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「ティアラ コンチェルト」運営ディレクター金子朋嗣氏インタビュー

今後は演奏や作曲など、楽団員で楽しめるコンテンツを拡充!

2月収録

 ガマニアデジタルエンターテインメントは、Windows用MOアクション「ティアラ コンチェルト」のプレオープンβテストを2月27日より開始している。3月4日より予定されていたオープンβテストの開始は、サーバーダウンや動作遅延などの問題により延期となり、新しい開始時期は未定だ。本作の開発は香港のFireDogが担当しているが、日本が最初のサービスとなるため、バグが取り切れておらず、かなり慎重になっている印象だ。今のところ、3月中に基本プレイ無料・アイテム課金制による正式サービスを開始する予定となっている。

 プレオープンβテストは、何らかの不具合があった場合に、データが巻き戻る可能性があるという点を除けば、オープンβテストと同じ仕様で運営されている。また、実装コンテンツもオープンβテストと同じものだ。今回、オープンβテスト開始に先駆けてガマニアオンライン事業本部オンライン運営部運営1課ディレクターの金子朋嗣氏にインタビューを行なった。

 今後実装されるコンテンツはどのようなものか、さらに今後どういった要素が実装されていくのだろうか。「ティアラ コンチェルト」は開発者・運営共に多彩な要素を盛り込んでいこうという強い想いを感じさせるタイトルである。本作は、どんな未来を目指しているのだろうか。

3月中に正式サービスを。荒野をテーマにした新フィールドを準備

ガマニアオンライン事業本部オンライン運営部運営1課ディレクターの金子朋嗣氏
実装予定の荒野をイメージした新フィールド。詳細は不明だ

 最初に質問したのはクローズドβテストの感触だ。金子氏は、クローズドβテストは“ゲームに対するスピード感の調整”が大きな課題だったが、今回のテストでユーザーにある程度満足してもらえたと語った。そして操作性・利便性といったゲームの根幹の調整をオープンβテストに向けて調整できる実感を得たという。

 金子氏自身は「ティアラ コンチェルト」を自身が好きな日本のアクションゲームと比べて、可能性は感じつつも“物足りない”と強く感じたという。そこからゲームをどう面白くするか、社内や開発元と議論を重ね、誰でも楽しめるような難易度ながら、きちんとアクションゲームとしての楽しさ、キーの組み合わせで出る技が変わったり、敵の攻撃を避けられるなど駆け引きもきちんと楽しめるバランスにまとめていった。

 これまでは基本的な要素を磨き上げている段階だが、今後はPvPやアクション性の強いダンジョンを充実させ、アクションゲームファンが楽しめる要素を強調したコンテンツを入れていく。基本は間口の広いゲーム性と、かわいらしいキャラクター、世界観を活かしたストーリー展開を大事にしながら、エッジを利かしたコンテンツも盛り込んでいくつもりだという。

 筆者が気になった部分としては、本作の基本的な職業は「ファイター」、「レンジャー」、「チューナー」の3つで、回復役の職業がないところだ。金子氏は、回復役がいないのは“意図的”だという。回復職がいると大きく難易度が下がってしまう。緊張感のあるプレイをしてもらうため、3つの職業をチョイスしたとのこと。

 本作ではMPは時間で回復するが、HP回復はアイテムでしか行なえない。クローズドβテストのユーザーからは「回復アイテムの持てる量が少ない」という声も上がっていた。今後回復アイテムは種類が増える予定で、瞬時に回復するもの、徐々に回復するもの、パーティ全体を回復させるものなどが増えていく予定だ。

 一方、所持量そのものはあえて絞り気味にしている。理由はポーションがぶ飲みプレイはおもしろくないからだ。このため、どの回復アイテムをどれだけ持って行くか事前に考えて欲しいと金子氏は語った。また、今後は能力値をアップさせるバフアイテムなども登場する予定だ。これらのアイテムは課金よりも、クエストなどで入手できるポイントアイテムを使って購入できるようにしていくということだ。

 次に質問したのが、今後のスケジュールだ。「ティアラ コンチェルト」は2月27日から“プレオープンβテスト”を実施しその後オープンβテストを行なう予定だが、現時点での開始日は未定となっている。プレオープンは何か大きな不具合があった場合「データの巻き戻り」が起きる可能性がある。オープンβテストからはこういった巻き戻りが起きない正式なものとなる。アイテム課金制の正式サービスは3月中に開始予定だ。

 プレオープンからの新要素はこちらですでに紹介されている。このうちの「キャラクター体型変更」では、各種族に違いがあり例えばヒューマンの最も高い身長が、ビーストの最も低いものと同じ程度だ。女性キャラクターは胸の大きさを変えられるが、エルフは変えられない。

 称号システムは「敵に攻撃を一定回数当てる」、「一定量以上ダメージを与える」などの条件で称号を得られるが、ステータスのアップなどの特性は今のところないという。PvPはランキングに合わせた報酬が得られるようになる。このメダルは集めていくことで今後交換アイテムが登場していく予定だ。1対1、2対2、4対4の対戦が可能となる。

 プレオープン・オープンβテストではどんなダンジョンや新マップが追加されるのか、という質問に金子氏は「ぶっちゃけありません」と答えた。ダンジョンやマップはクローズドβテストと同様になるという。現在は20レベル程度までのコンテンツが実装されている。明確なレベルキャップの設定はないが、正式サービスではレベル30近くまでを対象にした新マップが実装される予定だ。

 その30を目指すプレーヤー達向けの新マップが、“荒野”をイメージした新しい“島”だ。ダンジョンではサボテンやサソリなどが待ち受けると言うことだが、現時点ではまだ具体的な仕様が開発側から出ていないという。これらは今後改めて発表していくとのこと。今回はスクリーンショットのみ公開された

 今後早い段階で実装する新システムは2つあり、登録しておくと希望者が4人になった時点でMOダンジョンがスタートする「オートパーティシステム」。もう1つが複数パーティによる「レイドダンジョン」だ。これらのシステムは3月末実装を目標としているという。詳細は今後発表されるとのことだ。

【新フィールド】
荒野をテーマとした新フィールド。今後は島ごとで様々な景色が楽しめそうだ。名称、設定とも現在は未定で、ダンジョンも今回はわからなかったが、今後の情報公開に期待したい

今後は「演奏システム」実現も!? 広がりを見せていく世界

金子氏オススメのギロチン。アクションゲームのステージのようなマップだ
ボス「マッディ・ボンバラ」。ユーモラスな外見だが、力強さも感じる

 新要素に関しての情報はまだと言うことなので、現在実装されているコンテンツ内、スタート時ではなく中~後半で体験できる要素を聞いてみた。本作では最初はシンプルなモンスターとのバトルが展開するが、レベル10くらいからはオブジェクトをはじき飛ばして柱の下に入れると作動する仕掛けや、プレーヤーが砲台を動かし、障害物を破壊すると言ったものが登場するという。その中で特に金子氏オススメの仕掛けは、現在実装されているコンテンツの後半にのダンジョンに登場する「ギロチン」とのこと。基本的にはプレーヤーを阻むトラップだが、うまく活用すると敵を倒すのにも使える。

 敵との戦いもバラエティに富んでいて、ひたすらイノシシに追いかけながら戦うステージや、連続してボスが出てくるステージなどもある。「妖精」は毒をはき出すトラップを設置し、プレーヤーの行動範囲を制限する。金子氏は「『マッディ・ボンバラ』というボスがいるのですが、ユーモラスな外見で好きです。モンスターの外見や動きを観察するなど、単純な戦いだけでなく楽しめる要素が詰まっています」と語った。

 戦闘で筆者が感じたのは、現在の「ティアラ コンチェルト」の敵はステータスとHPの高さで強さが決まっていて、力押しで決まってしまうところだ。もう少し駆け引きなども楽しみたいと思った。金子氏達運営スタッフも同じように感じていて、正式サービス以降になるが、敵が大きな攻撃を行なう時にバックステップをしてプレーヤーに注意を促す代わりに大ダメージ攻撃をするなど、駆け引きをより面白くする予定とのことだ。

 「敵との駆け引きや、アクションゲームとしての攻撃のリズムなどは、こちらがあまり言わなくてもFireDog側で自主的にやってくれるものも多いが、ガマニア側も積極的に協力しているんです。敵のモーションなどはガマニア側が仕様書を書いて相談もしています。一緒にゲームを作るという感覚でやっていますね」と金子氏は語った。

 筆者は楽器で戦う「チューナー」だったのだが、武器を変えてもあまり戦い方が変わらなかった。この点は今後どうなるのか質問したところ、実はチューナー以外のファイターや、レンジャーは種族で武器が固定化しているという。例えばファイターでもビーストは大剣、エルフはポールアームというように決まっていて、武器を持ち替えることで“戦いの幅を拡げる”という要素は現在はないという。

 武器による戦い方の違いや、プレーヤーが選択できる“戦闘の幅”に関しては、今後実装される「追加職業」で見えてくるとのことだ。ファイターでも、武器とスキルの習得によって、大きな武器を使って1撃にかけるか、素早い武器で手数で押すといった戦い方の異なるプレイスタイルになっていくとのことだ。

 課金アイテムに関しても質問してみた。ガマニアは特に課金アイテムによる“マネタイズ”の部分で多くの助言を行なっていると金子氏は語った。ガマニアはこれまでのタイトル運営の経験で、課金アイテムに関してのアドバイスを行なっている。

 課金アイテムで目玉になるのはアバターだが、そ金子氏は「アバターの入手経路に関しては、ガチャのみにはしたくない」と語った。「ティアラ コンチェルト」はアバターを強調していくが、一方でゲーム内アイテムで入手できるものも多数用意していく。かわいらしいものや定番のものだけでなく、重厚な鎧など、歴史を感じさせるアバターも用意されるという。

 「ティアラ コンチェルト」の装備はヒューマンは中世ヨーロッパ風、ビーストは民族風、エルフはスチームパンク風のデザインとなっている。装備に関しては種族固定のデザインだが、こちらに関しては装備はそのままで外見を変える“アバター装備”などで様々な衣装を着ることができるようにしたいとのことだ。アバターのコンテストなども考えている。

 その他これまでで寄せられているユーザーの要望としてはどんなものがあるだろうか? 金子氏は“音楽”に関する要望が多かったと語った。本作は音楽をテーマにしており、ギルドに当たる繋がりも“楽団”という名前になっている。楽団というからには何らかの演奏をしてみたいという声が多かったという。ガマニア側もこういったユーザーの要望に着目し、「演奏システム」を実現できるように検討しているという。さらにそしてプレーヤーが楽譜を作れる「作曲システム」も検討している。

 作曲や演奏は著作権の問題でMMORPGで実現が難しいところがある。例えばネクソンの「マビノギ」では著作権の判断として灰色のままだったが、ゲーム内での著作権が問題となり、盛んだった演奏がほとんどなくなってしまった。金子氏は「作曲システムでの著作権の取り扱いはハードルが高いが、本作が音楽をテーマにしているゲームであるだけに、取り組んで行きたい」と語った。ゲーム内演奏に関しては、きちんとしたガイドラインができれば今後のMMORPGに大きな変化をもたらすだろう。この取り組みに関しては大きく期待したい。

 金子氏は「ティアラ コンチェルト」ではこの他にも様々なコンテンツを開発中だと語った。「回復薬を使わずにどこまで進めるか」、「タイムアタック」といった挑戦系のコンテンツや、そしてなによりもオープニング以降進まなかったメインストーリー部分も実装すべく開発は進んでいるという。コアプレーヤー向けのコンテンツも作り込んでいるとのことで、様々なものを実装していくという。

 最後に金子氏はユーザーへのメッセージとして、「数年前の東京ゲームショーからお待たせしてしまいましたが、ついに皆さんに遊んでもらえるスタート地点にたてました。まだまだ課題も多いですが、開発・運営で力を合わせて取り組んでいきますので、よろしくお願いします」と語った。

 「ティアラ コンチェルト」は香港のFireDogが開発しているが、日本が最初のサービスとなる。ゲーム部分での調整が繰り返されていたり、プレオープンからオープンβテストへの移行でもたつくといった部分は、初サービス故という所もあると思う。一方で、だからこそガマニア側も“一緒に開発しているんだ”という気合いが感じられる。特に演奏システム・作曲システムはぜひ実現して欲しい。「ティアラ コンチェルト」の今後に大いに期待したい。

【実装済みコンテンツ】
現在すでに実装されている「称号システム」
「改造システム」
1対1、2対2、4対4の対戦が可能な「PvPシステム」

(勝田哲也)