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【特別企画】「TESO」をプレイせずにMMORPGを語るなかれ!

「新生FFXIV」や「LOTRO」と比較してわかる最新のニーズに応えるMMORPGの“形”

4月4日発売

価格:5980円(税別)

 「The Elder Scrolls Online(TESO)」は、「Skyrim」や「Oblivion」などの“The Elder Scrolls”シリーズの面白さを受け継ぐMMORPGである。北米の人気は高く、日夜たくさんのプレーヤーがこの世界“タムリエル”を行き来している。

 「TESO」は今後、Xbox OneやPS4版の発売が北米では6月に予定されており(日本は未定)、さらなる盛り上がりも期待されている。今回まずは、この最先端のMMORPGを、純国産であり、「TESO」と同じように、ワールドワイドに展開するフルスペックのMMORPGである「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(「新生FFXIV」)」と「ストーリーテリング」、「バトル」、「インターフェイス」の3つの視点で比較してみようと思う。

 そして「TESO」の魅力をもう少し彫り下げた後、本作の大きな特徴である「RvR」がどの時間帯でも盛んに行なわれていることが確認できたので感触をお伝えしたい。特徴部分では、筆者がかつてはまった「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」の「RvR」と比較もしてみたい。

“The Elder Scrolls”シリーズの楽しさを受け継ぐ「ストーリーテリング」と「バトル」

ストーリーテリング

「TESO」はその重厚なファンタジーの世界観に魅力がある

 「新生FFXIV」と「TESO」はどちらもクエストを続けていくことで濃いメインストーリーが展開していく。「新生FFXIV」は世界の危機に深刻に悩み、語りかけ、感情に訴えかける。カットシーンではキャラクターが表情豊かにしゃべり、背景が描かれる。強く感情を揺さぶられグッと世界に引き込まれるストーリーと、“優しさ”を感じさせる世界の雰囲気が「新生FFXIV」にはある。

 一方、「TESO」の世界はかなり殺伐としている。人々の死や、村の破壊、権力者の対立や暗殺の横行など世の中は荒廃しており、異世界からの侵略である“楔”が地面に打ち込まれ禍々しい生き物が闊歩している。演出を比較すれば、派手なカットシーンや、かわいらしいキャラクターもなく地味なところがある。しかし地下墓所の禍々しさや、魔法の邪悪さといった骨太なファンタジー観に加え、空が紫色に輝き渦を巻く様な異世界の表現、猫やトカゲの直立した種族が闊歩するなど、「The Elder Scrolls」シリーズならではの世界観がたまらない魅力となっている。

 “感情を揺さぶられる”という点において、「新生FFXIV」は場面とBGMの融合、そして凝ったカットシーンがやはり素晴らしい。特にボス戦は心を燃え立たせる熱さがある。一方の「TESO」は、罪人が首と手を固定されさらし者にされていたり、生け贄の祭壇の恐ろしさなど、細かいところで圧倒的なリアリティと説得力があって、ここも大きな魅力だ。

 冒険者の道のりも大きく異なる。「新生FFXIV」はある程度クエストをこなしていくと飛空挺とテレポを使って3つの国家を行き来するのに対し、「TESO」は3つの勢力は戦争状態にあり、各国で独立したストーリーが描かれ、プレーヤーは他の勢力の地には行けない。1つの勢力の元、徐々に探索できる世界が広がっていく形になる。

 「TESO」に関しては筆者のプレイ状況はまだレベルキャップもほど遠いのだが、かなりのボリュームを感じている。そして何より「Skyrim」に共通するプレイ感触が心地良い。次のクエストを目指していく中で通りかかった人や、幽霊にクエストを依頼されたりする。未知の地域を探索すると思わぬ冒険に遭遇したりする。偶然で広がる冒険が楽しい。

【ストーリーテリング】
左が「新生FFXIV」、右が「TESO」。キャラクターの描写や、ド派手なカットシーン、音楽が盛り上げるバトルシーンなど「新生FFXIV」の演出は練られている。「TESO」は無骨さが味であり、異世界の“異質さ”やグロテスクなモンスター表現なども楽しい

バトル

居合わせたプレーヤーとの共闘がたまらなく楽しい

 バトルに関して、「TESO」と「新生FFXIV」ははっきりとベクトルが異なる。「TESO」は1つのクラスに複数のスキルがあり、同じクラスでも組み合わせで全くプレイスタイルが異なる。ショートカットの数は少なく、決められたスキルを強化していく形となる。一方、「新生FFXIV」は徐々にスキルが増えていき、コンボやパーティプレイでの役割を覚えていくことになる。比べると「新生FFXIV」の方が、よりテクニカルな感じだ。

 「新生FFXIV」はやはりパーティプレイが楽しい。ダンジョンのギミックを覚えて、自らの役割をしっかりとこなすゲームとしての楽しさがある。上級者向けコンテンツはシューティングゲームの様な弾避け要素もあり、エキサイティングだ。

 「TESO」はソロプレイが中心である。パーティをしっかり組んで行くのではなく、その場で偶然居合わせた人と共闘する。このゆるい共闘システムは、筆者はかなりのお気に入りである。

 ただ、「TESO」にも役割をきちんと決めて戦うインスタンスダンジョンが用意されている。レベル15周辺で1つ登場したのだが、タンク1、ヒーラー1、DPS2でなくては攻略できないバランスで、ボスはサイドステップでかわさないと即死させられる攻撃をしてきた。実はうまく仲間が集められず、現在、このダンジョンは放置している。

 「新生FFXIV」でもそうだが、これまでのMMORPGではパーティ必須のダンジョンは必ずメインクエストに組み込まれておりクリアできないとストーリーが進まなくなっているというのが“お約束”だった。ところが、「TESO」ではこれがクリアできなくてもストーリーが進められている。今後、こういったかっちりした攻略を求めるダンジョンの比重がどのくらいになるのかは確かめていきたいところだ。

【バトル】
パーティでのかっちりした攻略が求められる「新生FFXIV」(左)と、その場の共闘でゲームが進んでいく「TESO」。右下は連携が求められるパーティ専用のインスタンスダンジョン。今後こういったダンジョンが増えていくのだろうか?

インターフェイス

 インターフェイスに関しては、「新生FFXIV」にはっきりと軍配が上がる。「TESO」の通常画面ではミニマップが表示されず、プレーヤー達は頻繁にマップを開かねばならない。デザインも全体的にシンプルすぎる。このため非公式のアドオンが出回っているという現状もある。「TESO」はデザインも無機質で、まだまだ改良の余地があると思う。

 「新生FFXIV」のインターフェイスはデザインも豪華で使いやすい。特にゲームパッドでの操作のしやすさはスクウェア・エニックスならではだろう。そしてパーティ募集機能に関しては、「新生FFXIV」の「コンテンツファインダー」は見やすく便利だ。自分が何のダンジョンを攻略したいかを簡単に指定でき、協力者が募れるこの機能はとても使いやすい。「TESO」にもパーティ検索機能はあるが、もっと見やすくして欲しい。

【インターフェイス】
通常画面。右の「TESO」はミニマップがなくクエストトラッカーも使いにくい。ユーザーがアドオンを制作しており使いやすくしていくMOD文化を受け継ぐ設計となっている
左が「新生FFXIV」の「コンテンツファインダー」。コンテンツが見やすく、デザインも良い
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(勝田哲也)