンライン/オフラインマルチプレイに対応し、3人のオンラインフレンドと一緒に楽しむだけでなく、1つのXbox One本体で4画面分割でのマルチプレイにも対応している。

 「Happy Dungeons」はゲームエンジンのみならず、キャラクター設定や、キャラクターデザイン、グラフィックスのタッチに至るまで、非常によく似通っている。あくまで別の世界観、別のタイトルだが、選択可能キャラクターの戦士、魔法使い、僧侶の3クラスは、グラフィックスやスキルの多くを「Happy Wars」から持ってきている。

 このため、「Happy Wars」は、北米では大ヒットしていることもあって、「Happy Dungeons」初回プレイから、攻防のスキルを駆使して、ガンガンダンジョンを突き進んでいた。ちなみに両タイトルには連動要素があり、それぞれのタイトルで一定程度成長させたキャラクターを持っているプレーヤーには、別のタイトルをプレイした際に特典が設けられているという。

 さて、「Happy Wars」と「Happy Dungeons」は雰囲気は似たものを持っているが、ゲームデザインはまったく別だ。「Happy Wars」がチームベースの対戦ゲームなのに対し、「Happy Dungeons」は「Diablo」のようなダンジョンRPGだ。プレーヤーは、キャラクターを選択し、様々なクエストを受けて、全部で60ものバリエーションのあるダンジョンでクエストをこなしていく。

 Microsoftブースでは1台の試遊台が用意され、ゴブリン族がひしめくダンジョンを潜ることができた。1度目は戦士でなんとなくボタン連打で遊んでみて、2度目は魔法使いで、戦士の岳氏と共に2人プレイで連携やスキルを意識しつつプレイしてみた。

 グラフィックスが可愛らしく、操作も簡単なため、そこまで本格的なダンジョンRPGではないのではと思っていたら、攻撃、防御、回避、支援、連携と、スキルによって様々なアクションが可能で、遊べば遊ぶほど上手にプレイできる楽しさを味わうことができる。とりわけ1人ではボタン連打するしかなかったバトルが、チームプレイでは、戦士が盾役をしてくれている間に、魔法使いがその後ろからダメージ甚大なライトニング攻撃を仕掛けるなど、パーティープレイが非常に楽しい。グラフィックスでごまかされやすいがなかなかどうして本格的なダンジョンRPGだ。

 ゲームに深みを与えているのは、スキルシステムだ。「Happy Wars」で培ったスキルシステムをベースにしており、RBを押しながらスキルボタンを押すことで、使用するスキルを切り替えることができ、バトル中に素早くスキルを切り替えながら戦うことで、状況に応じた戦い方が可能となり、格段におもしろさが増す。

 また、ゲームをプレイしながら驚いたのはそのパフォーマンスだ。1人プレイで1080p30fpsで動作する。これはできて当たり前だが、画面4分割の4人プレイでも、まったくパフォーマンスが落ちず、1台のXbox Oneで4人プレイを実現していたのには驚かされた。岳氏によれば、外部のミドルウェアに頼らず、すべて内製で作り上げたゲームエンジンの賜だという。

 とりわけ本作には、敵がワラワラ登場し、それをまとめてなぎ倒すのがひとつの魅力になっているが、岳氏によれば、実際にそういうダンジョンを作るかどうかは別として200体ぐらいの敵なら十分表示させられるという。敵は大別して、アンデッド、デーモン、ゴブリンの3つの敵種族が存在し、それぞれまったく異なるダンジョンで主人公達を待ち構えているようだ。

 やり込み要素となるキャラクターの成長要素については、ベースとしてレベル制を採用しており、レベルに応じてスキルや能力を伸ばすことができる。通常ダンジョンRPGの場合、レベル差が離れると、一緒のパーティーでは遊べないという問題が発生するが、「Happy Dungeons」では、レベル差が離れていても、自動でレベル調節を行ない、メンバーの強さ、ダンジョンの難易度を調節した上で、ドロップアイテムなどの報酬も合わせて調整されるため、ユーザー側でレベル差を意識しなくていいという。

 装備に関しては武器のほか、防具は頭、胴体など全5種類の防具を身につけられる。そのほか髪型などの個性をアピールする要素もあり、さらに「お供ボット」と呼ばれるバディシステムが存在する。「お供ボット」は可愛らしい容姿をしたAIキャラクターで、ダンジョンにお供として同行してくれる。レベルによって最大3体の「お供ボット」を呼び出すことができ、バトルを支援してくれる。

 最後に気になるマネタイズ要素については、まだ未定だという。基本プレイ無料で遊べることは確定しているものの、ガチャをベースにするのか、十字のショートカットキーで使えるポーションなどのアイテムを販売するのか、あるいは装備やお供ボットを有料販売するのか、あらゆる可能性を考慮に入れながら現在検討中だという。

 なお、「Happy Dungeons」は、Windows 10版の開発も進めているという。まだ技術的に乗り越えるべき課題があるため、発売時期は未定とのことだが、「Fable Legends」のようにXbox OneとWindows 10とのクロスプラットフォームプレイも実現したいとしている。さらに、今回は自社パブリッシングのため、他のプラットフォームでの発売の可能性もある。いずれにしても2016年春の時点ではXbox One版のみになるということなので、Xboxユーザーは発売を心待ちにしたいところだ。

【スクリーンショット】
アーティストのセンスが光るユーモラスなキャラクターデザイン。実はモーションも実に凝っていて遊んでいて楽しい

(中村聖司)