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【特別企画その2】PS Vita「チェインクロニクルV」クロスレビュー

まもなく結婚の編集部員から40歳おっさんゲーマーまで、4人でVita版を触ってみた

7月15日 無料ダウンロード版配信開始

9月11日 パッケージ版発売予定

価格:
基本プレイ無料アイテム課金制
CEROレーティング:B(12歳以上対象)

4月に行なわれた発表会で「チェインクロニクルV」の開発が発表された。壇上でPS Vita版「チェインクロニクルV」の開発を手がける山田理一郎氏とチーフプロデューサーの新小田氏が握手を交わした。ここからすべてが始まった(写真提供:山村智美)

 iOS/Android用タイトルとして大ヒットを記録し、第2章となる「絆の新大陸」のスタートも控えている「チェインクロニクル」。同時期にPlayStation Vita用タイトル「チェインクロニクルV」のサービスも開始される。

 「チェインクロニクル」は、チェインシナリオRPGと銘打っているだけあって、数多くのキャラクターが登場し、壮大で練り込まれた人間ドラマが語られていく。その深みあるストーリーをtoi8氏、HACCAN氏、タイキ氏、ワダアルコ氏といった豪華な執筆陣によるグラフィックスと、石田 彰さん、小清水亜美さん、沢城みゆきさん、野中藍さん、加藤英美里さんといったこれまた豪華な声優陣により贅沢に描いている点が魅力的だ。

 これだけ丁寧に物語を描いていると、その没入感も違ってくる。キャラクターに感情移入し物語を楽しむという、それまでのスマートフォンアプリではなかなか実現できなかったゲームを作り上げることができたのは、セガのゲーム作りのノウハウによるところが大きい。

数多くのキャラクターが登場し群像劇を紡ぎ上げていくのが、「チェインクロニクル」の魅力の1つ。左から、防衛前線都市「副都」のギルド同盟議長「ギルバート」、賢者の塔の管理責任者である三賢者のうちの1人「ディルマ」、砂漠に囲まれた「湖都」を治める女王「アシュリナ」

 さてそんな中、PS Vita版「チェインクロニクルV」のサービスがいよいよスタートする。豪華な作りの「チェインクロニクル」を楽しむ1つの選択肢として、発色の良いPS Vitaの大画面で楽しむのはありだろう。いや、むしろこれまでプレイしてきた人こそPS Vitaで再度、より深く楽しんで欲しいとも思う。

 とここまで書いてきてなんだが、PS Vita版はただスマートフォン版の焼き直しというわけでは無い。PS Vita版も基本的な展開としてはスマートフォン版を追う形で展開していくが、何よりの違いは共闘システム「勢力」だ。副都、聖都、賢者の塔、迷宮山脈、砂漠の湖都、精霊島、炎の九領と7つの勢力が設定されており、そのいずれかに属し同じ勢力に所属している他のプレーヤーと協力しミッションをクリアしていく。もちろん、他の勢力と競いあうこともある。

 こういったPS Vitaならではの楽しみにより、どのように「チェインクロニクルV」がゲームとして変化していくかは、これから先のお楽しみだ。まず、我々編集部では、セガネットワークスさんに伺い、事前に数時間遊ばさせていただいた。遊ぶ人によって好きなキャラクターや物語は変わるし、その印象は違ったものとなる。と言うことで、今回は4人のプレーヤーによる印象を書いてもらったので、ぜひとも参考にしていただきたい。

PS Vita用「チェインクロニクルV」とスマートフォン版の1番の違いは、やはり共闘システム「勢力」。所属勢力は自由に変更できるため、まずは好きなキャラクターがいる勢力を選ぶといいだろうんでみよう(イベント中など、期間限定で勢力を変更できないタイミングもある)

クロスレビュー

 ということで、これからは4人のメンバーによるクロスレビューをお届けしていく。参加してもらったのは、弊誌で「チェインクロニクル」の特集記事を書いてもらっているライターの今井洸一さんをはじめ、20代結婚間近の編集部・安田俊亮、40歳台ゲーマー代表・ライターの田中尚道さん。そして時間の都合が合わなかったためPS Vita版は未見ながらも、女性の視点からの参考レビューをライターの秋山由香さんに書いていただいた。

 じっくりとお楽しみ下さい!!

【今井洸一】

【推しキャラ】
“破壊魔人”ロレッタ。このキャラの魅力は「ギャップ」、この一言に尽きます。見た目はキャピる~ん☆な感じで、職業も商人なのですが……その裏の顔は手に入れて確かめてみるべし。チェインストーリーも副都キャラ満載でグッド!

-- ゲーマー編集としてあちこちで辣腕を振るう流浪の編集人。「チェンクロ」は、画集を編集したいと心に誓っていたほどのファンで、アプリからガッツリと遊んでいる。「ガッツリ派」代表レビュアー。

「フレームレートも上がってヌルッとなめらか!」

 「チェンクロ」はアプリ版からガッツリ勢(ランク85)の今井です。

 「チェンクロV」を遊ばせてもらった感想は「ヌルッ」でした。聞いたところによると、フレームレートが上がっているとのことで、戦闘時のマナスロットや必殺技カットインなどの演出が、「ヌルッ」となめらか~に動くのです。戦闘に大きな影響はないかもしれませんが、この「ヌルッ」には驚かされました。

 また、共闘要素として追加された「勢力」も見逃せません。最初は選べる勢力が少ないのですが、シナリオを進めることで酒場と同様に開放されていくようです。アプリ版で「炎の九領」の鬼族にドハマりし、戦士パーティに目覚めた私はもちろん勢力も炎の九領を選ぼうと思っています! 待ってて! ツル姫様~。

 「チェンクロ」は、細かな会話・シナリオからもユーザーを楽しませようという心意気が伝わってくるので、勢力関係で追加される会話にも注目したいです。予想としては「聖都」や「賢者の塔」辺りに人気が集中しそう!? 確かにユリアナ様や、はだk……賢者のファティマ様に仕えるのもいいですよね。なんか女キャラの話しかしてませんが、カワイイはジャスティス! 「チェンクロV」でレッツ共闘!

シナリオのみならず、バトル中のボイスや動き1つ1つが、キャラの魅力を引き立てています。アビリティの名前も「不倒の向日葵」や「もぐもぐ」「おいろけのじゅつ」など、名前だけでもキャラをよく表しています!

【田中尚道】

【推しキャラ】
やっぱり、主人公!! 20~30台のレベルだとパーティのコスト限界が低いのでSRやSSRを入れるために必要と言っても過言ではない。コスト0は超優秀。その分強さはいまいちだし、限界突破しないのでレベル40でうち止めになってしまうけど、これからに期待!

-- 古くからゲーム関連の記事を中心に紙媒体からデジタル媒体まで幅広くお仕事をこなしていく、(体格が)ガッチリ系編集者。だいぶお年を召してきたが、その年齢を重ねてきた豊富なゲーム知識でガンガンとお仕事をこなしていく。でも大人気「チェンクロ」は横目で眺めてスルーしPS Vita版が初体験という「『チェンクロ』は童貞派」レビュアー。

「なんか懐かしいキャラエピソードが楽しめる!」

 恥ずかしながら本作に触ったことが無かったのですが、それというのもハマると厄介だから。CM見ても面白そうオーラ満点で、42歳のおっさんにはそれが逆に警戒心を招く結果となるわけです。20代に人生のリソースのほとんどをゲームに持って行かれていた身としては特に。

 さて、遭遇時のファーストインプレッションは「なんか懐かしい」。その根拠は横見下ろし型のバトル画面でもなんでもなくて、無口な主人公と、けなげなヒロイン、陽気な狂言回しというメインキャラの構成でしょう。画面の構成やエピソードの語られ方なんかは枯れた技術の水平思考で目新しさはないものの、すべてが適正で安心できる。メインストーリーにさほど重きをおいていないことも「進めなきゃ感」が薄くて結構。その分サブキャラクターのエピソードが厚いのでそれを見るのがかなり楽しい。

 キャラのレベルによるエピソードの開放や、キャラ同士のエピソードが語られるチェインストーリーといった後追いエピソードでキャラに随分と愛着がわいてくるし、世界への理解と没入感が変わってくる。なるほど”絆の物語”は伊達じゃない。

無口な主人公に変わって話を進めるピリカさん。時には真面目な話もしますが、基本的には陽気でお調子者。サブキャラクターとの掛け合いはなかなか楽しく、本作における一服の清涼剤のようです
サブキャラクターのエピソードを見れば、それなりにご褒美がもらえますが、ご褒美欲しさにエピソードを飛ばすのはもったいない。エピソードを見つつ、ご褒美をもらうチェインが正しい「チェンクロ」の楽しみ方

【安田俊亮】

【推しキャラ】
推しキャラは「エマ」ちゃん。魔境案内という稀な職業がゆえ、そのかわいさもさることながら、紫色のキノコを物ともせず(むしろ好んで)食すという先入観に囚われないサバイブ力も魅力的。逞しくもミステリアスで、世間擦れしていない感じもグッドです!

-- GAME Watchの若手有望株編集者!! ……編集部に若い人は1人しかいませんが、それがなにか? 結婚式を間近に控え、そそくさと家に帰りゲームが好きだという奥さんとの蜜月に余念の無い、上司からしたら敵でしかない部下。「奥さんがいても推しはカワイコちゃん。でもレビューはまじめ」的なレビュアー。

「動きを感じさせるバトルシーンがグッド!!」

 本作の最大のポイントは、タワーディフェンスという形式を進化させたラインオペレーションバトル。自分から攻めていったりスキルを発動したりとフィールドを広く使って動き回れるところが◎。このシステムにより、動きやアクション性を感じさせる同ジャンルの他タイトルにはないバトルシーンになっている。

 また様々に登場するカードの絵柄1つ1つが事細かく3Dモデル化されているのも特徴的。3Dモデル化がかなり忠実なので、お気に入りのキャラクターをバトルシーンで動かせる楽しさも味わうことができる。単にカードを揃えるだけではないゲームシステムによって、繰り返しプレイしたくなる。

 そして、キャラクターのストーリーが丁寧でわかりやすく、キャラクターの特徴に合わせてテンションも雰囲気も異なるストーリーが展開される。キャラクターゲームとしても賑やかな印象で、ストーリーを進めることで精霊石の入手や能力アップなどプレーヤーにとってもメリットがあるというのが嬉しい。各キャラクターが丁寧に描写されており、不自然さがないのも好印象だ。

積極的に突進したり、スキルを活かした立ち回りで攻略するなど、使うキャラクターによって戦略に幅が出るのが最大の特徴

【秋山由香】

【推しキャラ】
推しキャラは、赤鬼の剣士「バイセツ」。SSR並みの風格あるビジュアル、ぶっきらぼうな言葉遣い、にもかかわらず根は優しくまじめなところ、すべてが私にとってどストライク! スキルも強力で、ただいまリーダーにして育成しています。長く使える、無課金ユーザーの強~い味方!!

-- ちょっとふんわりとした物腰の女性編集者。ゲームだけでなくいろいろな題材を取り扱い女性誌でのお仕事も抱えるのだが、実は「英雄伝説」シリーズが好きだとか、「モンスターハンター」シリーズの狩り友がいるというゲーム大好き編集者! 「キャラ萌えもあり派」レビュアー。

「安定感バツグンのストーリー。200人以上のキャラに萌える!」

 以前から興味を持っていた「チェインクロニクル」。PS Vita版の発売を機に初めてプレイしてみたのだが、なるほど、スマホ版が300万ダウンロードを超えるほどの人気を誇っていることにもうなずけた。

 まず、ストーリーの安定感が抜群に高い。メインのシナリオは、国を守るべく義勇軍を立ち上げた主人公が、記憶喪失の少女・フィーナとともに“国を襲う危機”の核心に迫っていくという、オーソドックスなものなのだが……。王道的な物語が、SEGAならではのストーリーテリングで実に丁寧に語られていく。会話シーンの間に、時折、選択肢が現れるところもポイント。「どっちを選ぼう?」とドキドキしながら頭を悩ませることで、飽きることなく、なにより義勇軍に参加しているような感覚で物語に入り込めた。

 また、200人以上の登場キャラ全員にシナリオが用意されているところも見逃せない。サブキャラ同士の因縁の(?)シナリオあり、思わず「コントか!?」と突っ込みたくなるお笑いシナリオあり。「ファイヤーエムブレム」や「幻想水滸伝」を思わせる重厚な人物譚が楽しめた。

 これらの物語を盛り上げているのが、ちょっと懐かしい雰囲気の音楽だ。いい意味で派手さがなく、どこか郷愁を誘うようなキュンとくるメロディーライン。長く聞いていても耳が疲れない楽曲が揃っているので、ぜひともボリュームを上げて楽しんでいただきたい。

 「グラフィックにはやたらと力が入っているが、肝心のストーリーは稚拙で希薄」というソーシャルゲームが多い中で、出色のデキ。キャラ萌え、ストーリー重視派の方におすすめしたい1本!

最低でもひとりは、入れ込めるキャラがいること請け合い。笑顔が素敵な王子様キャラや、一部の女性には人気がありそうなジゴロキャラ、個人的に心惹かれる毒舌暴言君主様も! お気に入りのキャラと旅ができるのが、なにより楽しい

(船津稔)