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WIN「ドラゴンクエストX」ファーストインプレッション

Wii/Wii U版ユーザーから見たWIN版の魅力

発売日:
9月26日
価格:
3,990円(パッケージ版/DL版、20日間無料利用券つき)
Wii/Wii U版ユーザー視点でWIN版の魅力に迫る!

 6月のニコニコ生放送「ドラゴンクエストX TV」番組内で発表されたWindows版「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」。昨年8月よりWii/Wii U版をプレイ中の筆者は、当日の番組をオンタイムでチェック。戦闘をサポ任せにしつつ、放送に見入っていた。

 WIN版は、放送当日のゲーム内チームチャットでもよく話題にのぼった。内容の9割は「(ベンチマーク内で「じゃんぼりぃ」ちゃんが持っていたスペシャルパック特典の)傘すっげーいい! 超欲しい!!」だった気もするが、そのほかにも「WIN版どうしようかなー」、「この機会に2アカにすべきか」など、さまざまな意見が聞かれた。反応は人それぞれという感じではあったが、Wii U版の情報が出たときと比べるとおおむね落ち着いていた感がある。

 というのも、既存ユーザー、特にWii U版をプレイ中のユーザー視点でいえば、WIN版はそこまで「何かが変わる」というものではなかったからだ。筆者も「うーん、PCでプレイできるのはいいけど、Wii U版に不便とか感じてないし」と、Wii版からWii U版に移行したときのように積極的にはなれなかった。前述のスペシャルパック特典「赤い傘」には物凄く惹かれたが、「どうしたものか」と迷っているうちに各店舗やネットショップで瞬殺というありさまで、こちらはすぐにあきらめがついた。

 そんなこんなで9月より配信が開始されたWindows先行体験版。「合間に少しくらい触ってみようかな」とは思っていたが、3キャラぶんの討伐、魔法の迷宮、職人納品、チームクエストなどなど、日課で忙しく流されていくアストルティアの日々。そんな矢先、GAME Watch編集部より「Wii/Wii U版ユーザーから見たWIN版レビュー」というご依頼をいただいた。仕事でもないのに延々とプレイ(9月16日現在:3キャラ合計で約3,260時間)していることは伝えていたので、そのあたりで白羽の矢が立ったのだろうか……。

 なにはともあれ、せっかく頂戴した機会なので「Wii/Wii U版をプレイ中のユーザー」から見たWIN版について、僭越ながらレビューをお届けしたいと思う。なお、WIN版の正式サービスは本日(9月26日)より開始されるが、本記事中のスクリーンショットはWindows先行体験版のものを使用している。あらかじめご了承いただきたい。

ハード視点 ~60fpsでヌルヌル動く!~

 PC用のスクウェア・エニックスアカウント取得、クライアントのダウンロードとインストール、アップデートと環境設定を終えたら、早速オンラインモード……と思いきや、新規アカウントなのでオフラインモードのプレイ(Wii/Wii U版でオンラインモードにたどり着いているアカウントならオフラインモードを飛ばせる)が必須。余談ながら、筆者のPC環境(Windows 7、i7-3770K、メモリ16GB、GeForce GT 640)では解像度1,280×720ドット、60FPS、最高品質が最適とされた。筆者のPCはヘヴィなPCゲーム向けには組んでいないため、最新パーツを搭載したPCをご使用中の方々は、恐らく筆者より上の解像度で快適にプレイできるのではないだろうか。

 さて……なつかしのエテーネの村。「どこで何をやったか全然覚えてないなぁ。まぁ赤い(マーカーの)人に話しかけりゃわかるか」とキャラクターを動かした瞬間……「えっ、なにこれ?」と驚いてしまった。Wii/Wii U版の30fpsに対して、WIN版は60fps設定が可能。前述の推奨設定で60fpsにしていたことを失念していた筆者は、あまりに円滑なモーションに、正直ちょっと驚いてしまった。グラフィックスのクオリティはWii U版とほぼ一緒なのだが、60fpsで滑らかに動くキャラクターやモンスターは、冒険の臨場感を1段階上のものにしている。

 いまや討伐売りで大賑わいのメギストリスでも、WIN版の表示能力はいかんなく発揮される。視点を動かすたびにプライオリティが高いシンボルが表示されていく点は一緒だが、Wii U版に比べるとWIN版は実にサクサクと快適そのもの。人気の討伐を買う行列の最中も、これなら少しは気分よくなるかも……!?。

 WIN版の快適さは、このほかにもある。SSDにインストールした影響もあるのだろうが、フィールド切り替えの暗転時間がWii/Wii U版に比べて圧倒的に早い。Wii/Wii U版はどうしても「ただいまデータを読み込んでおります。少々お待ちください」感があり、このあたりも我々Wii/Wii U版ユーザーに訴求するポイントの1つと言えそうだ。

 操作系については、PCゲームに慣れた人ならキーボード操作に不満は感じないはず。唯一注意する点としては、チャット入力のデフォルトがダイレクトになっていないこと。また、ゲームコントローラーを接続しているとダイレクト入力が不可となるほか、環境設定の反映がランチャーのみでゲーム内では行なえない点にも留意しておくといいだろう。

ベンチマークで動作環境をチェック。筆者のPCでは1,920×1,080ドットで最高品質は厳しかった模様
1,280×720ドットであれば最高品質、60fpsでプレイできる。画質と解像度を下げれば低スペックノートでも十分遊べる
PC用のUSBコントローラーに対応。筆者は市販のコンバーターを介してWii U移行で使わなくなったWiiプロコンを再利用
WIN版はオフラインモードのプレイが必須。小一時間もあれば終わるのでサクっとやってしまおう
60fpsの滑らかさはWIN版ならでは。最高解像度と最高品質でプレイすべくグラフィックボードの新調を考えてしまうくらい魅力的

コンテンツ視点 ~2アカウントの甘い誘惑~

 ゲーム内のコンテンツについては、当然ながらWIN版、Wii/Wii U版で差はない。強いて言えば、前述のスペシャルパック特典の赤い傘を入手する術が(今のところ)ないくらいだが……。

 さてさて。厳密にはコンテンツ視点とはいいがたいのだが、Windows先行体験版をプレイして「これは!」と実感したのが、MMOでは普遍的とされるプレイスタイル「複数アカウント」の有効性だ。これまで筆者は「金策とか楽になるのはわかるけど、基本月額で十分でしょ」とMMOの複数アカウントには及び腰だったのだが、Windows先行体験版で別アカウントを作る必要が生じたため、一時的とはいえ環境が整ってしまい「チーム内で何人かやってる人もいるし、まぁお試し感覚で」とつま先をつっこんでみたところ……これがまぁ「ドラゴンクエストX」と相性がいいなんてもんじゃない。

 「MMOで複アカとか珍しくもないことで、いまさら何を?」と言われそうだが、それにはもちろん理由がある。本稿は主にプレイ経験者を想定しているので詳しくは説明しないが、金策うんぬん以上に「チームクエストが楽になる」というのが、個人的には1番大きかったのだ。

 筆者が所属するチームは大人数ではないが、見聞きする他チームに比べると熱心なプレーヤーが多い。日々のチームクエストもほぼクリアされていくのだが、それでも「これ明日の朝までにいけるかな?」といった項目が残ることがある。残りがちなのは、ドロップ確率が著しく低いアクセサリー、そしてキュララナ海岸などキラキラの総数が他に比べて少ないエリアの探索だ。

 たとえばアクセサリーは、ソロ+サポート3人だとドロップ1回ごとに1個しかカウントされない。ドロップ確率が低いお題が出たときは本当に大変で、制限時間が長かった時期は「あーもう! さっさと失効してくれよ!」と、ただただ嘆くのみ。その点、いわゆる“肉入り”でやれば1回のドロップでプレーヤー=アカウントぶんカウントされる。アクセサリー2個のお題なら、ソロの2アカウントで1回出せばそれでクリア。キラキラも同様で、総数が少ないエリアでも効率よく“おそうじ”できてしまう。

 「手元にコントローラー2個とか面倒くさそう」という先入観も“ついていく”でほとんど解決してしまい、慣れてからは「ああ、なるほどこういうことか……」と快適さが染み入るばかり。これまでかたくなに複数アカウントに手を染めてこなかった筆者だが、今回ばかりは真剣に悩んでいる。

これまで複数アカウントに手を染めてこなかった筆者だが、チームクエストやルーラストーンなど利便性が飛躍的に高まる点はあまりにも魅力的。本当にどうしよう……。

決定的なポイントはコレ! ~ノートPCで動く軽快さ~

 最後にまとめというか、Wii/Wii U版ユーザーから見たWIN版の決定的な魅力について触れたい。WIN版は、高解像度にこだわらなければ要求スペックはとても低い。前述の「ドラゴンクエストTV」番組内では、日本マイクロソフトのタブレットPC「Surface」で動く様子が紹介された際は動作もキビキビとしており、実用面でも問題ないことが感じ取れた。

 筆者のチームには帰省の際にWii本体を実家に持ち帰ったメンバーもいたが、大半の人は旅行や帰省など移動先で「ドラゴンクエストX」の続きをプレイしようとは考えないと思う。ところが、WIN版はこの問題をこともなげに解決してしまう。モバイルなど通信環境がしっかりしていれば、ノートPCにインストールするだけで「どこでもドラゴンクエストX」が実現してしまう。

 もちろん問題点がないわけではない。通信環境が“しっかりしていれば”というのがポイントで、これが担保されていないと安心してプレイに没頭できない。たとえば職人の仕事中に通信が途切れるようなことがあれば、失敗して素材は全部パァ。魔法の迷宮内であれば、他のパーティーメンバーに多大な迷惑をかけてしまう。

 「そこまでして出先で『ドラゴンクエストX』をやりたいことってあるの?」といぶかしがられるかもしれないが、実は今の筆者がまさにそうだったりする。本稿を執筆しているのは「東京ゲームショウ2013」の前で、会期中は近辺のホテルに宿泊し取材で幕張メッセを往復する日々。討伐など時間のかかる日課は無理だが、花の水やりくらいは出先でできたらいいな……などと夢想していたことが現実に可能になるワケだ。

 編集者に聞かれたら(っていうかコレ読まれちゃうんですけどね)その場で「ふざけんな仕事しろ!」と張り倒されそうだが、可能なんだから仕方がない。ホテルの回線ならモバイルと違って切断の危険もほとんどないだろうし……。筆者の場合は取材先で、会社員の方々なら出張先で、それ以外の方々は例えば旅行先などで、気軽に冒険や日課をこなす。そんな夢のような遊び方が、WIN版ではできてしまう。新規の方はもちろん、我々Wii/Wii U版ユーザーにとっても、WIN版は座視できない魅惑の存在と言えそうだ。

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(豊臣和孝)