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【必見! エンタメ特報】スーパーカーが空を飛ぶ! “本物”を追求した映画「ニード・フォー・スピード」

ストイックな男の復讐劇がテンションを牽引。警察とレーサーの追いかけっこも健在!

6月7日 全国ロードショー

 非合法の公道レースをところ構わず展開していくレースゲームシリーズ「ニード・フォー・スピード」。警察とレーサーの追いかけっこを中心に様々な変貌を遂げてきた同シリーズだが、来る6月7日に実写映画「ニード・フォー・スピード」が公開される。今回、公開に先駆けて映画を観ることができた。

 「ニード・フォー・スピード」と言えば、リアルさの追求というよりは、ラグジュアリーカーをブンブン乗り回す派手さやライバルの車をテイクダウンさせる爽快さに重点を置いたタイトルだ。そのためストーリーもあまり重視されていないようで、シリーズによってあったりなかったりといった感じである。

 実写映画版では制作に際してオリジナルストーリーを用意し、さらにCGはほとんど使わないという決断がなされている。ゲームの映画化というだけでそのクオリティが心配されるが、その決断は間違いなく良い効果を産んでおり、「ニード・フォー・スピード」のスピード狂いの世界観を継承しつつ、1つのレース映画として十分に見応えのある作品になっていた。

【映画「ニード・フォー・スピード」トレーラー】

BGM代わりに車の音を聞け! “リアルさ”にこだわる迫力のレースシーン

天才的なドライバー、トビーを演じたアーロン・ポール。アメリカのテレビドラマ「ブレイキング・バッド」で人気を得た
超スーパーカー、ケーニグセグ・アゲーラRが3台並んでレースを展開!

 映画の主役となっているのは、やはりそのレースシーンだ。空撮からドライバーの主観、車体の間近からと様々にショットを切り替えながら、レースの模様を刻々と追っていく。BGM代わりに車の音を聞け! と言わんばかりにレース中はエンジン音、ブレーキ音、タイヤの擦れる音が唸るように響き渡る。

 映画に登場する車体は主役車体のシェルビー・マスタングをはじめ、ランボルギーニ・エレメント、サリーンS7、マクラーレンP1、ブカッティ・ヴェイロン、GTAスパーノ、そしてケーニグセグ・アゲーラRと、実写化にしてそれこそゲームと同様の豪華ラインナップだ。しかも映画内では本当に車をぶっ壊しているので(さすがに実際に壊しているのはレプリカだが)、現実離れした、しかし“本物”のカーアクションは迫力満点の映像となっている。

 そしてこれらのアクションを繋ぐのは、レースの借りをレースで返す、超ストイックな男の復讐劇を描いたストーリーだ。主人公は天才的なドライビングテクニックを持ちながら、借金だらけの自動車修理工場を営むトビー(アーロン・ポール)。週末の非合法レースで勝って賞金を得ることだけがプライドと工場を守る手段だったが、プロのレーサーで嫌味なディーノ(ドミニク・クーパー)に弟分を殺された上、罪をなすりつけられ、トビーは怒りに燃える男へと変貌していく。

 トビーが選択した復讐の方法は、ディーノも参加するアメリカ最大のストリートレース「デレオン」に参加してディーノを打ち負かすこと。しかし「デレオン」に参加するためには、主催者のモナーク(マイケル・キートン)の目を惹きつつ、さらに45時間でニューヨーク州からサンフランシスコまでアメリカ大陸を横断しなくてはならない……。

 主催者の目を惹くためには、街中でド派手なレースを展開して中継されればいい。そこでトビーは道中でわざと警察を挑発し、仮出所中にも関わらず思いっきり目立つ。当然指名手配犯に逆戻りだが、「ニード・フォー・スピード」らしい警察とレーサーの追いかけっこも挟みつつ、賞金稼ぎにまで追われながら、街中から山岳地帯まで様々なロケ地を爆走する。

レーサー同士の対戦、警察との追走劇、「ニード・フォー・スピード」の要素を映画的に上手く昇華させて迫力を生んでいる

 監督・製作総指揮・編集を担当したスコット・ワウは、スタントパフォーマーの家系に育ち、自身もスタントマンの出身。そのリアルさへのこだわりは確かなもので、迫真のカーチェイスを特殊撮影を用いずに制作された「ブリット」、「フレンチ・コネクション」、「バニシング・ポイント」といった映画へのリスペクトを捧げている。

 ヘリコプターにワイヤーで吊るされたり、160フィートに及ぶジャンプをしたりと車を頑張らせすぎのスタントも見られるが、車から放たれる様々な音やギリギリを攻める車体のスピード、そして車体が破壊されるカタルシスが何よりも監督の本気度を感じさせてくれる。

 ちなみに劇中で登場人物がプレイステーション 4版「ニード・フォー・スピード ライバルズ」をプレイするシーンもちらっと映るので、ゲーム版のファンはそちらも注目してみるといいだろう。

(安田俊亮)