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【特別企画】フィギュアの革命、「ねんどろいど」その歴史と未来
ねんどろいどの“スタンダード”を提示した2008年の“初音ミク”
(2014/3/18 00:00)
ねんどろいどの“スタンダード”を提示した2008年の“初音ミク”
――こういった企画者や原型師がこだわって作った作品を“量産”するのは、とても難しいのではないでしょうか。
月山氏: 原型は企画が考え、原型師が実際に形にするのですが、顔を交換するための機構など、内部設計は工場と話し合って決定していました。しかし工場によって考え方や設計が違っていました。そのためいくつもの工場で製品を作り出すに当たり、こちらがリードしてシリーズとしての仕様を統一していくという事に苦労しました。
「ねんどろいどネコアルク(換装!謎のジェット飛行編)」からスタートし、「ねんどろいど涼宮ハルヒ」で初めてねんどろいど独自のディフォルメデザインをするに至り、頭部中心にシリーズ共通フォーマットを作り出したのが2008年に発売したシリーズ33番目の「ねんどろいど初音ミク」です。ここで生産のノウハウや素材、ねんどろいどの規格、共通仕様が決まりました。
初期のねんどろいどは頭部が重く、飾り付けが少し難しいというご意見もいただいたため、「ねんどろいど初音ミク」は、よりディスプレイ性を重視した設計としました。頭部を中空にして軽量化しています。顔の差し替えギミックなども規格が統一されています。
また、こだわりという点では、ねんどろいどシリーズは髪の毛のグラデーション彩色にもこだわっています。一般的にディフォルメフィギュアだと髪の塗装も簡素なものになりがちだったのですが、髪の毛を美麗なグラデーション彩色することにより、スケールフィギュアのエッセンスを取り込んだクオリティになりました。
カホタン氏: ねんどろいどは主に中国の工場で作られているのですが「ねんどろいど」シリーズが始まった当時、色の指定や塗り分けに関しては、弊社代表(グッドスマイルカンパニー代表取締役 安藝貴範氏)自ら工場に向かい、色やライン管理に関して話をしに行ったということも聞いています。
この「ねんどろいど初音ミク」は“再販数”でダントツの人気商品になりました。それまで「ねんどろいど」を知らない、という人にも知っていただけた商品になりました。初音ミクというキャラクターの代表的な商品として、金型を再使用できなくなるほどに量産を重ねたねんどろいどともいえます。
……これは裏事情っぽいものですが、そういった背景もあり、かつ「新しいスタンダードを作ろう」、ということで再び「初音ミク」に挑戦したのが2013年に発売されたシリーズ300番目の「ねんどろいど初音ミク 2.0」になります。
――個人的にはねんどろいどとfigmaというグッドスマイルカンパニーとマックスファクトリーの2つのフィギュアシリーズが初音ミクの人気を加速したんじゃないか、という想いがあります。
カホタン氏: クリプトン・フューチャー・メディアさんから音声合成・デスクトップミュージック(DTM)の「初音ミク」が2007年8月31日に発売されて、ほぼ同時にニコニコ動画も盛り上がっていたそうです。グッドスマイルカンパニーの企画からもその盛り上がりの黎明期に「うちでフィギュア化しよう」という声が上がりました。2007年11月下旬までに「初音ミク」のねんどろいど化の発表とデコレーションマスターの公開、受注予約開始までを行なっています。これはねんどろいどとしても異例の速さだったと社内では伝えられています(笑)。
通常のねんどろいどの原型を作るのにはだいたい4カ月かかるんです。それをふまえても2カ月というのはホントに異例です。ただ、この進行の速さもヒットに繋がったのではないでしょうか。「初音ミクのフィギュアが欲しい!」とユーザーさんが思った瞬間、その商品が注文できるという環境が作れたのだと思います。