ニュース

【必見! エンタメ特報】復讐に燃えるアンジーのハマリ役映画「マレフィセント」

ディズニーの名悪役「マレフィセント」を再解釈。「超人的」で「母親」の2面性を体現

7月5日 全国公開

「LINE:ディズニー ツムツム」に登場したマレフィセントのツム

 毎日名前を聞かない日はないというくらいにヒットしている「アナと雪の女王」に続く、ディズニーの実写映画「マレフィセント」が7月5日に日本公開される。

 「アナと雪の女王」がディズニー王道のプリンセス路線の延長線上にある一方で、映画「マレフィセント」はディズニーヴィランズ(悪役)の筆頭として知られるマレフィセントに焦点を当てている。

 映画公開に合わせてモバイルゲームも活況で、映画を題材にした3マッチパズル「マレフィセント Free Fall」(iOS/Android)や、新ツムとしてマレフィセントが登場した「LINE:ディズニー ツムツム」(iOS/Android)、変わった所ではディズニーの悪役と勝負する「Disney Villains Challenge」(iOS/Android)というのもある。

 1959年に公開されたディズニーアニメ「眠れる森の美女」の最強の魔女として登場し、今もなお強烈なインパクトを持つマレフィセントだが、本作の主旨は物語をマレフィセントの視点で再解釈するというもの。従来のイメージとはまた違ったマレフィセント像が見られるので、今回はこちらの注目作をご紹介したい。

【映画「マレフィセント」予告編】

頭に角、頬骨も盛り上げて、「マレフィセント」を体現するアンジェリーナ・ジョリー。ドンピシャのキャスティングと言える

 マレフィセントは、本作では木々を操る力を持つ森の妖精として登場する。幼少期を他の妖精と楽しく過ごしていたが、平民で人間の少年であるステファンと出会うところから悲劇が始まる。

 2人は一旦は恋に落ちるが、その関係は段々と疎遠になっていく。一方で人間は支配地域を広げるため妖精界を侵略しようとしており、逆にマレフィセントは妖精界を守る番人として力を増し、君臨していた。マレフィセントは人間の最大の敵として見られるようになっていたが、そこへ成長したステファン(シャールト・コプリー)が現われる。王の座を狙う野心家となっていたステファンはマレフィセントを誘い出し、かつての恋人を騙し、妖精の象徴とも言える翼を切り落とす。

 ステファンは翼を人間界に持ち帰ると、その功績を讃えられ王の座に付くこととなるが、卑劣な裏切りはマレフィセントを絶望に追い込み、ステファンへの復讐心に燃える悪役「マレフィセント」へと姿を変えさせていく。

 そこへステファンと王妃の子供“オーロラ姫”が生まれたという知らせが届く。マレフィセントは復讐心そのままに、オーロラ姫に「16歳の誕生日の日没までに糸車の針で指を刺し、永遠の眠りにつくだろう」と呪いをかける。ただし、「真実の愛のキスだけが呪いを解くだろう」と。

堂に入った呪いのシーンは「眠れる森の美女」ファンも納得の荘厳さ。ビジュアル効果も良くできている

マレフィセント様のお城訪問シーン。酷い裏切り方をしたステファンに完全に切れてます
呪いにかけられながら天真爛漫に育つオーロラ姫。演じるエル・ファニングが太眉かわいいので今後の作品にも大いに期待

 主人公マレフィセントを務めるのは、「Mr.&Mrs. スミス」などのアンジェリーナ・ジョリー。映画版「トゥームレイダー」で見せた抜群のスタイルとアクションでララ・クロフト=アンジェリーナ・ジョリーのイメージを決定付け、あまりのハマリ役ぶりにゲーム版ララ・クロフトを見るとアンジーの影がチラつくという妙な逆流現象を引き起こした。

 その後も姉御肌な役をこなし、「チェンジリング」ではアカデミー主演女優賞にもノミネートされるなど、演技面でも高い評価を得ている。最近では夫ブラット・ピットや家族とセットで話題になることも多く、“良き母親”としてのイメージも強い。

 そのアンジーが、マレフィセントを演じるということで、そのこと自体が本作に大きな意味を与えている。というのも、本作ではマレフィセントはオーロラ姫を密かに見守る“母親”の一面を見せるからだ。

 呪いをかけられたオーロラ姫は、森の奥へと隠されて3人の妖精に育てられることとなるが、実はこの3人の妖精が“人間を育てること”に関してはてんでダメ……というのが大胆な改変で、マレフィセントは自分で呪いをかけておきながら、オーロラ姫を思わず助けてしまい、以降は遠くから成長を見守るようになる。

 復讐の対象でありながら、美しく明るい娘へと育っていくオーロラ姫に湧いてくる愛着。厳格な態度と表情に見え隠れする優しい眼差しが、「超人的」であり「母親」であるというアンジーが本来より持つ2面性に上手くフィットしている。付け加えて、近年ディズニーが取り組んでいる女性の描き方へのチャレンジが「アナと雪の女王」とリンクするところもあるので、その辺りも注目していただきたい。

 またラナ・デル・レイが歌う本作の主題歌「Once Upon a Dream」の出来が良く、「眠れる森の美女」ではオーロラ姫がまだ見ぬ男性への憧れを歌う曲だったのに対し、ダークでアンニュイな歌声によってマレフィセントが“復讐を夢に見る”恐ろしい曲へと変貌させてしまっているのも興味深い。

 なお監督は「アバター」と「アリス・イン・ワンダーランド」でアカデミー美術賞に輝いたロバート・ストロングバーグ。ビジュアルのスペシャリストというだけあって、特に妖精界やマレフィセントの扱う魔法の表現は見応えがある。それと、クライマックスにはちゃんと巨大ドラゴンも登場するので見逃さないように!

(安田俊亮)