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【スマホアプリ今日の1本】暗闇の音声視覚化アドベンチャー「Dark Echo」
音だけが頼りの暗闇ゲーム。想像を掻き立てるホラー風味の味付けが秀逸
(2015/3/26 00:00)
真っ暗の画面の中で、足あとが2つだけポツンとある。どうやら見下ろし視点のようで、画面を長押し操作するとその方向に歩き出す。依然として暗闇は変わらないが、歩く度に音が白い線となって分散し、その反射によって辛うじて道の造形がわかる。
カナダRAC7開発のiOS/Android「Dark Echo」は、自分とステージ上の「何か」が発する音だけを頼りにゴールを目指すアクションアドベンチャーだ。「音だけを頼りに」というのは正確には、音声が視覚化された情報のみがステージクリアの鍵となっている、ということを意味している。
例えば、本作では行動を起こさないと画面が闇に包まれて、ステージの構造がわからないため、どちらに進んでいいかすらわからない。しかし歩く、手を叩くなどで音を発することで、分散された白い線が壁に当たって反射して、一瞬だけだがステージの構造が認識できる。
音声の視覚化は本作の発明だが、より優れているのは本作のホラー性だ。プレーヤーには擬似的とはいえ音声による情報しか与えられないため、プレーヤーは誰なのか、どのような状況なのか、どこを彷徨っているのかなど、何もわからない。プレーヤーはただひたすら、謎の暗闇を、しかも音声という最小限の情報のみで進むしかない。
そしてゲームが進めば、プレーヤーを襲う「何か」が登場する。本作では危険地帯や物質は赤い色で表現されるが、その「何か」は音に反応してプレーヤーに向かってくる。これが恐ろしく、その赤い「何か」に触れるとグチャっという音と男の叫び声がして、最初からやり直しになる。襲ってくるものは何なのか、どういう死に方をしてしまうのか、実に想像が掻き立てられる演出だ。
ゲームが進行すれば、音を出さないように歩くことができたり、石(のような何か)を投げて探索がしやすくなったりする。プレーヤーは無力なので、赤い「何か」からは逃げるか、どうにかしてやり過ごすしかない。暗闇だし、無力だし、情報は少ないしで緊張は高まるが、一方でパズル的な要素も強く、本作ならではのギミックも数多く仕込まれていて、ゲームとしてもレベルの高いものとなっている。
画面はずっと暗闇なのでスクリーンショットが地味なのだが、そこはご容赦いただきたい。iOS版についてはAppleスタッフのオススメに選出されており、今週は無料で入手できる。気になる方はぜひプレイしていただきたい。