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英Dovetail Games、「Microsoft Flight Simulator」の復活を宣言!

2014年末に「FS X」を再販、2015年に新作を予定。MSは「Microsoft Flight」のサービス終了を発表

2014年7月9日発表(現地時間)

 英Dovetail Gamesは、米Microsoftから人気フランチャイズ「Microsoft Flight Simulator」の開発及び販売に関するライセンスを獲得したことを明らかにした。2014年末には、「Microsoft Flight Simulator X」のSteam版「Microsoft Flight Simulator X: Steam Edition」をリリースし、2015年には「Flight Simulator」のエンジンを採用した新作フライトシムをリリースする予定としている。

2007年にリリースされた「Microsoft Flight Simulator X」。DirectX 10に対応し、シミュレーション精度も上げるなど、シリーズ復活を目指したが、叶わなかった
「FSX」の拡張パック「Acceleration Expansion(邦題:栄光の翼)」。P-51D MustangやF/A-18 Hornetなど、まさしく“栄光の翼”たちが追加された
今回の発表の影で、密かにサービス終了がアナウンスされた「Flight Simulator」。サービス開始当初から、マップや機体の切り売りというビジネスモデルに難があると指摘されていたが、その通りの結果となった

 Microsoftはこの件について一切アナウンスを出していないが、現在唯一残るフランチャイズである「Microsoft Flight」について2014年10月14日を持って全サーバーをシャットダウンすることを発表し、Microsoft本体による「Flight Simulator」のサービスはすべて終了することになる。

 ひところはPCゲームの代名詞にもなり、PCでゲームを遊ぶ最大の原動力となっていたフライトシミュレーター。ワイヤーフレームの時代から多くのメーカーが新作の開発にしのぎを削り、あらゆるタイプのフライトシムが生まれた。その決定的なシリーズがMicrosoftからリリースされた「Flight Simulator」だ。

 地球規模のシミュレーションと、豊富な機体バリエーション、退屈なフライトに刺激を与えてくれるミッションやアクティビティ、そしてサードパーティーから生まれた無数のシーナリーやアドオンなど、無限のシミュレーション要素と圧倒的なボリュームが受け、1980年代に誕生してから、2007年に発売された「Flight Simulator X」まで常にジャンルを代表する存在であり続けた。

 しかし、現在は「Flight Simulator X」をもってパッケージ版の開発は終了し、開発スタジオACE Studioも解散。2012年にFree to Playのビジネスモデルで「Microsoft Flight」のサービスが開始されたが、オンラインゲームでありながらアップデートも滞る有様で、日本向けのサービスは行なわれないまま、ついにサービス終了がアナウンスされた。

 こうした現状に対して待ったを掛けたのがDovetail Gamesだ。同社はもともと「Train Simulator」でMicrosoftとパートナー関係にあり、シミュレーションゲームの開発を得意としている。

 今回のパートナーシップは、「Flight Simulator」シリーズ一切合切のライセンスを獲得しており、従来ならありえなかったSteamで「Flight Simulator」シリーズを出すという夢のコラボや、Microsoft自身がチームを解散し、開発可能な体制になかった「Flight Simulator」の新作を手がけるなど、フライトシムファンにとっては夢のような内容となっている。

 具体的には、まず2014年末に、パッケージとしては最後の作品となる「Microsoft Flight Simulator X」に、Deluxe Editionと拡張パック「Acceleration Expansion(邦題:栄光の翼)」を同梱し、世界最大のPCゲーム配信プラットフォームである「Steam」独占販売の形で、「Microsoft Flight Simulator X: Steam Edition」として販売する。

 次に、「Flight Simulator」のゲームエンジンや無数のアセットを活用する形で新作フライトシムを2015年にリリースするとしている。この新作がどのような内容になるかは明らかにしていないが、絶滅危惧種だったフライトシムに刺激的な新作が生まれるのはフライトシムファンにとっては嬉しいニュースだろう。続報に注目したい。

(中村聖司)