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10年魅力を増し続けるMMORPG「テイルズウィーバー」
世代を超えて愛されるキャラ、新たに元幽霊のベンヤを追加
(2014/3/25 15:00)
10周年を迎えたネクソンのMMORPG「テイルズウィーバー」。本作の大きな魅力はその濃いストーリーにある。プレーヤーは14人の魅力溢れるキャラクターから1人を選び、イベントシーンがふんだんに盛り込まれたメインストーリーを進めていく。
14人の運命は複雑に絡み合っており、他のキャラクターをプレイすることで別の視点からストーリーを見ることも可能だ。また、各キャラクターのスキルを駆使したアクション性の高い戦闘や、豊富なアバター要素、2Dのドット絵ならではの味のあるグラフィックスは独特の魅力がある。先日行なわれたオフラインイベントでは若いユーザーの数も多く、世代を超えたファンを獲得しているのを実感した。
正直、「テイルズウィーバー」は“古い”タイトルである。しかし、ユーザーを魅了し続けるその魅力はスタッフのどのような想いから生み出され続けているのだろうか? 今回、3月26日に追加される新要素と共に、10年続くタイトルに関わる開発・運営スタッフにインタビューを行なった。
話を聞いたのは開発を担当する韓国ゲームハイ「テイルズウィーバー」ディレクターのシム・キフン氏、企画担当のソ・テヨン氏、アートディレクターのグ・チャンヘ氏。ネクソン「テイルズウィーバー」運用チームの嶋村昭彦氏である。ちなみに昨年まで開発会社はNEXTORICという名前だったが、「サドンアタック」と同じゲームハイになったとのことだ。
死神とともに歩む少女・ベンヤ、ランダム性の楽しいPVP「星の戦場」
――最初に、サービス10周年を迎えた感想を聞かせてください。
シム氏: やはり、10周年を迎えられたというのは特別な想いがあります。そして、これまで支えてくれたファンの方には本当に感謝しています。今年はユーザーさんの希望に応えたアップデートをたくさんしていきたいと思いますので、ご期待下さい。
――今回のアップデートに関して、先行して実装された韓国での反応はどうでしたか?
シム氏: 「ベンヤは強い」という意見が多かったですね。喜んでいる人は多いですが、他のキャラクターとのバランスを気にする人もいました。一昨年は「アナイス」が実装され人気を博したのですが、ベンヤはその時以上の人気です。ベンヤのストーリーに関しても人気が高かったです。
ソ氏: ベンヤは、幽霊から人間になった少女で、ある朽ち果てた人形から“生命のリング”を渡されその力で人間になります。生命のリングの中には“死神”が封じられており、ベンヤはその死神の魔力で戦っていきます。死神はベンヤと旅をしながら、指輪から解放されることを望んでいます。
ベンヤは「自分がなぜ人間になりたかったか?」を探しています。ベンヤは、人間になった時に幽霊だった記憶をなくしているのです。ベンヤと死神はお互いを支え合いながら冒険していきます。ベンヤのストーリーは自分の記憶を探すベンヤと、指輪からの開放を願う死神という2つのキャラクターにプレーヤーが深く感情移入し、キャラクターと一体感を味わえるのが、最大の魅力だと思います。
――ベンヤは、デスサイズとホーリーハンマーを使うとのことですが、この詳細を教えてください。
ソ氏: ベンヤはこれまでの「テイルズウィーバー」のキャラクター同様、2つの武器を使います。デスサイズは攻撃を重視した火力の高い戦い方ができ、ホーリーハンマーは防御重視の戦い方ができます。ハンマーの方がどちらかといえば安定して戦えるスタイルです。プレーヤーはこの2つのうちどちらかのプレイスタイルを選択し、キャラクターを育て、スキルを取得していくことになります。
――今回、花澤香菜さんがベンヤを演じると発表されましたが、韓国ではこのようにキャラクターに声を当てているのですか? 声優を起用するのは日本の要素なのでしょうか?
嶋村氏: 声優を起用するのは、日本独自の要素です。基本的にゲーム本編にボイスが入るのではなく、日本側で制作しているコンテンツで、アニメーションも作り、花澤さんがゲームを紹介するチュートリアルイベントで声を当て、ベンヤを演じてもらっています。「テイルズウィーバー」はイベントシーンが多く、キャラクターの掛け合いなども多いのですが、ボイスは入っていないのが現状です。
シム氏: 日本の仕様は開発側として強い刺激となっています。キャラクターがしゃべるのは楽しいですし、こういった取り組みは強化していって欲しいと思っています。ゲーム内の取り組みを考えるいいきっかけになりました。いつという明言はできないのですが、演出の強化という意味でも声の要素は考えていきたいと思います。クエストでの台詞を話すなど、そういうことも可能ですね。
――次にPVPコンテンツ「星の戦場」ですが、「テイルズウィーバー」でPVPコンテンツというのは、意外な感じがしました。日本の要望も強かったようですね。具体的なシステムを教えてください。
シム氏: 「テイルズウィーバー」では1対1の「シルバースカル」というコンテンツと、5対5で行なう「旗取り」というコンテンツがあったのですが、あまり遊んでもらっていなかったので、「旗取り」を無くしたんです。そうしたら、「何でなくすのか」という声が多かった。そこでもう1度ゲーム性を見なおし、「星の戦場:前哨戦」として、広くて間延びしていたマップを圧縮して激しく戦うことができるようにしました。
本編である「星の戦場」は直接プレーヤー同士が戦うだけでなく、中ボスと戦ったり、拠点を占領するといった要素が盛りこまれ、ストーリー要素もある「テイルズウィーバー」らしいPVPになったと思っています。こちらも5対5で行なう予定です。2つのフェイズにわかれており、まず拠点を占拠し、そこから進軍していく形になります。協力することも足の引っ張り合いもできる、敵NPCと敵チームの3つ巴の戦いが楽しめます。
これらの戦いは“マッチングシステム”が用意されており、いつでも参加可能です。インターフェイスにコンテンツ参加ボタンが追加されており、パーティを組んで参加を希望することもでき、5対5の人数に達するとスタートできるようになっています。
――星の戦場の特にここが面白いぞ、という要素を教えてください。
シム氏: アイテムを活用した戦い方です。。星の戦場では様々なアイテムがフィールド上に出現します。アイテムは相手を硬直させたり、体力を回復したり、相手のスキルの使用を一定時間使用させなくさせるものなどがあり、これを使うことで戦いがかなり有利になります。いち早く使えるかが勝利の鍵となります。
――次に今後行なわれるキャラクターバランスの調整ですがどういった方向性になるのでしょうか? 既存のキャラクターは新スキルが追加されますか? それともステータス調整に止まる形でしょうか?
シム氏: ここ数年で追加されたアナイス、イソレット、ベンヤに比べると、既存キャラクターはどうしても弱くなっています。調整はこのバランスを取るために行ないます。方向性としては、キャラクターの個性を活かしながら上方修正を行なっていくイメージです。今のところ新スキルはなく、パラメーターの調整となります。
10年続くタイトルを開発していくスタッフの想い
――ここからは方向を変えた質問をしていきます。「テイルズウィーバー」は10年を迎えるタイトルですが、今回オフラインイベントでは若いプレーヤーが多かったなと。韓国でも若いプレーヤーを獲得できていますか?
シム氏: 韓国でもこの前コンサート形式のオフラインイベントを行なったのですが、そこでも若いユーザーが多かったと感じました。新しいユーザーの獲得を実感できました。
ソ氏: 広告や、CMなどを積極的に行なっている効果が出ているのかなと思います。コンサートや、アルバムの販売なども行ない力を入れています。
嶋村氏: 日本では毎年新キャラクターを入れているのが新しいユーザー獲得に繋がっているのかなと思います。TVCMや広告も効果的ですが、アドアーズとのタイアップや、Webラジオなどでも若いユーザーに周知されるきっかけになっているのかもしれません。こちらはデータとしてきちんとつかんでいる、というわけではないのですが「友達効果」というのは見逃せないと思います。
友達の中の1人が「テイルズウィーバー」をプレイして、他の人を誘う。2Dグラフィックスのゲームなので、今のPCなら多くの環境で動作しますし、PCでオンラインゲームをプレイするという行為そのものが一般化したのかもしれません。もちろん10年続けているというところでの知名度の高さ、というのはあると思いますね。
――開発者さんに伺いたかったのは、現在はとてもリッチでハイスペックなゲームもあり、アイディアを活かしたスマホ向けゲームもある。その中で、あえて2DMMORPGといういささかレガシーなコンテンツを開発しているということに関して、どのような想いを持って「テイルズウィーバー」の開発に向き合っているのでしょうか?
シム氏: 最新ゲームの見た目の美しさ、システムの充実ぶりは、魅力的だと思います。しかし、2Dのゲームだからできる、「テイルズウィーバー」だからできる表現や、ゲーム性があると思うのです。「テイルズウィーバー」はコンシューマゲームのようなストーリーが楽しめる、という部分でもきちんと差別化できています。
この「テイルズウィーバー」ならではの強みを常に考えています。この特徴を常に問い続け、活かしていきたいと考えています。この“問いかけと挑戦”に私は楽しさを見出しているんです。
グ氏: ゲームって“本質的な楽しさ”はどんなプラットフォームでも同じだと思うのです。表現方法やハードが変わっても“楽しさ”は実現できる。そして「テイルズウィーバー」は10年ユーザーに愛されているゲームです。10年支えてくれたユーザーには感謝していますし、その期待に応え、さらに長く遊んでもらえるためにやっていきたいと思っています。10年の継続は私達の努力の結果だと、誇らしく思う部分も持っています。
ソ氏: 技術の進歩により様々な表現が可能になってきましたが、人間そのものは変わらないんじゃないかと思います。そして「テイルズウィーバー」だからこそ表現できる楽しさはずっと受け入れられると思うし、そのための努力をしていきたいと思います。
ただ、どうしてもシステム面での古さは痛感しています。システムがボトルネックになって、ユーザーの求める面白さを実現できてないところがある。そこは残念に思っている部分であり、ここが課題です。
――アートディレクターのグさんは、「テイルズウィーバー」の2D表現に関して、特に気をつけているところはありますか?
グ氏: 「テイルズウィーバー」はストーリー性の強いゲームです。キャラクターの性格、設定がきちんと得に反映されるように表現は気を使っています。そしてキャラクターのイメージに合った世界を構築していく、というところが1番難しい部分で、そして最も力を入れているところです。
開発側も10年の間、アート部分でも様々なスタッフが参加しています。その中で「テイルズウィーバー」らしさを守りながら、それでも“新しさ”を盛り込むと言うことは、意識してやっています。いかにバランスを取りながら新しいモノを盛り込むかを考えています。
――シムさんは、「テイルズウィーバー」ならではの良さというのはどこだと捉えていますか?
シム氏: なんと言っても大量の敵を殲滅できるエキサイティングなゲーム性です。多くの敵とどう戦うか、このアクション性にはこだわっています。そしてストーリー。キャラクターが様々な事件に遭遇したり、過去の事件を思い出したりして、キャラクター像を掘り下げていく。
プレーヤーはゲームを進めながら、より深く自分がプレイするキャラクターを理解していきます。もう1つは、“ドット絵”の楽しさです。特にアバター要素、キャラクターを着飾らせるのは楽しいですね。
――企画担当のソさんは様々なゲームが出て行く中で、「テイルズウィーバー」をどうユーザーにアピールしていこうと思っていますか?
ソ氏: 新しいチャレンジをしたいという思いも強く持っているのですが、しかし10年支持されている「テイルズウィーバー」ならではの良さはとても大事で、これを守らなくてはならない。何よりもこの良さを活かすアップデートを続けなくてはならないと思っているんです。
――一方、日本運営としては、どのようにユーザーへ働きかけていくでしょうか?
嶋村氏: 今年は10周年という節目の年であり、ユーザーの要望が多かったものをロードマップに組みこんで、順次実装できるように調整しています。まだ言えない部分ですが、新要素も多数導入されていくので、こちらも反応が楽しみです。
昨年のイソレットは従来のキャラクターと違う操作性だったりとこれまでのユーザーさんを多少戸惑わせる部分がありましたが、今回のベンヤは従来の操作法に近いキャラクターですので、新規の方はもちろん、ベテランユーザーさんにも楽しんで欲しいです。
繰り返しになりますが、「テイルズウィーバー」は各キャラクターが魅力的で、深いストーリーが用意されています。2Dのドットによるグラフィックス、そしてオフラインイベントのコンサートでも好評だった音楽も大きな魅力です。こういった様々な魅力を持った作品をこれからもサービスしていきたいと思っています。
――皆さんのお気に入りのキャラクターを教えてください。
嶋村氏: イソレットですね。操作性が他のキャラクターと違うんですが、コンボがとても気持ちいいです。
シム氏: イソレットです。原作小説の描かれ方でも思い入れがあります。戦闘でもアクション性が高いところがお気に入りです。
グ氏: アナイスですね。かわいらしい少女で、個人的にかなり愛情を注いで作りましたね。
ソ氏: ベンヤです。実は私が最初にベンヤのキャラクター像を提示し、実現したんです。
――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
シム氏: 今後、しばらくは毎月アップデートを実現するべく今準備をしています。正直このペースは大変ですが、10年支えてくださっている皆さんのために努力したいです。ご期待下さい。
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