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「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・オヤー'13/第19回AMDアワード」発表
ゲーム関連では「艦隊これくしょん ~艦これ~」、「信長の野望 創造」が優秀賞受賞。総務大臣賞は「『進撃の巨人』プロジェクト」
(2014/3/18 21:33)
社団法人デジタルメディア協会は、デジタルコンテンツを対象とした表彰式「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'13/第19回AMDアワード」を発表。「大賞/総理大臣賞」は、原作コミックとアニメーションなども含めた「『進撃の巨人』プロジェクト」が受賞した。AMD理事長賞は本田技研工業、電通による「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」。
「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'13/第19回AMDアワード」は、2013年1月1日から12月31日までに日本国内で発売/発表されたデジタルメディアにて表現されるコンテンツ、及び国内/海外展開された作品が対象となる。デジタルコンテンツ産業の発展と、その人材育成を目的としており、実行委員会の指名したサポーターによる推薦作品を別の審査会が審議し決定する。
「デジタルメディアで表現されたコンテンツ」ということで、毎年幅広い話題から受賞作が選定される。昨年は、アニメーション映画「おおかみこどもの雨と雪」が総務大臣賞を受賞し、優秀賞にはゴールデンボンバーといったグループから生粋のゲームタイトルである「パズル&ドラゴンズ」まで選定されている。ちなみに過去では秋元康氏が「AKB48 コンセプト」で受賞している。こういったことから、GAME Watchでは基本的にゲーム関連の話題に絞ってお伝えする。
大賞にあたる総務大臣賞は優秀賞の中から選出される。今年ゲーム関連で優秀賞に選出されたのは「艦隊これくしょん ~艦これ~」と「信長の野望 創造」の2タイトルだが、推薦作品としては「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」、「魔法使いと黒猫のウィズ」、「GOD EATER 2」、「『太鼓の達人』シリーズの応援キャラクターに『ももいろクローバーZ』が就任」、「誓いのキスは突然に」、「ポケットモンスター X・Y」、「モンスターハンター4」、そして美しいグラフィックスでここのところ話題を集めているiOS「Tengami」も選出されている。
そんな中からも優秀賞に選出された「艦これ」の受賞理由は、対照的なキャラクター「艦娘」を登場させることで、これまでの艦艇ファンだけでなく従来のブラウザゲームを遙かにしのぐユーザーを獲得。艦艇と艦娘やキャラクター関係についても想像をかき立てられ、ブラウザゲームにとどまらず多岐に展開するコンテンツの展開として、「まさにこうあるべきという事例そのもの」と評している。
受賞に際して壇上に上がったDMM.comの艦これプロジェクトチーム岡宮道生氏は「角川ゲームスの田中謙介氏と、ちょっとマニアックでもいいから遊びたいゲームを作ろうという話からスタートした。おかげさまで大きくなり、これも提督の皆様のおかげです。皆さんの期待に添うよう内容を充実していきたい」とコメントした。
一方、コーエーテクモゲームスの「信長の野望 創造」の受賞理由は、「日本のゲーム産業において和思考型ゲームのジャンルを確立、成功させた」とし、もし「信長の野望」が無ければゲームの歴史は今とは少し違っていただろうと評価。その30周年を迎えるシリーズ14作目の今作は、「これまでの立場に安閑とせず挑戦を続けており、そのチャレンジ精神と歴史の重みを称える」としている。
授賞式に出席したプロデューサーの小笠原賢一氏は、「30周年を迎えた年に発売できた今作は、戦国時代をリアルに体感できるといったところも指示していただき、発売日のセールスがシリーズ最高を記録しました」と好調さを明らかにした。そして「ユーザーの皆さんの期待に応えるべく、40年、50年と新しい信長シリーズを提供できるよう、時代に合わせたチャレンジをしていき、デジタルコンテンツを通じて新しい価値と文化の発展・振興に寄与していきたい」と挨拶した。
総務大臣賞は前述の通り「『進撃の巨人』プロジェクト」だが、表彰のために挨拶に立った総務省の桜井 俊 総務審議官は「質の高さはもちろん、コンテンツの多様性を感じた。いずれも素晴らしいデジタルコンテンツの優秀さを現わしている。政府ではクールジャパンを重要施策として官民一体で海外展開を行なっている。デジタルコンテンツが盛り上がり、他の産業も日本全体として盛り上がってほしい」とかたり、引き続き、政府としてもデジタルコンテンツへの支援を続けていく意向を示した。
今回の受賞作を振り返ると、AMD理事長賞を受賞した「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」も、優秀賞を受賞した「ニコニコ超会議」にしてもデジタルだけで完結するわけではなく、リアルと繋がっている点に注目が集まっていることがわかる。ゲームはデジタルの世界の中で完結するように思われがちだが、リアルとの接点で様々な変貌を遂げている先端のメディアだ。そういった意味では来年は新たなメディアの登場がゲームを起点に起きて欲しい。
【AMD理事長賞】
1989年の鈴鹿サーキットでのアイルトン・セナの走行データを元に、コースにスピーカーを設置し、その当時のエンジン音を再現して見せた1大プロジェクト。
受賞した本田技研工業の三河昭広氏は当初企画書を見たときは「インパクトが大きく、冗談かと思った」と振り返った。その一方で、絶対に実現しなければと思ったといい、なかなかデータとエンターテイメントは結び付きにくいが、今回のプロジェクトの成功で今後も様々なデータを活用することで世の中の役に立つ情報を提供すると共に、エンターテイメントにも繋げたいと挨拶した。
昨年まで審査委員長を務めていた浜野保樹氏が1月に亡くなられたことを受け、特別功労賞を受賞。MacにCD-ROMが搭載されたマルチメディア黎明期に何度かお話しさせていただいたことがあるが、豪快でありながら、デジタルコンテンツをより高みに押し上げるという想いを強力に推し進めていくパワフルな方だった。今回の授賞式では襟川会長の下、敬意を表し黙祷が捧げられた。ご冥福をお祈りします。