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ネクソン、「マビノギ英雄伝」開発・運営インタビュー

新キャラクター「ハルク」を12月18日に実装。日本運営も今後大きな変化が

12月18日実装予定

 ネクソンはMORPG「マビノギ英雄伝」において、12月18日新キャラクターハルクを実装する。ハルクは自分の身体よりも大きな剣を使うパワーファイターで、これまでの「マビノギ英雄伝」にはないタイプのキャラクターとして注目を集めそうだ。

 今回実装に先がけ、韓国NEXON 英雄伝室長のイム・ドックビン氏と海外PM4チームのキム・ヒョンジュン氏にインタビューを行ない、ハルクや今後の実装コンテンツ、これまでの「マビノギ英雄伝」について話を聞いた。

 さらにネクソンとして今後「マビノギ英雄伝」に一層注力していくと言うことで、ネクソン運用部本部長の山崎克臣氏、運用部運用1室室長の石川奈緒氏に今後の取り組みを聞いた。

パワーファイター「ハルク」登場。来年3月には1対1の闘技場での対戦も

韓国NEXON 英雄伝室長のイム・ドックビン氏
海外PM4チームのキム・ヒョンジュン氏
新キャラクターハルク。パワフルさと、敵の攻撃をはじき返すテクニカルさを併せ持つ

――日本ではサービスを開始してから2年、韓国では4年となる「マビノギ英雄伝」ですが、サービスを開始してからオンラインゲームの状況は変わってきています。どんな感想をお持ちですか?

イム氏: 韓国では2009年1月からです。サービスを“持続”させるには苦労がありましたが、ずっと作品を好きでいてくれるプレーヤーに支えていただいています。「マビノギ英雄伝」は“MOアクションの代名詞”と言われるような作品を目指してこれからもやっていこうと思います。

――最近、韓国ではプレーヤーが増えていますか? それとも減っているでしょうか?

イム氏: やめる人もいますが、新しくプレイする人も出てきて、総数としては一定量を維持していて、大きく数字が上下するという感覚は無いですね。一定の人気を獲得している実感を持っています。

 やはりプレーヤーは「マビノギ英雄伝」の“打撃感”を気に入っているようですね。アクションゲームとしての敵との駆け引きと、攻撃を当てたときの感触を評価して貰っています。私達としても“極限の打撃感”を実現させるために、ここに最も力を注いでいます。たとえ離れても、「やっぱり『英雄伝』のこの打撃が良いんだよな」と戻ってくるプレーヤーも多いんですよ。

 そしてグラフィックスです。キャラクターを含めてヴィジュアルが生む迫力は最新タイトルにも負けていないと思います。「マビノギ英雄伝」の独特なセンスと、グラフィックスが好きだ、という人は多いですね。

――4年間で、「マビノギ英雄伝」は大きな変化というのはあったでしょうか? こういったことで作品の方向性がはっきりと決まった、ということはありますか?

イム氏: エピソード8で、“レイド”コンテンツが入ったときでしょうね。それまでは4人パーティーでの冒険でしたが、レイドコンテンツでは8人の戦いができるようになりました。ここからレイドコンテンツが充実していくことになります。

 様々な魅力を持つ「マビノギ英雄伝」ですが、レイドの登場はより人数の多い協力プレイというプレイスタイルや、大型モンスターに24人で立ち向かうとことによりさらに打撃感の表現もより深めていけるようになったと思っています。このレイドの登場で「マビノギ英雄伝」は大きく盛り上がった実感がありますね。

――開発の予想を超えて評価された意外なコンテンツ、というものはあったでしょうか?

イム氏: 「ベラ」ですね。「リシタ」とおなじ二刀流で戦うスピーディな女戦士なのですが、韓国と日本で大きく受けたんですよ。リシタと同じ武器なのでどう変化させるかでこちらも苦労したのですが、予想を超えた好評を得ました。ベラのよりスピードを活かし戦い方と、剣で切り裂く感触が評価されたんだと思います。

――日本担当であるキム氏にとって、思い入れがあるアップデートはありますか? 日本のプレーヤーに向けて特に力を入れたようなものはありますか。

キム氏: タイアップが強く印象に残っています。個人的に「ソードアートオンライン」が大好きだったので、この作品とタイアップができたときは特にうれしかったですね。アニメーションなどのタイアップは日本先行になるものが多く、日本のプレーヤーの反応は楽しみでした。

 日本のアニメは他国でも放映されており、他国でのタイアップも視野に入れながら、私自身たくさんのアニメなども見て勉強しています。どうすれば「マビノギ英雄伝」に活かせるか、どういったものをピックアップしていくか、そういったことを考えてアニメを見ていたりしてます。タイアップは色々なスタッフと話し合いながら実現した、思い入れの深いコンテンツです。

――それでは新コンテンツについてお聞きします。日本では12月に実装の新キャラクター「ハルク」ですが、韓国の人気はどうですか?

イム氏: 韓国では夏に実装したのですが、人気は高いですね。「ハルク」は「マビノギ英雄伝」の最初から登場を予告されていたキャラクターでした。このため、韓国のファンの間では登場を待ち望んでいた人が多かったのです。

 ハルクに関しては、公式HP上で彼にまつわるストーリーを紹介するなどこれまでのキャラクター以上に背景を掘り下げています。これは私の方針で今後キャラクターの背景を厚めにしていこうと思っています。ハルクに関しては実装1カ月前からストーリーを少しずつ紹介するようにしました。

 韓国ではこの冬から他のキャラクターに関しても同じようにストーリーを掘り下げていきます。ゲーム内のクエスト、という形ではなく、公式ページのコンテンツとしてバックストーリーを紹介していこうと思っています。今後公式ページ以外でも様々なコンテンツを使って紹介していこうと考えています。開発内部の設定として簡単なストーリーはあったのですが、よりクオリティを上げて提供していきます。

――ハルクと同じ重量級のキャラクターとしてカロックがいますが、ハルクはどのように差別化を行なっているでしょうか。

イム氏: カロックは力にものを言わせ、がむしゃらな戦いをするスタイルですが、ハルクは敵の攻撃を見切り、カウンターを食らわせるような洗練された戦い方をします。このためプレーヤーテクニックを必要とします。

 特に「ストライクバック」というスキルは、敵の攻撃をはじき返すものですが、敵の攻撃のパターンを見切ってないと難しい。これまで他のキャラクターでプレイしている人ならば経験が活かせると思います。

キム氏: ハルクの身長はカロックと変わらない大きなものとなります。ただ横幅は細く、カロックと比べるとスリムですね。長身のキャラクターが自分の身長と同じくらいの剣を振るう姿はとてもダイナミックで、迫力のあるものになっています。彼が巨大なモンスターと渡り合う姿はとても見応えのあるものになります。

 格闘ゲームなどゲーム世界において男性キャラクターの打撃感は特に重要視されている部分ですが、ハルクは私達開発が特にこだわって攻撃の演出や爽快感にフォーカスしてみました。「マビノギ英雄伝」の魅力である打撃感を特に感じてもらえるだろうと思っています。

イム氏: 「ハルクは武器を振り回す」というイメージを強く打ち出したキャラクターです。ハルクの方がカロックより足が長く、よりカッコイイキャラクターであると言えるかもしれませんね。

――今後追加されていくコンテンツを教えてください。

イム氏: まず、2014年3月に実装予定となる「PVPアリーナ」です。「マビノギ英雄伝」ではこれまでチーム対戦やデスマッチなど様々な対戦を入れてきましたが、「PVPアリーナ」は1対1の戦いとなります。本作のアクション性を活かしながら、これまでとは一味違った戦い方を体験して欲しいです。

 キャラクターバランスに関しては、韓国の実装でも調整しましたが、今後も継続して試行錯誤していく予定です。対戦で勝つことでポイントを入手でき、このポイントを使って様々な報酬アイテムを入手できます。対戦で強くなる装備や、見た目が変わる装備ですね。

キム氏: 対戦を望むプレーヤーは順番に並ぶことになり、戦闘のプレーヤー以外は観客席にいることになります。まさに闘技場そのままのシステムなのです。対戦は勝ち抜き方式で勝った人は闘技場にとどまり、挑戦者を待ちます。対戦希望者は闘技場の観客席で戦いを見守り、そして勝者に戦いを挑んでいくのです。

――もう1つ、「チャールズトレイン」というものがあるようですが、これはどのようなものですか?

イム氏: こちらは11月21日に実装された、「SEASON 2 Episode3」の追加要素となる「ミニゲーム」で、こちらの実装も2014年3月を予定しています。プレーヤーはトロッコに乗って戦います。通常の操作と異なり、FPSタイプのオブジェクトを壊していくコンテンツです。トロッコに設置されている武器で敵やオブジェクトを撃っていきます。

 このチャールズトレインは開発にかなりリソースを割きました。これだけのボリュームのあるコンテンツを今後も次々と出すというのは少し難しいかもしれませんが、色々盛り込んで行ければと思います。その前のEpisode2ではNPCチャールズと競争をする「チャールズレース」というものも入っています。

キム氏: 「チャールズレース」は長いダンジョンの最後のギミックとして入れたのですが、コンテンツとしてその遊びまでが到達しにくいものでした。この反省から「チャールズトレイン」は独立したコンテンツとして遊べるものにしました。報酬としてスキルのランクアップに使用する「アビリティポイント」が入手できるので人気のコンテンツとなると思います。

【ハルク】
孤児として生まれ、息子のようにかわいがってくれた鍛冶屋も亡くしてしまい、傭兵として生きているハルク。バックストーリーは公式ページで語られるという

【PVPアリーナ】
1対1の対戦が楽しめる。来年3月実装予定だという

【チャールズトレイン】
こちらも来年3月実装予定。FPSのようなミニゲームだ

(勝田哲也)