ニュース
ゲーミング事業統括担当者に聞く、Logitechの世界におけるビジョンは?
最高の性能を求めるゲーマーのに応えることで実現する「最強のデバイス」
(2014/9/20 22:36)
東京ゲームショウにて、「ロジクール e-sports戦略説明会・新製品発表会」を開催し、新ゲーミングキーボード「G910」を発表した。ここではロジクールが日本において、e-sportsへ力を向け、大会や選手達をサポートしていくことが語られた。
ロジクールはゲーミングブランドン力を入れ、どのような未来を目指していくのか? 今回、発表会に合わせて来日した米Logitechのゲーミング部門のマーケティング担当を務めるBrent Barry氏、そしてアジアでのゲーミング事業担当のMax Pan氏、ロジクール クラスターカテゴリーマネージャー 古澤明仁氏にインタビューを行なった。
盛り上がりを見せるe-sports、勝つためのデバイスを開発する「ロジクール G」
――今回、ロジクール代表取締役社長の竹田芳浩氏が日本でのe-sports元年を宣言しましたが、これに関しての感想を教えてください。
Barry氏: すばらしいと思います。今回の宣言は、ゲームコミュニティの輪に日本のロジクールが加われる大きな機会になるととらえています。e-sportsはどんどん進化しており、日本の市場でも存在感を増しています。他の国ではPCゲーム市場は日本以上にはっきりした大きなマーケットを形成しており、デベロッパーが育て、築いているという背景があります。
また、e-sportsはとても楽しいという点も強調しておきたいです。なぜ楽しいかと言えば、選手達ゲーマーがそれぞれベストを発揮しているからなんです。そして我々Logitechの製品は彼らの求める速さ、正確性、最高の能力を発揮させることを目的に作られているのです。
――他のアジアの国は、「PCゲームが生まれて初めて触れるゲーム」という場合もあり、浸透しやすいという背景があります。一方日本はコンシューマーゲームが普及している市場です。PCゲームを広めていこうとする中での難しさはあるのではないでしょうか?
Barry氏: その通りですね。しかし実際に、ここ最近の日本のPCゲーム市場の伸びは思わず“2度見”をしてしまうほど大きいのです。「何かの間違いじゃないの?」と思ってしまうほど、日本のPCゲームは近年大きく成長しています。
それは日本でのゲーム文化の変化がその成長をもたらしていると思うんです。この流れは中国でのPCゲームの盛り上がりとも関係があると思っているんです。実はe-sportsに関しては世界中で大きな“うねり”が生まれています。世界の誰もが同じゲームをプレイし、そのゲームの面白さが、“PCゲームの盛り上がり”をもたらしていると私たちは分析しています。
そして我々はその流れに参加していきたい。なぜならば私たちはゲームに強い情熱を持っており、勝者の力になることで、我々も勝者になりたいと思っているからです。
Pan氏: Chaina Joyであなた(筆者)を見かけました。あの場所では中国、台湾、日本のチームのエキシビションマッチが行なわれましたが、日本代表のDetonatioNが見せた情熱と真剣さには心打たれました。その熱意、やる気こそが日本のe-sportsの盛り上がりの理由なんじゃないかと思います。トーナメントで決して遅刻はしない。試合で使うゲームのバージョンに真剣に確認する。規律正しく、各選手が自立的に行動できる。献身的な情熱はとても共感できます。だからこそ日本のゲーマーを応援したいと我々は考えています。
古澤氏: 私たちがe-sports元年を宣言したのは、「そうでありたい」という日本スタッフの想いでもあります。皆さん記事を初め、テレビ番組に取り上げられるなど、これまで以上の盛り上がりを感じているんです。その中で私たちはチームをスポンサーとして支えていくと同時に、e-sportsの障壁を下げていきたい。まだまだ「PCゲームは難しい」と考えている人がいる。この誤解を取り除いていく丁寧な取り組みもやっていきます。そのために秋葉原という立地を使い、e-sportsに触れてもらえる環境もできつつあります。こういった流れに継続的に投資し、育てていくことに“義務感”を感じています。
――e-sportsと聞くと、どうしても感じるのが、「対象のタイトルの多さ」です。例えばテニスや野球は100年以上の歴史があり、ルールが統一されているから競技人口が多い。しかしタイトルの隆盛が激しく、アップデートでルールががらりと変わってしまうゲームというジャンルにおいて、スポーツと同じような持続した盛り上がりと競技人口の獲得が可能なんでしょうか? そのためのタイトルをLogitechさんが作る、といったことを考えていたりしますか。
Barry氏: 現在ゲーマー達は「League of Legend」と「DOTA2」という2大タイトルに集中しています。かつては「カウンターストライク」、「コールオブデューティ」といった2大FPSタイトルが人気でした。「World of Tank」も人気ですが、「League of Legend」と「DOTA2」の人気は非常に大きく、これらの世界大会は、「NBAファイナル」以上に人を集めているのです。もちろんこれらは限られた例ではありますが、確実に拡大している、という実感を持っています。
私たちはゲームに向けてデバイスをデザインしていくメーカーですから、様々なゲームに向けて多彩なゲーミングデバイスを準備してe-sportsを支えていきます。G600のマウスは多くのボタンを持たせていますし、「Hyperion(G402)」のマウスはFPS向けの素早い操作が可能です。「PROTEUS(G502)」はいろいろなゲーム向けに調整できます。ゲーマーの声を聞き、どういったデバイスを出していけば良いかを考えています。
今回発表したOrion Spark(G910)はゲーマー、ユーザーの声を聞き、現在どのように使っているのか、そしてどう改良すれば良いのかを考えて作った製品です。
――今お話を聞いていると、G910は「Orion Spark」、G402は「Hyperion」と北米では派手な名前がついてますね。日本では無機質な型番にしているのはどうしてなのでしょうか。
Barry氏: アジアチームからの意見で、このようになっています。私たちはエモーショナルに製品のテーマに合う名前を、ギリシャ神話からとっていのですが、アジアの人はその名前から製品のイメージに繋がりにくいという意見があったのです。このためアジア圏では、型番が製品名になっています。
Pan氏: アジアでは型番を前面に出しています。しかし無機質ではなく、型番を見せることで、「この機種は数字が大きいから、前の製品の後継機だ」というように直感的にわかるというメリットがあります。加えて製品に興味を持った時、検索しやすいです。また、オリジナルの名前も消してしまうのではなく、「なぜこの製品はOrion Sparkと名付けられたか?」といったストーリーを説明することで感情に訴えかけられることもできます。
――ロジクールというとかつてはジョイスティックや、フライトコントローラーなどを積極的に販売していましたが、今はゲーミング製品が主流という感じなのでしょうか?
古澤氏: それらの製品も継続しています。しかしそれらは現在爆発的な拡大をしている、「ゲーミング製品」とは別のカテゴリになります。ロジクールは戦略を変えたわけではなく、一般向けのキーボードや、マウスなども販売していますが、ゲーマーが1番激しくマウスやキーボードを使い、そして他のユーザーが求めない領域での性能を求めるのです。
ゲーミングブランドである「ロジクール G」は、いろいろな製品を求めるユーザーのうち、特にゲームでマウスやキーボードを使うユーザーに向けた製品を提供するブランドです。
――特にゲーマーからのフィードバックに応えていく楽しさ、といったものはありますか?
Barry氏: もちろんそれはあります。「ロジクール G」はロジクールの部門の中でも、ゲーマーの求める製品を製作する部門です。キーボードやマウス、タブレットなども販売しており、スピーカーや、ソーシャルミュージックなど、ジャンルも多彩です。「ロジクール G」はゲーマーに応えるために、多数ある部門の中でも最高の科学力を求められる部門となっています。
センサーの専門家、スイッチの働きを最も理解している者、といったように最高のスタッフを集めています。他の製品は使いやすさ、低価格の追求など別の部分に焦点を当てているのですが、「ロジクール G」は“より高い機能”という1点を実現することが目的だからです。正確であり、耐久性に優れ、高いパフォーマンスを発揮するそういった製品を生み出すために「ロジクール G」というブランドが作られたのです。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
Barry氏: 「一緒にゲームの冒険をしていこう」です。我々は科学を信じ、よりよいツール、よりよいデバイスを提供し、一緒に勝利を目指せるようにしていきます。共にゲームを楽しんでいきましょう。
Pan氏: あなたが、自分の実力を100%発揮したければ、周辺機器もベストのものを使うことにこだわるべきです。すなわち、「ロジクール G」です。
古澤氏: 我々はe-Sportsの成長に伴い、私たちはアディダスやナイキといったアスリートをサポートするメーカーになっていきたいと思っています。協議によって求められる靴が違うように、ゲームジャンルに合わせたマウスや、キーボードがある。このようにゲームに合わせた要求に私たちは応えていきたいと思っています。