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【E3 2013】「討鬼伝」ゼネラル・プロデューサー鯉沼久史氏インタビュー

6月の体験版はストーリー要素に注目。 里を守るため、鬼に立ち向かえ!

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

  コーエーテクモゲームスは、E3ブースにて、PlayStation Vita/PSP用ハンティングアクション「討鬼伝」を映像出展という形でアピールしていた。日本では6月27日に発売予定しており、北米版は未定。

 今回は本作のゼネラル・プロデューサーを務めるコーエーテクモゲームス取締役副社長ソフトウェア事業部長兼ソフトウェア開発本部長の鯉沼久史氏にインタビューを行なった。

 「討鬼伝」は複数のプレーヤーで巨大な鬼に立ち向かうハンティングアクション。戦いを楽しめるアクション体験版を5月にリリースし、さらにユーザーの意見を反映させたパッチを配信したことで話題を集めた。さらに発売直前に第2弾の体験版の配信を予定しているという。インタビューでは気になる部分を質問した。

6月に配信される体験版で明らかになる“鬼と戦う理由”

本作のゼネラル・プロデューサーを務めるコーエーテクモゲームス取締役副社長ソフトウェア事業部長兼ソフトウェア開発本部長の鯉沼久史氏
鬼の攻略法は、部位破壊で鬼の力をそぐのが有効だ
キャラクターデザインは「アトリエ」シリーズの左氏

――今回、「討鬼伝」は映像出展という形ですが、会場での反応はどうでしょうか?

鯉沼氏: 北米でのローンチもまだ決まっていないので、正直なところまだわからないですね(笑)。もちろん本作に対して期待する声があることを受けての出展なのですが、会場の反応も今後の参考にはしていきたいです。

――「討鬼伝」はキャラクターイラストに左氏を起用しているところも、ユニークなところだと思います。こういった点でも北米のユーザーの目を惹くかなと。一方、左氏の起用に関して日本のユーザーの反応はどうだったでしょうか。

鯉沼氏: 左氏の起用はガストがグループになったことで実現したのですが、その前からスタッフの間では「左さんの絵はいいよね」という話をしていたんです。「討鬼伝」と同じ6月27日に、ガストからも「エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~」が出るので、6月27日は左さんの日といって良いかもしれません。

――「討鬼伝」は体験版を出し、ユーザーの声を受けてバランスを調整するという事を行ないましたが、コンシューマーゲームでこういった発売前の調整を行なうというのはコーエーさんでもあまりやってこなかったことではないでしょうか。

鯉沼氏: そうですね。もともと「体験版を出そう」という話はあったのですが、「アクション体験版」を作りたいという話になったのです。ゲームの駆け引き部分に特化したものを事前に触ってもらうというのは他のメーカーでもあまりやっていなかったと思います。

 体験版にアップデートパッチを入れたのは、正直に言えば、ユーザーさんの声がとても大きかったからです。「モンスターハンター」や「ゴッドイーター」といったハンティングアクションは、ユーザーさんと共に成長してきた。我々はそう言ったハンティングアクションの世界に挑戦するわけですから、できるだけユーザーさんの意見を取り入れたかったのです。

――では、発売してからもパッチを当てて改良するという場合もあるのですか?

鯉沼氏: もちろん。その予定はあります。ダウンロードコンテンツなども予定していますし、どんどん良いものにしていきたいです。ωフォースは新しいIPをしばらくやっていなかった。これまではチャレンジが難しい部分もありました。「討鬼伝」はしっかりとした新しいIPにするために今作り込みを行なっています。ユーザーさんと共に成長していければと思っています。

――鬼という素材も、自由度が高くユニークなテーマだと感じました。

鯉沼氏: 言い方は悪いですが、「鬼ならば何でも許される」というところもあるかなと(笑)。もちろん歴史に強いコーエーだからこそ、ずっと人々に恐れられてきた、日本のユーザーに馴染みのあるものですし、海外でも日本の鬼を知って下さっている方が多いです。色々な意味でぴったりの素材だったと思います。

 鬼に関しては“歴史的資料”そのものはそれほど多くはないかもしれないですが、現実の動物や昆虫が“鬼化”したらどうなるかという方向性で考えています。ちなみにお気に入りは最初に出てくる「ゴウエンマ」です。スタンダードな鬼ですね。製品版では非常にたくさんな鬼が出てきますし、

――DLCはどのようなものを考えているでしょうか。

鯉沼氏: ミタマはもちろんですが、チャレンジシナリオなども追加していきたいですね。ユーザーさんの要望に対応していきたいです。ちゃんとコミュニティを作り、そこに向けてコンテンツを投入できればと考えていますし、それ以上のものができないかを、プロデューサーの小笠原と話しています。年内、年明けまで「討鬼伝」をどうしていこうか、ユーザーさんに楽しんでいただくか、ということは考えています。

――これから発売に向けていく中で、新しい体験版をリリース予定とのことですが、さらにパッチが入り遊びやすくなるのでしょうか。

鯉沼氏: これまで出した体験版は、「アクション部分」のものです。巨大な鬼と戦う中で、ゲージの消費量や、技のタイミングなど戦闘部分に特化したもので、SCEさんに意見が来たり、コーエーのユーザーサポートに電話がかかってきたりしました。そう言った意見をいただいた上で、開発の理念とすりあわせた上で調整したのが、前回のパッチです。

 今回リリースする体験版は「ストーリー」を取り上げます。「討鬼伝」はちゃんとストーリーがあって、ソロプレイでエンディングがあります。前回のはあくまでハンティグアクションに挑戦する上でのものでしたが、今回のものは本来の意味でのゲームの「体験版」となります。

 ゲームの手触り、キャラクターメイキング、ストーリー部分を見ていただくことで、「討鬼伝」への評価も大きく変えてもらえると思います。これまではアクション部分だけだったのですが、ストーリーを入れることでコーエーらしさも感じてもらえます。

 故郷である「ウタカタの里」を守るという、なぜ鬼と戦うか? という理由もわかるようになりますし、魅力的なキャラクターが出てきてドラマを繰り広げる要素もあります。ストーリーに引き込まれると思います。

 今回は最初のストーリー部分が入るので、最初の部分をしっかり見て欲しい。ゲームのキャラクター達は、新人であるプレーヤーキャラクターを色々な形で迎えてくれますし、プレーヤーも住んでいるところに愛着を感じ、鬼に立ち向かう気持にさせてくれる。こう言った部分を味わって欲しいと思いますね。

――ミタマは、日本の歴史に登場する英雄が出てきます。そうなると、「討鬼伝」の世界は何らかの形で私達の世界と繋がっていると考えられるのですが?

鯉沼氏: そこはネタバレになるから答えられません。鬼は歴史の英雄の魂を飲み込んで強力になっている。プレーヤーキャラクターはその鬼から魂を開放し、自分の力にできるというイメージです。

――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。

鯉沼氏: もうすぐ第2弾の体験版がPSP、PS Vitaでリリースされます。ぜひプレイしていただき、「ストーリーもあったんだ!」、「こういう設定だったのか!」ということがわかっていただけると思います。「討鬼伝」はこれから大きなシリーズものにしていくために、色々仕掛けていきます。ぜひ製品版も購入して遊んでいただければと思います。

――ありがとうございました。

【スクリーンショット】
強大な鬼と戦う、和のテイスト溢れるハンティングアクション

(勝田哲也)