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【スマホアプリ今日の1本】静かで知的なブロック積み上げパズルiOS「Drei」
言葉のない協力プレイが「風ノ旅ビト」を想起。IGF Awards「Visual Arts」ノミネートの優秀作
(2014/4/3 00:00)
GDC 2014で開催されたインディーズ部門アワード「2014 The Independent Games Festival Awards」では、PCゲームタイトルだけでなくモバイルゲームからもノミネートされていた。今回紹介するiOS「Drei」は、惜しくも受賞を逃したものの、Excellence in Visual Artsのノミネート作品だ。
「Drei」は、スイスEtter Studio開発によるパズルアクションゲーム。価格は100円。プレーヤーはブロックをクレーンのように持ち上げられる謎の物体を操りながら、指定されたポイントまでブロックを積み上げてステージをクリアしていく。
ブロックは長方形、三角形と様々に登場するが、上下左右に動かせるものの、前後には移動できない。3Dで表現されているが、実質的に2Dの中でブロックを持ち上げて降ろすという作業を繰り返してパズルを解いていく。最初は積み荷を運ぶようにブロックを重ねていくだけでいいが、円型のブロックが出てきたり、ブロックが当たると跳ねる床が登場したりと、難関が増える。ブロックを積む位置や順番、方向などを考えながら上を目指すというシンプルなパズルだ。
Excellence in Visual Artsにノミネートされるだけあって、ゲーム画面はモノクロで表現されていてすっきりとしている一方で、プレーヤーの分身は奇妙ながらもカラフルな造形となっており、そのコントラストが印象深い。ゲームは日本語に対応しているものの、ほとんど言葉は登場しないので静かで知的な雰囲気も感じられる。
淡々とステージを進めていくだけでも楽しいのだが、「Drei」には自動マッチングのマルチプレイ要素があり、他人と出くわすことでゲームの印象がかなり変わるという側面も本作は持っている。
自動マッチングと言っても、他のプレーヤーは見た目が異なるものの名前が表示されるわけでもなく、「わーい」や「ハロー」といった最低限の感情表現ができるものの、チャットができるわけでもない。1ステージに参加できるのは最大3人までで、ドイツ語で3の意味を指すタイトルはここから来ている。
ステージは1人でもクリアできるようにできているが、3人でクリアすればより楽しい。コミュニケーション手段はほぼ行動のみという縛りの中で、どういう場所にどういう順番でブロックを置けばクリアできるのかを探らなくてはならないのだが、誰がどういう行動をしたいのかはわからないため、自ら行動してみたり、相手の行動を読んで合わせてみたり、色々と試してみる必要が出てくる。
みんなでごちゃごちゃやっている内に解法がわかったりするので、そうすれば率先してブロックを積んでいけばいい。相手が思い通りに動いてくれない場合もあるが、クリアした時は「3人でクリアした」という実感が出てきて嬉しさも3倍だ。なお感情表現は、ステージクリアごとに「しまった」や「バイバイ」といったものが増えていく。
このマルチプレイの感覚は他のプレーヤーと出会うことがありながらも特にコミュニケーション手段が用意されていない「風ノ旅ビト」のマルチプレイに非常に近く、「パズルを解く」という目的に上手く応用していると言える。誰とも言えない人と、ほぼ言葉も表情も介さないコミュニケーションが築き上げられていく。それは不便なようでいて、プレーヤーの想像力によっていくらでも補えてしまうところがまた楽しかったりする。1人よりは誰とも言えない2人と協力するのが個人的には好きだったため、本作をプレイする場合は通信環境のある場所でのプレイをオススメしたい。