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「テイルズウィーバー」、アップデート「必滅の地」インタビュー

コンセプトや新ダンジョン、武器強化など盛りだくさんのコンテンツ

8月26日実装予定

 ネクソンは8月26日、MMORPG「テイルズウィーバー」において、これまでで最大のフィールドとなる「必滅の地(異空間へのゲート、封印された宮殿、試験の塔)」と、「武器強化システム」を実装予定でさらに、「ソウルリンクシステム」などの新要素を9月以降実装することを発表した。

 これら新コンテンツはどのような思いで開発されたのだろうか。今回、来日した開発者に話を聞いた。登壇者は、開発元のNEXON GT「テイルズウィーバー」開発室室長のチェ・ヒジン氏、企画チームチームリーダーのイ・スンボ氏、グラフィックチームチームリーダーのキム・セフン氏、そしてネクソンのテイルズウィーバー日本運営チームチームリーダーの阿部寿頼氏の4名となる。

これまでで最大規模の新エリア「必滅の地」は狩り場として優秀

開発元のNEXON GT「テイルズウィーバー」開発室室長のチェ・ヒジン氏
企画チームチームリーダーのイ・スンボ氏
グラフィックチームチームリーダーのキム・セフン氏
ネクソンのテイルズウィーバー日本運営チームチームリーダーの阿部寿頼氏
必滅の地のマップデザイン

 最初に質問したのは「現在の『テイルズウィーバー』で求められているものは何か?」。11周年を迎え今でも進化し続ける「テイルズウィーバー」だが、ユーザー社会は他のMMORPGと同じく、休眠ユーザーの増加、古参ユーザーと新規ユーザーとの乖離といったコミュニティの細分化が生まれている。また特に韓国の開発者はソーシャルゲーム開発に大きくシフトし、新作MMORPGが生まれにくい状況がある。こういった変化の中、開発者達は「テイルズウィーバー」にどのような思いを持っているだろうか?

 チェ室長は「やはり、『テイルズウィーバー』の最大の魅力はストーリーであり、そのストーリーを作り続け、ユーザーに提示し続けることこそゲームで1番求められていることだと思っています。そしてキャラクターの魅力をアピールしていく。それは開発当初から変わらないテーマです。そのテーマを変えないまま、時代を考えた“トレンド”も意識しています。ソーシャルゲーム的な要素も盛り込んでいきたいと思っています」と答えた。

 一方でソーシャルゲームはタイトルのサイクルが速く、ユーザーはどんどん新しいタイトルに流れていく傾向があるとチェ氏は語った。「テイルズウィーバー」などMMORPGは息が長いタイトルもアリ、プレーヤーは長期間1つのゲームに取り組む。このスパンの長さは対照的であり、ここにMMOの強みがあると考えている。実際、「テイルズウィーバー」には10年以上ゲームをプレイしているユーザー達の強固なコミュニティがあり、本作の大きな魅力となっているという。

 日本運営で現在大きなテーマとしているのは「既存ユーザーを喜ばせ、休眠ユーザーに復帰してもらう」というものだ。今回の「必滅の地」も高レベルプレーヤー向けの歯ごたえのある狩り場と、挑戦しがいのあるダンジョンを盛り込んでいる。現在のコアプレーヤーや復帰するプレーヤーの気持ちをかき立てるようなコンテンツを定期的に入れていく予定だという。

 8月26日実装予定の「必滅の地」は、「テイルズウィーバー」の原作小説「ルーンの子供たち」で語られている土地であり、プレーヤーから実装を待ち望まれていた場所だ。この地はかつて「ガナポリー魔法帝国」が栄えていたが、何らかの理由でこの国が滅亡し、荒れ果てた地となっている。

 「テイルズウィーバー」はキャラクターそれぞれのメインストーリーが魅力だが、「必滅の地」のストーリーは“外伝”扱いとなるという。メインストーリーではなく、共通の外伝ストーリーが楽しめる。今回実装されるのは広大な土地の1部にしか過ぎず、今後さらに大きなフィールドが実装されるとのことだ。企画リーダーのイ氏は、「ボリスはキャラクターの設定としてはこの地と関係が深いですが、私自身はアナイスの方がより深く繋がっていると感じています。アナイスは“人形”と関係の深いキャラクターであり、ガナポリーでは“魔法の人形”を作っていたという伝説を考えると、やはり何かが繋がっているかもしれません」と語った。

 グラフィックチームリーダーのキム氏は、ガナポリー魔法帝国には“ギリシア風”のイメージがあるという。必滅の地は徹底的に破壊されており、残った建物はわずかであるが、建物の1つ「封印された宮殿」や「試験の塔」は、ギリシア神殿の円柱のような建築様式を取り入れている。また、この地を表現するときにこだわったのが「広大さ」を印象づけることで、プレーヤー達にはこの地を訪れたとき、従来のフィールドとは異なる“広さ”を感じて欲しいと語った。

 必滅の地はこれまでにない狩りが楽しめるフィールドになっている。フィールドには群れを成しているモンスターがいて、彼らを倒すことで「チャンピオンモンスター」が出現、それを倒すことができれば「異空間のゲート」が出現する。この異空間のゲートはおよそ1分間開き、近くのプレーヤーは誰でもこの扉に入り異空間にいける。異空間の先はソロプレーヤー向けのフィールドになっていて、「5種類のボスのうち1体がランダムで出現」、「経験値とSEED(ゲーム内マネー)の多い雑魚モンスターがたくさん出現」、「雑魚モンスターが出現」という3種類が用意されている。

 異世界のギミックは、プレーヤーに協力要素をもたらすという。チャンピオンモンスターは誰かが倒せば、異世界のゲートが開く。弱いプレーヤーでも強いプレーヤーのおかげで経験値が多く稼げるフィールドに行くことができる可能性があるのだ。強いプレーヤーは皆に感謝される存在となるだろう。

【必滅の地】
必滅の地のコンセプトアート

高レベルプレーヤーを待ち受ける「封印された宮殿」、「試験の塔」

試験の塔で待ち受ける最終ボスは、かかしがモチーフだ
封印された宮殿のモンスター
強化した武器にはエフェクトが追加される。エフェクトは現在鋭意開発中だ

 必滅の地では、さらに「封印された宮殿」、「試験の塔」という2つのコンテンツが追加される。「封印された宮殿」は、最大8名で挑戦できるダンジョンで、途中でチームが分断されるなど、様々なトラップも用意されており、歯ごたえのあるダンジョンとなっている。さらにボスも所々で登場し、パーティはボスを追撃しながらダンジョンの奥に進んでいくという。ボスとの最終決戦では、強力な魔法やワープを使うボスが立ちはだかる。

 「試験の塔」は100階まである塔で、ソロプレイで挑戦する。回復役のキャラクターでも挑めるように調整されているという。各階にはボスモンスターがいる。これらのボスモンスターはこれまで戦ったボス達で、プレーヤー達は過去の冒険も振り返ることができる。挑戦できるのは1日に1階層だけだが、週末はまとめて挑戦できる。その週1度も挑戦していなければ、一気に7階まで挑戦できる。

 各階をクリアすると報酬がもらえるが、10階ごと、そして100階には特別な報酬が用意されている。100階のボスは“巨大なかかし”である。これは、ダメージを調べるためなどに使う「かかし」が強くなった姿で、“最強のかかし”として、プレーヤーの前に立ちはだかるという。

 さらに、必滅の地は“秘密の仕掛け”があるとイ氏は語った。「封印された宮殿」や、「試験の塔」、そしてフィールドそのものにも、「誰かが○○まで到達する」、「ボスを倒す」など明かされていないチェックポイントが設定されており、クリアすることで「ボーナスミッション」が、全プレーヤーに提示される。攻略することでボーナスが得られるようになる。この秘密に挑戦してもらいたいとのことだ。

 このほかに、「武器強化システム」、「ソウルリンクシステム」という2つの要素が今後の実装予定となっている。武器強化システムは従来の武器に最大10段階、さらに「武器覚醒」というランクが設定され、武器にオーラが現われる。この武器のオーラはキム氏達グラフィックスチームが苦労したデザインだという。

 「ソウルリンクシステム」はメインキャラクターの経験値をサブキャラクターにも与える要素で、一定時間メインキャラクターが強くなる要素や、2人だけの特別なストーリーも用意していく。こちらはまさに今後具体的なシステムを決めていく、今後のシステムだという。

 今回印象に残ったのは、開発側が積極的に現在のコアプレーヤー向けにコンテンツを開発し、遊びごたえのあるコンテンツを開発しているということだった。一方で日本の運営側、日本のコミュニティでは、様々なゲームやコンテンツが新しく生まれ、ユーザーの好みが分化していく中、仲間達がどんどんタイトルから離れていくという不安な状況がある。これは「テイルズウィーバー」に限らず、すべてのMMORPGが直面している問題だ。日本の運営は、ここにどのように取り組むのだろう。

 阿部氏は、カンバックキャンペーンなど、休眠ユーザーへのアピールを積極的に行なうと語った。1つの大きな柱が「キャラクターバランシング」だ。プレーヤーキャラクターの格差を修正することで、自分が使っているキャラクターの魅力を増やしていこうという施策で、プレーヤーのやる気を刺激していくという。また、最新のコンテンツとのコラボレーションも可能なら年間で2回は行ないたいとのこと。6月には「ノーゲーム ノーライフ」とコラボを行なう。人気コンテンツとのコラボは、ユーザーにタイトルの活気を感じさせる有効な手法だという。

 ユーザーへのメッセージとしてイ氏は「これまでとは違う経験ができる『テイルズウィーバー』というテーマでがんばってみました。ぜひ楽しんでください」、キム氏は「必滅の地はユーザーの期待の高い地であり、応えるために努力をしてみました。よろしくお願いします」と語った。

 チェ氏は「本当に今回は、皆が悩み、アイディアを出し合ってコンテンツを作り上げました。大規模でやり応えのあるコンテンツです。できるだけ多くの人に遊んで欲しいです」とコメントした。阿部氏は「運営としては皆さんにドキドキする体験をして欲しい、そして続いていくという安心がもたらせる、まったりした世界を目指してサービスしていきます。2つの気持ちを満たす世界を目指していきます。ご期待ください」と語った。

 「テイルズウィーバー」は10年以上続くMMORPGである。新しいタイトルが生まれてくる中、10年以上続くMMORPGはどうあるべきか? どう続けていくのか? 問われ続けている。その中できちんと新コンテンツを出し、ユーザーにアピールする姿勢は高く評価したい。しかし一方で、新規ユーザーが入りにくく、知り合いがゲームから遠ざかっていく中、それでもゲームを続けていくユーザー達の気持にどう答えていくかは、各MMORPGが真剣に悩んでいるテーマである。世界観、ストーリーに愛着を持っているユーザーにどう帰ってきてもらうか、新しいユーザーにこの魅力的な世界をどうアピールするかは大きな課題だ。

【新コンテンツ】
試験の塔
封印された宮殿

(勝田哲也)